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愛を知らぬ子供が愛を感じるまでの過程をジックリ読める作品です。
『依存症の彼』である受けは、母親からの暴力・監禁、そして連れてきた男からの性的虐待という過去を背負っています。彼にとって性的虐待は暴力を振るわれてた時間より穏やかに過ごせた「幸せな時間」と位置づけられていて、保護され劣悪な環境から離れた今も、その影響が色濃く残っています。
「セックスしないとご飯が食べられない」
という受けのために抱いてきた攻めでしたが、ある日「愛してるから、もう抱かない」と宣言。
攻めの言葉が理解出来ずに縋っても「自分で考えろ」の一点張り。
摂食障害も重なって、もがき苦しみながら愛を知っていくーーーというお話でした。
受けは世間を知らず、どこか浮世離れした受けの言動は無垢な子供そのもので。
自分がされてきたことが「普通」だと思ってる無邪気さがあって。
虐待の酷さに対して、それを受けた本人の考えのギャップが遣る瀬無い気分になります。
攻めは受けを愛する1人の男として優しく見守り、
受けから本当の意味で愛されたいと願う姿にひしひしと愛情が放たれていて。
受け視点の「僕」で綴られていく文章の中にありながら、攻めの愛情を沢山感じました。
何も知らない子に対して「自分で考えろ」の一点張りの時は
もう少し他に言い方があるんじゃないの?
ヒントだけでも教えてあげたらいいのに…。
と、攻めの冷たさを感じたのですが、最後まで読むと印象が変わりました。
受けのことを愛するがゆえに、教えた後に雛の刷り込みのように愛されるのでなく、受け本人が自分で気づいて、愛して欲しいと願う。攻めにとっての精一杯のワガママだったんだなぁと。。。
と同時に「自分で考える」も自立の1歩で、受けがこれから社会に出てくための基盤。
途中、摂食障害がひどくなる一方で、見ている方も忍耐を要する時間だったはず。
それを最後まで見守り続け、結果、受けが成長する足がかりになって、最初は冷たく見えた「自分で考えろ」すらも攻めの愛情を感じることが出来ました。
愛を理解しようともがく姿は読んでいて苦しいものの、それだけに依存症の彼が成長した姿に涙。
「愛」という形なく朧げなものをジックリ考え、感じ、2人で作っていくーー素敵な作品でした。
余談ですが、タイトルに「准教授」とありますが、あまり関係ないかな?
特に准教授の立場だからどうこうといった絡みはなかったです。
あと、編集者さんがちょっと不憫w
最後2人からのプレゼントで多少は頑張りが報われて良かったです。
奈良千春さんの表紙だとついふらふらと惹き寄せられてしまうのですが。
性行為しないとごはんを食べられない子という設定にも興味をひかれ購入。
こういう設定に興味をもつというと眉をひそめられそうですが、BL、小説の中のお話ということで許してもらえれば。
恭平の「愛している」の意味がわからない舜とわかってもらえない苦しさに思い悩む恭平。
なかなか心苦しいお話だけれどもわりとすんなり読めました。
虐待されていたシーンが直接的に書かれてないからでしょうね。
何より恭平が舜を溺愛してるのがいいんですよね。
読み進めてるうちにどんだけ好きなのって思ってしまいました。
自分の側からいなくなることを恐れていたとか。
舜が好きとか愛しいっていう感情がわからないと、恭平の苦しみはわからないだろうから、序盤で舜を突き放すようなもうお前を抱かない発言になったんだよなぁ・・・。
うまくまとまって良かったです。
舜が詩を書き綴るシーンがすごく好きでした。特に後半の恭平への溢れる思いを書き綴るところ。
舜の書いた詩を読んでみたくなりました。
その後のお話が同人誌で出てるようで、ちょっとそちらも読んでみたいです。
◆あらすじ◆
主人公は、大学生の舜。彼は幼い頃母親の男に「食事の前にセックスをするのが常識」と調教されたせいで、セックスなしに食事を摂ることができません。
舜に食事をさせるため、そして舜に対する愛情から、毎日舜を抱く後見人の恭平(准教授)。
しかし、詩人としての才能を持つ舜を世に出すことに使命を感じ始めた恭平は、セックスと食事を切り離し、セックスは愛する人とするものだということを舜に教えるべく、彼を抱かない決意をします。
突然セックスをしてくれなくなった恭平に戸惑い、苦しむ舜。
が、やがて舜は恭平への愛を自覚し、食事の前の儀式ではなく愛情の証としてのセックスを求めるようになっていきます。そして愛を知ったことで、舜の詩人としての才能もさらに開花していく…
セックスなしには生きられない、でも愛の意味を知らない青年・舜の葛藤と成長を描いたストーリーです。
◆独断と偏見によるハイライト◆
個人的にこの作品で一番印象に残ったのは、なんといっても冒頭の恭平と舜の衝撃的な「食事の前のセックス」。
男性はそもそも空腹時のほうが性的欲求が高まるものらしいですが、食欲と一体の強い渇望感でセックスを欲しがるよう調教された舜、どんだけエロキャラなんや!って感じですよね。
本人が無自覚なだけに、歯止めも知らず…大胆できわどい設定です。
「はやく……シて」
と舜にセックスをねだられ、恭平は料理が並んだダイニングテーブルで彼を抱きます。
敢えて料理の横でというところがまた…しかも、恭平は和服。
なんとも淫靡な雰囲気は、さすが花丸ブラックですね。
行為の最中、何度も「愛してる」と繰り返す恭平。でも、愛の意味を知らない舜に恭平の想いは通じない…体は感じ合っているのに、心は一方通行。切ないシーンです。
◆レビュー◆
さて、冒頭でこれだけのエロシーンを展開しておきながら、この後「もうセックスはしない」と言い出す恭平。
えっ?そうなの?もっとしようよ…と思ったのは、舜と私だけじゃないはず(笑)
…それはともかく、ここから舜のセックス依存症との闘いが始まります。
が、舜の病状自体がかなりご都合主義な上、「食事とセックスを切り離すこと」と「恭平への愛に目覚め、愛を発露としてセックスを求めるようになること」の区別も曖昧なため、ともすれば恭平による「舜の中で自分への愛とセックスを結びつけるための再調教」のようにも見えてしまう。(勿論作者の意図はそうではないんでしょうが)
そもそも、冒頭で、よりによって料理の並ぶ食卓の上でセックスしてる時点で、恭平ってほんとに舜の病状を気遣ってたの?って感じですし(苦笑)
そんなこんなで、いまひとつ感動の波に乗り切れませんでした。
ただ、恭平の側の葛藤も、相当大きいのは確か。
そういう意味では、舜の一人称進行ではなく、舜・恭平双方の心理を深く描ける三人称進行のほうが、共感できる部分も多かったのかなと思います。
一人では生きられない舜を籠の中で愛玩していたいという思いと、才能ある彼を世に出さなければならないという思い、愛しているから抱きたいという思いと、愛されてないのに求められるのは辛いという思い…アンビバレントな感情の狭間で葛藤する恭平の苦悩も、もっと奥深いところまで覗いてみたかったなと。
面白くなくはないんですが、面白いと言うには活かしきれていない設定や伝えきれてないメッセージがまだまだ残っていそうな中途半端感が…
タイトルが素敵で期待していただけに、個人的には微妙な後味の作品でした。
恭介の欲がなかったら舜は目覚めなかった。
セックスをしないと食事はしてはいけない。
恭介がいれてくれたココアが一番好き。
愛してるってなに?
女は嫌い、みんなうるさいし怖いから。
冒頭から恭介の悲痛な叫びが読み取れます。
朝から何も食べておらずお腹を空かせ恭介の帰りを待つ舜。ようやく、食事、、、の前にセックス。
セックス中に他意はないが、ご飯を口にする舜に恭介は悲しくなる。舜が求めるセックスの意味と恭介が求めるセックスの意味がまったく異なり舜に同じ気持ちを求める。
セックスをしない宣言を突然する恭介に自分を拒まれたようで悲しくなりパニックになる。
ご飯を食べるなと言われてのと同じだもんねー。
シネって言われてるのとかわりないよね。でも恭介はちゃんと言う。愛してるよ、舜。
舜は愛してるを理解できないからシネと言われたも同然。
舜の異常な体質は幼少期の性的虐待がかかわっておりますが謎のお兄ちゃん。
こやつ、、、、ど変態ですね。さらっと流されていてあくまで舜が愛の意味、セックスとはなにか?がメインです。
恭介のお兄ちゃんと同じになりたくない、愛してるんだ!と強い気持ちは他人には十分伝わるのにまぁったく舜には理解されず舜も拒食気味で読んでて編集者の人が可哀想でした(笑)
舜に囚われた恭介の足掻きが生んだ舜の再生のお話し
ラストはかっこいい終わり方だなぁと思いました。
バックボーンが暗いので、ドロドロとエグくなったらキツイ内容だけど
見事に昇華させてくれた感じでとてもよかった。
程よい中間地点って感じかな。
徹底的に幼児期の事件を掘っていけば社会派。BLにくくられず
読まれる幅も広がるかも。
けど、このくらいがちょうどいいとも思う。子供の不幸は現実だけで十分だし。
後半、准教授の己が執着心との葛藤もなかなか( *´艸`)萌え萌え
基本依存症の彼視点だけど、准教授視点からの1冊を読んでみたい。
そして何より宮脇蒼の詩を是非とも読んでみたいとも思う。
・・・にしても奈良千春先生のイラスト、、神です