NYアートギャラリーが舞台のセクシー・コメディ!!

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作恋のしっぽをつかまえて

ダン・グリーン,私立探偵
シーザー・ロマノ,ギャラリーのアシスタント

その他の収録作品

  • 解説:冬斗亜紀

あらすじ

とびかう会話とアルコール、カメラのフラッシュ、半裸のバーテンダー。
狂乱のギャラリーでのパーティの翌日、従業員のシーザーが目撃したのは、
解除されたセキュリティ・システム、消え失せた1万5千ドルの胸像。
そして腕時計をあそこに巻き付けられて全裸でトイレに転がる、売り出し中の俳優で元恋人シェプの姿だった!!
いったい何が起こってる!?
混乱するシーザーはうさんくさくも魅力的な捜査官・ダンとともに調査にとりかかるがーー!?

訳・解説:冬斗亜紀

作品情報

作品名
恋のしっぽをつかまえて
著者
L.B.グレッグ 
イラスト
えすとえむ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
発売日
ISBN
9784403560125
3.6

(23)

(5)

萌々

(7)

(9)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
82
評価数
23
平均
3.6 / 5
神率
21.7%

レビュー投稿数9

ニューヨークのM/M物語

ニューヨークの街が舞台になっているこういう話は大好きです。柏枝真郷さんの長編ニューヨークBLも読んだばかりなので主人公達がNYの地下鉄に乗っていたり様々なお店に行ったりしていると、まるで自分もそこに住んでいるように錯覚します。一度も行ったことないのに。

40代の元刑事の探偵×NYのギャラリーで働くアラサーのイタリアンというカップル。主役のシーザーは元彼シェプとの関係では攻めだったけど、今回の攻めのダンと付き合って初めて受けの快感に目覚めたという設定が萌えました。初Hではものすごくびびってるのが可愛い。元彼シェプも性格悪いけど美形だしなんだか憎めない人。

本編の他にも読み応えあるのが、モノロマ文庫の名作をたくさん翻訳している冬斗亜紀さんの解説。M/MとBLの違いを詳しく解説してくれていて目から鱗でした。M/Mはリバが多いけど日本のBL風に受け攻め固定型のジャンルは「YAOI」と呼ばれているとか。面白い。

あとM/Mには軍人・警察ものジャンルが多いとも書いてあり、自分の大好きジャンルなのでモノロマ文庫大好きになる訳だわ!と納得しました。

この作品、続編もあったそうなので翻訳されていないのは残念に思います。

追記…6月はモノクローム・ロマンス文庫の新刊が出る!またレーベル買いしてしまうな。

2

主人公をよく理解している攻め

この作品は海外翻訳もののため、皮肉めいた言い回しやキャラクターの個性がやっぱりいつも読んでる国産ものとはちょっと違うなあという感じがあります。
ただ、軽快なノリが楽しく最後まで読めました。
このノリは好みが分かれそうですが、同レーベルの作品をいくつか既読でお気に召している方にはおすすめだと思います。

内容はミステリーで、かなり本格的なのですが、主人公がシニカルでどうしてもシリアスなセリフを言い切れないところがあり、ドタバタ感が強く、キャラクターも個性的な者が多いため、シリアスになりきれていない作品です。

最初は要点がつかめず、何がしたいのかわかりづらく、最後まで読めるかな…と思ったのですが、物語は中盤から一気に加速していき、主人公の恋も途中から一気に加速します。
でも無理やりという感もない。
犯人が知りたくて、更に恋の行方も気になって、後半は一気読みしました。

内容は主人公のシーザー働くギャラリーとその周囲で起こった奇妙な出来事を、探偵のダンと2人で解決して行くアップテンポなミステリーです。
ダンはハードボイルドを絵に描いたようなキャラクターで、どこかミステリアス。頼りになる感じはしますが、主人公はなかなか警戒を解きません。
年の差ものがお好きな方にもオススメだと思います。

シーザーのやんちゃなキャラクターが、ただ無鉄砲で直情的と言うのとも違って、新鮮で楽しめました。ダンが何度も彼のことをやんちゃなきかん坊だと皮肉で言うのですが、それが可愛らしくニヤニヤします。
シーザーは一見常識的でいて、やんちゃで強がり、でも警戒心や押しが弱いヘタレ、そして心の中では周りを恐れている、猫のようなキャラだと思いました。
この2人が、互いを牽制しながら恋におちた事を白状し合うまでがなかなかドキドキできました。

カップルになってからは、ダンはをベタベタに甘やかしています。
しかし、ゲイであるシーザーと違い、男が好きなのかどうかもわからないダンとの結ばれるまでの絡みがとても面白かった。
別れた元カレが、自分がゲイだとバレたくないがために、「シーザーから無理に迫られたんだ」と話しているのを聞いて激昂したシーザーをダンが押さえつけてなでなでするシーンが面白く、可愛かったです。

後半からじわじわ萌えが来る感じで、糖度はすごく高いとはいえませんが、普段読むような作品とは一味違った楽しみ方が出来る作品だと思います。

5

えっちシーンはエロい

女性作者の海外翻訳物です。
翻訳者はお馴染みの冬斗亜紀さん。
字は大きめです。
翻訳物の宿命である字数の多さはあまり感じない作品でした。
翻訳物に多い、受け一人称です。
あ、ちなみにレビュータイトルについて…
翻訳物のえっちシーンはあまり萌えを感じないことが多いのですが、この作品のえっちシーンはかなり国産BL、ゲイ物に近いと思います。
こうなんと言いますか、行為の流れのようなものや表現の仕方も。

********************
受けは、ギャラリーでアシスタントを務める28歳のシーザー。
懐具合の関係で祖母の家に間借り中。

攻めのダンは、ある依頼を受けてシーザーを調べる元警察官の私立探偵。
シーザーとは12歳差なので、40歳。
********************

舞台はN.Y。
アートギャラリーに務めるシーザーが、アーティストのイベントを仕切った翌日、その作品が盗難にあうというスタートです。
序盤、少々読みづらい印象でした。
冬斗さんの訳には慣れているので、これはわたしと作者さんとの相性なのでしょうね。

このメインの事件自体もはけっこう最後まで引っ張ります。
ふたりはこの事件絡みで知り合うのですが、なんともダンが色気のある大人なのですね。
この色気に初っ端からシーザーも惹かれていますし、ダン自体もサクッと体を求めてきます。
なんというかその辺りはサバサバした、これこそ男同士の関係だなあと思わされます。
もちろん情緒的なストーリー物も大好きですが、こういうリアルな感じも楽しめました。
それに体を重ね出した頃からは、意地っ張りなシーザーが拗ねているのも甘々に見えるから不思議(笑

個人的に笑えたのはふたりのやりとりよりも、シーザーと彼の上司との電話での会話。
上司の秘密を思わぬ形で知ってしまったシーザーの、いかにも外国人らしい「ホント、ガッカリです」という心からの台詞が(苦笑
ちょっと日本人では上司の理解できない秘密に対して、本人には言えませんもんねえ。
それに対して上司も、衝動の言い訳をしっかり話す辺りが本当に『らしい』感じで面白いです。
この上司、あまりに最後まで濃いので笑えます。

こういう翻訳物を読むといつも感じるのは、挿絵が思い切り『外国調』していることです。
えすとえむさんがどうのこうのと言うのではなく、ただでさえ国産BLよりも売り上げが低いであろうレーベルでしょうから、せめて少しでも表紙で手にとって貰えるようにイラストはキャッチーでも良いのではないかと。
まずこの表紙では、萌えを求める方は手にとらないでしょう。
イラストまで中身にともないそこまで意識して『外国』を売りにしない方が良いと個人的には思うのですが、翻訳物を出しだしたのは良いけれど早々に消えてしまったレーベル(こちらはキャッチーな挿絵もありまして)とは一線を画したいということなのでしょうか。
ただ、新しく立ち上がったハーレクインのキャッチーな挿絵と絶対に比べられてしまうであろうことがひじょうに残念です。
モノクロームロマンスさんは扱う作品の質が素晴らしいので、なくなって欲しくないんですよね。

9

お国柄の違いを感じる作品

アメリカンテイストのこの作品とえすとえむさんのイラストがガッチリマッチしていて、
テンポの良いコミカルな作品とのコラボはかなりしっくりくるような感じですね。
海外ものは随分前に何本か読んだことがあるのですが、今回のこの新創刊の作品、
海外BLのモノクローム・ロマンス文庫として2冊同時発売の1冊なのですが、
この作者さまはゲイミステリーの先駆者的な御仁なのだそうで興味深いですよね。

内容が日本人向けかと言えば、どうだろう?と思う所でもありますが、
ゲイに対する差別的なニュアンスがコミカル風にシュールな表現もあったりして、
その国の成り立ちや宗教的な流れで日本人の感覚とは若干違う感じがします。
そして日本で言う所のBL作品と言うよりも、ゲイって言葉がしっくりくるような
内容だと思います。
ラブ的な内容よりもミステリアスな推理ものが前面に出ていてラブは二の次。
日本的なラブラブBLが好きと言う方には満足までいかないかも知れないけれど、
コミカルミステリーの主人公がゲイだと言うストーリーだと思えば比重がゲイの
恋バナより日常の中で突然起きた事件がメインだと考えればかなり楽しめる作品。
BLだと思わないでゲイが主人公のコミカルミステリー作品だと理解して読めば
海外ゲイ事情も興味の対象になるかも知れないなんて思いながら読みました。

7

Trouble With My Business

思ったよりも手早く読めたその後真っ先に連想したのは
アメリカンホームドラマ…と言うかソープオペラのあちこちに
挟み込まれる笑い声の効果音。
はて、評者は仮初にもロマンス絡みのミステリを読んでいたと
思ったのですが違ったのでしょうか?

愛を交わす場面を挿絵に頼らず文のみでしっかり刻み込もうと
言う押し切りの強さはお国柄と言うべきでしょう、多分。
多彩な言葉で綴られる読者もつい頬を染めてしまう様な
甘酸っぱいはしたなさは一度味わっておいても恐らく損は無いかと。
甘さで食事を〆る習慣が無い方には少し不向きかも知れませんが。

5

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP