表題作潜む答え

坂木正一 大学時代フリーダイビング同好会に所属
藤枝洋 フリーダイバー 坂木とは元・同好会仲間

あらすじ

大学時代、フリーダイビング競技中に仲間の一人を事故で失った。
残された二人の物語。

作品情報

作品名
潜む答え
著者
梶本レイカ 
媒体
漫画(コミック)
サークル
血と、<サークル>
ジャンル
オリジナル
発売日
4.5

(2)

(1)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
9
評価数
2
平均
4.5 / 5
神率
50%

レビュー投稿数1

陸に残される辛さ

梶本先生の他作品と比べて暴力的なシーンやグロシーンはかなり薄く、
そういう点では比較的読みやすかったです。

しかし、現実社会でも起こり得そうな悲劇には、また別ベクトルの痛々しさがあり。
すごいことが起こらない分、人生のやるせなさや哀しさがダイレクトに伝わってきました。


大学でフリーダイビング同好会仲間だった三人。
チームリーダー・榎波の競技中の死は、残された二人の人生にも影を落とす。
榎波の死後、逃げるように専属ダイバーへ転身し、父の下で淡々と記録更新を続ける藤枝。
榎波の子を身ごもっていた女性と結婚して家庭を築くも、藤枝との関係を続けている坂木。

ダイバーは陸に残ってくれる仲間がいるから安心して潜ることが出来るけど、陸に残された者は、それを見送ることしか出来ないもどかしさを感じていて。
ダイビングの描写に呼応するように、それぞれの隠された心理が明かされるシーンは、サスペンスの短編映画を見ているような緊迫感がありました。
隠された思いやすれ違いはあったけど、三人ともダイビングに明け暮れる日々を心から好きでいたんだなと思わせる回想シーンは切なく、決して元には戻れない過去だからこその輝きに満ちています。


※梶本先生の注意書きにあるように、bl的には地雷な人が多いんじゃないかという要素が幾つかありました。
不倫/死ネタ/三角関係/女性キャラ/攻めが妻帯者/攻めが美形じゃない/読後の爽快感がない/凄いこと起きない…など(注意書きより)。

個人的には、確かに読後の爽快感はないですが、読み手をも陸に取り残すような(モヤモヤするという意味ではなく)、哀愁漂うラストは好きです。
萌えとかよりも「潜む答え」というタイトル通り、水面下のそれぞれの心理を追う面白さがある作品でした。

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP