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1冊すべて表題作です。
視点が充彦(受け)と須藤(攻め)と交互にストーリーが進んでいきますので、心情が分かりやすかったです。充彦サイドだけだと、須藤にイラッとした気がします。
二人は上司・部下で良い関係だったのですが、須藤を狙う小峰(女性の同僚)が掻き回すことで、充彦は須藤に告白してしまいますし、須藤は名古屋に異動するというリーマン好きには嬉しい内容でした。
須藤は結婚している間は充彦と不倫になるということもなかったですし、小峰の虚偽の訴えを安易に会社が取り上げることもなく公正感があります。
ただ、須藤にフラレて傷心な充彦は、ゲイバーで声を掛けてきた竹本と付き合うようになります。そこが嫌だなと思う方もおられるかも。また、その竹本が良い男なんですよ!充彦より年下なのに包容力もあり我慢強く意外と誠実で。優しい「さよなら」には胸が切なかったです。竹本幸せになって欲しい!泣いている充彦を抱きしめるイラストでの表情は辛くて何とも言えなかったです。
余談ですが、私はタイトルから勝手にコーヒーやカフェオレが関係すると思ってたので、充彦が緑茶缶や須藤が紅茶を飲んでいる場面では、あれ?って思ってしまいました(笑)
両想いになったとはいえ不安感が残る二人でしたので、遠距離恋愛でのラブ模様が後日談ショートででも読みたかったです。
どこがよかったと、うまくいえませんが、好みでした。
地に足がついた設定、妙に現実味がある状況の中で、大人が不器用な恋をしている、そんなもどかしさがツボでした。
受けは、そこそこ切れる会社員なのに、肝心なところで感情、上司への恋心で爆走しちゃうあたりが、ちゃんとした大人なのに、愛すべきアホの子で、そういうところが妙にリアリティがあってよかったです。
上司も、スーパー攻め様のようなハイスペックのようであって、実は真面目な普通の人というのもよかった。
途中で出てくる当て馬も、できすぎ君のようであって、ちょっとこずるいところも、それでも、ちゃんと受けのことを理解しているのがよかった。引き際が美しかったですね。彼にも幸せになってほしいと思えるのがいい。
遠野さんは好きな作家さんなんですが、最近は薄かったり、あたりはずれがあったり、作家買いをするのが微妙になっていたんですが、その昔、タイトルがかっこよくて、イラストレーターさんが好きな人だったので手に取ってみて、あらすじがおもしろそうだったので読んでみたところ、すごく好みで、この人の本をもっと読みたいと、作家買いを始めたころを思い出してしまいました。
あまりのモダモダについつい読むのをやめられず、、夜更かししてしまいました。一般企業のリーマンモダモダが好きすぎる、さらに麻々原先生のイラスト最高なので、萌よりの萌2で。
平成以降のみなさまにはあまり馴染みがないと思うんですが、昔々、”金曜日の妻たちへ”という不倫ロマンスのドラマシリーズがあって(さすがに当時は私も子供でしたが…汗)、そこに見られた緩やかな背徳感に通じる私好みなムードをなんとなーーく感じちゃいました。10年前の作品なんですよね。ですので、女性社員の強引なアプローチの描写が令和っぽくないところとか、会社の雰囲気ももちろんビフォーコロナで、ノスタルジックな気分に浸りまくりました。(遠い目)
で、他レビュアー様が指摘してる通り、当て馬が素敵すぎるんですよ!!!もう、このウジウジ王子様(受)にはもったいないくらいいい男なのです!!!正直、主人公が執着する上司は、最後まで顔以外にいいところってあるの?な感じだったのですがw(”顔がいい”は最強って知ってるけど)、THE・”この人と一緒のほうが幸せなのに”の理屈、が通用しない恋愛感情の奥深さ、複雑さを見事に表現されていると思ってしまいました。いや、なんか数年越しで別れるんじゃね?と思わずにはいられないラストなんですよねww
今回はゲイの男性がノンケの男性を好きになって、どうやって結ばれるか?
それが、女性と男性の対比を顕著にして見せていた作品だなと思います。
しかし、結末を見るにそれは永遠ではない。(勿論永遠なんてありえないんだけど)
むしろ、粘り勝ち?そして同情?
好きなモノは好き、そしてその気持ちはどうしようもないんだよーという、ちょっぴりほろ苦い作品でありました。
新しく主人公・充彦の部署に課長として赴任してきた須藤は見た目もよく、人当たりも柔らかく、充彦ならず女性社員も、そして部の信頼も得ている良い上司です。
充彦は、ゲイなので女性には全く関心はありませんが、そのキレイな見た目から敬遠されがちで、あまり人と付き合った事がない人。
そんな充彦は須藤が好きで密かに思っているのです。
しかし須藤には、現在は単身赴任で京都に奥さんを残してきている。
見ているだけでもよかったのに、同じ部署の同期の女性社員が須藤に熱をあげて、姑息な誘惑手段に出、須藤が困っているところに遭遇して助け舟を出したのがきっかけで、互いに一人暮らし同士だし、、と休日をいつの間にか一緒に過ごすようになります。
普通ならそこで何となく恋が芽生えて、、、何て考えますが、須藤はまっとうな普通のノンケです。
全く充彦に心は動かされず、ただ充彦が誘うからその流れで何となく一緒に過ごすようになっただけという、ほんとうにそれだけ。
ここで、思ったことですが、充彦は不快きわまる作戦に出た女子社員と実は根本は同じなのです。
須藤の通う店を知り、会えたらいいかもと、実はそこに網を張っていた。
もちろん、男同志だから須藤にも充彦にそんな気があるなんて思いもつかないし、考えもしない。
その女子社員の充彦への嫉妬のあまり出た須藤への罠で、充彦はとうとう首藤に告白してしまうのですが、驚愕というより嫌悪もあるような形で拒否されてしまうのです!!
この女子社員のせいで、須藤は妻と離婚することになり、そして社内の、そして部内の雰囲気が悪くなったことから、須藤をかってくれている元上司の引き抜きで名古屋へ転勤していってしまうのです。
ここで充彦と首藤の糸はほとんど途切れてしまいます。
充彦は片想いの失恋をしたわけですが、バーで出会った男・竹本と関係を結び返事を保留にしたまま付き合いを続けます。
この竹本が実にイイ人なんです!!
充彦が立ち切れない気持ちを根気よく優しさで包んで待っていてくれている。
もういっそ、充彦は竹本とくっついてしまえーー!!
きっと誰もが思うのでは?
彼の身の惹き方は実に胸を打ち、ちょっと感動までしてしまった!(この作品の評価は実は竹本にあります!!)
しかし、後半で急展開がおきるのですよ。
この結果に、須藤は本当に充彦を愛しているのではないんでないだろうか?という疑念は払いきれません。
確かにほだされだとは思います。
前半部分で、女性と充彦の対比が鮮やかになされた為に須藤は女性に懲りた、とも考えられないでしょうか?
そういう意味で、充彦は恋が実ってよかったね、、、とは素直に喜べないような。。
だけど、彼が、須藤が選択した結果ですもんね。
二人はこれからなんですよね。
・・・と思うのですが・・・
読み終わって振り返ってみると、女性が男性を好きになった場合、男性が男性を好きになった場合。
充彦が男性であるが故の優位点と、決定的弱点と、それをはっきりみせてくれてはいましたが、いくらか充彦も恋する女性な部分がみられたのでは?と思ったのでした。
それにしても、女性のしたたかさよ!←怖いよ!!
こんなお話もかける方なんだなあと‼
地に足のついた普通のサラリーマン同士の、地味で臆病で、迷ってばかりの恋愛模様でした。
でも、その地味で普通なお話が、逆に新鮮で心に残りました。
遠野作品特有の、自信に溢れて傲慢なキャラは登場せず、メインキャラにしても、当て馬みたいなキャラにしても、優しくて、臆病で、じりじりもどかしい距離感を楽しめる作品です。
内容は、ノンケで上司•須藤 × ゲイで部下• 綿貫の年の差&ビタースウィートな大人の恋模様‼
上司である須藤に密かに好意を寄せている綿貫。
女子社員に強引に迫られている須藤を助けて以来、ゆるやかに、静かに2人の距離は縮まっていきます!
綿貫は自分の気持ちを隠し、映画をみたり、食事をしたり、須藤と純粋な先輩後輩的友情を育んでいきます。
でも、肉食系女子社員の過激なアプローチが原因で窮地に立たされた須藤‼
結婚生活も上手くいっていなかったとはいえ、その事がきっかけで妻とも離婚してしまいます。
私生活でも職場でも苦しむ須藤を見ているうちに、綿貫は抑え切れない感情が溢れ…等々、思わず告白してしまいます。
思い切り拒絶されないにしても、避けられ始め…
須藤は転勤してしまい…
綿貫は、苦しくせつなく、どうしようもない感情を胸に、酒に仕事に…
そして、恋人未満の関係をもってしまった相手へ逃げていってしまいます。
でもやっぱり須藤を簡単には忘れられない綿貫と…
転勤し、距離を置いてから、綿貫の事がどうしても気になり続けている須藤…
ノンケとゲイのせつない恋の結末は⁉
綿貫の真っ直ぐ過ぎる思いや、須藤の誠実でスマートな格好良さ、2人の雰囲気が魅力的で素敵な作品です。
ただ、綿貫のやっている行動は、想いの重みや一途さが全然違う分、いやらしさを感じないにしても、肉食系女子社員とさほど変わらない動向ではあります(笑)
でも、嫌いになれないキャラでした!
逆に、綿貫が、実らない恋を抱えて苦しんでいる姿がせつなすぎて、感情移入して読んじゃってました(笑)
二人の心情が交互に書かれて、話が進んでいったのも良かったのかもしれません。
お互いの戸惑いや、せつない気持ちがどんな風に捉えられているのか、存分に堪能できます。
じりじりとした2人の距離感や、2人の気持ちの揺らぎ、心の移り変わりがリアルに感じられるので、逆に心地よく思えました。
一つ気になったのが、綿貫に迫られて、初めて綿貫の真意に気がついた須藤が、綿貫の口から告白された訳ではないのに、疑いもなくゲイだと自覚する場面‼
綺麗な容姿にも関わらず、女性との噂が全くないから…という流れの答えなのは分かるんですけど、何故か引っかかってしまいました。
凄く些細な事だとは思うんですけど…流れの中で引っかかってしまったものだから、最後までその点だけが居心地悪かったんです。
すみません(笑)
当て馬役だった、竹本の強引さと、綿貫を想いとった行動はせつなくて…勿体無い位いい男過ぎで、実はお話の中で1番光っていたかも(笑)
ドラマチックさがない分、若干のもの足らなさは感じるかもしれませんが、ゆっくり地味に始まっていく2人の恋愛。
本当に『ほろ苦くほの甘い』ストーリーでした。
同じ女性ながらも、肉食系女子は怖かった〜(笑)
たまには、普通の大人たちの焦れったい恋愛ものが読みたいという方には、オススメかと思います。