好きになったらホントのこと、言えない…。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作ナイショのシンメトリ

藤堂櫂,21歳,人気上昇中の俳優,大学生
小鳥遊航,21歳,双子の兄,大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

雪の降る公園で、ダンスを踊る青年に恋してしまった小鳥遊航。
一年半後、おたふく風邪をひいた双子の弟・翔の身代わりとして大学の講義に出席した航は、その青年――若手イケメン俳優の藤堂櫂と再会する。
自分を翔だと思い込んでいる藤堂に「ずっとおまえが好きだった」と囁かれ、臆病で超奥手な航はどうしても真実を言い出せないまま、甘くとろけるファーストキスに溺れて……。
切ない思いが紡ぐ、甘い恋のシンメトリv

作品情報

作品名
ナイショのシンメトリ
著者
佐々木禎子 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048664172
3.7

(51)

(5)

萌々

(33)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
13
得点
185
評価数
51
平均
3.7 / 5
神率
9.8%

レビュー投稿数13

双子の兄弟愛がすごい

電子書籍で挿絵あり。
俳優をやっている大学生×攻のファンでゲイの大学生です。

序盤から、双子のお互いへの愛がすんごい(笑)。もはやこの二人でBLが始まるんじゃないかと思うレベル。お互いを大層魅力的な人間だと思っていて、お互いを常に褒め合う…こんな兄弟、いるんでしょうか(笑)。ただの兄弟愛と言うには濃すぎる関係だったので、双子エンドのアナザーストーリーがあっても良いかも…なんて思ってしまうほどでした。

佐々木禎子先生の作品は初めて読みましたが、文末の終わり方や心情の喩え描写が少し独特で、若干好みが分かれるかもと思いました。また、受の口調がふわふわしていてちょっとぶりっ子っぽいので、苦手な方もいるかもしれません。ですがストーリー展開は王道で、双子で入れ替わるっていうなら、当然実は弟の代わりに大学に行った兄の方を最初から攻は好きだったっていうオチでしょ、という期待に応えていただけて、安心しました。
二人が両思いになってからのエッチシーンは、めちゃくちゃキュンとしました。藤堂の王様のような態度も、好きという気持ちがベースにあると、甘さや色気と相まって、ものすごくイイ男感を出してくれます。

攻・藤堂を公園で見かけてから、出演作品を見まくるファンになった受・航。おたふく風邪になった双子の弟・翔の単位を救うため、翔のフリをして翔が通う大学に行ったところ、翔の友人である藤堂と直接関わることになって…というところから始まります。
双子ちゃんドリームですよね、入れ替わるのって。実際、同じ学校でクラスが違うと、たまに入れ替わって遊んでたなんていう話も聞いたことがありますし、演技力のある双子なら何の問題もないのかも。ただ、航は素直で不器用で、翔のような快活さはありません。翔の他の友人だけでなく、藤堂にも、なんかいつもと違うということには気付かれてしまいますが、そもそも「双子だ」という選択肢が普通浮かばないと思うので、別人だとはバレずに済みます。

その後も航はまた翔の代わりに大学や翔のバイト先に行くことになるのですが、その先々で藤堂と絡むことになり、藤堂は「航が演じている翔」にやたら執着してきます。
ある日、翔の代わりに出勤したバイト帰りに、藤堂の家で映画のDVDを見ることになるのですが、ここで藤堂が航に告白し、キスしてきます。このシーン、最高に甘いのですが同時に切ない。この時点では、航は翔のフリをしていて、藤堂は航を翔だと思っているのですから。でも、もしここにいるのが本当の翔だったから、告白できるような甘い空気にもならなかったと思います(笑)。

ついに自分たちが双子であることを打ち明け、「藤堂が好きなのは自分じゃなくて翔なんだ」と、失恋の痛手に苦しむ航。するとなんとここで、航がゲイだということに翔が気付いていたこと、それどころか翔もゲイで、さらにもっと話が進むと、翔の恋人がバイト先の店長だということが判明します。店長と翔はそういう関係なのかな〜と読者は途中でまあ察するのですが、航にとっては寝耳に水。この店長が良いアシストをしてくれた甲斐もあって、ようやく藤堂が以前からずっと気になっていたのは、翔ではなく航の方だったということがわかります。ここからの両思いエッチは、レビュー冒頭にも書きましたが最高でした。夜ごはんをちゃんと食べたのかだけ心配になりました(笑)。

ちなみに店長と翔のカップルも良い感じ。世話がやける大人と世話焼きな大学生で、二人のラブラブ描写はほとんどありませんが、相性ぴったりだと思いました!

0

ほのぼのキュートな入れ替わりもの

とっても可愛らしいお話。
久しぶりにこんなに良い意味で気を抜いて読める癒し系のお話を読んだな、と思いました。
現実の疲れやしんどさを吹き飛ばして、ただただ癒しの世界へと連れて行ってくれる。
当て馬も嫌な人も登場しないので安心して読めます。
あとがきで先生が初心を思い出して…と書かれていましたが、BL読み始めの頃の男の子同士のピュアな恋愛模様にきゅんとした気持ちだとか、そういうときめきを思い出させてくれる作品でした。
ふわふわ系の可愛さなので、やはり合う合わないはあるかと思いますが、綿菓子のようなお話がお好きな方はハマるかな?と思います。
双子ちゃんがね、本当に可愛いんですよ。
双子萌えの方にぜひ読んでほしい。

主人公の航は一卵性双生児のお兄ちゃん。
ほとんど同じ顔をしているけれど、航は内向的でややネガティブで、反対に明るい性格で社交的な弟の翔という組み合わせ。
この双子ちゃん達、側からみれば同じ顔をしているというのに、互いを1番可愛い!と言い張って聞かないのです。
もう、超が付くほどのブラコン!
兄ちゃんの方が可愛い!翔の方が絶対可愛い!…みたいな。
このやり取りが本当に可愛くて癒される。
あくまで兄弟としての溺愛いちゃいちゃが見られます。

双子そろってまだおたふく風邪にかかっていなかった2人。
先に航がかかり、翔が懸命に兄を看病。
やがて今度は翔がかかってしまい、大学の講義単位がまずいだろうと、翔のフリをして航が代わりに大学へ行く事に。
双子の入れ替わりものってわくわくしますよね。
ドキドキしながら「翔」として大学へ行くと、以前公園で1度出会って以来、ずっと憧れ続けていた若手俳優の藤堂櫂が居て…?と続きます。

お互いの一目惚れがきっかけとなった恋のお話。
双子で入れ替わっているのだけれど、翔として藤堂と接していく内にどんどん心惹かれていってしまうという王道もの。
普段のビン底眼鏡をコンタクトレンズにし、どうにかバレないよう翔として振る舞おうと意気込む航なのですが、根っからのぽわん…とした気質と性格と喋りのせいか、不思議と「なんだかいつもと感じが違くない?」と、周りをふんわり魅了してしまう。
航的には弟の翔っぽくふるまっているつもりでも、なかなかの天然ちゃんなので明らかに言動がおかしいのです。
その内向的な天然っぷりもイライラしない絶妙な加減で、庇護したくなってしまう可愛さなんですよね。
航を翔だと思い込んでいる藤堂に、自分は翔じゃないんだと本当の事を言い出せずにぐるぐるしたりもするけれど、予想通りのところにきちんと収まりますし、ビデオ店店長のナイスなアシストもあって切なすぎる事にもならず、終始甘い雰囲気のままです。
店長のアシストがなかったらなかなか進展しなかった気もする…
双子とビデオ店店長のキャラの濃さとエピソードに押されて、やや影が薄くなりがちだった攻めの藤堂ですが、「もっと話したい。好きだ。つきあおうよ」とストレートに口にする、不器用さ溢れる告白は青さたっぷりで良いなあと思いました。
思いを擦り合わせていく2人も自然体で良かった。
気になる所があるとすれば、このピュアな感じならベッドシーンはいらなかったかもなーとちょっと思ったりして。
もう少しお付き合いしてからの様子も長めに読みたかったなあ。
店長と翔のお話も読んでみたいかも。

色々と書きましたが、甘くて可愛くてきゅんとする、最高に可愛いお話でした!
テンポが良く読みやすいです。
小椋ムク先生の挿絵もとってもキュートなんですよ。
ストレスなく楽しめるお話が読みたい方におすすめの1冊です。

0

優しい効き方の癒し薬

『姐さん』で「トンチキではなくコメディですが」と教えていただいた一冊。
可愛らしい。
世の中は大型連休で湧いているのに荒んだ生活をしなければならない状況が、大変癒されました。

しかし『初心い恋』というのは、どうしてこんなに可愛らしいのでしょう?
薹が起って穂田となってしまったこの身の中にも、初心な気持ちがどこかにあるからなのでしょうか?
不思議です。

双子とか、兄弟で『遅れて罹るおたふく風邪』とかにも、萌えました。
歳が離れた兄弟でも複雑な想いがありますもの。
双子だったらもっと色々なことを思いながら生活をしているんでしょうね。
でも、兄弟愛も深そう。
主人公の航くんは、友達が多くはっきりと自分の気持ちを伝えられる弟の翔くんを羨みながらも憎まない。
ちゃんと弟として愛情を注いでいるんですよ。
この辺がね、とっても良かったの。ほっこりしました。

初心ということより、自分に自信が全く持てなかった若かりし頃のことを思い出して共感するから、こういうお話に癒されるのかもしれないですねぇ。

あと、作中に出てくる『劇団 クマ狩り族』が、若かりし頃好きだった劇団を彷彿とさせるものだったのも、このお話の世界に入りやすい仕掛けでした。小劇団が滅茶苦茶流行っていた頃って、こういう劇団がそれなりの数存在していたので「これは上手いな」と思いましたよ。

荒んでいる時、クタクタに疲れている時、激しい癒やし効果を持つお話です。
それも『ドリンク剤』的な効き方ではなく『漢方』風にじんわりと効く感じ。
体に優しいよ(いや、心にか?)。

2

宮寺

お薦めした作品にレビューして頂けする事が、
こんなに感動するなんて初めて知りました。
またfandesu様に絡まれる様、頑張ります。

店長(サブだよ)…素敵すぎ!

佐々木さんの作品でこういう普通の子たちのお話を読むのは、もしかしたら初めてかもしれません。
裏稼業のようなものはあるのですが。
まったくイメージ違いました。

**********************
受けの航は、片想いのベテランと自負する21歳の大学生。
体は細く小動物系。しかし分厚いメガネをかけ悲観的な性格が難点なゲイの青年で、正反対の双子の弟・翔と東京で二人暮らし。

攻めは売れ始めの俳優、櫂。
国立大に通う理系男子でありながら、190センチ近い恵まれた体躯で容姿も良く人目を惹く存在。
翔とは同じ大学で、実は知人。
**********************

以前一度だけ冬の公園で見かけた櫂のことを、忘れられずにいた航。
そんな櫂とは今後の人生交わることはないと思っていた航が、おたふく風邪を患った翔の代わりに行った大学で再会します。
そして櫂は翔に扮した航へ好きだと言うのですが…

視点は受けではありますがどちらかというと神視点のように感じる作品で、さすが小説道場出身のベテラン作家さん、淀みなく安心して読んでいられ、久々に文章だけで心地よい気持ちになりました。
やはり実力のある方って違うのだなと、実感いたします。
ワンセンテンスが短いことで、ハッキリわかりやすく描写されています。

読んでいて一番良いなあと思ったのは、攻めが受けへ対して告白と同時に「つきあおう」ということ。(そこ?)
なんというか男女だと当たり前の、告白とセットであるはずのこのセリフ。
実はあまりBLではお目にかからないのですよ。
好きの後は体の関係へ一直線!(好きですが…苦笑)というパターンがやはり多いので。
当たり前のことを当たり前に書かれる佐々木さん、好きですわー。

皆さまも上げられてましたが、この作品のお勧めはやはり航と翔の関係。
お互いがブラコンなのですが、これがけっこう言うことが可愛いんですよ。
特に翔ですが、航からうつされた風邪なら愛しいみたいな(苦笑
実際存在したら寒くなりますが、このイマイチ噛み合ってないイチャイチャ兄弟がすごく良かったです。癒し系です。まさか攻めキャラよりも何よりも嫌味でなくこのラブっぷりが繰り広げられるとは。
そして翔なんですが、これはアレですか、バイト先の店長とアレですか!年の差!美味しい!読みたいー。
というか、わたしは櫂よりもだんぜん店長の方が好きな攻めタイプなんですが!
まさかこんなところで大好きなタイプにお会いするとは…
スピンオフとかないのかなあ、リクエストしたいですよー!!!!
ちなみに電子で購入しましたが、挿絵付き口絵付きでした。
挿絵はともかく口絵がついているのは嬉しい誤算です。

3

ホンワカ、可愛いお話でした

初読みの作家さまでしたが、ムクさんの可愛らしい表紙に釣られ手に取ってみました。

自称「片思いのベテラン」の大学生の航。好きな人ができても、「友だち(あるいは先輩)」の関係を崩してしまうより片思いでいい、と告白すらできない。そんな彼が新たに恋したのは、航の双子の弟・翔の大学の友達で俳優の藤堂。ところが藤堂は翔のことが好きで…?

というお話でした。

一言でいうと、すんごく可愛らしいお話でした。

航の好きな藤堂は翔が好きで…、と聞くとちょっとドロドロなストーリーなのかなと思うのですが、航も翔も、お互いが大好きなブラコン。とっても仲良しなんです。お互い、自分よりも相手のほうがハイスペックと感じ劣等感を抱きながらも、こんなに可愛いのだから仕方ない、とお互いに思ってる、そんなブラコン兄弟です。
そして航はちょっと、というか、かなりの天然さん。
ゆえに、航は翔に対して黒い気持ちを持つことはない。

航のゲイならではの葛藤やコンプレックスについてもきちんと書きこまれてるし、彼の切ない恋心も切なくて良かった。翔の恋の行方も非常に気になりました。翔と彼の恋人のスピンオフも書いてほしいなあなんて思いつつ読みました。

ただちょっと残念だったのが、藤堂の素敵さがいまいち分からなかったこと。長身で甘いマスクのイケメンさん、というのは分かりましたが、内面的にどういう人なのか、いまいちつかめなかった。ので、そこまで素敵な人かなあ、なんて思いつつ。

いくら双子って言っても、さすがに親しくしている友達は騙せないんじゃないのかなあ、とか。
いやいや、航と翔は別人なんだから、さすがに何回も会えば藤堂も別人て気付くんじゃない?とか。
お母さん、おたふくの予防接種は受けさせてあげようよ…。とか。

突っ込みどころはそれなりにあれど、全体を通してほんわかと可愛らしいお話で、甘々で優しい雰囲気がお好きな方にはお勧めのストーリーでした。

甘々な雰囲気のお話に、ムクさんの優しい絵柄がとても合っていて、それもとても良かったです。

4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP