本当に大切にしたい人間は……一人でいい

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表題作決別の塔

黒河昌明,33歳,山間の診療所勤務の医師
白鷺晃司,29歳,責任を被り転院してきた外科医

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

手術でのミスの責任を負わされ、外科医の白鷺は研究室から山間の診療所に避難してきた。そこでは医師の黒河が、自らヘリコプターを操り、救命医療を一人で行っていた。今までの生活とはまったく異なる環境に戸惑う白鷺。けれども一緒に仕事をしていく中で、黒河の優しさに気づいていく。そしていつしか黒河のことが大切な存在になっていき……。
(出版社より)

作品情報

作品名
決別の塔
著者
剛しいら 
イラスト
タカツキノボル 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
発売日
ISBN
9784861344268
3.3

(10)

(0)

萌々

(3)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
33
評価数
10
平均
3.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

白鷺くん、自立編

このお話読み終わって、絶対これ続編あるんですよね?
いきなり、この先が気になる本というのも珍しいんですが、
後書きにも触れられてないけど、絶対ないとモヤモヤしますから、作者さんそれを狙っているの?
というくらい先が気になるお話でした。

大学の研究室で皮膚培養移植の研究室に所属している医師の白鷺は、医療ミスの罪を着せられ、山間の診療所を紹介されてそこへ出向く。
教授の信任も厚いので、すぐに呼び戻されるだろうと、バカンス気分で出向いたその診療所は何もないへき地で、自分の想像とは大違い。
診療所を経営する医師の黒河は、ヘリを持ち、自ら操縦して救急救命も行っている滅私奉公の誠実で真面目な医師。
何もない山奥だから、何から何まで自分達でしなくてはならず、御坊ちゃま育ちの白鷺には、その医療行為でさえも、日常も、今まで体験したことのないことばかり。

面白いのは、二人が全くのノンケだということ。
しかし、黒河が預かっている救助犬の訓練に来る訓練しの赤井が、自分の娘の縁談相手にと、このイケメン二人をそれとなく誘っても、相手にされないので、もしや?と疑い気味な態度をすることで、白鷺が意識を始めるというのが、なんともはや、ちょっと面白い。
スレていない白鷺だからこそで、彼が本研究室の先輩医師から、教授から戻ってくるようにとセクハラ&パワハラを受けることで、より一層の意識をしていくという部分も、ゆるあまではあるが、白鷺に似合っている。

案外ヘタレだと思っていた白鷺が、黒河と仕事や日常生活を共にすることで、メキメキとたくましくなっていく様はミラクルにすごい!
お話は黒河視点がないので、彼の気持ちを図ることはできないが、白鷺にほだされていったのは間違いないでしょう。
天然おぼっちゃまが、グイグイと誠実な医師を引っ張って恋愛に巻き込んでいく、いいじゃないですか♪
行為も最初はノンケの初めて同士だけに、いきなり挿入かよ!な稚拙なものでしたが、二回目は勉強したらしいww
どんどんテクをみがいてくだされ♪♪

黒河の過去はほのめかされましが、それでも”いくらでも金はある”とヘリさえ自前で持ち管理するほどのその自出は一体何者?という部分とか
白鷺の実家との軋轢。
白鷺の教授が残した”覚えてろよ!”的な今後予想される妨害工作。
そんなものが、まだまだありそうなんで、期待して待ちますよ!次の続編。

5

象牙の塔育ちの箱入り…宝石のような29歳

これは…メスより重い物を持ったことも無さそうな、
大学病院の研究室しか知らない超・箱入り医師が、
山深い無医村の野戦病院のような診療所で、ひとりの医師に出逢い、
愛を見出してゆくお話です。
今時珍しいほろ純粋培養な医師・白鷺は、とある手術事件により、
山奥の診療所に勤務することになりますが…
そこは戦場…ではなく、過酷な自然と無医村の最前線!
診療所を営む医師・黒河もまた、戦場の兵士のように戦う型破りの男です。
ヘリコプターを操って往診し、レスキュー隊のごとく遭難者を救助する…
夏はマムシ、冬は熊と戦う…サバイバルする野人のような医師!
なのに上質なワインの味を知っていて、「金より名誉」と断言する謎に満ちた男…。
医師としての圧倒的なパワーとヒューマニズムに、白鷺は心魅かれます。
ここで面白いのは、ひよわな箱入り・白鷺の、驚くべき成長です。
赴任当日は目を白黒させていて、お行儀の良い人形のようだった彼も、
しだいに本音で話すようになり、黒河にしっかり付いてゆくように☆
(↑といっても、3匹の犬達には、やっぱりナメられてますが…)
そしてポツリと、星のようにつぶやきます。
「(あなたの大切な人間が)それが僕ならいいのに…」
ここで読者の私は、しみじみと思うのですねぇ…
あぁ…これは育ちの良い男なんだなぁ~と(笑)
宝石のように素直に真摯に告白できるのも、彼の純な吸収力ゆえです。
ついでに言えば…ロハスライフに、案外しっかり馴染むのも、たぶんそれは…
努力と感謝が普通に、ごく自然にできる超素直体質ゆえ(驚)
(↑ロハスとヒューマニズムって、効く人間と効かない人間がいますよね。
  松山医師には絶対…効かないと思います。とっても気の毒だけどねぇ。)
こんな告白に…黒河がほだされないワケは無く(←彼いわく、最初から魅かれてた…)
意外にあっさりと(でも穏やかに)恋人へと進展してゆきます。
お話のほうは、しんみりと…でも着実に進んでゆきます。
そしてラストのプロポーズのセリフ、これがふるってます!
「あなたの死亡診断書は、僕が書きます。だから安心して、思う存分生きてください。」
カードに書かれたこの言葉、私は素直に感動しましたよ☆
さて…お楽しみのエロですが…二人ともゲイじゃないのに、
何故あっさりと(!)できるんでしょう…謎です。
でも、そちら方面をいろいろ学習していた二人が、可愛くもあります。
続きに期待しますよ、当然のことながら!

3

まだまだ序の口、早く続刊を!

大好きな医療ものです。
不本意な手術ミスが原因で、大学の研究室から山間の診療所に飛ばされてきた外科医・白鷺と、診療所の院長・黒河のお話です。

最新技術の研究開発と僻地医療という、同じ医師でも全く正反対な仕事をしてきた二人が、同じ仕事場で働くことになります。
何でも自分達でやらなくてはいけない山村での生活と、研究がメインだったため、救急医療はおろか、患者を診ることそのものに慣れていない白鷺を、上手い具合に導く黒河に、白鷺はいつしか心惹かれるようになるのです。

いつか戻れると思っていた研究室との決別と、黒河とのこれからの人生。
当初、頼りないイメージだった白鷺が、少しずつ自分を持ち、逞しくなっていくのが嬉しかったです。

しかし、このお話だけでは、黒河の謎は解かれないままで終わってしまったし、山村の診療所だからこそ起こるであろうトラブルや事件は、まだまだほんの序の口程度のエピソードだけだったので、以下続刊していただいて、その欲求不満を解消していただければと思います。

2

いったいどれだけ

ネタのストックがあるんでしょうねぇ、剛先生は、、、

この本1冊だけではもったいないほど、内容が盛りだくさん。
「白鷺先生自立編」ということで、この先「黒河過去編」とか「山の診療所事件簿」とか、スピンオフで…とか、ワンクールの連続ドラマが5~6シリーズ位簡単にできそうなんですけど、、、

それでも、この作品、ちゃんと220ページあまりの文庫本になってるから、「もっとシリーズで読みたい」位の感想で済むけど、剛先生って60ページ位の同人誌にも平気で普通に出版する本位の情報量のネタつめこんで出してくれちゃうからなぁ、、
いったいどれだけネタのストックがあるのか、感嘆しきり

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