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君の過去ごと、君を抱き締めたい
私が読んだのは2005年1月1日出版のリーフノベルズ(イラスト・有馬かつみ)です。なので「隅田川より愛をこめて」は未読状態でレビューします。なお、「リベンジ」は特典で既読、ノベルスには収録されていません。
「愛こそすべて」が本の大部分を占めています。
一郎目線で話は進みます。
一郎(受け)は帰国子女。外国暮らしが長かったので、英語は得意ですが日本語は不得手です。過去のトラウマから、外国人が苦手で、会社の寮に入れず実家暮らしをしています。一郎の教育係になったウィル(攻め)は、日本人ですがその容姿からつい避けてしまいます。
接待の後、一郎はウィルの家に泊まる羽目になります。祖父母と暮らすウィルの家庭環境を知った一郎は、思わず自分の過去のトラウマを話してしまい…という内容です。
「すべては愛からはじまる」は、インフルエンザに罹ったウィルを一郎が看病に行く話です。おじいさんのわだかまりも解け、ウィルが初めて名前を呼ばれます。
「リベンジ~revenge~」は、「すべては愛からはじまる」の後日談。中途半端なセックスのリベンジを行う話です。
「All for Love」は、「愛こそすべて」の作中の話。ウィルが一郎の過去を知った夜。抱きしめて眠る一郎を愛おしく思う話です。
本編以外はひたすら甘い展開です。
本編で、集団暴行を受けたトラウマを持つ一郎が、ウィルに懐くのが早すぎた感がするのがちょっと物足りなかったです。気持ちは惹かれているのに身体は拒んでしまう、とか葛藤が欲しかったですね。仕事で苦労する話と、ウィルの家庭環境にページが割かれた分、恋愛が駆け足で中途半端な印象になりました。
一郎の過去は悲しいものですが、シリアスな雰囲気の作品ではありません。ハッピーエンドなのですんなり読めると思います。