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巡る運命の輪を、少年は自ら回すことができるのか・・・・・・。
下巻より上巻が好き。
本格テニスBLだと思う。
いや、テニスBLというよりはテニスを手に入れるべくして手に入れた少年男娼の生き様とでもいうのか。
五百香さんはテニスの世界が好きなのだろうか、よく考えられていると思う。
読んでいてこの上巻で、受けの瑛輝の憧れの人・ワーグナーの描写が出てくるたびに、五百香さんは下巻のあとがきでフェ○ラーを参考にしたとあったが、私はサン○ラスに思えて仕方がなかった。
パワフルで圧倒的なサービス、対戦相手も観客さえも予想がつかないショットの散らし方に、追い詰められようともボールはライン上にキッチリもの凄いスピードで落ちていき、サービスも良ければストロークも最高と正に帝王だった。
そのサン○ラスがワーグナーの描写ににものすごいハマるのだ。
因みに瑛輝はストロークプレイヤーで、参考選手はヒュー○ットだそう。
つまりは走って拾ってじっくり勝機を狙うというといえばいいのか。
フットワークがモノを言う戦い方だ。
SHOOWAさんの挿絵も物凄くいい。
SHOOWAさんの絵の荒さが読み始める前まで心配だったが、読んでみて瑛輝の生意気な表情、悔しそうな目、そこから溢れ出る綺麗な涙、ワーグナーの帝王然とした後姿まで実によく描かれていた。
下手にこなれた綺麗な絵より、この重厚感のある作品にはこれくらいの味が必要だと思う。でないとストーリーに食われてしまう。
瑛輝の不安定な内面、辛い過去、どうして男娼をするのか、といった理由がとても胸を打つ。話の中にこれが瑛輝だという文章があった。
優秀なコーチは金持ちに飼われている。
愛してくれる男がいなければ貪婪な肉体が駄目になる。
テニスをしなければ精神が壊れる。
テニスをしている時は自由を手に出来る。
テニスコートに立つ間は瑛輝の時間であり男娼ではないのだ。
また瑛輝のワーグナーに対しての我武者羅な気持ちにも胸を打たれる。
恋をするのはルール違反。
ワーグナーに気持ちが傾いていると知られてしまったら、お仕置きが待っている。
自分は何者なのか自覚させるために。
それでも瑛輝はワーグナーに傾き続ける気持ちを止められない。
幼少期より性愛しかしらない子供が、大きくなりテニスを手に入れて人生を歩んでいく。
それだけのこと、それだけのことなのに何故にこんなに重いのか。
ページをめくる手を止められない、瑛輝の生き様を見届けたくて止められない。
五百香さん初読みでしたが文章力に感心しました。そして痛いほどの愛に震えました。
心に突き刺さるひとつひとつの台詞、会話に表される人間同士の真のぶつかり合い。あまあま定型BLとは明らかに一線を画す本格派です。
不幸な境遇から男娼として徹底的に仕込まれた瑛輝(エイキ、読みづらい。。)。そこから逃れることのできない身であっても、快楽に抵抗しつづけるプライドの高い少年、それゆえに高級男娼となり主人の寵愛を受けています。
あるときテニス界の帝王ワーグナーのプレーを見て、一瞬で見せられた瑛輝は、テニスを習い始めます。男娼ながらも、主人である裏世界のボスの寵愛を受けていたことから、テニスを習うことを許されるのです。
しかしその身はあくまでも恐怖で縛られる男娼。テニス、そしてワーグナーへの憧れが執着であると自覚しはじめた途端、主人の下へ呼び戻されます。待っているのは恐ろしいお仕置き。それは死なのか。
背水の陣となった瑛輝は、自覚した気持ちを帝王にぶつける。。
あー、あらすじ素人が書くと陳腐だ~。
とにかく、CPの会話がすごい。言葉が痛い。でも上巻で”ある”カタルシスは得られる。しかし続きが激しく気になる。といったところ。
3章は時間軸が戻って男娼となった生い立ちが書かれるのですが、2章の続きが気になりすぎて、最初は読み飛ばしかけました。読み進むと、あ、そういうことだったのね、と判ります。耐えて読んで下さい!
SHOOWAさんのイラストも素敵です。
SHOOWAさんのイラストが購入のきっかけです。(色気があって好きなんです。)
でも、すぐストーリーに夢中になりました。
上下巻なのに下巻を買わなかったことにすぐに後悔して
上巻を読み終えるまでに下巻を買いに走りました。
発売当時だったら、1ヶ月待つのは辛かったかも。
印象的なタイトルですね、このタイトルに先ず魅かれました。
上下巻読んでからの感想なんですが、これは読むなら上下巻揃えてから挑んだ方が流れがとぎれる事無く楽しめるんじゃないでしょうか。
その位に上巻の勢いというか読み手を魅き込んで行く力が強い。
テニス界で帝王と呼ばれるワーグナー[攻]は敬虔なクリスチャンで贅沢に溺れる事もなく実直で、地味だけれど聡明な妻を持つスポーツマンとしては理想的なチャンピオンで、その思考や行動は分かりにくくはない、実に真っ当な思考の持ち主。
対して、瑛輝[受]は10歳にして父親の借金で香港の組織に男娼になるべくして仕込まれ生きてきた青年で、この彼が実につかみ所のない性格。
ワーグナーを憎んでいるのか、憧れているのか、憎んでいるのか、妙に冷めていて全てを達観しているかと思えば子供の様にヒステリックになったりと不安定な人格。
そして不安定だからこそ目が離せない、読み手も、そしてワーグナーも。
ワーグナーに、ある意味自分勝手な感情をぶつける瑛輝。
上巻、一気に読ませます。
おそらく下巻にも手を伸ばしたくなる事うけあいなので、最初に上下巻揃えてからとオススメした次第であります。
実のところテニスプレーヤーにもテニスにも余り興味はないのだが、プロとして戦っていくためにスポンサーというかパトロンを要する種職なのではあるな、と考えるとプロスポーツ界ってドロドロしている!って改めて思ったりもした作品。
ただこれは、幼い頃香港の人身売買をする組織に売られた少年が高級男娼として生きていく中で見つけた希望の星を目指すことで、少しでも人間らしくありたいと、もがく姿の話、
一見パトロンたちを手玉に取りながらも、隷属からはのがれられない運命を背負った少年が、初めて「愛」という感情に翻弄され惑い、もがく話なんだろうな、と思いました。
瑛輝の運命は彼の育ての親(香港の女衒)・劉大人が握っていて自分では運命を変えることができない。
パトロンから与えられる愛も本物ではなく、自分の求めているものではなく享受せざるおえないものだから、それを受け入れているだけ。
テニスを始めるきっかけになった帝王ワグナーだけが、彼の求めるものだった。
その姿は常軌を逸するものでした。
激しく突っかかり、体当たりし、捨て身で、それは相手に嫌悪を抱かせるものだったかもしれませんが、彼にはそうするしか術がなく必死だったということが後になるほど切なく感じ取れます。
一方、ワグナー愛弟子のアイユレが注目したことから瑛輝に目を奪われ、ごくごく普通のノーマルで常識的な人でしたから、瑛輝の行為と好意は彼にとって嫌悪なのか、好意なのか悩ませることになるのです。
瑛輝に与えられた運命、そして高級男娼として、けっして恋愛をしてはならないはずの彼がワグナーに抱いた気持ちはあこがれから目標、そしてその愛を得たいと熱望するまでに育ってしまい、認められたい、しかし自分の身分を思うとどうしても卑下してしまう。
そんな自虐が悲しくて、普通に素直に感情を表わすことができない瑛輝に憐れを感じずにいられませんでした。
ワグナーは運命を変えることができる、と言いますが、諦めている彼は最後彼に受け入れてもらえたことを思い出に彼の前から去る覚悟をしたのでしょうね。
そして一体瑛輝はどうなる?な展開で、何とも次が気になる上巻の終わりなのです。
これはあくまでも序章なんですね。