千夜一夜の求婚(プロポーズ)

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表題作熱砂の花嫁

シャムス国第一皇子・ラシード
愛妾に差し出されたましろ・アシュクロフト(16歳)

同時収録作品塔の中の花嫁

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「覚えておけ。お前は俺の――太陽の花嫁だ」
心から慕う兄の窮地を救う為、砂漠の小国の皇子ラシードに身を捧げたましろ。太陽の化身と称されるほどの輝きを持つラシードは強引で傲慢だが、決してましろを傷つけることはなかった。宝物を扱うような優しい手も、灼けるような愛撫も、妾腹の子として疎まれていた自分には、すべてが初めて与えられるもの。孤独だったましろは次第に彼に惹かれていく。だが、ましろには果たさなければいけない使命があり!?
出版社より

作品情報

作品名
熱砂の花嫁
著者
弓月あや 
イラスト
高群保 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773099553
3.6

(3)

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萌々

(2)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
11
評価数
3
平均
3.6 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

アラブでいちばんよかったかも!

今まで読んだ『アラブもの』で(あくまでも『アラブ』の中で、ですが)いちばん心安らかに穏やかに読めた気がします。それで評価が上積みされたのは否めません・・・
とにかく、アラブなのに『無理矢理』がないんだよ!それだけでもういいよ、私は。

ただ、ましろ(受)が16歳という実年齢以上に幼くて、イラストも可愛いので、まさしくショタ(というよりロリ?女装多いし)、という感じでした。

でもいいの、ショタは別に好みではないですが、(アラブならという但し書き付きで)ショタ・ロリなんて大した問題じゃなかったよ。
私が『アラブはダメだ』と思う要素が驚くほどなかったので、もうそれだけで満足です。我ながらハードル下げ過ぎな気はしますが。

もともと私は、BLの『アラブもの』が好みではないです。とにかく個人的に『俺様・傲慢攻』と『無理矢理(から始まるラブ)』がどうしてもダメなんです。

私がアラブを読むのは、『好き作家さんが書いてるから』という作家買いの一環に限られます。
ですから、他の『アラブがお得意』の作家さんの作品は読んだことないんじゃないかと思いますので、私が読んだアラブものが所謂『アラブの王道』なのかどうかはわかりませんが、私が知る限りではアラブには『俺様・傲慢攻』と『無理矢理(から始まるラブ)』がセットになってる率がえらく高かったんですよね。
そういう意味で、私の予想を見事に裏切るアラブものでした。

キャラクターは、特にましろがなんとも主体性がなくて、兄の言いなりで流されるだけだったので、イラッと来る方は多そうです。私も好みとは言いませんが、とにかく『意外なアラブ』と言える展開にすべて持って行かれました。

でも、ラシード(攻)は私は好きですね~。『俺様』には違いないんでしょうが、どこかヘタレの皇子さま。ましろに泣かれると、内心焦って(?)『うさぎを連れてこい!』イヤ、なかなかいいキャラクターでした。

あと、大きかったのはましろの兄・ジョシュアですね。弓月さんの他の作品(これの前にレビューした『公爵閣下と屋根裏の花嫁』)にもありましたが、攻(相手役)ではない受の兄が、無駄に存在感あり過ぎるパターン。

ラシードとましろが何とも可愛らしい(でもHは結構・・・)ラブを育んでいたところに、いきなり兄乱入。
この流れは、最初から伏線で引っ張ったわりには、ちょっと唐突というか急ぎ過ぎに感じました。あっという間に始まって終わったような。そこまでがゆったりした流れだったので余計にそう感じましたね。

SSは兄編。病んでる執着ではあるんですが、向かう先がちょっと他のパターンと違う気がします。自分が幼いましろをいずれ壊してしまうだろうから、そうならないように距離をおくことを考えるんです。

でも、私の中ではそれと本編の兄の言動とが結びつかないんですよ。
だからこのSSは、兄に思い入れがない私には別にいらなかったですね。

脇(兄ですよ)に逸れる余裕があるなら、もっとメインCPに力注いでほしかったです。本編ラストがなんとも慌ただしかったので。それに、ラブはともかくそれこそ兄との一幕の結末が置き去りですよ。あの脅迫はどうなったんでしょうか。気になるんだけど!

それでも、まったく期待してなかった分、かなり面白かったです。今まで読んだアラブものでは断トツですね。というより一線を画すると言った方がいいかもしれません。←もちろん、あくまでも私の好みにおいて。

それはともかくイラスト。私は高群さんは小説挿絵でも漫画でもほとんどご縁がなかったんですよね。前世紀の小説でそう言えば1・2作あったかな、という程度。
正直に申し上げます、最初に表紙イラストを拝見した時『あ~、また残念イラストか』とちょっとがっかりしました。ごめんなさいごめんなさいごめ・・・

確かに表紙は、今見ても別にいいとは思わないんです。でも、本文のモノクロイラストが。
なんて言うんでしょうね、絵柄はまさに昔の古い少女漫画そのものって感じで、すごくお上手というタイプの絵じゃないんです(下手だというわけじゃないですよ)。
でも、不思議な魅力がある。ホントに、別に好みの絵柄ではないんですが、挿絵としてはすごくよかったんです。

そして続編が出てます。『熱砂の誓い~マリアージュ~』ですね。

1

アラブと花嫁のコンボ攻撃

唯一の家族だった母を、わずか3歳でなくし、実の父に引き取られたけれど、本妻や異母姉にはきつく当たられ、使用人からも暖かい触れ合いはなく育ったまひろ。
そんな冷たい家庭の中で、兄のジョシュアだけがまひろに優しく接してくれます。
ジョシュアしか頼るものがないまひろは、兄のためなら何でもすると思うようになり、それが現実となります。

異母姉がシャムア国の王から第三王妃にと望まれたけれど、それを断り、身代わりとしてまひろを王子のラシードに差し出します。ラシードのかつての婚約者がまひろにそっくりだったことから、必ず気に入るだろうとジョシュアは企んだのです。

まひろは女装してシャムアへ行ったけれど、ラシードは最初から知ってるんですね、男だって。でも、なぜか気に入るんですね。
愛情を知らなかったことを可愛そうに思ったのか、まひろがあまりに純粋で無垢で、いるだけで癒されちゃったのか。
だからか、無理に奪ったりはしないんですね。
それだけではなく、泣くましろを宥めるためウサギを連れてきたり、まずは養子縁組を申し出たり。
いつもの強引で傲慢でわがままなアラブの王子さまとは、一線を画しています。
このラシードの陰には、育ての親である女官長の存在が大きいんです。

このまま、ラブラブな新婚生活に突入するのか? と思ったけれど、そう簡単にことは運びません。
ジョシュアがやってきて、とある事件を起こします。その結果、兄弟揃って帰国。
帰ってきたましろは、当然のように生きる気力を失ってしまいますが、兄はそれを許しません。
が、ちゃんとラシードが助けにやってきます。

と、ラストはアラブものらしく、ちょっと強引にハッピーエンドになっちゃいましたが、まぁその辺は目をつぶって。

メインの二人はラブラブハッピーエンドですが、残されちゃったお兄ちゃんが、何とも物悲しいんです。
お兄ちゃん視点のSSがあり、これによるとお兄ちゃんはお兄ちゃんなりに、まひろを愛してたんですね。
家族みんなが冷たい中で、唯一ジョシュアを慰めたのが、まひろの純粋さや無垢さだったようです。
いつしかまひろを愛していたけれど、会社のためにアラブの皇子さまに差し出しちゃったのは、どんな気持ちだったんでしょうか。
それでも、まひろの幸せは願っていたようなんですよ。
(そう思っていたと、願っているのかもしれませんけど)
こんなお兄ちゃんですけど、やっぱり幸せになって欲しいなぁ~と。
お兄ちゃん編が出たりしないかなぁ。

2

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