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表題作デュオ ~君と奏でる愛の歌~

鷹宮遥 芸大でピアノ専攻後俳優に転向した 24才
沢木悠 芸大でピアノ専攻後挫折し出版社バイト24才

あらすじ

大学を辞めた数年度、悠は俳優となった親友・遙と再会。仕事で関わるうち、学生のころから遙に惹かれていたことを自覚した悠は…! ?

(出版社より)

作品情報

作品名
デュオ ~君と奏でる愛の歌~
著者
愁堂れな 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344825475
2.8

(6)

(0)

萌々

(0)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
16
評価数
6
平均
2.8 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

ピアノだけじゃない“同じ世界”

芸大レッスン初日、
音楽を司る神様ではないのかと思う程
ギリシャの彫刻に似ているような見栄えのする容姿と
誰にも出せない音色で人を虜にしてしまう遥(はるか)に
「友達になってくれないか」と言われる、こちらもまた悠(はるか)。
今迄自分の才能に絶対の自信を持っていたのに
天才の意味を思い知らされたような気持ちに。
遥に惹かれているのだけれど、中退して海外へ逃げます。

その後、遥もあっさりピアノから離れた事を知り
あんな素晴らしい才能があるのにあっさりピアノを捨て
俳優業に転向した遥を恨む悠。

天才って?才能って?
自分の腕に限界を感じさせられたにも関わらず
天賦の才が何なんだ、神が許しても俺が許さないと
ワインで酔って押し殺してきた本音を
バイト先の人気小説家の先生に暴露します。

この村雨はゲイで、余裕を感じさせつつちょっと調子が良くて、
逃げ道を残しながら、体で心も慰めようとする狡い大人。
悠を想って優しいキスから、
それに悠が応えた途端情熱的なものに変わり
今迄女性を抱いた時には感じなかった悦楽に溺れそうになります。
でも、きっと後悔する…。
心には遥がいるというのに。
それを察した村雨は、途中でやめてくれるのです。
「弱みにつけ込むのは卑怯かと思ってさ」
や…優しい…!!
何も考えず流されたら、それはそれで良かったのかも知れない。
それでは村雨の気持ちも哀しかったのでしょう。
この途中で終わってしまったHシーンが一番今作で萌えた箇所でしたw

俳優業と印刷会社のバイトという接点で再会を果たすも悠は遥を許せないのに
遥は昔と変わらず慕ってくれ、愛の言葉までも与えてくれる。

…正直、悠がそんなに遥に想われる理由というのが
弱いのでは…と思ってしまいまして(ごめんなさい!)
ピアノで好きになったのならば
やはり文字からは音が想像出来ないし。
容姿も込みならそりゃ穂波さんのイラストなので納得ですけれど
性格も、遥ほどの人物がずっと好きでいるような男かな??

村雨が付けたキスマークに気付き絶望的になる遥が気の毒。
ま、その後ちゃんと想いを遂げる事ができたので
良いのですけれども。
繋がり、達し、愛しさでどうにかなってしまいそうな遥が泣いて
つられて泣く悠。
このイラストの美しいこと!
数年ぶりに連弾して音を重ねられる気持ち良いいという感覚、
それこそアーティストにしか知りえない快感でしょうね。
言葉でも理屈でも表現出来ない世界が二人にあるのが
微笑ましかったです。

村雨にはまたきっと素敵なお相手が現れるでしょう☆
好みの当て馬でした♪

そんなに幼くない二人、穂波さんのイラストは萌×2!!
(相変わらず贔屓目w)

3

才能よりも大事なものは・・・

ピアノが好きで芸大に入る時も必ず受かるなんて自信を持っていて、合格し、いざ
入学して、新入生の一人の演奏に感動し、他人と積極的にかかわる事が少なかった
受け様が、初めて自分から声を掛けて、演奏の素晴らしさを伝えたいと思ったのが
攻め様で、同時に相手も受け様と同じことを考えていて、名前の読みも同じ「はるか」の
二人は急速に仲良くなり、二人で連弾をするほど親しくなるのです。
でも、受け様はそんな日々の中で攻め様の才能に嫉妬すると共に自分のピアノに
限界を感じてしまい、攻め様に何も言わずに大学を辞めて海外に旅に出てしまう。

そんな二人が偶然の再会を・・・受け様は海外からの帰国後叔父の紹介で出版社で
アルバイトをしていて、作家の共で行った場所で同じくピアノを辞め、俳優に
なっていた攻め様と遭遇、受け様は過去にこだわりがあり逢いたくなかったが
攻め様は、まるでワンコが飼い主に出会ったような喜びようで・・・・

攻め様の受け様大好きオーラは初めから解りやすいのですが、受け様は過去の挫折に
今でもこだわりがあって、攻め様と普通に会話する事も避けたい程なんです。
才能に嫉妬しながら、そのピアノに惹かれてもいた受け様は、攻め様がピアノを
辞めた事で、才能を自分から捨ててしまうような攻め様に憤りを感じてしまう。

そもそもの、相手に対する気持ちがずれてるんです、受け様はピアノから
攻め様はピアノだけでなく顔や受け様の存在自体が好きなんですよね。
攻め様にとってはピアノよりも受け様なんですが、受け様はその事に気が付かない。
攻め様から告白されてもどこか繊細なようでニブイ受け様は攻め様への思いを
自覚するのが遅くて、誤解されてしまう。そして攻め様に異変が・・・

二人でピアノのデュオをしながら思いを重ね合わせていく姿は素敵でしたね。
受け様の過去のこだわりを取り払うのは攻め様しかいなかったと思わせるお話で
過去のこだわりが、攻め様と同じ世界にいられないと思った事からなんですが
無自覚で恋してた受け様はかなり天然さんです。

1

悠自身はどんな"天才"を切望していたのか?

2012年刊。
読み出して気が付いたけれど、字は違えど攻め受けどちらも"はるか"って名前なんだね。
そのせいか受け・悠のほうは攻め・遥限定で「ゆう」と呼ばれている。
芸大ピアノ科の同級生として知り合った彼らだが、悠は遥の才能に遣り切れない気持ちを抱えたまま中退し、海外へ逃げてしまう。
しかし、叔父の元で出版社でバイトしていた悠は、同じく芸大を中退して新人俳優として売り出し中の遥と再会してしまったのだった。

内容は、ピアノの才能に未練を抱えたままの悠の心境が渦巻いている状態で進行していく。
この手の主人公の考えが胸中でぐるぐるしている系の話って、肝心のそのキャラクターに共感できないと入り込めないといった難点がある。
おまけに他の登場人物にも感情移入できる余地が少なくなってしまう。
今回がまさにそんなパターンだった。

"天賦の才"といったものをどう捉えるか、これまた難しい質問だが、個人的には脇役のベストセラー作家・村雨の「才能については考えないようにしている、自身を天才だと思っていると周囲が分かってくれないのが悪いとなってくるから」といった感じの言い分に納得できるかな。

しかし、肝心の悠は散々悩んでいた末に、"天才"という意味合いに折り合いが付いたのだろうか?
遥の告白を受け入れて昇華できたにしては呆気ない気がするのだけどね。
終盤に二人をくっつける為に、どうも葛藤の部分をおざなりに済ませてしまっている感じはある。

そもそも遥が俳優としての周囲の人達を惹き付ける魅力ってのも掴み辛い。
下心有りでも悠の心情を辛抱強く聞いていた村雨に対しても釣れない態度で済ませたままってのは感心しないな。

1

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