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オメガバースの世界からの異世界転移


階段から落ちたらそこは小説の世界だった。

ブラック企業に就職したばかりの奏歌(受け)は疲れた身体を引きずっての帰宅途中、駅の階段から落ち、気がついたら天蓋付きのベットで寝かせられていました。
奏歌は「予言の間」という王族しか入れないはずの場所に倒れていたというのです。
話を聞くうち、ここが途中まで読み進めていた小説と同じだということに気が付きます。
主人公のニイナ王女が旅立ち運命のつがいである騎士と出会う話なのですが、その前に兄である第二王子キール(攻め)が毒殺されるという悲劇が待っていることを思い出した奏歌はそれを防ぐべく何をすれば良いかと悩むのです。
そして、毒に効くという「明けの明星からこぼれ落ちる奇跡」を探すのですが、それがなんなのかわかりません。


奏歌は小説を途中までしか読んでいないため結末がどうなるのかわかりません。それでもキールが毒殺されることや首謀者が義母の王妃と占星術師であることはわかっていて、その情報をキールに話すことができず思い悩みます。

オメガバース設定は忘れるくらい出てきません。そんなのあったと後から思い出すくらい。
小説世界の悲劇をどう回避するかというのが目的のはずですが、悩むばかりでちっとも進みません。それよりはキールとの仲の進展やニイナたちと仲良くすることに重きが置かれているようで、読んでいて少しもどかしく感じました。

結局、悲劇が起こりかけるのですが、どう見ても奏歌のやった行動は悪手で、キールの動きが無ければ悲劇になるところでした。
予言の間という特別な場所から現れたのだから、他国にも実績のある場所であるし、自分が知っていることを話したら話が早かったと思うのですが、なぜこんなに慎重なのか。
神が遣わした人なのだから信じてもらえると思うのですが。
全てが終わってからやっと小説の話をするというお粗末さで、小説で悪人だと分かっていても、外面に騙されてるしで、どうにも締まらない話だったように思います。
読んでいて終始イライラしました。

オメガバースであってよかったのは、運命のつがいということで、2人が結婚するのに障害がないくらいなものではなかったかしら。

残念ながら、そんなに面白いと思わなかったのは、これはBLである必要があるのかという内容だったから。奏歌を女性に変えてもそのまま話になるくらい。
子供さえ産まれるならどっちでもいいという感じがしました。


全てにおいてローテンションな人なのには理由がある



期間限定で出向してきた上司と有能な補佐役

東京の親会社から出向してきた藤木(攻め)の補佐に入ることになった園田(受け)は、少しづつ打ち解けてきた頃、
出張で泊まるはずの部屋がツインでなくダブルだったというBLあるあるをきっかけに告白されます。今まで告白されては付き合うというのを繰り返してきた園田は「どうせ年末には東京に帰る」と付き合うことにするのですが‥

大きな事件がある訳ではありませんが、淡々とした毎日の中で、年下らしくぐいぐい来る藤木に絆されていく園田がどういう理由で執着を持たないのか、どう着地するのか、哀しくなったり、応援したくなったりしながらしみじみと読みました。

藤木は25才の男性ですが、一目惚れした好みど真ん中の園田をぐいぐい押して手に入れるさまはかわいいです。

一度懐に入れたら深く付き合う藤木と浅く広く付き合う園田。園田のは本来の気質でなくて、子供の時のトラウマから執着するたちだからこそ執着しないことに執着した結果だと思うと切ない。

幼少期からの転勤生活の連続で友人関係が保てず、両親も離婚し、すっかり拗ねてしまった結果、来るもの拒まず去るもの追わず、
いつもにこにこふんわりやさしく、
ゆるっと流れに任せて生きてきた園田が自分から動いて、藤木の元彼にも流すのではなく言い返して、藤木に甘える姿を見た時には、ちゃんと自分を出せるようになってよかったと思いました。

無理のない遠距離(2時間はそれほど遠くないと思うけど)恋愛をしてほしいですね。
耐えられなくなったら転職して東京行けばいいしね。


タイトル通り


竜人と聖女召喚された異世界人


聖女召喚の〝じゃない方〟と判断された晴(受け)は早々に城から追い出されてしまいます。
生きていくために足掻こうとする晴ですが、ふと自分がほぼ全ての属性の魔法が使えることに気が付きます。国に知られたら連れ戻されるかもしれないと慌てて国外へ逃げようとするのですが、運悪く乗った馬車が魔物に襲われてしまいます。そこを助けてくれたのは街ですれ違ったものすごい美形の男性でした。自分を竜人で晴は自分の番だという美形フェルナンド(攻め)。
誓約のある身で己のことを話せない晴はそれを受け入れることができませんが、出国したい晴と晴を甘やかしたいフェルナンドとの思惑が一致した結果、フェルナンドの出身国へと連れて行ってもらうことになるのです。

いきなり魔物に襲われて魔力暴走を起こし、魔力不足になってしまった晴に魔力を譲渡するため、よくわからないまま契ってしまうところから2人の関係ははじまりますが、その後は終始真摯な態度で愛を乞うフェルナンドはすごい紳士でした。
思いを返してもらえないかもしれないのを覚悟で尽くすフェルナンドに守られて甘やかされるお話でした。
途中ピンチもありますが、フェルナンドがいれば大丈夫。

巻き込まれたと思われていたのが実際は逆で晴の方が聖女(聖人)だったというのもお約束。
あんな性格の悪い女が聖女だなんてこの世界の女神は見る目がないなーと思いましたが、そーだよなーと思ってしまうくらい感じの悪い女でした。
あの女がこの後幸せになれるかはわからないが、どうせなら後悔しきりで生きてほしい。
ほんとやなやつでした。

50年単位くらいで出る召喚の儀式。異世界からの誘拐という非道な手段は晴たちで使えないように画策してくれるといいなと思います。自分の国のことくらい自分たちでなんとかしろっての。

あと、番が同性でもありの世界なら、番なら同性でも子供が生まれる仕様ならよかったなー。2人の子供が見れたらさぞや可愛いだろうに。

番が認知できるのは竜人のみ。
他の種族が番の場合、相手はわからないから強引にことを運ばないという先人の知恵を、フェルナンドはちゃんと守ってえらいです。
きっといろんな悲劇や諍いがあったんだろうな。

初めだけ晴が大変ですが、フェルナンドと会ってからはずっと安心できる楽しいお話でした。

先生初のオメガバース


アプローチが面倒すぎて契約結婚したい御曹司アルファ × 自立したいオメガ


オメガ保護施設の職員の千歳(受け)はベータと偽って働いているオメガです。
保護されているオメガとアルファのカップリングを担当しています。
現在面倒に思っている担当アルファのレスター(攻め)はアメリカでも屈指の名家の御曹司で、結婚しろコールに辟易して契約結婚する相手を探しています。毎回遅刻してくるし傲慢な態度だし、オメガとの面談には毎回千歳を同席させるしと迷惑ばかりかけられています。
やっと何回かの面接を終え次の段階へと進むことになったレスターですが、2次段階のデートを飛ばして擬似同居を行うトライアルにしたいと言い出します。今回も千歳も同席で。
何とか断りたい千歳でしたが施設長からも許可が出てしまい、仕方なくトライアルのホテルに向かうと、結局相手のオメガが怖気付いてしまいお流れに。
なのに、大雨で道路が封鎖され家に帰れません。そんな時によりにもよって突然ヒートに襲われてしまい、レスターの関係を持ってしまいます。
それからは、レスターからのアプローチが始まります。契約結婚なんてまっぴらと思う千歳ですが、少しづつ距離が縮まりつつあるある日、施設のオメガの誘拐事件が発生するのです。



エリート一家に生まれた千歳はオメガだとわかった途端結婚して子供を産むことを強要する父に嫌気が刺し、傲慢な婚約者に襲われそうになったことをきっかけに、家を飛び出しオメガの保護施設に入り、ヒートが来てないためベータと偽り施設で働いています。いずれは大学に行き教師になりたいと思っています。
そんな時会った瞬間ざわざわする存在がレスターでした。

ヒートが来ないオメガが、心をザワザワさせるなんともムカつくアルファと出会い、突然のヒートに関係を持って少しづつ近づいていって事件に巻き込まれてという、オメガバースの王道な感じです。

レスターははじめは他のアルファと同じで、傲慢で自分勝手で、早々に千歳に目をつけ会う口実に他のオメガををダシに使うなどあまり印象が良くなかったのですが、途中から千歳のために何か買ってくるとか気を使うことを覚え、ちゃんと千歳のことを考えられるようになってきて、その成長がよかったです。

攫われた千歳たちを救う場面では、千歳にはヒーロー登場にしか見えないのに、他の人の視点ではどう見ても殺人鬼がドアを破壊して侵入しようとしか見えないという場面が想像するだけで笑えます。

一世一代のプロポーズも上手く言えなくて何度も言い直して、はじめは傲慢なプロポーズが最後にはちゃんと千歳を愛してるから結婚してくれと言えて偉かったねと褒めてあげたいです。

事件の後があまり描かれていなかったので、親とは和解できたのかとかレスターの家族との顔合わせとかいろいろ気になるところはありますが、概ね楽しくや読めました。


盗まれた宝石の犯人は



新進気鋭の実業家×美術品をこよなく愛するギャラリーの店員

マンハッタンのギャラリーに勤める碧(受け)は開催されたパーティーで目玉の宝石が盗まれる事件によってオーナーの不興を買い解雇されてしまいます。

状況証拠的に最近お得意様になったグレイソン(攻め)を疑うのですが、途方に暮れる碧をグレイソンは彼の経営する会社の新部門に採用してくれます。人柄を知るうちに犯人は別に居ると確信するのです。
なんとなく距離を図り損ねている2人でしたが、碧のアパートの水道菅の故障をきっかけにグレイソンのマンションに居候することになり、とんとん拍子に恋人になります。
が、宝石泥棒の行方はようとして分からず、警察からは疑われたまま。
そんな時、グレイソンが犯人だという記事が掲載されたり、宝石が見つかった私書箱の防犯カメラにグレイソンが見つかったり、不利な証拠が出てきてしまうのです。
犯人は一体誰なのか。

今作もロックハート一族の誰かの恋愛かしらと思いきや、直接的には関係のない(知り合い程度)人たちの話でした。

このシリーズは2人がくっつくところまでのウダウダと事件の解決までのハラハラとが絡まっていることが多いのですが、今作は2人がくっつくのは結構あっさりで、犯人を捕まえるまで、グレイソンを犯人にしたい何者かがストーカーのように追いかけてくるのにハラハラする話でした。

グレイソンに似た人物の防犯カメラあたりで、もしかしてと当たりは付けられますが、なかなか登場しないので、ハラハラしながらも、ロックハート家のあの探偵さんなら速攻見つけそうだなーとか思いながら読んでました。

結局、同じような立場でありながら、上を目指したグレイソンと堕ちていった犯人の心根の違いが如実に現れた結末でしたね。

それにしてもグレイソンのクズ父はどういった経緯で生き、そして死んだのでしょうね。
そこそこの早死になので幸せになれたとは思えませんが。
家族を裏切った彼に安寧の生活は訪れなかったになら自業自得ですね。

これからは2人で好きな美術を堪能しながらも無名の芸術家の発掘に力を注いでほしいですね。



居場所が欲しい


学生時代に起業した年若い社長と
恋愛がらみで離職する羽目になった営業マン


恋愛がらみで失敗し転職を余儀なくされた重治(受け)は社長の久瀬(攻め)含め全員が20代半ばの若い会社に転職します。
転職してきた自分だけが30代半ばだという驚きの事実。
全員合わせて10人に満たない会社にも関わらず、社長と社員の関係がギクシャクしていることに気づいた重治は、久瀬に会社の空気を攪拌してくれることを期待していると言われた通り、世話を焼くことにするのです。


重治は元医療機器メーカーの営業をしていましたが、繁忙期に会社で盛ってきた恋人に流されてことに及ぼうとしたところを同僚に見られた上恋人が重治に迫られたと吹聴した結果、会社に居づらくなり辞めることになってしまいました。
元々人が困っていると手を貸さなければいられないたちで、転職した会社でも社長と社員の間を取り持ったり、クレーム対応や書類書きなどさまざまな雑用を引き受けては自分はボロボロになってしまうのにやめられません。
それに気づいてくれたのが久瀬でした。

変わった癖を持つ受け様を描かれることの多い作者様のお話ですが、今回は他人の世話を焼きすぎてしまう受け様。
表題から見れば、社長を無理やり会議に引きずっていくコメディタッチな話かと思っていたのですが、役に立たなければ自分の居場所がないという強迫観念にも似た呪いにかかってしまっていた重治が救われる話でした。

重治はこの悪癖で、面倒を見た後輩に成果を譲ったりして出世は遅れるし、世話を焼きすぎて上には怒られるしとなかなか幸せになれていません。
これが、生来のものかと思いきや、成育環境のせいだと後からわかり、ただひたすら自己評価が低く、自分さえ我慢すればという呪いにかかった本当に気の毒なひとでした。
求めているのは自分を見てほしい話を聞いて欲しいというだけなのに。
子供の頃の話はその時の重治を想像すると本当に辛い。
身体のネグレクトはなかったとはいえ、心のネグレクトを受けた重治を久瀬はうんと甘やかして欲しいと思います。

表紙では久瀬が壁ドンしていて、俺様っぽいのかと思ったけど、末っ子らしく素直で可愛い人でした。甘やかされている環境をよしとせず頑張ろうとする気持ちが空回りしていた久瀬は重治のアドバイスを素直に聞き、社員との誤解も解けてますます会社が成長していく予感しかしません。
彼らがこれからも成長し、幸せになれるといいなと思える話でした。

ただ、重治の家族にはもう関わらないで欲しいと思います。都合よく利用しようとしないで欲しい。
そして、久瀬には重治を家族から守ってあげでほしいと思いました。


イタコ小説すごい


片想い歴10年以上の男と友人が1人しかいないせいで恋がわからない男


政治家一家の次男・光彦(受け)は上司から勧められた見合い話を受けるという話を小学校からの親友・藤吾(攻め)に話します。すると、藤吾に流されて結婚するな、そして実は昔から好きだったと言われて驚きます。
持ち帰って考えてと言われた光彦は悩みに悩みんだ挙句、今ネットで話題になっている従姉妹の柚希が書くイタコ小説を書いてもらうことにするのです。
イタコ小説とは、依頼者を主人公にした小説で、小説に書かれたように行動すると恋がうまく行ったと今評判の小説なのです。
男性同士でうまく行くはずがないと告白を断った後どうなるかを小説に書いてもらった光彦でしたが‥

光彦は政治家一家に生まれていますが、家業は兄が継ぐので、光彦は完全に放置されています。それでも、政治活動に支障が出ないよう静かに暮らすことを強要される生活を生まれた時から続けています。
放置されることが寂しく、優秀であれば家族が自分を見てくれるのではないかと長年努力を続けてきて、結婚も家族のためにしようとしている状況に待ったをかけたのが藤吾でした。

今作ではイタコ小説がトリガーとなって話が進んでいきます。
これがよく出来ていて、本当に2人に憑依して未来を見てきたんではないか本気で思ったくらいです。
何度か話を作ってもらった光彦はそれを元に藤吾と話をし、頑なだった自分の殻を破り自分の気持ちに気づくことができるのです。

この作者様の受け様は変わった考え方や癖のあることが多いのに、今回は家族の愛に飢えてる比較的普通の人だなと思いながら読んでいましたが、後編で本領発揮。複雑怪奇な楽しい思考の持ち主でした。
クリスマスなんて一度も祝ったことかないのに、恋人ができたら当然のようにイベントに参入する光彦に笑える。いつもやってなかったから今回もやらないつもりだった藤吾に対して、言うに事欠いて情緒がないのか?だなんて、情緒がないのはお前だろーって笑ってしまいました。

後半の覚悟を決めた光彦は強かった。
観察に優れている柚希が読み間違えるほどに。
諦めきれないと言いながら直ぐに親友の座に戻ろうとしてしまう藤吾と今まで自覚してなかったくせに自覚した途端、家族を半ば脅迫してでも一緒にいようとする光彦という正反対な2人がとても楽しかったです。


読み始めと読了後の感想の違いがすごい




密売業者から二束三文で買い取った商品の中に紛れ込んでいた男ルカ(受け)。
古道具屋のジャレス(攻め)は殺ししかできないというルカに仕事ができるようにと男娼としての商品になるようにと指南をするのですが‥


この作者様のお話は甘い話が多いという印象でしたが、今作は初めの方はまーったく甘くありません。
指南という名の感情の伴わないセックスは読んでいて全くそそらず、この辺りが苦痛で、読み進めるのに非常に時間がかかってしまいました。いつもの5倍くらいの時間をかけて読んだような気がします。

よくあるBLでは、こういう(家に仕方なく置いてやる)シチュエーションでは何だかんだ面倒見てあげるのですが、ジャレスは初めは面倒も見ないし、なんなら自虐趣味のヤバいやつに売ってしまいます。間一髪(どちらかというと買った方の命)で助け出した後も、男娼の手ほどきをしたりして、優しい(酒屋の友人曰く)ながらも完全に面倒を見る気はない。
常に人が死んでたり銃声が聞こえたりする土地柄で、常に何気に緊張するし、2人の関係も緊張感漂う関係だしで、ずっとヒリヒリしていて読んでいて疲れました。この緊張感が読んでいて楽しいと感じられればとても面白いと思うのではないでしょうか。
私は甘々な話が好みなので、前半までは「趣味じゃない」でした。

表題作は、後半に行くに従ってどんどん緊張感が増して、しんどくて、でも最後はほっとする話でした。
書き下ろしも甘さには程遠いのですが、2人が恋人になって、人間らしくなっていく様子が、よかったと思える話でした。

甘さはあんまりなかったけど、良いお話でした。



ところで、シャレスの腐れ縁の酒屋のフェルナンドの空気読む力がすごい。実は読心術が使えるのではというくらいで、2人の間に彼がいてくれて良かった。
フェルナンドの夢が叶うと良いですね。ルカのおかげで叶うんじゃないかな。




勧善懲悪


楽園と称される大陸の英雄の末裔、第8代国王の第一王子フィンリィ(受け)。
何故か生まれた時から王妃に疎まれてたフィンリィは12歳の頃より打ち捨てられた離宮にひとり住んでいます。離宮のそばの廃墟で見つけた銀色の大きな猫のような
獣カイ(攻め)と共に。
次期王の証クレイドのミドルネームを持つフィンリィはそんな環境でも次代の王となるべく勉強その他を頑張ってきましたが、ある日そのクレイドという名も弟王子に譲るようにと言われてしましまいます。
世の中に絶望するフィンリィでしたが、そんな中、カイに導かれ廃墟の中から初代国王の手記を見つけます。それを読んでびっくり。
実は自分達は英雄ではなく侵略者であったのです。そして、元々のこの大陸の王は聖獣であるカイのことだったのです。
驚くやら申し訳ないやらでパニックのフィンリィに対してカイは人に変化してみせるのでした。

自分達の先祖の行った所業を知り、この大陸の統治権を再びカイに戻すために画策するカイはじめ眷属たち。それに協力するフィンリィ。Xデーは弟王子の誕生日。
計画はうまく行くのか。
裏切り者の眷属は誰か。



何故か全ての人から遠巻きにされる不遇な王子フィンリィ。両親から名付けすらしてもらえず、病床にいる王弟クインツィから名前をもらう始末。
1/4ほど話が進むと理由が明かされるのですが、意味のわからない不遇な状況が不快で不快で‥読むのやめようかと思いました。
思いあまって他の方のレビューを見ると、勧善懲悪だとあったので、気を取り直して読むことができました。

両親含め誰もフィンリィの名前を覚えていない中、唯一フィンリィの名前を覚えてくれていた名付け親の叔父(実は伯父)との邂逅は涙なしでは読めません。
クインツィとフィンリィは一族の被害者で、身体の弱いクインツィもまた悲惨な生涯でした。

数代前、王位継承で揉めて無理やり王座を奪わなければきっとこの日は来なかったし、フィンリィにカイを救えなかったと思うと、本当に自業自得でした。

これから2人で長い年月を慈しみあって行って欲しいものです。


小説ユニット


愛情に飢えた陽キャな人気者×愛情過多な家族に囲まれた人見知り

夏生(受け)は幼馴染の洸史郎(攻め)とユニットを組んで恋愛小説家をやっています。
小1で出会った時から洸史郎のことが好きな夏生はビジネスパートナーとして洸史郎といられる毎日がとても幸せなのですが、最近この先洸史郎が人生のパートナーを見つけてくるのではないかと不安になる日々です。
そんなある時、洸史郎が都合が悪いため一人で取材に出かけたケーキ屋で、偶然オーナーが洸史郎と仲の良かった小学校の時のクラスメイト平口だとわかるのです。
その上、実は平口の初恋が夏生だと告白してきてびっくり‥


自分に自信がない夏生は誰とでも仲良くなれる洸史郎が眩しくて告白できず、せめてそばにいたいと思ってる。
親になりきれない男に依存する母親に育てられたせいで、変わらない愛が信じられない洸史郎は、1人でも毅然としている夏生が眩しくて、同じく告白できずそばにいることを選択してる。
どちらも涙ぐましい努力をしているのに相手の気持ちに気づくいていません。

2人揃っていまの状態に満足しながらも不安に思っていたところに一石を投じたのは取材対象のパティシエの平口。
平口が夏生が初恋で今からでもどうかと声をかけたからもう大変。
それでも、遠回りに遠回りを重ねて、平口のところで何度も揉めて(なんでいつもうちで揉めるのという平口の叫びが笑えます)大団円となります。

途中、2人が想いを通わせるようになってからはどっちの愛が重いか競争を始めたり、思ってることを言わないせいですれ違ったりとか、最後までバタバタしていましたが、まーるく治って良かったです。

当て馬にされた平口とバイト君との仲がひじょーに気になります。きっとバイト君は夏樹がくるたびにソワソワしていたことでしょう。その辺りを想像してくふくふするのも楽しかったです。