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表題作薄紅のイフリス 〜愛の妖精〜

中級貴族の息子で僧 ナフタス
年下の幼馴染でゼディアスの愛人 エレーヴァ

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  • あとがき

あらすじ

カシアンは妖精達の死刑執行人。誰からも愛されず、たった一人で永遠を生きねばならない。だが生まれたての妖精ピーチベルに、あなたと胸の糸を結びたいと言われ、初めての経験に動揺して…。
(出版社より)

作品情報

作品名
薄紅のイフリス 〜愛の妖精〜
著者
須和雪里 
イラスト
佳嶋 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫black
発売日
ISBN
9784592850823
3.5

(6)

(1)

萌々

(1)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
21
評価数
6
平均
3.5 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数2

花丸blackなのにっ?!

これは珍しいものを読んだと言うのが正直な感想です。
blackだとエロ系が断然濃い物が多いので多少びっくりします。
だって全然そのような場面が出ないのですもの(笑)
お話はまさにフェアリーテール!妖精のお伽噺のような風合。
沢山の妖精が生まれた時に何らかの使命を持っていて
その使命を行使する事で何らかの種が発生して妖精の糧になる。
その糧を沢山食べた者は同じ妖精でも特別な妖精に
百年妖精や千年妖精になり永遠に近い生を生きる妖精になれる。
逆に、自分が何者でどのような使命を持って生まれたのか
判らない妖精は消えてなくなってしまうし、使命を行使出来ない
妖精は感情を持たない浮遊物のような黒く醜い物へ変化して
彷徨う事になります。
そしてその哀れな末路をたどる妖精を無に帰すことが出来る
唯一の者が黒の妖精カシアンなのです。
存在自体が他の妖精たちにとっては死神にも等しいカシアンは
他の妖精に恐れられ嫌われる存在なのですがある日
生まれたばかりの妖精に声を掛けられます。
その妖精こそがピーチベルで人間の縁を結ぶ妖精だったのです。
出会った時、ピーチベルはまだ己の使命を解かっておらず
解からないまま、人間の為に力を使って存在自体が希薄に・・・
そんなピーチベルをバカにしながら見ていたカシアンは
とうとう結びつけた人間の幸せの為に己の目を別の妖精へ
分け与え、妖精としての能力を失いまさに消えようとしている
ピーチベルを苛立ちながらも助けてしまいます。
それからも、ピーチベルは誰も話などしないカシアンに
事あるごとに話しかけ大好きと近寄りますが、好き嫌いの
感情には縁のないカシアンは心を乱されていきます。

ピーチベルの存在は人間界で言うと愛のキューピッドかな
縁結びの神様かも知れませんね。カシアンはさしずめ
除霊の出来る霊媒師見たいですがこちらは同族に嫌われる
のでかなり孤独。
そのカシアンを生み出した大精霊はいつもカシアンを
見守っていて、唯一対等に会話が出来る存在。
だけど、カシアンは大精霊の彼を嫌っていて・・・

生まれ出て生きるために糧を得て、そして己より力を持つ者に
憧れそれを目指して多くの糧を得るために使命を行使する。
そして永遠の命に近づいたのにその先が見えなくなる。
力が巨大になればなるほど孤独に苛まれていく。
使命だと解かっていても己のしている事に喜びを見いだせない
使命を行使すればするほど永らえる命と孤独。

淡々と進んで行く内容で生きる事の意味を問うような
気持ちのすれ違いが起こす悲しみや切なさを人間界と
妖精界に絡めながらのお話でした、この本はじっくり
読み込んで欲しいような1冊だと思います。

2

愛の妖精の物語。

ええー!?これが花丸BLACK?と驚きを隠せない須和作品でした。
ひょっとしてBLACKは、何か新しい路線を目指しているのでしょうか?
それにしても、佳嶋さんのイラストがステキですね~♪主人公は実は人間ではなく妖精なんです。
なんてピッタリの起用なんでしょう♪
ふんわりしたファンタジーの世界は妖精自体に性別がないせいか、BL?とも思うのですが、妖精によって結びつけられる人間が男同志なので、一応このジャンルなんでしょうけど、何かBLに仕分けるのがもったいないかもw

生まれたばかりの妖精は光の妖精に、ピーチベルという名前をつけてもらいます。
妖精は自分の役割がわからなければ消滅してしまうという。
ピーチベルは自分の役割を探しだす為に自分の姿に似た人間の元を訪れます。
その人間は僧のナフタスという男で、エレーヴァという人間に恋をしていると知る。
しかし、心の糸はナフタスとエレーヴァは結びついているのに、身体の糸はエレーヴァにはゼアティスという男と結びついているのでした。
ナフタスとエレーヴァを本当の恋人にして身体の糸も結びつけるために奔走します。
ピーチベルは愛の妖精だったのでした。
人間の愛を結びつけることでビーチベルが生きるために必要な種を得ることができるのです。
その過程で出会う、千年妖精だという消滅してしまった妖精を食べる黒のカシアスという妖精。
カシアンを愛するのに想いがつうじない同じ千年妖精のグリウルヴ。
人の不幸を喜ぶ、ピーチベルに嫉妬するラタファナ。
グルウルヴに百年妖精にしてもらったキーエル。
それらが関わり、物語は進行します。

ピーチベルが愛の天使なら、カシアンは世を拗ねて絶望して生きている悪魔のようです。
悪魔という表現はちょっと大げさでしょうか?
光と闇といった対比になるでしょうか?
妖精なのに、実に人間くさいです。
いや、妖精って気まぐれで意地悪で、本当は人間の子供みたいなものかもしれませんねw
むしろ純粋無垢で、自己犠牲もいとわないピーチベルが一番純粋な感じがします。

設定の面白いところは、妖精は性別がないのに、夢の中では自分の気持ちで性別を決められるところです♪
ピーチベルはナフタスの恋を成就させるために、彼が男性に恋をしていることを知って、男性の身体になって性の手ほどきをします。
別に淫乱とかそういうことではなくてなんですが、素直というか、そういう事ができることを身をもって知って、後半散々ぱらカシアンにやらないか(←いや、そんな言い方してないからww)って誘います。
そんな部分にクスっと思わず微笑んじゃう。
ピーチベルはカシアンが好きなんですよね。
でもカシアンは結構意地っ張りのツンデレさん。
男前な部分もあると思うのですが、ピーチベルともしそういう仲になったとしたら、一体攻めでしょうか?受けでしょうか?
外見では決められないけど、ピーチベルが襲い受けしそうな感じが大きいかな?
そんな箇所もニヤニヤとして、ほのぼのしています。

でもグリウルヴに、カシアンに表わされる長く生きる苦しみと寂しさ。
好きな人がいても想いが通じないと生きているのが辛いといって自ら消えることを望んだグルウルヴは寂しい人でした。
ともすれば、カシアンだってそうなってしまうかもしれない。
でもピーチベルがみんなに逢いと喜びを教えるのですよね。

とりとめのない文章と内容になってしまいました。
おせっかい焼きの世話女房タイプと素直になれないツンデレ君。
ファンタジーであるがゆえに、ほのぼのしたそしてふんわりしたお話になっていました。


1

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