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ときは大正初め。
年の頃一五、六の少年ほたる(受)は、奉公先の茶問屋の遣いで、高利貸しの冬吾(攻)の屋敷を訪れる。
そこで自分が借金のカタに売り飛ばされたことを知り…。
冒頭、鬼のような大男がドーンとほたるの前に現れ
「とりかえず生皮でも剥いでみるか」
なんて言い出したときは
どうなることかと思いましたが・・・
なんのことはない、お風呂で体の垢を落としてくれるだけでした!
さらにほたるを妾ではなく使用人として雇い
読み書きまで教えてくれるという。
金の取り立てには厳しい冬吾ですが根は優しく
決して茶問屋を悪く言わないほたるの心の美しさや
聡明さを知ると、益々ほたるを可愛がる
…と、ベッタベタに甘いお話です!!
ほたるはとても健気で純粋。
まだ読み書きを習って間もない彼の
台詞やモノローグはほぼひらがなで綴られ、
それが何とも素朴な愛らしさ。
その中で「冬吾」の二文字だけは常に漢字というところに
冬吾への特別な感情がこめられています。
あるとき銃で打たれ寝込む冬吾の熱を冷ますため
自分の体を雪まみれにするなんて
一歩間違ったらコントになりかねない行動に出ますが、
ほたるのあまりのひたむさに
何てイイ子なの~!と素直に感動してしまいました。
そんなほたるを嘗めるように可愛がる冬吾(攻)。
実は自分の方がほたるを必要としていて
その意外な執着心の強さに萌えました。
大切な人を守れなかった過去、
高利貸しとして人に恨まれることはざらな現在。
気の休まらない日々を送る冬吾にとって
ほたるを可愛がることが
自分自身を癒すことにもなっていたのでしょう。
巻末の、数年後を描いた「いちご日和」は冬吾視点。
すっかり聡明な青年に成長したほたるに
デレデレ&尻に敷かれている冬吾がとても幸せそう。
ほたるがひらがな喋りでなくなったことは寂しいけど
成長しても変わらない健気さ、可愛さに
読者としても思わず目尻が下がりますv
短くても濃密な歴史をもつ大正時代の魅力や
ひらがな文字の愛らしさ、二人のラブラブっぷりなど
すべてが大変に好みな作品でした。
久々の大ヒットです!腐女子魂に火が付きました!
あらすじを読んで気になったら、手に取って損なしですよ~
王道だけど萌えました。。
舞台は大正、鬼と呼ばれる高利貸し×借金のかたとして捨てられた純真無垢な少年!
この受け君が本当にいい子なんだ!小賢しくなくて好きだ!!
テクノサマタ先生のイラストもあってる!受け君の健気さと小ぶりさが
すごくよく表現されていると思います(笑)
受け君にメロメロな攻め様も可愛いかった(^q^)
大好きな設定やらがこれでもかとてんこ盛りで本当にありがとうございましたw
テクノサマタさん大好きなのでほたるがホントに可愛かった(*´ω`*)
出来ることなら「いちご日和」の成長したほたるが見たかったー!!
冒頭のほたるがおにぎりを食べるシーンはなんかもらい泣きしそうになりつつ、おにぎりが無性に食べたくなりました。
昔の少女雑誌は、継母にいじめられても気高い心を失わない美少女が、最後に幸せをつかむ話であふれていた、と母に聞いたことがあります。
本当にそんな話ばかりだったのか、真相は定かではありませんが、母の心に強く残ったことは確かです。
私の母の思い出話を持ち出すまでもなく、「小公女セーラ」や、「シンデレラ」「おしん」など、古くから洋の東西を問わず、この手の話は多くの人の心を捉えて離さない、黄金パターンだと言えます。
そしてここにまた一つ、古来から愛されてきた伝統の物語が、BLという新しい姿をまとって、現代によみがえりました。
主人公ほたるが、非の打ち所のない良い子であればあるほど、そして継母の仕打ちが酷ければ酷いほど、ほたるが幸福になる過程で、いっそう読者がカタルシスを得られると、御堂先生は心得ていらっしゃいます。
その気持ち良さに、私などはエクスタシーさえ感じました。
ピュアですね、幼い心が徐々に恋を知ると共に切なさと苦しさを覚えるような
時にうるっとされられながらも読み終えると心の底にほんのり温かさが沸き起こる。
それに時代背景が大正時代で大正デモクラシーな感じもしてどこか懐かしさを感じ入る。
もっともそんな時代に生まれた訳ではないけれど激動の時代を過ぎて自由な時代の
到来を感じさせる年号な気がするのです。
もっともそんな時代も長くは続かなかった訳ですが、そんな時代に捨て子で子供のいない
商家にもらわれたのもつかの間、子供が居なかった家人に待望の子供が授かり
主人公のほたるは跡継ぎから一転最下位の使用人に成り下がる。
それも人並みの扱いをしてもらえず食事も満足にもらえず寒い中で休み
事あるごとにいわれの無いことで折檻を受けて最後は主人にだまされ鬼と呼ばれる
高利貸しに訳もわからぬ間に借金返済の利息分で売られてしまう。
可哀想な健気受けにランクイン出来そうなピュア&心優しき少年です。
鬼といわれる高利貸しの冬吾ですが、ピュアで多くを望まないほたるにいつの間にか
ペースを乱されて何度も鬼を返上してしまう展開になります。
ほたるみたいに甘ちゃんでは高利貸しとしてはやっていけないだろうと思いつつ
攻めになる冬吾の琴線に触れる何かがほたるにあるような感じです。
満足に字の一つも解らなかったほたるが冬吾と暮らすようになり心身ともに健康になり
冬吾への気持ちも少しずつ形になっていきますが何せまだまだお子さま。
冬吾の気持ちも実はほたるに対しては簡単な恋愛感情とは違うものがあったりします。
過去に失った冬吾の大切なもの、その内容も痛々しく切ない話でした。
個人的には、好きになった相手の心の中に一生消えない別の人間が住んでいるのは
実は苦手だったりします、死んだ相手にはどうしても叶わないそんな風に思えてしまう。
それがほたるは全てを受け入れて心の底から死を悼むことが出来る心根を持っていて、
優しく健気で心を暖めてくれるような感じもします。
後半で相手を思うが故に身を引こうとしてあわやの展開になりますがもちろん最後は
ハッピーエンドで終わります。
いとしいとしという心、そんなフレーズが心に残る作品でした。