• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作チョコレート

佐倉堅司,21歳,就職が決まり卒製中のデザイン科四年生
小早川純,写真専攻を予定しているデザイン科二年生

その他の収録作品

  • a couple of weeks later
  • あとがき

あらすじ

美大に通う小早川純は、ある男をずっと探していた。混雑したカフェテリア、昼休みの掲示板、どこにいても彼に目が惹きつけられた。そんな時、探していた男、佐倉と知りあい、親しくなるのだが……。佐倉と一緒にいると、どきどきした。身体が急に熱くなったりした。どうしてそうなるのか、佐倉に無理やり抱かれるまで、純にはわからなかった──好きだから、苦しくてたまらない……羽生有輝、鮮烈デビュー!

(出版社より)

作品情報

作品名
チョコレート
著者
羽生有輝 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
チョコレート
発売日
ISBN
9784813012528
3.2

(20)

(0)

萌々

(8)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
63
評価数
20
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数5

私の地味好きセンサーが反応しました。

何だか気になる作家さん登場です。
作品評価は萌×1ですが、今後に期待という事で萌×2にしました。次回作で好みの作家様か、そうでないかハッキリすると思います(偉そうで御免なさい)

複雑な家庭環境、ストーカー、強姦?、傷害…出来事だけを並べるとヘビーな話になりそうですが、痛みもなく結構サラッと読めました。
抽象的な表現がよく出てくるのですが、文章から情景を連想させるにはまだ何かが足りない。
登場人物それぞれがとても魅力的でしたので、もう少し痛さと衝撃感を持たせて下されば、もっと余韻の残る作品になった気がします。
でも!! 文章に色を着けたくなるような叙情的な作品が好物な私としましては、今後期待大!な作家様です。

ただ一つ納得出来ないのは…
純(受)、ゲイだと判っている男の家で自慰をして、無理矢理ヤられた!などと言うな!
これはどう考えても和姦でしょ~(笑)食われて当然だ。

5

文体がひじょうに好みの作家さんでした

電子書籍を物色していた時に目を惹かれた表紙でした。(体格差にビシビシ惹かれました)
しかしその時は購入せず、後日紙媒体で購入。
シャイノベルズさんの味のある表紙で(表紙と裏表紙が一枚絵です)、紙で買って正解でした。

**********************
受けの純は、女子人気は高いもののそれを面倒に感じている美大の二年生。
カメラにハマり、写真専攻の予定。
ただいま、歳の離れた兄と二人暮らし。

攻めは美大の四年生で21歳の佐倉。
長身で猛禽類のような鋭い瞳を持ち、人目を惹く存在です。
裕福で、家所有のマンションで一人暮らし。
**********************

大学で時折見かけていた佐倉をいつか写真に撮りたいと思っていた純は、偶然佐倉と知り合い、気安い先輩後輩として付き合うようになります。
癖のある佐倉はゲイでしたが、それを忘れるくらいの居心地の良さを覚えていた純。

純は佐倉に対してチクチクと胸に突く痛みを感じたり、視線を外せなかったり、独占欲を持ったりしているくせに、それを恋だとは自覚していません。
友人などにはそんな純の気持ちがあからさまに感じるのにも関わらず、純自身にはわからない。
それは一年前、元カノがストーカーに変貌し周囲を巻き込む騒ぎへと発展したことが原因なのかなとも思いました。
その時の傷が、恋愛というものにシャッターを閉めているように感じます。
このストーカー元カノがけっこう怖いです。
こちらの言葉がまったく通用しない相手というのは、本当に厄介ですね。
子供や動物にだってもっと通じるよと思ってしまう。
彼女の家族のくだりがきちんと書かれていたのは、ひじょうに好印象でした。
こういうキャラが時々出てくるお話はありますけど、周りは何をしてたわけ?と思わされるくらい描写がなくて現実味がないもので。

全体の視点は受けの純ですが、終章のみ攻めの佐倉。
短いですが、佐倉が純にされた質問の答えが読めて消化不良にならずにすみました。
それに佐倉の、外見の迫力とは真逆な傷つきやすい内面も垣間見れましたし。
初読み作家さんでしたが読みやすく、しかも『なるほどシャイノベルズさんらしい作家さんだな』と。
シャイノベルズさん中心で書かれる方って、何かうまくいえないですが文章の雰囲気に特徴がありますね。
わたしはこういう感じは好きなので、この作家さんは嬉しい発見でした。
ラストにはショートで当て馬的だった佐倉の友人(実は……なのですが)飯田視点のお話が入っていたのですが、この作品の発売時に彼が主役のスピンオフも発売決定していたようです。
だから裏表紙は思わせぶりな二人だったのかと納得。そちらも買います!

そう最後になりましたが、途中佐倉が純を無理矢理…というシーンが出てきます。
純も結局快感に流されているので(その後は長く怒りにまみれてますが)、わたしは気になりませんし大したことないと思うのですが、こういうシチュが大嫌いな方もいらっしゃると思いますので書いておきますね。

2

手のかかる組み合わせw

二カ月連続刊行する大洋図書大プッシュの新人作家さんのデビュー作品のようです。
実はですね、これを最初に読み始めた時、最初は風景描写や抽象的な色々な描写から入るのですが、自分が苦手とするセンテンスの短い1文の連続で展開されるその文体に、まるで漫画のひとコマひとコマを1センテンスにして見せられているようでとても読みにくいと思ったのでした。
しかし、物語が展開し会話が成立して場面が動きだすと、それは引っ込み始めます。
むしろその物語の面白さに、つい引き込まれて次へ次へとページをめくる手がとまりませんでした。
文章が気に入らないと、とことん登場人物の設定や関係まで胡散臭く感じてしまうのが払しょくされたのは、主人公はじめ、登場人物のキャラクターと展開が魅力的だったからかもしれないです。
またイラストが自分がとても好きになった昨年デビューした湖水きよさんというのも大きな要素だと思います。

主人公・純は美大のデザイン科で写真をやっているのかな?
学祭のポスターに友人と作成した作品が選ばれて、それの修正をするのにソフトの使い方が解らず、紹介されたのが、初めて見かけた時から印象的なスタイルをしていつかモデルに写真を撮りたいと思っていた情報処理科4年の佐倉でした。
彼は丁度卒業制作を2人の中間と作成中だったのですが、カメラ担当が就職活動の為戻ってこれないということで、純が手伝うことになるのです。
佐倉はとてもモテるようですが、ぶきらぼうで女性を相手にしません。
実は佐倉はゲイだということを純に言うのですが、純はこだわりませんでした。
その失念がうっかりを呼び、佐倉の部屋に泊まった時に襲われてしまうことになるのです。
その日から純は佐倉をさけます。
また、純は以前元カノからストーカー被害を受け示談で済ませているのですが、その彼女が純の連絡先を突き止め電話を頻繁にしてくるようになるのです。

この主人公の純ですが、実は恋をしたことがなかった!
彼女はいたけど、つきあおうと言われて付き合うくらいで、いつもそれで振られていたり、最後のストーカーとなった彼女の時はエッチがなかったというw
それが、佐倉に対して動悸がするとか顔が熱いとかの症状が出るのを病気かと勘違いしてる、無自覚天然?
というか彼に好意を抱く人には達が悪いですよね。
一方、佐倉のほうも普段から無愛想だったりはするのですが、理系であるだけに情緒が欠乏してる!?
過去のトラウマがあって恋愛はしない主義らしいのですが、言葉も足りなければ態度も無愛想なら不器用なんですよ。
カッコいいのにね~w
だから、互いにきちんと話し合うこともしなくて大いにすれ違ってしまうのです。

純もストーカーというトラウマになるような散々な目にあっているのに、割と対応が楽天的です。
恐怖は抱いているようですが、そこんところはやはり若者というべきか。
それとも、佐倉の事で頭がいっぱいでそこまで気が回らなかったのでしょうか?

学園祭の時にとうとう大きな事件が起きてしまいます。
それでも頑なな佐倉と、遠慮する純に業を煮やしたのは、純が佐倉の恋人と思い込んでいた佐倉と卒業制作を一緒にやっていた飯田。
この飯田の唐突な行動にはびっくりしましたよ!
それにしても、、、、まさかよもやのビックリ仕込みでした。
不器用×無自覚は、第三者介入と互いが傷付かないと難しいのかもしれないですねwww
でも、それが夢中にさせてくれた大きな要素でもあるのですよ。

「a couple of weeks later」は、見事アテ馬を演じて振られてしまった飯田のお話。
これは、次来月に刊行される『シガレット』の前振り話になるようですね。
結構、この飯田がひょうひょうとして、人がよくておしゃべりで、そんな人なので次も楽しみです。

現在B's-gardenの特設サイトで、場面抜き出しの湖水きよさんのマンガと、番外編の後書きに書かれていた佐倉と純が料理をして、、、という短編が載っていますので、そちらも楽しめると思います。



5

湖水さんの挿絵に惹かれて読みました

デビュー作品という事ですが、
そんな気がしないくらいすいすい読めましたよ♪

現実離れしているようで、異質な存在の佐倉が
恋に落ちたら熱を帯びるようなギャップと
恋愛に淡泊だったというのに
佐倉に対しては無意識のうちに惹かれていく純に
とても興味を持ちました。

好きだと自覚しないまま佐倉の家に泊まらせてもらう事になって
他人の家なのに自慰行為を行うあたり、若者ですね…。
いくらそういう気分になったとしてもw
それを見て箍が外れた佐倉、男ならば当然でしょう。
がっつりいたしてくれて読者としては万々歳!

その後、いくらやめてと懇願してもやめてくれなかったからと
佐倉を避ける純は、わりとリアルな気がしました。
その時は流されたけど、我にかえると結構衝撃的だろうし、
顔も見たくない、声も聞きたくないのは仕方ないような…。
やったからってすぐ「好き」とか「付きあう」じゃつまらないし。
佐倉自身も、謝りたいのに避けられてどうしようもない揺れが
なかなか良かったです。

純の友人・澤田は良き理解者だし、佐倉を煽るのに丁度良い存在でしたw
佐倉の兄弟・飯田、好きだなぁ…。当て馬スキーはロックオンですよ。
『シガレット』は飯田が主人公のようなので、当然読ませていただきます!

やっぱり、湖水さんのイラスト、良かった!!
色気あるなー…。
早く次のコミックス読みたいな…。
湖水さんファンの方にも充分楽しめると思います♪

3

自分の性癖に気づかないまま揺れ動く感情の行方

何故か目が離せない存在になってしまった攻め様を、気が付けばいつも探してる
でもいつの間にか姿を見かけなくなり・・・そして偶然の出会いのようにめぐり合う。
自分の性癖すら自覚していない受け様が、攻め様を見ると何故かドキドキしちゃう。
その理由すらわからない、友人に指摘されるまで、攻め様がゲイだと知っても
自分に当てはめて考える事もなくて、ただ、攻め様が誰かと親しくしていると
胸の奥に痛みを感じてしまう・・・もう、恋する状態そのものなのですが友人に
性癖を指摘されてやっと気が付いて、攻め様に対する思いを自覚した途端、失恋。

攻め様は、受け様の性癖に本人が気が付かない時から気づいていて、でも好みでないと
素っ気なく言い放ちながらも、受け様と仲良くしてる友人を剣呑な睨みで威嚇してたりと
何気に不器用な感情を出してる攻め様ですが、過去の痛みのせいで恋には臆病。

そんな面倒なタイプ二人のじれったい、そして他力本願に近い形で結ばれるまでの
お話を、受け様のストーカー被害と受け様を助ける為に怪我をしてしまう危機的状況
そして、攻め様の過去の辛い悲恋と家族不和、そして受け様の勘違いなどを織り交ぜ
ながらのストーリー構成になっています。

タイトルのチョコレートは、一見すると付き合いにくい攻め様の意外な甘党好きの一面が
感じられて、なごみのアイテムにもなっているようでした。
受け様は気づけない故の感情の揺れで、一人パニック、攻め様は知りながらも
自分の経験から受け様から身を引こうとして、かなりすれ違って複雑になります。
受け様の友人と攻め様の兄がいなければ、二人ともいつまでもじれったさの中で
足掻いていたかも知れないなんて思うようなお話でした。

1

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP