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表題作硝子細工の爪

鍵本隆衛,28歳,勘当されていた本家次男
吉佐宏海,18歳,特殊能力を持ち本家で隔離生活

その他の収録作品

  • 硝子細工の指
  • あとがき

あらすじ

ある不思議な力のせいで、人と関わることを避けてきた宏海は、自分を怖がらず普通に接してくれる隆衛に次第に惹かれていくが…。

作品情報

作品名
硝子細工の爪
著者
きたざわ尋子 
イラスト
雨澄ノカ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344831117
2.5

(7)

(0)

萌々

(0)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
16
評価数
7
平均
2.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

特殊能力ファンタジー

ではありますが、特に構える必要ないと思います。

あとがきでも言及されていましたが、きたざわさんホントに最近このテの多いですね~。
もともと、こういう『特殊能力・ファンタジー風味』が多い作家さんではあって、別にそれがキライなわけじゃないんですが。

ただ、こちらはここ最近のきたざわさんのこの系統の中ではかなりいい方ではありました。もちろん比較の問題で。
つまり、こちらがよかったというよりも単に他の2シリーズがまったくダメだっただけなんだけど。


宏海(受)がマイナスの(呪い方向の)能力者で、結構重苦しい過去を背負っているわりに、いったいここまでの設定は必要だったのかと思うくらいにあっさり救済されちゃった感じ。すべてがあまりにも薄くて浅い。

とにかく、何から何までまさしくきたざわさんカラーそのものって感じでした。
年の差で、特殊能力を持って悩む10代の孤独で薄幸な受が、金も力もある攻に愛され(ついでに家族にも)受け入れられて居場所を得るというパターン。
なので、きたざわさんの持ち味が好みなら、余計なストレスなく安心して読めます。


正直なところ、すごく好きだとも面白いとも言えないんですが、それでも決してキライじゃないんです。確かに思い入れるポイントもないけど、イヤな部分もないから。特にキャラクターが。

きたざわさん作品では、攻キャラクターがどうしても受け付けないことも多いんですが、こちらの隆衛(攻)は特に魅力は感じなくても、(個人的)ダメ要素がないのでそれだけでもマシだと思ってしまう。

さらに、隆衛の弟・友衛が、最初出て来たときはもっと(きたざわさんの脇キャラクターにはよくいる、そして私は大ッキライな)悪趣味で鬱陶しいタイプかと警戒していたんですが・・・(きたざわさん作品には↑とはまた違う方向でよくいる)ワンコな弟キャラクターでした。それが好みってわけではないけど、正直ホッとしたよ。


しかし、続編『硝子細工の指』が・・・

表題作では前面に押し出されていたファンタジー設定はもういいの!?って感じでストーリーが進んで行って、終盤いきなり話が大きくなりかけ・・・たかと思ったらあっさり終了。これでいいのか、っつーか放り投げ過ぎでは?

う~ん、この続編はハッキリ言ってどーでもいいわ。
重要な(ハズの)脇キャラクターである、隆衛と友衛の従兄弟・保もなんか中途半端だし。


ホントに、少なくとも表題作はそれなりによかったんですよ。
さら~っと穏やかな気分で読めて、読後感も決して悪くないんです。

まあ、冒頭で書いたように、きたざわさんの最近の『特殊能力・ファンタジー』系統が個人的にはハズレだったので、こちらも期待しないで読んだら意外とよかったっていうのはあるかもしれません。

ただ、タイトルがまったく意味不明でした。意味を考えなければ、とても綺麗なイメージでいいんですけどね。

6

もう少し続きを読みたかった

ある一族に現れるプラスな力とマイナスの力、そんなマイナス、負の力を持って生まれ
思春期の感情の揺れとともに爆発して、大事な親友を失ってしまう。
そこからは、世捨て人のようにまだ18才なのに本家に保護される名目で離れに
軽く軟禁生活でもそれは強制されていると言うより受けになる宏海本人が外に出ることを
誰かをまた傷つけるのではと言う怖さからのひきこもり。

そんな状況が3年半、ある日本家の二男で過去のやんちゃが理由で分家に戸籍上だけ
分家にだされ、そのまま海外で暮らしていた攻めになる隆衛が10年ぶりに帰国。

一人離れで暮らす宏海の前に現れ、人を傷つける力がありそれを知る人間には
影では疎まれながら面と向かえば怖がられている宏海はそんな力なんて全然気にしない
ような隆衛に興味と3年以上もまともに人と話すことが無い生活を続けていた宏海は
帰国し本家ではなく、離れに自分も暮らすという隆衛に押されるように同居開始で
次第に自分のコントロール不能な力を気にしないで接することが出来る暮らしに
人間らしさと言うか普通の暮らしが出来るようになり、恋と家族を手に入れて
いくような超能力的な不思議能力を背景にした穏やかラブでした。

負の能力が消えるとか、きっちりコントロール出来てのハッピーエンドとは違うが、
自分を守り愛してくれる相手との日々で穏やかになっていく様子が素敵です。
こんな自分の感情の揺れで力が発動するなんて自分なら毎日誰かを怪我させてるなと
密かに思ってしまいましたね。

それに作品自体がシリアスだけれどほのぼのした雰囲気と攻めに甘やかされてるのも
好きな設定でよかったですね。
2編収録されていて、後半などはもっと続きを読みたいと思わせる終わりかたで
嫉妬してくれる恋人とその従兄弟とのその後も知りたい気がしました。

4

孤独な青年が恋をして救われていく

きたざわさんお得意のリアルな日常に一つのファンタジー設定。
ちょっと『飛べない鳥』の雰囲気を思い出しました。
今回は、恐怖や怒りの感情がその対象者に向かって負のエネルギーを爆発させることで不運を与える特殊な能力を持った少年の悲劇と能力者を生み出す一族の話。

二股かけた挙句逆ギレした親友の彼女に怪我をさせそうになり庇った親友に大怪我をさせてしまったことがトラウマとなり隠遁生活をしている宏海。
軟禁生活を送る現状を寂しいとは思っても諦め、むしろ外に出て人を傷つけることをお恐れて自分から人との接触を避けている。
そんなある日、本家の次男がアメリカから帰国しいきなり宏海の生活する離れにやってきた。その後、ブラコン気味の三男も同居することで賑やかな同居生活に戸惑いつつも喜びを感じているようになる。
外に連れ出してくれたり、怯えることもなく普通に接してくれる隆衛に徐々に恋心が芽生えていく。
本家の人たちも決して悪い人たちではなくどう対処していいかわからないことと落ち着くのを待っていたということらしいが、離れに放置というのはちょっとかわいそ過ぎる。
それでも、離れを改装したり環境を整えてくれたりと生活の面倒は見てくれていることには感謝している健気ないい子です。
恋をして精神が落ち着いてきたことで本家の人たちや隆衛の兄弟たちとも普通に会えるようなったことが嬉しそうで、どれほど孤独感に苛まれていたかと不憫です。

書き下ろしの中編は、隆衛の従兄弟で、幼いころから隆衛を一方的にライバル視している保の登場。
気に入らない隆衛の恋人を奪って溜飲を下げたいと思うおバカなところや、事業に失敗した鬱憤に付け入れられ宏海をあやしげな組織に売る手引きをしそうになるという浅はかなところはありますが根は悪い人じゃないみたい。
とんがった保も、ふんわりした宏海の性格に取り込まれたみたいです。
突然隆衛に恋敵宣言。

宏海が精神をコントロールできるようになって隆衛の仕事の補佐ができるようになる未来の続編があるとよかったな。

4

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