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電子書籍を購入。
『純愛』、その後の『忘却』、そのまた後の『回帰』が収録されています。
謎解きサスペンスものというより、オカルト系。
結局、謎はそのままに、なんとも言えない後味の悪さが残ります。
それが、すごくいい。
余韻の残る怖さ、恐怖。
かなり、好みです。
ヤンデレ、執着ものが好きなのですが、今のところ、私の中のランキング1位です。
すごい執着、病み具合。
攻めの並々ならない愛情、執着に受けがほだされるって言うのが執着ものの王道展開ですが、本作違います。
いやー、こんな展開もありですね。
本当に楽しませてもらいました。
もっと、こんな作品が読みたいです。
愁堂さんの作品としても意外で、BLとしても変わり種ではないでしょうか。なかなか衝撃的でした。
全編受け視点です。
淕辱されたエグい傷、えげつなく刻まれた強い慕情。
夢で会えたのに掴みきれなくて、目覚めたその後でさえもまた夢で。
攻めが愛したのは本当の気持ちなのか、はたまた夢なのか妄想なのか。
ひとつ真実なのは、淕辱してきた相手に会いたい気持ちがあること。
現実と夢と、つくりごとのような空間で愛しあったことを忘れられない。
苦悩する受けが気の毒でかわいそうで美しかったです。
まるで、デヴィッド・リンチの映画を観ているような不思議な作品でした。
愁堂れなさんの作品は、シリーズものや、いわゆる「火サス」系の2時間ドラマな作品が安定していて好きだったんですが、この作品は全く違う作風で、びっくりしました。
清水は監禁されて快楽に溺れさせられるという体験をする。
その体験は、攻めである「鈴木と言っていた男」からの受けた関係。
だけれども、清水が日々抵抗から順応していくまでと、解放されてからの気持ちの不安定さ。
それが不穏な中で育っていく「鈴木と言っていた男」への恋情なのか、、、、
体調を壊し、心療内科を訪ねた時の担当医が何とその男で。
清水が転勤で大阪に住み出してからは上司にも同僚にも恵まれて普通の暮らしをしていける環境にあったのに、それでも忘れたくなかった男に向かってしまったシーンは切なくもあり、ここでちゃんと思いを吐き出さないと!って心配しちゃいました。
最後は、「鈴木と言っていた男」とドイツに渡るというハッピーエンド、ですよね、多分。その後の清水はちょっと心配でもありますが、彼らなりの幸せになってくれてるといいな。
確かに純愛と言ってもいいくらいの空恐ろしい愛情なのかもしれない。
どこか加害者と被害者の中で起こるかも知れないストックホルム症候群や
プリゾニゼーション、もしくはマインドコントロールなどと言う言葉が読み進めると
浮かんでは消える奇妙なストーリーでした。
読んでいると、国家的な何かの陰謀か実験なのかとか、実は人ではないものだったとか
はたまた、受けである清水が精神的な病の中にあり、現実と空想の世界から
抜け出す事が出来ない流れなのかと、どこまでが現実で何処までが違うのか、
ミステリアスな内容に次第に惹きこまれてくのです。
貧血で倒れ、助けてくれた相手が小学生の時の同級生だったが、目覚めた時その彼に
監禁されていて、訳の解らない中で凌辱され続ける。
次第に思考を奪われ抱かれている時だけが生きている自分を実感できるようになる。
監禁され痛みと紙一重の快感で翻弄され続け、それもある日突然終わりを迎える。
監禁された時と同様に何もかも謎のままに解放される。
そこから清水の精神的な苦悩が始まることになり、忘れたいのか忘れたくないのか
会いたいのか会いたくないのか、夢と現実の狭間で不安定に揺れ動く感情。
清水の上司で、清水に恋心を抱く白井が出てくるまで、清水の不安定さは続く。
上司の白井が清水の行方不明の10日間の出来事を調べることで事態は急激に変わる。
攻めである仮名鈴木の思いはヤンデレストカー系でかなり危ないけれど、
その思いは確かに本人にすれば本物の純愛。
清水にとっては、それが果たして幸せに繋がる行動なのか、常に相手に対して
記憶を改ざんさせられているのではないかと思う疑いが付きまとうようになるのではと
読み終えて感じるのです。
それでも、このまま離れてしまうことはきっと何よりもこの先後悔をしてしまう
そんな思いも感じられて、本当にハッピーエンドなのかと読み終えても不思議な内容で
作者の「世にも奇妙な~」作品を書きたかったは、成功している気がします。
うん、一言で言うと、タイトルみたいなかんじだなあ、と。
でも、エロくて好き。
精神的なもの、って、すごく深いなあ、と思いました。
世にも奇妙な物語、という感じ、ということに納得するとともに、これって、本物なのか、本物になりうるのか、という、そういう、概念的なもののほうが気になります。
絶対に離さないって、BLでよくあるネタだけれども、そういう、それは本物か?と考えさせられるみたいなのが好きな人にはお勧めです。