――惚れたら最後ってカンジ

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表題作夜逃げマニュアル

山崎潤一郎,32歳,夜逃げ屋
坂下満,19歳,借金持ちの家族を支える

その他の収録作品

  • 返済パニック
  • あとがき

あらすじ

アルバイトで家族の生活を支えている坂下満は、父が夜逃げを依頼し断られた山崎の事務所を訪ねた。一目でキケンな男だと分かる雰囲気を身に纏う山崎にすげなく追い返されてしまう満。けれど、なんとか依頼を引き受けさせるために事務所に通う内に山崎の優しさに気づく。次第に山崎に会うこと自体が目的になっていたある日「……おまえなら信用してもいい」と山崎に告げられ……!? グレーゾーンで生きる夜逃げ屋とのスリリングな恋!
(出版社より)

作品情報

作品名
夜逃げマニュアル
著者
如月静 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813012207
2.6

(5)

(0)

萌々

(0)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
11
評価数
5
平均
2.6 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

ラストは大人の男のヤル気なのか、爛れた大人なのか?

面白かったです。途中ちょっとの中弛みはあったけど、盛り上がりもあって気に入りました!!
本編では身体を繋げただけではっきりとした関係にはならなかったんですけれど、書き下ろしの『返済パニック』のラストでちゃんと山崎の気持ちも分かったし、満足でした。もうちょっと甘~いのを堪能したかったようなきもしますけれど、これがデビュー作なのですが、新人さんとは思えない読みやすさと盛り上がりでした♪

父親が借金を抱えてしまい、どうにもこうにもならなくなってしまい、夜逃げ屋に頼みこんだのですが、断られてしまったのです。
それを知った息子の満はこっそり夜逃げ屋の山崎の事務所に乗り込みます。

親父と話し合え!とすげなく追い払われるのですが、頑張って通います。

満は借金を抱えて生活出来なくなってしまった家族の為にコンビニと居酒屋とバイトをかけ持ちしています。
高校卒業後就職しようと思っていたけれど、今はバイトで就職活動すら出来ない状態です。

コンビニで見切りの弁当をもらって山崎の事務所に通い続けるのですが、割りと優しい?対応ですね。
無駄に優しいわけでもなくて、とりあえず事務所の中には入れて貰える♪
でもやっぱり最後は父親と話し合え!それから結論を出せ。
と言われます。

父親と話そうにもなかなか時間が合わず顔を合わせる事が出来ないんですが、ある日父親が生命保険証書を眺めてこれぐらいだったら借金返済できると言い出し、事を急がなければ父親が死んでしまう!と冷静さを欠いて、山崎の事務所に行きます。

売り言葉に買い言葉で、二丁目で売りでもなんでもする!と言い出した満に山崎は、じゃぁ俺の相手をしてもらおうか!!と襲いかかります。
もともと満の事を気に入っていた山崎。って彼はゲイじゃないと思うんですけれど?
満の事は可愛いとは思っていたけれど欲望の対象とは自分では思っていなかったけれど、襲ってみて、十分その気のある自分にちょっとビックリなんですが、元々はお仕置きのつもりで始めたので、泣き出した満を優しく抱き締めて慰めます。

泣き止んで落ち着いた所で父親の話を聞いて何とかする代わりに担保は満で、今の自分の状況をなんとかしろ!身体を繋げます。

無事父親は夜逃げ?を成功してそれからの生活の場所と働き口も世話をしてくれました。
満はこちらに残して山崎の事務所に同居する事に・・・。

ここまでは表題作です。
はっきりとした関係にはならなかったのですが、割りと楽しめました。

書き下ろしの『返済パニック』で二人の関係が進んで行く感じですね。元々短編で書かれたらしいので、書き下ろしがメインって感じでした。
山崎の生い立ちやら今の立場、それに新しいキャラも出て来て、拉致られて犯されそうになったりと、
色々盛りだくさんでかなり楽しめました。もう一つカップルが出てくるのですが、こちらの二人のお話も読んでみたな~って思いました♪

ラストには自分の立場を考えると満を自分から離さなければならない!と思いながらも手放せない山崎の気持ちが見えてとっても満足しました♪

2

世の中は甘くないよ

今回は組長を父に持ち人間不信気味な夜逃げ屋と
父の借金から攻様に依頼をするアルバイトのお話です。

受様の父の夜逃げに絡んだ二人の出会いと、
ヤクザ絡みの依頼に絡んだ二人の後日談を収録。

受様の父親は
個人輸入業を営んでいましたが
次々と目新しいモノに手を出して
莫大な借金を抱えてしまいます。

自宅を手放してからは
親子三人でボロアパートで暮らし。
受様は大学進学を諦めて就活しながら
バイトに明け暮れていますが、

受様が稼がないと家賃や光熱費も
滞納気味になるほど家計が苦しくなった頃
父親が儲け話を装った詐欺に合い
「夜逃げ」しかないという状況に陥ります!!

後を追われないようその道の専門業者と
交渉をしている父親の様子を窺うに
どうもうまくいっていないようで

肩を落とす父親を見ていられず
受様は断られた理由を知りたいと
父親に内緒で業者を訪ねる事にします。

向かった事務所で受様を出迎えたのは
三白眼で無精ひげ、
ゴールドチェーンを胸元にゆらして
けだるげに煙草を吹かす三十男。

どう見てもヤクザ!!
異様な程の存在感は悪い男の見本のよう。
この男こそ今回の攻様になります♪

ガキの泣き落としかと一笑にふす攻様に
親は無関係と喰ってかかる受様ですが
全く相手にされません。

しかし
思いこんだら一直線の受様は
とにかく話をして欲しいとバイトの合間に
せっせと攻様の事務所に日参します(笑)

上から目線でガキ扱いされつつも
攻様が当初の傍若無人な印象を裏切って
意外に細やかで気が回ると知った受様。

自分がいかに
モノ知らずだったのかと反省するのですが

その夜、
生命保険の書類を手に啜り泣く父親の姿に
いても立ってもいられなくなり、
攻様になりふり構わず助けを求めます!!

しかも、
プチ切れた受様は足りない分は
一丁目ででも稼いで払ってやるといい放ち、
攻様の逆鱗に触れてしまいます。

身体使って稼ぐなら俺が買ってやるよ。
おら、股開け。

受様はこのまま犯られちゃうの?!
そして受様一家は運命は?!

同人作品を加筆修正した表題作に
書下ろしの後日談をつけて新書化した
如月さんのデビュー作になります♪

実は攻様の父は某組の幹部。
父とも組とも関わりをもつ気はなくとも
攻様自身の思惑はどうあれ周りからは
幹部の息子の一人と認識されていて
実質上の手切れ金として今のビルを受取り
今の仕事をしています。

出生と環境から
今の仕事もかなりヤバイ系な攻様は
自営業の父の元で不自由なく育ち
バイト経験のない世間知らずな受様の言動を
歯牙にもかけないのですが

健気に食いつく受様に日参されるうちに
徐々にほだされていって
父親の借金返済に手を貸す事になります。

逃げるのは時間を稼ぐ為。
逃げた後の生活や借金返済に対する
見通しのない人間には手を貸さない。

父親の借金は知りつつも
実情を知る事を尻ごみしていた受様は
攻様と出会って今だけではなく
大人社会の現実を知っていきます。

二人の恋に
受様の父親事情がうまく絡まっていて
なかなか面白かったですよ♪

続編は
攻様宅に居候する事になった受様が
攻様事情に巻込まれて拉致られるお話です。
一難去って二人は甘々度アップ(笑)

きっかけになった若頭カプも
また色々ありそうなカプですので
彼らのお話で続編希望!!

特定書店で購入すると
限定配布で書下ろしペーパー付です。
「返済パニック」の後日談で
受様が某氏と映画館デートしておりますよ。

今回は本作の脇カプ設定から
ヤクザの攻様と女王様な受様で一作
榎田尤利さんの『ダブル・トラップ』などいかが?

0

主人公はいったいどっち?

作者さん、初の単行本だそうで実質デビューになるのかな?
カタギじゃない男×頑張るフリーター の組み合わせは、悪ぶっているけどイイ人が家族の為に頑張っている少年が放っておけなくてという展開。
少年が元気なんでラブコメに近い形に仕上がっておりました。

父親の商売が上手くいかなくなり借金が膨らみ夜逃げしようとするのですが、依頼された夜逃げ屋が受けてくれないということで、家族思いの少年・満は何とかお願いしようと、請負屋の山崎の所へ日参するのです。
相手にもしてもらえなくて、でもある晩父親が首をくくりそうな気配を察して山崎の元へ駆け込み何とかしてほしいと頼むと身体を売れるのか?と犯られかけちゃうのです。
でも、でも山崎は泣く満をうっかりかわいいと思ってしまい。。

と、本編は親の借金の解決までのお話でした。
これは出会いの序章編て感じなんですが、何だよーダメとか言っておきながらちゃんとやってんじゃん?
と、山崎が満にほだされているんだな、というのはよくわかったのですが、その理由づけ、父親には拒否したのに、という甘さに疑問。
文章自体は満・山崎と視点が変わって表現されているのですが、それでもほだされただけではわからない、また、ほだされる理由も満の一生懸命さだけでは弱いような~、、

そして、『返済パニック』で山崎と同居することになった満と、依頼に関するトラブルに巻き込まれるお話であります。
実はここに、ヤクザの若頭とその情人が登場し、かなり出張っているのですが、何だかこのヤクザカプに次回作期待の伏線っぽい感じがありありととられて、そちらに目がいってしまい、
満はギャーギャーわめいているだけな感じがしてしまい、メインカプがかすんでしまったのです。
そこには、山崎の生い立ちに絡む満の身の振り方を真剣に考える姿なんかもあったりするのですが、かわいくて側に置いておきたいから伸ばし伸ばしにしていたら予測していたことが起きてしまったということでありまして。
それが、2人の愛情の深さなんだよ、という事を示す割には、「好き」とか「愛してる」とかいう言葉も一切なく、「これが好きってことかも?」な満のあいまいな認識にとどまっているのです。
別に身体の関係を持ち一緒にいるのに、いちいち、愛だの恋だのの言葉はいらないかもしれないけれど、離れたくないから一緒にいる、というだけでもいいのですが、、何か不安がつきまとうモヤモヤ感。
すっかりヤクザカプにメインを奪われた形でしたから、そういう意味で一冊通して不発な感じがします。
せっかく面白い「夜逃げ屋」が題材なんでメインカプをもっと持ちあげてほしかったです。
可もなく不可もなく、まだまだ未成熟な感じでこれからどんな風に化けるか、見守っていきたいです。

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