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ミチさんには毎度毎度「まいりました」と言いたくなります。
ミチさんは高校生とか大学生とか位が一番書きやすいのかなって
勝手に思い込んでいました。
今までの作品は結構若い登場人物が多い気がしていたので。
ところが今作はガツンとおじさんです。
ちょっと度胆を抜かれました。
私はBLでのオヤジ好きですが、
まさかミチさんのオヤジを読めるとは…。幸せ。
年を重ねたからこその余裕とか
自分の気持ちに折り合いをつけたりとか
ものすごく共感してしまう。
(私もアラフォーに片足突っ込んでいるので)
和に冷たくされても、和の為を思って大人の振る舞いをする清坂。
後からになればその余裕さが和には気に食わなかったようですが。
クライマックス、海辺でお互い本音をぶつけ合うシーンは
こちらまで嬉しくなってしまいました。
8年間の想いがようやく報われて。
でも、前半あたりの「試してみますか」って和が清坂を誘う場面、
二人共、内心ではひやひやだろうに
どちらも冷静を装っている様子がたまらなかった。
大人ってそうだね、って。
取り繕うのが上手になったりするものですが、
素を見せ合うと、もう隠しきれない程の情熱を持っていたり。
これだからMEN'S LOVEはたまらない。
あと、砂糖のお話等、回りくどく説明するわけでもなく、
あっさり会話中で、でも決して薄い感じは全くせずに
するする物語を進めてくれる筆力に脱帽です。
だから余計に文庫が厚くなったりしないのは流石。
ミチさんのブログに、こちらのSSも載っています。
このあたりもミチさんはとってもご親切で、
ファンにはとてもとても嬉しいのです。
和の、本当に清坂を好きな気持ち、
清坂の、和をもっと大事にしていきたい気持ちが
寒い場所での出会いだからこそ結べた愛のような。
しかし道内の寒さは半端無さそうですよね。
(私も雪国ですが、-15℃は比じゃない…)
あと、和の「なして」は本当に可愛かった!!
清坂と居て、リラックスしていた為につい出てしまったというのが
無防備でものすごく良かったです。
一穂さんに小椋さんの挿絵、ということで内容も確認せずに購入してみました。
内容は、というと良くある再会モノ。海外赴任から帰国し新しい部下に挨拶したら、過去に会ったことがありかつ一夜を共にしたことのある青年で…。
という既視感のあるお話なのですが、さすが一穂さん、ぐいぐいと話に引き込まれてしまいました。
淡い恋心を覚えていたのに、その気持ちから逃げるように相手から去って行った攻めの達生。気持ちは分からなくもない。堅実な人生を送りたいと願っていた彼にとって、かなり年下の、しかも男の子と恋愛するなんてことは今までの自分の価値観を根底からひっくり返すようなことだったのでしょう。
まあ、だからといってやり逃げのような対応を取ったのは最低だとは思う。ましてやそれをすっかり忘れてるとかね…。人としてどうなのよ、と思ってしまった。
対して受けの和。彼はひたすら可愛かった。相手の負担にならないよう、常に相手の気配に気を配ってるというか。達生の残していった唯一の「もの」を頼りにあそこまで追いかけられるって凄いなと。でも、そこまでいい男でしたかね、達生という男は。
と思わなくもなかった。でもそれが恋っていうものなのかなあ…。一途な和の想いにキュンときました。
小椋さんの可愛らしい表紙にタイトルの「シュガー」という言葉。甘々な内容かといえばそうでもありせん。すれ違う二人にやきもきしたり、達生のニブチンさにイラっとしたり。和も可愛いだけかと思いきや自分の気持ちをしっかり(しかも結構辛辣な言葉で)言える男気もあります。
それでも達生が自分の気持ちに気づき行動に移してからは、一気に甘い空気になり良かったねえ、と思ってしまった。
一穂さん作品を拝見するといつも思うのですが、すごく下調べされてますよね。薀蓄と言ってしまえばそれまでなのですが、話に引っかかりがないため読み始めると一気に話に引き込まれてしまいます。この作品も「へ~」と納得したり感心したり、私のごく低レベルな賢さがいくつか上がった気がします。
雪の女王や、和の故郷の北海道、達生たちの職場での仕事の内容など、話がうまく絡み合い話が進んでいくので、話に引き込まれると同時に一穂さんのすごさも感じながら読みました。
非常に一穂さんらしいお話だったと思います。
最初、「旅先で一夜を共にし、置き去りにしてきた相手だった…」というあらすじを読んでかなり読む気が失せてしまいました。
しかし、大好きな一穂作品でしたし、これまた大好きな攻め視点でしたので「えい!」と大袈裟でなく勢いをつけて読み始めたのですが……
良かった!
食わず嫌いしなくて本当良かった!という実感です。
攻めの清坂は38歳の砂糖を扱う商社マン。
イギリスへ赴任していましたがこの度帰ってきたところ、8年前に一回関係した受けと職場で再開。
体面上カッコはつけていますが、内心はオロオロ。
当たり前っちゃ、当たり前ですよね。旅先で寝た相手が、部下になっていたんですから。
受けの和は他部署から清坂の所へ移動してきたばかり。(後半に移動理由が判明してちょっとホロリ)
攻め視点でお話が続くので、本心が途中は若干わかりづらいですが、とても可愛い子です。内面も。
清坂の回想のように8年前の出来事が徐々に描かれていて、先が気になって気になって(苦笑
清坂の親友相手への男としてのプライドは大人の男として当然あってしかるものだし、和の本当に一途な気持ちや行動が若さもあいまって甘酸っぱく、本当に良い作品でした。
久々にキュンとしましたよ(笑
こんなに可愛いなあと思わされる受けは久々でした。わたしもかなりオヤジ目線なのかしら…
この作品のテーマと言うのか、軸にあるものがお砂糖なんですけれど、そのお砂糖の匙加減の絶妙さが、本編にも随所に散りばめられているような、ほろ苦いのに優しい甘さが物語を通して伝わってくるような、そんな癒しのお話でした。
読んでいて真っ先に思ったのが、優しいなぁ、ということ。
うーん、甘い、と一口に言ってしまえばそうなんですけれど、違うんですよね〜
一穂先生のお話って甘い中にエッジが聞いていて、スパイスの濃い部分と、素材の甘さと、みたいな絶妙さがあると思うんですけれど、このお話はスパイス部分が少し弱い感じの、どちらかというと優しい味わい。
登場人物の清坂さんに始まり、和ちゃん、あと、仁科さん。
皆優しい。性格はそれぞれあるんですよ。
清坂さんは穏やかでそれなりに疲れていてそれなりに大人でそれなりにまだ全部を達観できる訳でもない。
和ちゃんは人となりから見た目までとにかく、粉砂糖、の一言が良く似合う。
最初一穂先生の粉砂糖みたい、という表現に???と思ったんですけれど、読んでいくと本当にそう感じるからすごいですよね笑
あと仁科さん。仁科さんは静と動で言えば明らかに動の人。
けれど、大事なところを逃さない物言いとか、態度はさすが、出来る男なんですよねぇ。
和ちゃんの移動について清坂さんに電話した時、
清坂さんが「なんで分かる」って言った言葉に対して、
「なんで分からない」って言うんですけど。
仁科さん、さすがだなぁ、って思いました。
仁科さんは、大事な人やタイミングを逃がさない潔さがある人なんだなぁと感じました。
反面、清坂は思考タイプ。
考えて、逃げたり悩んだり、折り合いをつけたり、一見もどかしいけれど、でも大事なものを着実に増やして成長して大事に出来る人。
そして和ちゃん。和ちゃんの健気さと言ったらもう。
お話は清坂さん視点なので、8年の歳月の言葉にできないあれやこれやは想像するしか出来ないんですけれど。
そのひたむきさとか、健気さとか、優しさ、明るさ、慎ましさ。
もう、何だこの子…いい子すぎない????泣
さて、話は逸れましたけれど、このお話、攻めの清坂さん視点で進むからより面白いんだなぁと読んでいて何度も思いました。
再会ものってBLでは珍しくないし、読んでいるこっちもわりあい、既出のお話の流れにある程度免疫もついてるというか。
なんですけれど、さすが一穂先生だけあって、読んでいると、その出会いと再会がいかに切なくて幸せなことなのかと身に染みてきて本当に、さすがだなぁと思いました。
受けがもだもだぐるぐるする話も大好きだけれど、戸惑ってるのにどうしても気になって優しくしてしまう攻め視点だからこそ伝わってくる、みたいな空気感がすごく読み心地がいいというか。
「何をどう言ったって不機嫌になるんだよな。
一体何が気に入らなくてこうなっちまうんだ?」
こんな独白のシーン。可愛くてクスクス笑っちゃいました。
38歳、年相応の面の皮の厚さとおおらかさと、寂しさと、そういう色んな面を持った清坂さんが和ちゃんに対してだけ様子を伺うように少しづつ近づこうとする様が読んでいて本当に微笑ましかったです。
そして勿論切なくて鼻がツンとする部分もあり。
あと、一穂先生のお話を読んでいると、ちょっとした雑学というか知識というか。よりお話に入り込みたくて、単語やら文中の小話やらを検索しては納得するみたいな作業が挟まれるんですけれど。
このお話でもそれは健在で、自分の知らなかったことが沢山知れてそれはそれでまた面白かったです笑
は〜一穂先生祭りを勝手に開催してるんですけれど、当分楽しめそうです。幸せな限りです。
38歳と27歳の二人
八年のイギリス駐在を経て、やっと本社に帰社した達生(たつお)。
部下に、既視感ある色白の美青年・和(なぎ)が居た。
和から「寝た事がある」と声を掛けられて、思い出す。
和は、渡英直前に旅先で一夜を共にし、メモと紙幣を置いて、起こさずそのまま寝ている和を置き去りにした相手だった。
和は、その当時大学生。
達生が置いて行った紙幣を挟んだペーバーホルダーから、の刻印の会社を探して入社、他部署に配属されて異動願いを出して8年、ずっと達生に声をかける日を待っていた。
雪の女王のカイのように、凍った和の心が、達生から事情を聴いて解けていく。
和は、達生が失恋の傷心を癒やす旅人だと勘違いして、慰めるうちに恋をした。
同じ会社に入社して、達生の海外異動を知って、8年ずっと待ち続けた和。
信じられない忠犬のような愛。
あとがきの代わりのSSは、得した気分になるので良いですね。
砂糖貿易の経緯や歴史、北海道の北の海について知ることが出来ました。
面白かった。