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表題作骨董通りの恋人

磯崎桂一・大学2年生・23歳
羽鳥ちなつ・大学2年生、骨董屋看板娘・20歳

あらすじ

大学生の磯崎桂一は、ある日の午後、骨董品店「大正浪漫堂」にふらりと立ち寄り、そこで店の看板娘に一目惚れをしてしまう。
なんとか話しかけようとする桂一だが、彼女からはそっけなくあしらわれてしまう。
彼女のことが知りたい!そう思った桂一は大学の友人たちに尋ね、驚くべき事実を知る。
「彼女」と思っていた相手は「彼」で、羽鳥ちなつという名前の同じ大学の学生だというのだ!
ちなつに会うため大正浪漫堂に向かった桂一は、そこで見覚えのある雛人形を見つけて!?
お雛様が結ぶピュア・ラブストーリー誕生!!
出版社より

作品情報

作品名
骨董通りの恋人
著者
遠野春日 
イラスト
夏乃あゆみ 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813012030
3

(6)

(0)

萌々

(0)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
18
評価数
6
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

雛人形の縁結び

大学生の桂一が偶然に見掛けた、骨董屋で店番をしている和装姿の可憐なちなつに一目惚れしてから、その想いが伝わるまでを見届けるといった、爽やかな初恋物語だった。
女装している受けというと何やら深い事情がありそうだが、あくまで骨董屋の店主が提案した目の保養って事で済んでいる。
個人的には、夏乃さんの描く和装キャラは可愛いと思っているので、この本を手に取る機会があったら挿絵もお薦めしたいな~、と(*^_^*)

内容は、桂一の目線とちなつの目線が交互に切り替わって進行していく形になっている。
シチュエーションとかエッチ度は低く、ロマンス主体になるかな。
無理して距離を詰めず、それぞれ相手がどう思うだろうって気持ちが重視されていた。
ちなつは、恋人になったら意識するであろうその後の行為に躊躇している様子が、見た目以上に乙女な性格だった。
でも自らが素直になる事を意識している感じだし、桂一はそんなちなつを自然に思いやれる優しさがある。

作中では、骨董屋の店主が長年探している雛人形の相方(女雛)を元に戻してあげたいと思っているちなつの気持ちを汲み取って、それをきっかけにした桂一の駆け引きから付き合いが進むのだが、充分に許容できる範疇のものでやましいとは感じない。
都合よく偶然つながりから、その女雛の行方も判明してめでたしめでたし。
雛人形って本来は女の子の健やかな成長を願う為のものだが、代わりに初々しい男の子同士カップルの今後を見届ける事になるって辺りがいかにもBLならではって感じだ。

0

ファンタジーだなぁ

大学生同士の恋ですが、シチュエーションがなかなか奇抜です。
かたや、高卒後海外を渡り歩き、帰国してから大学に入った桂一。
かたや、骨董屋「大正浪漫堂」で昔の女学生のコスプレをしながら店番のアルバイトをしているちなつ。
桂一がたまたま入ったお店の看板娘に一目惚れしてしまったことからお話が始まります。

意外とさばけている桂一は、ちなつが男だとわかっても全く動じないでアタックしてきます。
何拍子も揃っているいい男桂一に、ちなつの方も心惹かれているわけですが、直情型の性格なため何かにつけ突っぱねて帰ってきてしまうという繰り返しをすることに・・・

ちなつの生い立ちと店主・辻本との関係。
とんでもない金持ちのおぼっちゃんの桂一だからこそできた展開。
丁度その間にある男雛と女雛のエピソード。
BLはファンタジーとはいえ偶然が多すぎる気もしますが、今のちなつも桂一もとにかくいい子達で、もう、幸せになっていただくしかないでしょうって感じ。
しかし、将来はどうしたいんでしょうか?

それから、ちなつがコスプレをまんざらでもないと思っているらしいところに驚かされました。

2

遠野さんの作品にしては

イラストも可愛らしいけれど、それと相まってお話も可愛かったです。
大学生が一所懸命恋愛してるっ!って感じで。
ほのぼのとしてて、遠野さんもこんなお話を書かれるんだなぁ。
どちらかというと、リーマンだとかオトナな男たちのお話が多いように思っていましたので、ちょっと意外でした。

桂一が大学近くの骨董店へふらりと立ち寄り、店番をしていた大正時代の女学生の格好をしたちなつに一目惚れします。
女学生の格好で店番をしていたちなつですが、実は店長の辻本に頼まれ、袴に編み上げブーツという格好でバイトをしている男子大学生で、桂一と同じ大学の同級生でした。
ちなつが店掃除をしているときに桂一が店を訪れ、ちなつが手にしている男雛を見つけたときからちょ~っと風向きが変わっていくのでした。
辻本が女雛を探していて、その女雛をのみの市で買って来ていたのが桂一だったんです。
それを知った桂一は、禁じ手を発動。
「女雛が欲しかったら付き合ってくれ」

あ~、よくあるパターンとはいえ、これはやっちゃいかんだろと。苦笑
脅すようにして付き合いを始めようと考えるだなんて、男としてどうよって話ですよ。
まぁ、付き合いのきっかけにはなるんだろうけどねぇ。そこに愛はあるのか? なわけで。
ちなつだってそう簡単に桂一のものにはなりません。
好きなのは間違いないんだけど、性格的にすぐには人に懐けない。他人を簡単に懐に入れないというか。
辻本のように、信用してしまったらめちゃくちゃ懐いちゃうけど、そうじゃなきゃ、爪を立てる仔猫のようになるんです。
「そばに寄るな~、ひっかくぞ~」みたいな。警戒心ありありなんです。

悪かったってわかっていても、なかなか自分から折れることが出来ない人間も多いのに、桂一はちゃんと謝れる好青年なんです。
桂一の不器用な言葉の中に、自分に対する真摯な気持ちを感じることが出来たんでしょうね。いつの間にか、ちなつの気持ちの中に入り込んでたわけで。
ちなつの身も心も手に入れた桂一は、女雛をちなつに譲り、女雛を手に入れたちなつは、恩人の辻本に結婚祝いとして女雛を贈り、どこもハッピーエンドでございます。

0

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