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表題作虹の森の鬼

その他の収録作品

  • 封印雅歌
  • 木原敏江論

あらすじ

木原敏江の往年の美麗なイラスト集。
耽美な漫画「封印雅歌」と、
中島梓氏による「木原敏江論」は必見。

作品情報

作品名
虹の森の鬼
著者
木原敏江 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
発売日
ISBN
9784403010224
5

(1)

(1)

萌々

(0)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
5
評価数
1
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

究極の耽美とは…うつろいゆく時間美

木原敏江氏の初期のイラスト集です。
ここに収録してある絵には、それぞれに物語がくっついているらしく…
それは後に名作「夢の碑」のお話の数々になって登場しますが、
この方のお話って、男×男に…女が微妙に絡む、複雑優美なお話が本当に多い!
ここに収録されている「封印雅歌」だって、BL好きにはかなりの率で…
地雷か猛毒のように、運命の女がからんでしまう(笑)
中世のブルゴーニュ公国の、とある封建領主の城で育った兄弟のこのお話は、
禁忌の兄弟愛(しかも…かなり耽美)の、秘められた長い時間の物語☆
高慢な正妃腹の艶麗な弟・ロザーヌと、心優しい妾妃腹の兄・デュアモン…
互いに恋しながら秘めて、逃げて、思い合って幾年…
その間、ひとりの美女が…二人の関係を更に更に、複雑にしてゆきます。
惑える美女・セルリアは、貞淑で浮気な伯爵夫人で…幼馴染で…。
彼女もまた選べないのです。デュアかロゼか…どちらも愛していて、選べません。
かくして、BLには不毛な膠着状態が数年続くのですが、
ようやく兄弟が愛を選んだ日は、死に戦に赴くとき…なんとも皮肉な結末です。
あ~だから、BLに女がでしゃばるとロクなことが無いのよねぇ!
…と悪態付きたいところですが、ええ…なぜか憎めないんです、この女。
「だってわたくしは、いつだって…
 あなたがたが、二人でいるのを見るのが好きだったわ。」
(↑いかがです、セルリアのこのセリフ?!)
あぁ~これって、もろ腐女子視点じゃないですか~!
(↑それで…ちょっとだけ憎めないのね。ちょっとだけだけど、納得。)
そして、もうひとつにして最大の理由は…
ところどころに見え隠れする、重すぎる(でも軽い…)時間表現です。
単純に片思いの時間が長けりゃ長いほど、それは重い…のですが、
ふとした瞬間にかい間見える…再会の瞬間とか、気付きの表情とか、
眼差しのさやぎとか、心の温度差とか、美貌の陰りとか、愁い貌とか…
そういうものの中に…うつろいゆく長い時間を感じさせられると、
それは間違いなく絶世の耽美(?)風に錯覚させられてしまう!
あぁ~だから、ごく普通の綺麗は…四次元の耽美にゃ敵わないのね、納得☆
往年ファンの間では「時を描くのが木原マジック」なのだと、
まことしやかに語られていますが、マジックに騙されるもまたよし☆
地雷は多いけれども、その価値ありますよっ。
さてお楽しみのアノ場面…無いんです、残念!
ですから、どちらが攻で受なのか…未だわからずじまいです(苦笑)

3

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