久江羽
そもそもこのお話の原作が好きなんです。
で、主人公が二人ともマイナーなタイプ。
未樹はワケありの高校生、浅海はゲイの司法書士。
二人とも静かな人物なのでお話そのものは淡々と進むし、二人のセリフも棒読み的敬語の連発で、はじめはちょっとなにこれ?他人行儀過ぎない?って感じなのです。
しかしお話が進むにつれ、周囲に振り回され浅海によりどころを求める未樹と、大人だから欲望に流されないようにしようとする浅海の、二人がこうだからこそじんわりと心に沁みてくる感じが心地よくなってきます。
大きな波も、ドキドキする展開もないし、敬語まみれだし、先も読めちゃうお話なのに、なぜかハマっていくのです。
好みが分かれるかもしれませんが、私はこのお話の展開の仕方が好きです。
リスナーは、未樹と一緒に辛い思いをし、未樹と一緒に浅海に癒され、未樹と一緒に絶望し、未樹と一緒に一歩を踏み出すのです。
2003年製作なので、主人公二人の声優さんにあまり馴染みはないのですが、真面目で後ろ向きな未樹には遠慮がちに聞こえる宮崎一成さんは適役だと思います。
理知的だけど百戦錬磨?な浅海にも、物静かな裏に熱さのある八戸優さんのスマートな声が合っていると思いました。
エッチシーンは最後の1回だけですが、それまで他人行儀っぽかった二人が溶け合っていく様がなんとも色っぽかったです。
未樹の鼻にかかり掠れる声がなんとも言えず・・・エロイし・・・
脇には遊佐さん、進歩さん、小野D(って小野くんはほんのちょっとのただの端役だけど)が出演。
(そう言いながら、このCDを初めて聴いたころは、私、進歩さんくらいしか知らなかったんです。)
ちなみに、初回特典封入はかけ替えカバー式ポストカード。
未樹役の宮崎さんの声って大好きなんですよ!高めのハスキーで透明感があって確かにちょっと演技は棒っぽい所もあるけどそこすらも魅力でたまらんです!
浅海役の八戸さんもあまり聞いた事ない声優さんだったのですが優し気な敬語が耳に心地よくてこちらもいい声!
浅海の法律事務所のあるビル内の塾に通う高校生の未樹は非常階段で浅海と出会い、事務所へと遊びに行く様になるのですが、浅海と未樹との関係は穏やかで静かで心地良い空間でそんな2人の会話は聞いていてほんわかするですよ。
未樹はほんにいい子で、心の奥底に僅かなわだかまりを抱えながらも家族を母を愛し、いい子でいようと有り続けます。いい子のそれは全くの嘘ではなく、ただ僅かに心に傷を抱えているだけで嘘ではないのです。
ひょんな事から浅海がゲイだと知っても未樹の態度は変わらず、このまま心地良い空間が続いて行くかとも思えたのですがある日、それは一旦終わりを告げます。ある理由によって。
優しい青年と優しい少年の恋愛話です。
それを宮崎さんと八戸さんが見事に優しく演じています。
作中で2人がお茶請けとして市販のお菓子を食べるのですが、スーパーでコンビニでこのお菓子を見る度にこの作品を思い出して胸がほんわりします。
そんな作品です。
ですが
この作品の場合はとくに
主人公の声が好みか・嫌いかがポイントになるかもしれません。
ハマると・・・、非常にハマっちゃいます
(個人的には、控え目に笑うときの声にオチてしまいました)
とても存在感のある、淡くてやわらかい声色です
ストーリー、とくに心象がカチっとして丁寧です
親としてその決断?とか、その行動・セリフは無神経すぎじゃ?とか、
なにしろストーリーが重いのでいろいろ気になったりするかたもいるんじゃないかと。
ライトに聞きたい、たのしく聞きたい!、
スパーンとはじけた明るい話を!、
ネガ・うじうじ系はちょっと・・・、なかたにもお勧めしません
自分は聞いてとてもよかった作品でした
その人物がその人である理由、みたいな
それぞれの人間味、人生観とかちらちら見えて
「あーこのキャラならそう言っちゃうよねえ」と思い入れてしまい
あ、こういう考え方もあるのかぁ、そう気付かされるものもあって
なんだか真面目に膝そろえてじーっと最後まで聞いてしまいました
(もちろん萌えましたが)
原作既読
昔から大好きな作品で、秋に私的ムービックフェアで久しぶりに聴き直した。
BLではあるが、同時に青春小説でもある。
一人の少年が自分の居場所を。何処か居たたまれないような不安定なところから、自分こそを必要としてくれる、安心して自分がいても許される場所を見つけていく話だ。
今聴くと、演出は古典的だし、主人公の演技にも拙さを感じる。
でも10年前はこれで良かったし、あの時にしか出せなかった空気感と痛々しさが胸を打つ。
宮崎さん演ずる未樹があまりにも愛おしく。独特の透明感が役にぴったりだと思う。
八戸さん演ずる浅海さんも落ち着きと深みのあるお声で、誠実さを感じる。
私も10年もたつと当時気が付かなかったことにも気が付く。というか、意地の悪い見方もできてしまう。
たとえば実の母が新しい子供のために仕事を辞めるというシーン。
自分の為にはやめてくれなかった仕事を…と未樹はショックを受けるわけだけど。
高校生の未樹にはわからないと思うが。四十路の私はある推測をしてしまう。
彼女は実は三十路後半に突入して、本当はどこか仕事に対して行きづまりや挫折や新しい若手の台頭に対しての焦りや自分の才能や実力に限界を感じているのだと思う。
そんなときの妊娠は仕事を辞めるちょうど良い口実になったのではないか?
自分では多分、自覚してないと思うが。
していたら未樹にあんな無神経なことは言えない。
自分がどれだけエゴイストなのか全く認識してない女性の言動に思えた。
そういう意味では未樹とおなかの子との愛情の差はほとんどないと思う。
だって彼女がもっとも愛してるのは自分自身なんだもの。
今の未樹にはまだ理解できないと思うけど。
いずれそれがわかるようになったらもう少し楽になれるかな。
だからこそ、こんなに頑張っている未樹だからこそ、浅海と幸せになってほしいなあとしみじみと思った。
誰よりも淋しい魂を抱えているからこそ、唯一無二の人に出逢うことができる。
これこそジュネというかBLの真骨頂だと感じる私はやはり古いのかしらん。
現役の高校生にも、かつて高校生だったひとにもぜひぜひ聴いて頂きたい一枚です。
子供の頃から親の事情で親戚の家で養子として暮らしている未樹。
そのせいか、人の様子を伺って不快な思いをさせないようにと合わせることに慣れてしまい、そんな自分がコンプレックスだったり。
塾の授業の合間に外階段に出て一服。
と、話し声が聞こえて来て。
見つからないうちに逃げようとしたけどセーターが引っ掛かってしまい。
結局、それを助ける形で話していた当人・八戸と出会う。
八戸は塾の上の階で司法書士事務所を開いていて。
話を聞いてしまった未樹は八戸から彼がゲイであることを聞くことになる。
そのままなんとなく茶飲み友達のような関係になる。
未樹は自分の人に合わせる性格がコンプレックスだと話すが浅海はそれは人を傷付けない優しさだと肯定してくれる。
それからも他の人には打ち明けにくい本音を漏らしたりするようになる。
ところが、浅海に「もうここには来ないで下さい」と言われ…。
数少ない宮崎くんメインのシロモノ。
宮崎くんの声は優しい感じで好きです。
ただ、今回のは今まで聞いたことのある声よりちょっと可愛いすぎかな。
笑い声とかがちょっとアレ?てなったり。
八戸さんの声はたぶん初めて聞きました。
優しい感じの声。
個人的にはちょい役だけど遊佐さんがやっぱイイ声でした。
可愛いお話でした。