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表題作執着社長の初恋

道本万暁,28歳,飲食店事業会社社長
香西芳裕,28歳,立体造形作家

同時収録作品世界は君で満ちている

道本万暁,28歳,飲食店事業会社社長
香西芳裕,28歳,立体造形作家

あらすじ

幼馴染みで貧乏芸術家の香西を甘やかすため、食品会社の敏腕社長になった道本は、いつも暢気に笑う香西が可愛くてたまらない。
道本にとって香西の世話を焼くことは生きがいで、常に自社商品を香西宅に補充し、理解不能な売れない作品を秘かに買っては大事に保管している。
だが香西がコンクールで賞を受賞してから一変!
急に周囲が変わり笑わなくなっていく香西に気づいた道本は、一生笑顔で好きなものを作らせるためにある決断をして!?

表題作は、小説b-Boy('13年11月号)に掲載された「心10コぶんの初恋」を改題したもの。

作品情報

作品名
執着社長の初恋
著者
吉田ナツ 
イラスト
森原八鹿 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784799715369
4.2

(43)

(19)

萌々

(17)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
182
評価数
43
平均
4.2 / 5
神率
44.2%

レビュー投稿数10

ナツさん、是非新作を!

読了直後、思わずタイトルの様な言葉をつぶやいていた私。
最新作が2018年の『ひよこ、ロマンチック始めました!』じゃないかと思うのですけれども、あれからもう2年。
ああ、吉田ナツさんの書いた新しいお話が読みたい!

もう9つもレビューがありますので、感想のみを。
分類したらコメディなんだと思うのです、このお話も。
造形作品を造ることだけに夢中な香西と、その香西にベタぼれだけれど嫌われたくないばかりに親友ポジションを取り続ける道本の噛み合わないやりとりは、とても可笑しいだけでなく可愛らしい。

そしてね、香西の芸術家ぶりが凄いのです。
勿論、色々なタイプの芸術家がいるとは思いますよ。ただ『芸術バカ』って、才能のあるなしは置いといて、香西みたいな人が多い様に思うのですよ。
その芸術性は一切解らなくとも、そんな香西が創作しやすい環境を必死に作り上げてくれる道本って、もう、最高のパトロンだと思うの。
アートの周辺にいる方々は、香西が羨ましくてたまらないだろうなー……

でもね、そんなホンワカだけではないのですよ。
私、何度も泣きたくなった。
「なんでここで泣きたくなるかね?」という様な、思わぬところで泣かされるんです。

大げさかもしれないのですが、その涙は『生きている寂しさ』から来る涙の様な気がしました。だからこそ、この2人は離れられないのだろうとも。

『あまあま』で『ほのぼの』の王道でありながら、こんなに『ラブラブ』していながら、その根底に寂しさが揺蕩っているという、極上のお話だと感じました。
読んでいる最中は、辛い浮世を忘れたよ。

2

いいお話。とても好き。

この作者様の描かれる攻めいいんですよね。
道本が報われて本当に良かった。
二人とも本当に可愛くてマンギョウも可愛くて幸せな気持ちになりました。

香西は一緒にいられるのが当たり前過ぎて意識してなかっただけなのか。
特別過ぎてだったのか?ちょーっと鈍すぎやしませんか?
と思いながら読んできて最後にマンギョウの命名秘話でなるほどとは思った。

二人の関係性やお互いの心情がとても丁寧に描かれているから、おいてけぼりにならずに二人の言動や気持ちに納得しながら読めました。

道本所蔵の香西作品たちは今後公の場に出てくるのでしょうか?
個展ひらいちゃえ。

1

言葉のチョイスが面白い

中編2編
表題作+「世界は君で満ちている」

表題作はやり手社長の道本(攻め)と立体造形作家の香西(受け)の二人の幼馴染が長い両片想いの末くっつくお話。

道本は早くから香西に恋していましたが、芸術的センス以外ポンコツの香西は道本に恋していたのに、恋心がわからずスルーしてしまいます。失恋したと思った道本は親友ポジションだけは死守しようと親友に徹しています。
ある時、香西の作る作品の理解者が現れ、今まで全く認められなかった香西の作った作品が大きい賞を貰い、平穏だった二人の関係が動きます。

表題作は両方の視点があるのでどちらの心情もわかって面白かったです。
特に道本の香西に対する想いが面白かったです。
普段の香西がすごく綺麗に見えて困るので、嫌いになるためにおたふく風邪の時や顔中蚊に刺されてるときなど不細工な時を狙って顔を見に行ったのに今度はそれが可愛く見えるなんて末期ですね。そんな状態でよくも別の人と結婚しようとしたものです。道本の心に別の人がいることに気が付いた婚約者が身を引いてくれなかったら、実は両想いだったのに悲恋になってしまうところでした。

香西は道本のことを親友としか思ってないのかと思っていたんですが、飼い犬のマンギョウと道本さえいれば幸せで、道本が来てくれたら創作意欲が湧くって状態なのに恋してるってわからないなんてびっくりです。
定期的に訪ねてきていた道本が、長期間会いにこなくなって初めて気がつくなんてどこまで鈍感なんだ。どんなに忙しくても道本が会いに来てくれるから気が付かなかったという、香西中毒の道本にとって皮肉な結果でした。


「世界は君で満ちている」は
香西視点で、初めての恋にスランプに陥ってしまった香西がスランプを脱出するまでが描かれていました。
金儲けには長けている道本ですが、お金を使うのはとても下手で、「香西を贅沢させるために金儲けに勤しんでいるのにおまえが使わないでどうするんだ」と開き直ったところも笑えました。
もともと浮世離れして制作活動以外を放棄していた香西が人並みに恋愛するようになり、恋に浮かれてイマジネーションが湧かなくてスランプに陥り苦しむ中で、「自分が誰の役にも立ってない」と落ち込み悪循環に陥ってしまうのですが、道本は何もできない自分でも側にいないと駄目だ、二人が離れずに側にいることが二人にとって生きる糧なんだとやっと理解できたことによりやっとスランプから脱出できます。
後半のお話は、はっきり言って、周りを巻き込んだ二人の盛大なノロケ話でした。
香西1人では三途の川が渡れないだろうから、先に死んだら待ってるし、香西が先に死んだら直ぐ逝くから待ってろって凄いですよね。

この方のお話は、登場人物の言葉のチョイスが楽しいので好きです。
芸術家の香西が好きなのに芸術は全く理解できなくて、香西が作る作品をすべてゴミクズと言い切り、香西が海外の大きな賞を取った大作には他の人が評価する中、道本とその秘書は「イカやタコが勝負している」「崩れかけた巨大な蚊取り線香」と表現していて笑っちゃいました。でも、陰では香西が作った作品を買い取ってるんですから健気です。
香西がマンギョウをおんぶしてその香西を道本がおんぶした状態を「ブレーメンの音楽隊」と表現したのにも笑えました。暗い中にそんなのに出くわしたら腰抜かしそうです。

香西にとって自分の作るものを理解してくれる人がいるのは嬉しいことですが、道本にそんなことは求めておらず側にいるだけでよくて、お互いの魂の深いところがお互いの形にぴったりあってるなんてなんて素敵なんでしょう。

香西が別の人にかっさらわれた途端仕事をする気がなくなってしまうのも、生きる原動力が香西によってもたらされていたんだと感じられます。お互いの想いを確かめあって、初めてのとき道本にも服を脱ぐように要請する香西に服を脱いだら理性が飛んで危ないからやめておいたほうがいいと真剣にアドバイスする道本にも笑いました。
普段強気な道本が香西にだけは弱いのが面白いかったです。

1

なんか、好き!

電子書籍版を購入。
表題作とその後の二人を描いた「世界は君で満ちている」が収録されています。。

またもや、ツボりました。
神評価です。

この作者様の『一途な独占欲』にはまり、自分の中で吉田ナツ祭りを開催中。
最新のものから過去作品まで、いろいろと読みあさってます。

いいですね。
いちいち、ツボります。
木原音瀬さんの作品が大好きで、ぬるい激甘溺愛系は苦手だったはずなのですが、なぜか、この作者様の作品は不思議とピッタリ好みに嵌まります。

どうしてだろう??
共通点って、あったかな?

うーん。
あ、そうか。
心理描写が丁寧で、話の運び方に無理がなく、説得力があると言うところが共通しています。
よくある、ご都合主義とは違います。
醜いドロリとした部分もちゃんと描かれています。
だから、読者にも響くのかもしれません。

さて、この作品の攻め様と受け様。
『溺愛飼い主と可愛くない猫』にも、ちらりと登場します。
攻め様は嫉妬深くて、受け様は才能がある有名アーティスト的な位置付けでちょっと、印象が違うかな。
いや、最後の立ち位置どおりか……

3

執着社長が受けのこと好き過ぎて最高!!

久しぶりの神作品です!!
オススメされていなければ絶対に手に取らないであろう甘々な表紙ですが、予想を裏切る面白さでした。
キャラクターやストーリーにただの執着物とは一味違ったオリジナリティがあります。
まずとにかく攻めの受けへの愛情が凄い!!
攻めはポヤーっとした受けに対して言いたい放題ですが、自分だけのものにしようと強引に奪うのではなく、まるで世話焼きオカンのように、好きで好きで、ただ笑っていてほしいと尽くしてます。
立体造形家の受けの芸術性が全く分からずボロクソ言いながらも、受けが好きなことをして一生暮らせるように、自分が稼ぐとビジネスに燃えてる筋金入りの受けバカです。
学生時代にたこ焼き割り勘したメモまで全部残してるってどんだけ(笑)
ストーカーばりに年季が入ってるし、諦めようとしてもどうにもならない葛藤が可哀想なくらいで、でもそれがイイ!!
大人気ないガキ大将みたいな口ぶりや受けのこと好きすぎるがゆえの発言の数々もツボでした。
受けが常人ではなく、1本ネジが飛んでたのも斬新でした。
マンギョウの由来を忘れてたって、どんな思考回路?!
テンポの良いボケツッコミのような会話に笑えつつも、2人の想いが通じ合うまで、そしてその後、様々な葛藤がありながらも、やっぱり離れられなくて、一生いたいと攻めが切望する姿に思わず涙してしまうほどでした。
攻めの欠けた部分に受けがすっぽり入ってしまってもう攻めの一部になってしまったという表現がまさにそうだったのかも。
笑ったり呆れたりしながら2人を温かく見守りたい作品でした!

6

笑えて、泣けて、ほっこりしました

答姐トピで「受馬鹿の攻のお話」とご紹介いただいて読みました~。「執着社長の初恋」…このタイトルと、執着社長側で書かれてるっぽいあらすじだけだったら自分ではきっと手に取らなかったと思います。読んでみたら…久しぶりに会心の「神」評価でした!面白かったです。笑えて、泣けて、ほっこりできて、萌えました。

香西(受)と道本(攻)の視点が交互に登場します。二人は幼なじみですが、ありがちな「両片思い」ではありません。香西→道本は完全な友情で、道本→香西は完全な恋心。面白かったのは、かつて道本は香西にちゃんと告白して振られてるんですよ。けれど香西はそれが道本の真剣な恋愛の意味での告白とは思っておらず、振った認識もない。香西のことは諦めようと決めたものの…紆余曲折あって、もうこの恋心が消えるまで親友でいようと道本は決意しているのです。

長い片想いの間、綺麗すぎる香西の不細工な顔を見れば恋心も消えるはず…と、おたふく風邪を引いた香西のもとへダッシュでお見舞いに行く道本が微笑ましかったです。結局「だが、不細工な顔も可愛い」となってしまうあたり、完璧でした(笑)

香西に真摯な想いを寄せている道本ですが、表面上はちゃんと親友として気の置けない間柄であるところも非常に良かったです。また、香西はかなり天然キャラではあるのですが、いつも真剣で、道本が裏から手を回していたことを知ってもさらっとしていて非常に気持ちのいい青年でした。

本編(表題作)では無事に両想いになったものの行為としては最後まで辿り着かなかった二人。後日談で絆が深くなるとともに次のステップへ…という展開ですが、二人の精神的な繋がりがしっかりと強固なものになる会話があり、個人的にとても共感できて思わず涙ぐみました。こんな風に未来を約束できたら本当に本当に素敵で、そうありたいと思いました。

物語の起爆剤になる当て馬っぽいキャラクターもいて、中だるみすることなく最後まで楽しく読めました。吉田ナツさん、初読みの作家さんでしたが他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

6

幸せなカップル

なんだかシンデレラストーリーのような表紙だと思ったのですが、雰囲気が真逆の幼なじみのお話です。

主人公の香西がかなり変わったキャラクターでしたが、それが魅力な作品だと思います。反対にこのキャラクターが好みかそうでないかで受け入れにくい話になってしまうかも…と思いました。

売れない芸術家の香西に昔からべたぼれの幼なじみ・道本は会社社長。
誰も買わない香西の作品を買い付けて、食べ物を差し入れてあげ、こまめに面倒をみて・・・香西自身は売れなくても好きなものを好きなときにつくっていつも笑顔で幸せ、というキャラクター。
外見は綺麗で個展の仲間からも「綺麗に笑ってたらそれでいい」みたいなことをといわれてものほほんと気付いていなくて、貧乏だとか売れないとかはどうでもよくて、周りにも恵まれた幸せな人間だと思います。

香西は道本に傾くまですごく時間を費やすんですが、27歳になっても道本に触られたらドキドキしてお腹の下が熱くなるから苦手、反対に同業者の結城は触られてもなんとも思わないから平気。結城とは付き合えるかも…という思考回路はこの歳にしては鈍感すぎるのではと思いました。

道本は経営者として成功してるけど、香西を生きがいにしていて、お金を稼ぐのも全て香西のためだと言いきっています。
前半は結ばれるまで、後半はくっついてからの二人なのですが、香西のためにお金を稼いでいるという道本と、道本が好きすぎて創作活動が出来なくなるという香西は、清々しいくらい互いのためだけ、というある意味で馬鹿がつくくらいの幸せなカップルだと思いました。

ホントにお互いが大好きすぎてのろけを見ている気分になりましたが、その分最後に一緒に死ぬ約束をするところがすごくじんと来ました。
このおバカなラブラブカップル!・・・と言ってしまえばそれだけなんですが、それを超えて可愛いと思ってしまうこの文章の書き方は本当に素晴らしいと思います。

2

「社長」じゃなくても良いかも…

吉田ナツさんの新作、
アマアマな表紙に腰が引けて、しばらく遠巻きに様子を伺っていましたが、
読ませて頂ける機会に恵まれ…夢中になって数時間で完読しました!

面白かった~(≧∇≦)!
タイトルから、クールなスーパー攻め様を想像していましたが、
実際にはハートフルな同級生もので、いい意味で裏切られました。

しがない立体造形作家の香西(受け)は、
ボケ発言連発の、ほんわか天然チャン。
ですが、自分のやりたいことや夢がハッキリしていて、
善悪の判断がきちんと出来るところが好感度大でした。

道本(攻め)はとっても好きなタイプでした~。
才色兼備のイケメンでありながら、香西にメロメロ。
普段はクールで仕事もバリバリこなすのに、香西に関しては
正直、かなりの残念っぷりです(笑)

香西はアホな子なので、道本の恋心には気付きません。
道本がちょいちょい発動するボロにも、
自分の中でつじつまを合わせて納得してしまいます。
その思考回路が予想外すぎて、
噴き出してしまう場面が多々ありました☆

ただ、香西の作品を、彼の生活を助けるために
道本が内緒で、全て買い取っていたというくだりは
それって香西にとっては嬉しいことじゃないよね?と思ってしまって、
それが露呈する場面は緊張しましたが…、

「父さんが買ってるのかと思ってた」(香西)
「俺じゃ!」(道本)

の、明るいやりとりに脱力しました(;・∀・)

二人ともおバカで良かった~(笑)
…それでいいんかい☆と思わなくもなかったけど…??

脇役も全員が良かったです。
香西に内緒で道本が雇った、画廊のオーナーや宅配便のバイトが、
登場するたびに口をすべらすのは笑っちゃいました。
当て馬先生の引き際の美しさもなかなか良かったです。

そして、道本のクールな秘書は特にキャラが立っていて、
眼鏡美人な挿絵の雰囲気もすごく好みでした!
後半、彼が幸せになれたことが嬉しかったです。

ラスト付近で、自分の、道本への恋心に気付いた香西が、
いてもたってもいられず、ほとばしる想いを、
沢山のハートのオブジェで表現するシーンが好きです。

スランプに陥り、作品作りが出来ず、
気持ちが取り残されたまま作っていたハートを、
やはり自分が作りたいものはこれだ!と認識する場面。

芸術の神様が降りて来たと香西が感じるあのシーンは、
それまで追いつめられていた彼の辛さと、
道本への純粋な恋心を感じて、胸が熱くなりました。

道本の香西への甘やかしっぷりが、
ちょっぴり金銭に物を言わせている感があり、
これもあって「社長」という要素は外せないのかも知れませんが、
せっかく同級生同士なのだから、
幼馴染としての暖かい関係で展開させても良かったかと思います。
二人とも似た者同士の愛すべきアホなので、
なおさらそう思ってしまいました。

犬の名前の由来にはヤられました!
出オチ感はたっぷりでしたが(笑)、
ワンコエピで神寄りの萌×2にランクアップです♪

7

キュンキュン☆スイートラブ

表紙から漂う雰囲気を決して裏切らない優しさに満ち溢れたスイートラブに
気付けばすっかり魅了されて、ひたすらキュンキュンしっ放しでした。
コミカル調な作品ではありますが、要所要所に盛り込まれた可憐な恋の甘酸っぱさやもどかしさ、降り積もっていくような愛情の深さを感じてキュンとしたり癒されたり、恋の素晴らしさがとてもよく伝わってくる作品です。
そんな魅力的なストーリーを更に彩っていく個性豊かな登場人物達がベースにある甘々さをとても良い感じに調節しているように思えました。
実に絶妙なバランスです。

アバンギャルドな芸術作品を次から次へと作出す立体造形作家の香西、本人は情熱を込めて創作活動を行ってはいるのですが、これが全く売れないんです。
香西の見た目はとても綺麗なのですが、いつも何処かしらヌケていて、ぽわぽわ朗らかでチャーミングな男性なのです。
そんな香西を存分に甘やかしては、何から何まで世話を焼いて強力なバックアップをする敏腕社長の道本。
一見すると冷たそうなイメージを放ち、外ではビジネス用の顔をサラリと作る敏腕社長の一面を見せたりもするのですが、香西に関することとなるとてんでダメなんです。
香西のことが心配でどうしようもなく、彼のことを考えるとひたすらグルグル状態に。
おまけにやることなすこと豪快で、香西には並みならぬ執着心と変態心を発揮してしまうんですね。
どんなに忙しくとも足繁く香西の元へと通っては、わざわざ食料を持ってきたのに「ついでに持ってきた」などシニカルな態度をとってしまう道本が何とも可愛らしいです。
どんな態度をとろうとも優しさ駄々漏れですがw
途中、有名美術評論家の結城や道本の秘書・朝河がそれぞれにアプローチをしてくるのでしたが…
結城も朝河も魅力あるキャラなので全く憎めません。寧ろ好印象でした。
こちらの方々のお話もいつかじっくりと読んでみたいですね。
香西の愛犬で柴犬のマンギョウちゃんもすごく可愛くてほっこりしちゃいます。
飼い主に似てちょっぴりマヌケなところがまた良いのです♪
ブレーメンの音楽隊のシーンにめちゃくちゃ癒された~☆

キュンキュンがたくさん詰まったユーモラス作品で、最初から最後まで本当に楽しかったです(*´ω`*)
受けちゃんが愛されまくってる作品を読みたい方には、特におススメな一冊です♪

7

甘やかしたい男

吉田ナツさん、お久しぶりです!!
切ない系をお書きになったらきゅんきゅん間違いなし!と思っていたら
今回は冒頭からコミカルで楽しかったです☆

香西は売れない立体造形作家で、
一般人には理解しがたい作品ばかり作っています。
クソ暑いさなか、鉄を溶接する様はたぶんかなり異質かと…w
でも、見た目はとても中性的で綺麗な男で、
小学校から付き合いのある道本が惚れ続けているのです。
道本は親の飲食店事業を引き継ぎ、英語も広東語も操れる
かなり出来る香西とは真逆のタイプ。
口ではあれやこれやとやかましく香西に言うものの、
放っておくと食すらままならないのを心配しすぎて
仕事が忙しいにもかからわず足を運ぶのでした。
香西の祖父母に可愛がってもらった恩もあり、
一見冷たそうな男前ですが情はとても厚いのです。
そんな道本が、香西の犬に吠えられる度に
「くりゃ」と(「こら」ではないw)言う姿が微笑ましかった!!

香西の情けない姿を見ても、不細工な表情を見ても
なんでも可愛いと思ってしまうとか、
香西の作品が売れない為、裏から手をまわして人を使って買わせたり
自社の良質な冷凍食品を持って来たり過保護すぎ!!

過去に想いを二度伝えても本気でとりあってくれなかった香西。
道本の秘書・朝河は、いい加減諦めた方がいいと言いますが…。
この朝河が、仕事はできるしクールな男ですが
合理的なようでいてもやっぱり気遣いもあり、憎めないので好きでした!

あるグループ展を境に香西の作品が脚光を浴び、
有名なイケメンキュレーターの結城がアプローチしてきて
ちょっとした四角関係っぽい展開でした。
(朝河はわりとあっさりした感じでしたけども)

やりとりが軽快で、するする読めるのですが
どうにも某漫画家シリーズとところどころ類似している気がして
どうなるの!?というどきどき感を得られませんでした…ごめんなさい。
あそこまで香西が生活能力が無いわけではないのですが…。

あと道本が、香西のスランプ(ハートの物しか作れない!)に対して
「いい作品を作れなくなっても香西は香西だ」と言うのは
愛かもしれないけど
本当は他に何か作りたいのに作れない芸術家の葛藤を
わかってあげられないのは仕方ありませんが
その点は結城の言い分を支持したくなりました。

うーん、道本が香西に贅沢させてやりたいが為にバリバリ働くのは
リアルではうらやましい限りだし、愛が原動力って最高ですが
香西は道本と一緒にいられればいいんだから
あんまり押しつけがましくしないで欲しい面もありましたし
ぽわーとした天然な受けが個人的にそんなにツボでは無いようで…。
色々すみません。

でも吉田ナツさんの作品を読めて良かった!
道本が香西への気持ちを断とうとするシーンでは
きゅぅぅぅとしました!!
…ただ、香西の犬の名前はほとんど出オチと言ってもいいと思いますw

7

この作品が収納されている本棚

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