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最近、高3限定で有名な梶本レイカさんの本ですね。
私は梶本レイカさんの本を読むのは初めてなのですが、ちょうど高3限定読んでみたいなーと思っていた時にたまたまこの本を見つけ、衝動買いしてしまいました。
内容もシリアスそうだな、どんな物かなと多少は覚悟して読んだのですが、いろいろと予想の斜め上を行きましたね...
巣我の過去の話はとても胸を打たれますし、ラストで再会するまでのくだりも切ないです。鮮やかなピンク色の表紙も読み終わった後に改めて見るとその意図が伝わってきたりと、読み終わっても複雑な余韻が長く残りました。
終わり方については良かった・悪かったなど個人差がかなり出るような終わり方で、私はまだ良い方の終わり方だと思っています。狭い世界の中でもがきながら生きていた二人がやっと見つけた幸せですから、生まれた幸せに縋り付くような不器用な愛でも充分美しいと私は思います。これは梶本作品ならではなのでしょうか、胸に引っかかるものを残しつつも終わってしまう物語が儚さを感じさせました。
また、登場人物の繊細な表情も良いと思いました。巣我の愁いを帯びた表情や陸の必死な顔、この内容だからこそより笑顔が画面に栄えて綺麗に見えましたね。
心臓の奥を抉るような深い内容で読む人を選ぶ本だと思うのですが、何か考えさせられるBLもいいのかなぁと。これを期に他の梶本作品や高3限定にもチャレンジしてみたいです。
長文失礼しましたm(_ _)m
人の幸せ、不幸せは他人には到底分かりえない。
どんな傷を抱えて、今を笑っているのか。
どんな希望を夢見て、今日まで生きて来たのか。
でも、そんな他人同士が何故か惹き合う瞬間があるのです。
陸君も巣我ちゃんも、出会うべくして出会った
そんな気がします。
目に見える傷や怪我だけが痛みじゃない。
見えないものの中にこそ、痛みがあります。
この作品は痛いです。
すごくすごく痛い。
それでも報われる喜びと安心感と希望がここにはあります。
だからこそ愛しく、優しい気持ちになれるのです。
ただこの痛みは、恐らく、傷のない人には分かりえないもので、
そんな人には正直、どうにも刺激が足りないのかもしれません。
でもそれは幸せな証拠です。
梶本先生の作品は、今を生きる、同じ何かを抱える人たちの希望です。
きっと寄り添ってくれます。
だからもっともっと色んな人にこの作品に出会ってほしいな…
ヒロインはやり手デリヘルスカウトマンの巣我。表紙右側のおっさん(31歳・攻)です。
ヒーローは巣我にスカウトされた純粋で真面目な勤労少年の陸(23歳・受)。
出会った当初の立場は巣我優位だった関係性が、急速に変化していく物語でした。
こわばった巣我の心と柔軟な陸の心が触れ合い、反発し、少し重なる様子が面白く描かれています。
デリヘルとは全く縁のなさそうな陸をスカウトした巣我。
相手が必要としている言葉が分かる巣我にとって、純粋な青年を引き込むのは簡単な事で。失敗続きの就職活動に自信を失くしていた陸の心を、甘い言葉と飾らない言葉を交えて巧みにほだしていきます。
予想を遥かに超えてタフだった陸。
巣我の事が好きだと自覚した陸は、どんな客と寝ても変わらぬ眼差しで巣我を見つめます。
陸の強さに戸惑い、拒絶してしまう巣我。
面倒見がよく大人びて見える巣我の心には、深く根付いたトラウマがあって。
傷つけられた記憶ではなく、自分の無力さを呪う記憶。
優しすぎて一生懸命すぎただけの巣我が、自分を責める様子には胸が痛みます。
だからこそ分かる、相手が欲している言葉。
騙しているわけじゃなく、心の底から発する言葉。
けれど自分にはもう遅くて。
それ以上は踏み込めない、罪悪感。
自分が幸せにできなかった大切な人達が知らない所で幸せになっている、焦燥感。
そんな巣我の心を、今度は陸がほだしていきます。
傷つけないように、傷つかないようにすることが幸せなのではなくて。
2人で闘い乗り越えて行く幸せ。
2人なら。ちょっとの勇気と、ちょっとの愛で。
どうしようもないと思われたオッサンが幸せをつかむ、シンデレラストーリーのようでした。
おとぎ話と一緒で、大変なのはこれからですが。
この2人なら大丈夫。安心できるラストでした。
↓以下、受け攻めについてのネタバレですが、
ラストの展開は、巣我が「幸せになる」覚悟を決めた証として、とても大きい意味があったなぁと、非常に嬉しく思いながら読みました。単に好きなだけなんですが、リバが(笑)
デリヘルのスカウトマンと、その彼がスカウトした就職浪人の男の子の話。
誰かに必要とされたいと願っていた陸は、巣我の言葉に救いを見いだし、やがてそれは、巣我自身に対する恋情だと気付きます。
一方巣我は、15の頃、背負いきれずに逃げ出した過去に囚われ、愛というものに後ろ向き。
好きだという気持ちをぶつけてくる陸からも、また逃げ出します。
そして二人は一度離れてしまうのですが、偶然再会し、、
大切にされたい、
必要とされたい、
愛されたいと願いながら、15歳のまま蹲っていた巣我の心は、陸の愛で少しづつ成長していきます。
このお話、最後の書き下ろしで巣我×陸から陸×巣我に逆転しますが、結局の所、このお話って、魔法の呪いに囚われていた姫(巣我)を、逆境から王国を再建した王子(陸)が、見つけ出し、呪いを解いて妃に迎える話だと思えば、この展開で、この落としどころは、すごく納得できる。
絵も全体にロマンティックになって、読みやすかったです。
リバが大丈夫でしたら、梶本さん初読みの方や、「高3限定」がギブアップだった方にも充分オススメできます。
主に、裏社会を映し出している作品でした。
序盤から、とにかく認めてほしいとか、期待されたいとかが、
ちょこちょこ出てくる作品で、
なんか現代社会に問いかけてる気がしたんです。
ニュースでもこの言葉は、よく出てきますし、
この思いは、持っていてもおかしくないかなぁと個人的には思いました。
結構無意識にあったりしますし。
が、せっぱつまっている状況だと、
危険な世界へと足を踏み入れるきっかけにもなり得る。
そして、そのきっかけを作りそうな具体例が、巣我の過去話。
リアルにありそうな話です。
16で父親代わり。普通にやれる人って、相当な精神の持ち主な気が。
逃げたのではなく、年齢的にも、精神的にもそこまで来ていないだけ。
誰が悪いとかそういう問題じゃない。悪いとすれば、母親になるのかなぁ。
でもそれを教えてくれる人が、巣我にはいなかったんですよね。
途中で、店長がいいことを言ってました。
なんでこの立ち位置の人は、いいこと言う人が多いんだろう。 苦労人なんだろうなぁ。
そんな感じで、二人の愛の展開よりも、
そっちの話の展開に注目してしまい読んでしまった私であった。
どこまでも自分を責め続ける巣我が、かわいそうでなりませんでした。
陸の長きにわたる説得もあり、ハッピーエンドではありますが、
その陸も出会いのきっかけは、巣我だけが、自分を欲っしてくれるという理由。
BLという形をとっていますが、
社会問題をテーマにした一般の単行本を読んでいる感覚でした。
奥深いものが、たくさん含まれている、考えさせられる作品でした。
萌×2で。