ボタンを押すと即立ち読みできます!
ありがとうやごめんねが聞きたいわけじゃない。
「オールトの雲」のスピンオフ。太陽の弟・大地(攻)と、流星の天文部の先輩・昴(受)のお話です。
大地はフリーター。女の子とふらふらとしたお付き合いを繰り返しています。昴は科学館の天文学芸員。背が低く童顔ですが、誠実で男気があり、仕事にひたむきに打ち込んでいます。
ひょんなことから大地は昴の職場でアルバイトすることになります。
対照的な二人が一緒に仕事をするうちに、互いの良いところを見つけていく描写が、昴が大地に教えた『暗順応』を思わせました。(こういう豆知識、大好きです。)人の奥底に隠れた良いところというのは、きっと街の明かりに隠れた星と同じで、目を凝らして見つめないと分からないものなのでしょうね。
大地は、昴が大きな仕事に誘われるほど優秀にもかかわらず、子どもたちのための科学館の仕事を大切に思っていることを知ります。そして、無為に生きてきた自分と比べ、ひたむきな昴をもっと知りたいと思うようになり、それはやがて恋に変わっていきます。
昴は、軽い男に見えた大地が、本当はひとの気持ちに敏く、兄・太陽と流星の関係を温かく見守っていること、兄がくれた優しさを子どもたちに返したいと考えていることを知り、同僚として好ましく感じるようになります。
七夕の短冊から昴に片思いの相手がいると知った大地は、はっきりと恋心を自覚し口づけようとしますが、拒絶されてしまいます。
そんな折、昴の想い人・亘がアメリカから来日。宇宙飛行士を目指す亘は、自分のコネを使って、大きな仕事に昴をスカウトしようとしますが、それは科学館の仕事を大切にする昴の価値観とは相容れないものでした。いつの間にか生き方が違ってしまった昴と亘。昴に決断が迫られます。
昴が自分の片思いと大地の自分への片思いを重ね合わせ、報われなくてかわいそうだと大地に抱かれたことが、最初は唐突に思えました。でも、昴は自分の生き方を貫くため、亘に別れを告げるため、自分の大切なものを理解してくれる大地の支えが欲しかったのです。それを知ったとき、胸にこみ上げるものがありました。「体が体にくれるエネルギーってすごいんだね。高梨(大地)じゃなきゃ駄目だった」。心に深く響きました。
タイトルの「ムーンライトマイル」は、地球に届く月明かりのようにはるか遠い距離、の意味に感じました。月を目指す亘に片思いしていた昴の長い年月が、それに掛けてあるような気がします。その長い年月を飛び越え、引き合った大地と昴の物語だったのだと思いました。壮大でドラマチックなタイトル、すごく好きです。
その後の二人は、距離が近づいたゆえに、主に頭でっかちな昴が悩んで、すれ違ってしまいます。いつの間にか亘を卒業していたことを、当の亘に教えられた昴は、やっと素直に大地の胸に飛び込みます。ずっとキスを我慢していた大地は、本当にいい男だなあと思いました。
昴の話に刺激されて、ハッブル宇宙望遠鏡から撮影された宇宙の写真をネットで見てみました。ため息が出るほど美しく、宇宙の仕事を愛する昴の心の一端を見るような気がします。
スピンオフなのに、こちらを先に読んでしまいました。でも、大丈夫!気になる所
はありましたが、こちらが先でも、全く問題なかったです。
プラネタリウムで彼女に平手打ちされた大地。プラネタリウムで解説をしていた昴は、大地に向かって、死ね!ヤリチン!と捨て台詞。
そんな二人が再会。なりゆきで科学館のアルバイトをすることになった大地は、昴が気になり出す。
木下けい子先生の挿し絵が合う!
めがね男子の昴は、大地より年上なのに、そう見えない所や小柄なのに、大食い。もう、何もかも私のツボ!強気な受がたまらなく好き!
大地は、女関係最低な最初の印象。でも、子どもに優しくて、ふとした仕草がしっかりしていて、モテる理由もわかる。
大地が昴を好きになって、でも昴には片思いの幼なじみがいて、この関係が苦しい。大地もかなり落ち込んでいたけれど、そこからの巻き返し、やっぱモテ男だ!
ムーンライトドライブは、昴目線での作品。恋愛経験のない、真面目男昴が、悩んで落ち込んで、自分の気持ちに気づく。あぁ、可愛い!
私的には、犬のシールのエピソードが笑えて好きです。
オールトの雲のスピンオフで太陽の弟なる大地、流星の先輩の昴とのお話。
明るく少しちゃらめで女の子とも遊びで付き合える大地がクソがつくほど真面目な昴に恋をする。
大地が仔犬みたいに可愛らしい。
昴は幼馴染に恋をしていて、その気持ちからなかなか離れることができずに。
大地の年下の甘え方や幼さの残るストレートな気持ちに昴の心も溶かされていくけれど。
昴は初恋の諦め方がわからず、燻っていたかんじ。
経験不足の鈍感かな?
2人のやりとりは可愛いなと笑えたり、胸が痛くなったりと、読んでいる間、楽しかったー。
「オールトの雲」のスピンオフ、太陽の弟の大地の物語です。
(ということで、長文レビューです…)
一穂先生と竹美家先生との黄金コンビは勿論素晴らしいのですが、
空気の感じが木下けい子先生の挿絵ともすごく合っていて、
表紙を見たときから期待が高まります。
:
読み始めて最初に思ったのは、え?オールトから何年経っているの?ってこと。
だって大地って、オールトの時に小学生でしたよね?それが大学生?え?え?
その大地くん、御年20歳(実はフリーター)はプラネタリウムデートの最中、
浮気を彼女になじられ、引っ叩かれ、観客一同の面前で振られる。
出て行くタイミングを逸して眠ってしまった大地くん、終映後に学芸員に起こされるが
その学芸員にボソッと「死ね、ヤリチン」と呟かれてしまう。
この学芸員が、実は兄の親友(恋人)の先輩、昴くん。
見た目は大学生、下手すると高校生に見える小柄な眼鏡くんだが、実は28歳。
彼にスカウトされ、科学館でバイトすることになった大地くんだったが…
昴の頑さや健気さ仕事に対する真摯さ、
大地の真っすぐさと若木のような生命力、
何気ない会話にクスクス笑いながらも切なくて、距離が縮まっていく感じがいい。
日常を丹念に描きながら、細やかな気持ちの動きが自然に表現されていきます。
Fカップだったからという理由で浮気しちゃったチャラい大地だけれど、
胸なんか海抜ゼロメートルの昴に、ひたむきに向ける気持ちがなんとも愛おしい。
長いひとすじの思いを抱えてきた昴が、大地を支えにその思いに一段落つけて
大地の気持ちに向き合ってみようかと思うまでが本編。
一穂先生の書く人物は、ある意味頑なというか、はっきりした個性を持った人が多い。
ステレオタイプな造形じゃなくて、
日常的な些細な行動にもその人らしさがある描写が、流石です。
書き下ろしの「ムーンライト・ドライブ」は、その後の話。
昴が自分の気持ちを認めて、暫定だった二人の関係が定まるまで。
後半は昴視点で話が進むので、こちらまで読むと関係も進展するし
前半で曖昧だったこともハッキリ分かって読み手にはスッキリします。
でも片側からの視点でしか見えない前半の、
月明かりの中で進むようなもどかしい感じも、好きだな。
ただし、前半にもHはありますw
「一発やらせて」という大地に、お前の気持ちが手に取るように分かるという昴は
「お前の気が、それで済むんなら。」と承諾する。
ことの前に昴がお米を研いでいたり、
淡々と手順を踏む実験のようで、でもやっぱり初々しかったり、
翌朝とぼけたようなやりとりをしていたり、そんな二人が好き。
早々にオールトコンビの太陽と流星(26歳)も出て来るのですが、
10年経っても未だにちゃんと睦まじそうな様子。
(あれ?流星は大学院生って分かったけれど、太陽はなにしてるのかな?
私読み落としている?)
その二人に関して大地が語る、「あのふたりには互いの骨をひとかけら交換したような、
余人には立ち入れない結びつきがあった」ということばに、
ツーッと涙が流れてしまいました。
一穂作品に関しては、どうもなんらかのスイッチが入ってしまうようで
最初からその空気感にどっぷり浸かってしまうので、
客観性というのは全く期待できない私ですが…w
こうしてスピンオフでドンドン広がるホモの輪はどんなものやら?と
思わなくもないのだけれど(だって高梨家は兄弟二人ともそうなっちゃう訳ですか~?)
なんだかずっと知っている人達の、深い心模様を垣間みさせて貰っているようで、
萌えというのとは違うような気もするのですが、心が甘く切なく一杯になります。
:
ところで余談ながら、Moonlight Mileというと思い出すのは、Rolling Stonesの曲。
1971発表の名盤『STICKY FINGERS』のトリを飾る曲です。BGMに如何でしょうか?
神か萌×2か。
相変わらず、作品全体がいちいち私の心の琴線に触れて
レビューするのも時間がかかったくらいです;
前半の『ムーンライトマイル』は、
大地が、初っ端からちょっと感情移入出来辛そうな攻めだなぁと思いました。
下半身の緩い男は好かんw
男はそういうもんだと言われればそうかもしれないけど、
出来ればBLでは…っていう序盤の感想。
しかし、もちろんそんな主人公では終わらせませんよ、ミチさんは。
お金に汚くない、子供好き、面倒見が良い、おおらかで家族愛があるという
初めの印象が帳消しになるような魅力的な攻めでした!
昴は色恋沙汰なんてまるで縁が無いように見えて、
実は幼馴染にずっと片想いをしていて…。
その相手の完璧なまでの健全さが切なかったです。
昴の想いに区切りを付けられるように、勇気をくれた大地。
そりゃほだされるよ、こんないいヤツじゃ。こんなに想われたら。
『ムーンライトドライブ』
“絶対的な好意を手のひらに収めているという残酷な満足感”
昴視点での続きです。
好かれている安心感と、すんなり大地に応えられない罪悪感。
恒の思いを引きずっていないと言えば嘘になる昴は揺れます。
そしてつい素っ気なくしたり…。複雑な心境です。
恒のおめでた婚を人伝いに聞き動揺せずにはいられず、
「俺のことだと、相変わらず理路整然だね。恒さんなら大騒ぎなのに」
大地に責められます。
それをきっかけに別れを告げる昴です。ずいぶん気持ちを揺さぶられながらも。
「アロハを正確に解釈するなら、今この瞬間の気持ちを分かち合う」
お土産をくれた流星の話に、胸も胃もきゅーっとなってしまう。
あんなに想ってくれた大地の手を離してしまった後悔に苛まれます。
大地は恒のように大きな夢は叶えられないけれど、
ずっとそばにいて、これからも昴だけを愛し続けてくれる。
気が合わない事もあるけど、
そんな二人が一緒にいる事はお互いの寄り添った気持ちがないと不可能なわけで
よっぽど好きじゃないと無理なんじゃないかしら。
運命的な二人より、ある意味心の結びつきが大事になるので
私は『オールトの雲』の流星×太陽より好きかも。
こちらのカプは完璧すぎな気がするから。
なぜ神評価にしなかったかというと、
昴の女性の同僚・美樹さんのエピソードがしんどかったんです。
お見合いで結婚した彼女は、妊娠した事によって旦那さんが
これまで以上に大事にしてくれ、愛を感じるのです。
ただ別れた元彼にあてつけみたいに結婚をしたのに。
私事で恐縮ですし余談ですが、私は一応恋愛を経て結婚しました。
望んでいた妊娠にも当時、元旦那はそれほどの反応も無く、
子育てにも家事にも協力的ではなかったんです。何でも自分優先で。
なのでそういうのをつい思い出してしまってつらくなりました…。
幸せそうな美樹さんに嫉妬しちゃったんですね。情けない;
なんというか、ただBLとして楽しませてくれるだけじゃなく、
心を抉られる様な、自分の人生ですら辿らせられる様な作品をお書きになる
ミチさんはやっぱり素晴らしいな!!と改めて思いました。
なんだか今回もとりとめのないレビューに…。すみません。
大地のような愛に包まれたいわ!!w