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「死んでいた」とは


折り紙職人な左官職人 × おにぎりカフェオーナー

おにぎりメインの食堂を経営している月島りく(受け)は死の匂いをさせている生気あふれる男・佐埜(攻め)と出会います。
関わりたくないと思っているのに、なぜか目が離せない佐埜との付き合いが続くうち、親しくなっていくのですが、お互いが自分のことを知られたくないと境界を作って緊張感のある関係が出来上がります。
そんな時、りくの事情を話す機会があり一層親しくなるのですが、佐埜は自分ことを話してくれません。
それぞれの心を死なせる原因は無くなるのでしょうか。

りくは子供の頃、兄そらをら亡くしています。それもりくを庇ったため事故死です。
兄を溺愛していた母はそらの死を受け入れられず病んでしまうのです。
元々兄しか相手にしていなかった状態だったのにさらにおかしくなってしまった母。
しまいには成長したりくを見て兄と間違える始末。母の中で死んだのはりくで兄は生きていることになってしまうのです。
激しく傷つくりくですが、母が安定することもあって兄の振りをすることになって10年以上。心がすり減っていく毎日です。
そんな中で兄に褒められた料理作りが唯一の生きがいで美味しく食べてくれるお客さんの姿が喜びです。
そして、兄が亡くなってから、なぜか「死の匂い」を感じ取れるようになってしまいます。



佐埜の方も妹が亡くなっていて、それを自分のせいだと思っています。自分が幸せになってはいかないと思い込んでいます。


りくの生い立ちが本当に気の毒でした。
読んでいて、両親に腹が立ちます。
特に母親。元から兄の方を溺愛していて弟の方は無視に近い扱いをしていた上に、成長した弟を兄にして勝手に弟を殺してしまうなんて。
病むのは仕方ないかもしれないけど、残った子供のために前を向いて歩いて欲しかった。
そして父親は、確かに病んだ妻に仕事に家事育児と大変だっだだろうけど、それを子供を犠牲にすることで解決する方法を取るなんて親失格です。
楽になる誘惑に駆られ最初は弟を兄にすることに同意したとしても、すぐに我に返って欲しかった。10年以上も子供を犠牲にして心が痛まないのかと思うと本当に大人としてどうなのか。
予期せぬ悪意ではあったけど、ちゃんと向き合えるようになって本当によかった。
でも、彼らにはもっともっと反省してほしい。特に母親。読み終わってからもずっとモヤモヤしています。

そしてもっと許せないのは、佐埜の義兄で弁護士の栗原。完全に犯罪者でこれが捕まらないなんて世も末だ。
あの後どうなったのか気になるところですが、弁護士資格剥奪されてるといいな。


タイトル通り本当に「死んでいた」んですね。
死を乗り越えて2人が光に向かって歩けるようになってよかった。
これまで不幸の連続だったから、幸せになってほしいです。


最近流行りの悪役令嬢ものの兄


若干19歳にして二大公爵家のひとつモルガン家の当主となったユリシス。
両親を亡くし、たった1人残った愛する妹イザベラを守るために、公爵として必死に働いてきました。それで守れてると思っていました。
が、ある日側近のイザークが、このままではイザベラもユリシスも破滅すると進言してきて驚きます。
イザークは予言者で、「イザベラは婚約破棄されイザークは王位簒奪を図る」と。
可愛いばかりと思っていたイザベラが悪役令嬢予備軍に成長していたことに仰天し、イザベラの矯正から始めるのです。


めっちゃ面白かった。流石ですね。

「なろう」も含めそこそこの数の悪役令嬢、令息物を読んでいますが、これほどの話はなかなかありません。
悪役令嬢の兄だけど、前世の記憶があるわけではない。あるのは側近のイザーク。
イザークは前世女性でユリシス推しで、ユリシスに幸せになってもらいたい、そばで見守りたい(腐女子も混じってる)と側近をしているのです。
ユリシスには前世とか乙女ゲームとかと言ってもわからないので、予言として妹のイザベラが悪役令嬢になって悲惨な末路を辿ると進言するところから話が始まります。
最愛の妹と自分の末路を回避すべく、イザベラの性格の矯正を行い、王子との仲を取り持ち、婚約者の第一王子と第二王子の暗殺を阻止し、学園へはイザベラを守るために人員を配置して、脅威から遠ざかったように見えて、強制力はそんなユリシスの奮闘を嘲笑うかのようにストーリー通りにしようとします。
聖女候補になってしまうわ、ゲーム主人公のマリアに王子がたぶらかされるは、隣国の王子と未来の魔王もやってくるわと次々と難題が降りかかるのです。

最後は大団円で、未来の魔王による匂わせというか、立場が違ったら連れ去られてたかもって感じで終わったけど、それはそれで良き。
ユリシスには婚約者のアンジェリカがいるし。王族のせいで結婚がちょっと先になってしまったけど、ツンデレ気味だけど世話好きないい子だから、結婚して幸せになってほしい。
未来の魔王とはいい友人のままで。

ユリシスが国1番の美貌をまーったく自覚しておらず女性のみならず男性もその笑顔で骨抜きにしてるのに、嫌われてると頑なに思ってるポンコツ具合も面白かった。
ユリシス推しだったイザークが話の展開の結末やらユリシスの無自覚タラシ具合に右往左往してるのも楽しかった。
正義感がそれほどあるわけではなく、徹頭徹尾イザベラだけが大切で、領地とイザベラさえ守れれば、あとはどうでもいいと思ってるのも吹っ切れてていいと思います。

とても綺麗に完結してるから、私はこれで完結でいいかな。余白があるのがいいと思うし。
ユリシスに再び難問を突きつけるなら続編もできると思うけど、蛇足になるかもしれないし。

兎にも角にも、ハラハラしたりニヤニヤしたり、読み進めるの手書き止まらないとても良い話でした。


止まった時間が動き出す

オンラインゲームでの出会いからの


会社の忘年会のビンゴゲームでゲームが当たってしまった喜一(受け)。
全くやったことのない喜一でしたが、後輩がセッティングまでしてくれたこともあり、始めてみるとやり込んでしまい、とうとうオンラインで他の人と協力するほどになりました。
ゲーム初心者の喜一に懇切丁寧に教えてくれる大学生グループの仲間ができ、特に面倒見の良い澄良(攻め)とは偶然リアルでも知り合いになってしまいます。
親交を深めるうち、澄良から告白されるのですが、ひと回りも違うことや、後で飽きられたらと考えると怖くて受け入れられません。それでも諦めない澄良ですが‥


喜一は父の急死で高卒で今の会社に入り、淡々と仕事をこなし、趣味も持たず、死んでないだけの生活をしています。
まだ30代なのに終活してる異様さです。

この作者様の受け様は大概変わった癖やら趣味やら持っていることが多いのですが、趣味はともかく、癖の場合気の毒な生い立ちからくるものが多く、それも話の後半まで明らかにされないのでなぜこのような人間になってしまったのか気になりました。


テレビは直置き、布団とローテーブしかない何もない部屋。そして窓際に置かれた生前の父が見つけた丸い石。
自分が死んだ後片付ける業者の人に面倒にならないように、なんて完全に死期の迫った人のようです。

ゲームをもらったことで、何もなかった部屋に少しづつものが増えていきます。
ゲームのための座椅子やヘッドセット。澄良と付き合い始めてからはテレビ台、ベッドやサイドボード、死なないから生きているという状態だった喜一の心の色が増えていくに従って部屋に物が増えていくと思うと切ないやら嬉しいやら私の情緒が忙しかったです。

そして、澄良の成長も著しい。
窓辺に置いた父の石を見て、澄良は一番日の当たる場所に置いてある大切な石と表現します。この察しの良さには驚きました。
祖父に育てられたこともあり他の子よりも大人な感じで、人の大切なものを敏感に感じられるすごくいい子でしたが、やはり子供な部分もあります。
お金の大切さとか。
それを指摘され、いっときは腹を立てるけどちゃんとその意味を理解して動くこともできます。
そして少しづつ成長してきたところでまた試練が来て、そこでも喜一の言葉の真意を汲み取ることができる賢さもあります。
本当に先の楽しみな青年でした。

受験直前で、挑戦さえできずに諦めなければならなかった絶望はいかほどだったのでしょうか。その後死んだように生きているのをみるにその時に一度心が死んだのかもしれません。
あの時にゲームが当たって澄良に出会って本当によかった。
澄良の隣にいるために自分の価値を高めようとと思うようになった喜一と成長著しい澄良の2人がずっと幸せであることを願ってます。

イラストが本当に美麗で素敵です。


勇者が世界を救った後(フリー○ンではない)


勇者の息子の王子 × 人間とゴブリンのハーフ

勇者が魔王を倒し、平和が訪れました。
魔王に操られていた魔族たちは理性を取り戻し、平和な世の中になります。
それでも人間たちは魔族を恐れ嫌悪し時には攻撃してきたりします。魔族たちは人目を避けて森の中で暮らしています。
人間の父とゴブリンの母を持つリュイ(受け)は三年前に母が病で亡くなり、父は母の薬を探しにいったまま帰ってこないため、1人寂しく暮らしています。時々訪ねてくる商人たちや友人のウェアウルフが訪ねてくるきりです。
そんなある日、賊に襲われ怪我をした人間、レオン(攻め)を助けます。リュイはハーフなため人間にもゴブリンにもない容姿をしているため、人を避けていたのですが、フランは眼を痛めているためリュイの姿が見えず、普通の人間だと思っているので治るまで世話することにするのです。



人間とゴブリンのハーフって、もう少しパーツごとに似てるところがあると思ってたんだけど、リュイは右半分がゴブリンで左が人間というセパレートに外観に違いが出ています。

レオンの目が治るまでと世話をするのですが、お互いどんどん惹かれあってしまうのです。
このままほのぼの進めばよかったのですが、実は勇者の息子で王族のレオンは姉アンナと兄ルーカスの王位継承問題に巻き込まれてしまうのです。

劣勢のルーカスの反転攻勢か始まり、それに魔物たちが利用されてしまいます。

リュイはリュイで、自分の本当の姿を見られるのを恐れて逃げてしまう。

魔物たちを利用するルーカスの行動はまさに勇者に倒された魔王と同じ行為だとなぜ気がつかないのか。
彼が何故そんなに王位に固執したのかと思うと切ないです。

今回のことがきっかけで、人間と魔物との仲が良くなっていきそうな感じになって、これから皆で手を取り合って平和な国になるだろうという流れのための必要悪だったのでしょうか。

2人は甘い時を2人で過ごすにはやることがまだまだ多いですが、孤独なリュイが幸せになれてよかったです。


チュール最強


不思議の国のアリスかな


養護施設で育ち、バイトの忙しい学生生活をしている怜(受け)はある日出会ったデブ猫について来いと言われているような気がして思わず追いかけていくと、突然屋上から飛び降り、助けようと飛びつくと空中に真っ逆さま。
気がつくと知らない部屋に。
件のデブ猫はというと隣で餌を貪り食っています。
そこには某歌劇団のような格好をしたキラキラした男性が立っていました。
実はここは異世界で、怜は元々のこちらの住人で、ブルーアルファのこの国の皇太子ユーリウス(攻め)の婚約者でホワイトオメガだというのです。
ユーリウスのきつい態度に、反感を持った怜ですが、ユーリウスの皇太子としての多忙な日々や重責やツンデレな人となりを知るうちにどんどん惹かれるようになるのです。

怜は2歳の時、時空の歪みで転移したらしく、養護施設で育てられます。施設長夫婦はに大切に高校卒業まで育てられます。
そんな時にデブ猫(ヴァロ)に導かれ元の世界に帰還するのです。

ユーリウスはアルファの中でも特別なブルーアルファという希少種です。
全てに優れているブルーアルファですかホワイトオメガとしか番えないという欠点があります。
滅多に生まれないホワイトオメガですが、幸運なことに4つ下で怜というホワイトオメガが生まれ、王宮に呼び寄せ一緒に育つのですが、ある日突然時空の歪みに巻き込まれて行方不明になるのです。



「転生したら」というよりは「転移したら」の方が正しいのではいかと思います。

唯一時空を行き来できる王宮で飼われている白猫(デブ猫)ヴァロが迎えにいってくれるのですが、これがとんだ食いしん坊猫で、一度迎えにいったのに、食い意地が張っていたため1度目はちゃんと出来ず、こんなに時間がかかってしまったというお粗末な展開に。
戻ってきてからは、命を狙われ続けるユーリウス、父王との確執など問題山積みの中で2人の距離は縮まります。
いろいろな問題が解決して大団円。

話の展開はユーリウスの大変な過去に同情し怜の態度が軟化するのですが、
最初怜はこちらの世界の記憶がなく(2歳ならさもありなん)全く警戒を解かず元の世界に返せと騒ぐため、ヒート誘発剤使われ無理やり契らされます。(番うのは我慢した)
それなのに、全く怒らないのが解せません。

話の流されから見ても、やっぱり最初のヒート誘発剤を使っての強姦は必要なかったんじゃないかと思います。
私は何が嫌って無理やりが一番の地雷なので、ここで一気にユーリウスへの好感度か地に落ちてしまい、読む気が失せました。
ヒートに陥ってるので嫌々ではないのがせめてもの救いでした。
実際その部分は読み飛ばしてしまった。
一昔前のBLではよくあったけど、無理やりから始まるのに、恋に落ちる心理が理解できない。

話は最後までハラハラする展開でよかっただけに、これさえなければなーと残念でなりません。


歩く危険物




血統書付きの野良犬アルファ × 見た目詐欺のオメガ

オメガで元刑事の恭(受け)は刑事を辞めた今でも追いかけてるヤマの捜査の途中、巻き添えにしたアルファの昂希(攻め)に一目惚れされます。面倒くさいと言いながらも付き合ってくれる昂希が隣にいることに安心感を覚えるようになっていくのですが‥



恭は組対五課(麻薬や密輸入とかの取締りでその筋の人たちとドンパチする部署)に所属してた元刑事。
刑事としてアルファに負けないように頑張った結果、フェロモンを自在に操れるようになり、アルファにフェロモン爆弾を浴びせて失神させるなんて技まで身につけました。
元同僚には、見た目が子猫で中身は猪で根性はゴリラと言われるほどの脳筋。

尊敬する同僚兼恋人だった真砂が殉職してからも行方をくらました組の情報を追いすぎて結局刑事を辞め、実家のカフェを営みながら、未だに捜査を継続しています。

昂希はアルファの能力がギャンブルに全振りしてるような人物で、顔を見るだけで嘘を見抜ける能力があります。なのに、恭の顔が好きすぎて恭の嘘は見抜けないという残念な男。
恭に一目惚れし、労働は面倒と言いながらも危なかしい恭を放っておけない昂希は料理はできるし、世話焼きだし、優しいし、寄り添ってくれるので安心感があります。


とても楽しいお話でした。
見た目が可愛いのに中身がやたら雄々しい受けとちょっとダメな攻め(実はデキる)攻めというのは本当に大好物なのです。

まずこのオメガ、全く知らないアルファをクラブへの同伴に必要ってだけで、フェロモンで誘き寄せ、潜入に失敗したら閃光弾を放って財布もスマホも置いて連れて逃げるっていう横暴さ。そのままほとぼり冷めるまで家に匿うことになったことで話が始まります。

とにかく2人の会話がすごく楽しい。
繊細に見えて豪快な恭の料理を評する昂希の表現も楽しいし、
顔に誤魔化されるのも楽しい。
ことに及ぼうとするとフェロモン攻撃やら手刀やら体に仕込んであるたくさんの武器やらで止められるのも楽しい。

その中で、潜伏している組織を炙り出すために危険な目にあったり、裏切り者の話があったり、クライマックスはハラハラしますが、やはり頼れるアルファの昂希の活躍もあって2人に平和が来るのです。

後半の2人がつがいになってからは、恋愛下手な恭の頑張り、自他共に認める見た目詐欺なので、中身を見た目に合わせようと努力する恭がとてもいじらしい。
そして、敵にさえ歩く危険物扱いされてるのもほんと楽しい。

傍を固める人も無茶する恭を心配する元同僚の大熊、「名探偵コ○ン」の阿笠博士を彷彿させる十亀翁、昂希の元同級生の庭野夫婦、と味のある人ばかりでした。
でも、やっぱり2人の掛け合いが本当に楽しいのです。
何度も読み返してしまいます。

いつか2人の子供が産まれたらどんな子になるかすごーく楽しみです。

今でも無茶し多分、恭は昂希にたっぷり愛されて幸せになってほしいです。

裏切り話はしんみりとしますが、全体的には本当に楽しく読ませていただきました。

そして、イラストがとっても可愛い。特にデフォルメした中表紙がほのぼのしていて癒されます。


オメガバースの世界からの異世界転移


階段から落ちたらそこは小説の世界だった。

ブラック企業に就職したばかりの奏歌(受け)は疲れた身体を引きずっての帰宅途中、駅の階段から落ち、気がついたら天蓋付きのベットで寝かせられていました。
奏歌は「予言の間」という王族しか入れないはずの場所に倒れていたというのです。
話を聞くうち、ここが途中まで読み進めていた小説と同じだということに気が付きます。
主人公のニイナ王女が旅立ち運命のつがいである騎士と出会う話なのですが、その前に兄である第二王子キール(攻め)が毒殺されるという悲劇が待っていることを思い出した奏歌はそれを防ぐべく何をすれば良いかと悩むのです。
そして、毒に効くという「明けの明星からこぼれ落ちる奇跡」を探すのですが、それがなんなのかわかりません。


奏歌は小説を途中までしか読んでいないため結末がどうなるのかわかりません。それでもキールが毒殺されることや首謀者が義母の王妃と占星術師であることはわかっていて、その情報をキールに話すことができず思い悩みます。

オメガバース設定は忘れるくらい出てきません。そんなのあったと後から思い出すくらい。
小説世界の悲劇をどう回避するかというのが目的のはずですが、悩むばかりでちっとも進みません。それよりはキールとの仲の進展やニイナたちと仲良くすることに重きが置かれているようで、読んでいて少しもどかしく感じました。

結局、悲劇が起こりかけるのですが、どう見ても奏歌のやった行動は悪手で、キールの動きが無ければ悲劇になるところでした。
予言の間という特別な場所から現れたのだから、他国にも実績のある場所であるし、自分が知っていることを話したら話が早かったと思うのですが、なぜこんなに慎重なのか。
神が遣わした人なのだから信じてもらえると思うのですが。
全てが終わってからやっと小説の話をするというお粗末さで、小説で悪人だと分かっていても、外面に騙されてるしで、どうにも締まらない話だったように思います。
読んでいて終始イライラしました。

オメガバースであってよかったのは、運命のつがいということで、2人が結婚するのに障害がないくらいなものではなかったかしら。

残念ながら、そんなに面白いと思わなかったのは、これはBLである必要があるのかという内容だったから。奏歌を女性に変えてもそのまま話になるくらい。
子供さえ産まれるならどっちでもいいという感じがしました。


全てにおいてローテンションな人なのには理由がある



期間限定で出向してきた上司と有能な補佐役

東京の親会社から出向してきた藤木(攻め)の補佐に入ることになった園田(受け)は、少しづつ打ち解けてきた頃、
出張で泊まるはずの部屋がツインでなくダブルだったというBLあるあるをきっかけに告白されます。今まで告白されては付き合うというのを繰り返してきた園田は「どうせ年末には東京に帰る」と付き合うことにするのですが‥

大きな事件がある訳ではありませんが、淡々とした毎日の中で、年下らしくぐいぐい来る藤木に絆されていく園田がどういう理由で執着を持たないのか、どう着地するのか、哀しくなったり、応援したくなったりしながらしみじみと読みました。

藤木は25才の男性ですが、一目惚れした好みど真ん中の園田をぐいぐい押して手に入れるさまはかわいいです。

一度懐に入れたら深く付き合う藤木と浅く広く付き合う園田。園田のは本来の気質でなくて、子供の時のトラウマから執着するたちだからこそ執着しないことに執着した結果だと思うと切ない。

幼少期からの転勤生活の連続で友人関係が保てず、両親も離婚し、すっかり拗ねてしまった結果、来るもの拒まず去るもの追わず、
いつもにこにこふんわりやさしく、
ゆるっと流れに任せて生きてきた園田が自分から動いて、藤木の元彼にも流すのではなく言い返して、藤木に甘える姿を見た時には、ちゃんと自分を出せるようになってよかったと思いました。

無理のない遠距離(2時間はそれほど遠くないと思うけど)恋愛をしてほしいですね。
耐えられなくなったら転職して東京行けばいいしね。


タイトル通り


竜人と聖女召喚された異世界人


聖女召喚の〝じゃない方〟と判断された晴(受け)は早々に城から追い出されてしまいます。
生きていくために足掻こうとする晴ですが、ふと自分がほぼ全ての属性の魔法が使えることに気が付きます。国に知られたら連れ戻されるかもしれないと慌てて国外へ逃げようとするのですが、運悪く乗った馬車が魔物に襲われてしまいます。そこを助けてくれたのは街ですれ違ったものすごい美形の男性でした。自分を竜人で晴は自分の番だという美形フェルナンド(攻め)。
誓約のある身で己のことを話せない晴はそれを受け入れることができませんが、出国したい晴と晴を甘やかしたいフェルナンドとの思惑が一致した結果、フェルナンドの出身国へと連れて行ってもらうことになるのです。

いきなり魔物に襲われて魔力暴走を起こし、魔力不足になってしまった晴に魔力を譲渡するため、よくわからないまま契ってしまうところから2人の関係ははじまりますが、その後は終始真摯な態度で愛を乞うフェルナンドはすごい紳士でした。
思いを返してもらえないかもしれないのを覚悟で尽くすフェルナンドに守られて甘やかされるお話でした。
途中ピンチもありますが、フェルナンドがいれば大丈夫。

巻き込まれたと思われていたのが実際は逆で晴の方が聖女(聖人)だったというのもお約束。
あんな性格の悪い女が聖女だなんてこの世界の女神は見る目がないなーと思いましたが、そーだよなーと思ってしまうくらい感じの悪い女でした。
あの女がこの後幸せになれるかはわからないが、どうせなら後悔しきりで生きてほしい。
ほんとやなやつでした。

50年単位くらいで出る召喚の儀式。異世界からの誘拐という非道な手段は晴たちで使えないように画策してくれるといいなと思います。自分の国のことくらい自分たちでなんとかしろっての。

あと、番が同性でもありの世界なら、番なら同性でも子供が生まれる仕様ならよかったなー。2人の子供が見れたらさぞや可愛いだろうに。

番が認知できるのは竜人のみ。
他の種族が番の場合、相手はわからないから強引にことを運ばないという先人の知恵を、フェルナンドはちゃんと守ってえらいです。
きっといろんな悲劇や諍いがあったんだろうな。

初めだけ晴が大変ですが、フェルナンドと会ってからはずっと安心できる楽しいお話でした。

先生初のオメガバース


アプローチが面倒すぎて契約結婚したい御曹司アルファ × 自立したいオメガ


オメガ保護施設の職員の千歳(受け)はベータと偽って働いているオメガです。
保護されているオメガとアルファのカップリングを担当しています。
現在面倒に思っている担当アルファのレスター(攻め)はアメリカでも屈指の名家の御曹司で、結婚しろコールに辟易して契約結婚する相手を探しています。毎回遅刻してくるし傲慢な態度だし、オメガとの面談には毎回千歳を同席させるしと迷惑ばかりかけられています。
やっと何回かの面接を終え次の段階へと進むことになったレスターですが、2次段階のデートを飛ばして擬似同居を行うトライアルにしたいと言い出します。今回も千歳も同席で。
何とか断りたい千歳でしたが施設長からも許可が出てしまい、仕方なくトライアルのホテルに向かうと、結局相手のオメガが怖気付いてしまいお流れに。
なのに、大雨で道路が封鎖され家に帰れません。そんな時によりにもよって突然ヒートに襲われてしまい、レスターの関係を持ってしまいます。
それからは、レスターからのアプローチが始まります。契約結婚なんてまっぴらと思う千歳ですが、少しづつ距離が縮まりつつあるある日、施設のオメガの誘拐事件が発生するのです。



エリート一家に生まれた千歳はオメガだとわかった途端結婚して子供を産むことを強要する父に嫌気が刺し、傲慢な婚約者に襲われそうになったことをきっかけに、家を飛び出しオメガの保護施設に入り、ヒートが来てないためベータと偽り施設で働いています。いずれは大学に行き教師になりたいと思っています。
そんな時会った瞬間ざわざわする存在がレスターでした。

ヒートが来ないオメガが、心をザワザワさせるなんともムカつくアルファと出会い、突然のヒートに関係を持って少しづつ近づいていって事件に巻き込まれてという、オメガバースの王道な感じです。

レスターははじめは他のアルファと同じで、傲慢で自分勝手で、早々に千歳に目をつけ会う口実に他のオメガををダシに使うなどあまり印象が良くなかったのですが、途中から千歳のために何か買ってくるとか気を使うことを覚え、ちゃんと千歳のことを考えられるようになってきて、その成長がよかったです。

攫われた千歳たちを救う場面では、千歳にはヒーロー登場にしか見えないのに、他の人の視点ではどう見ても殺人鬼がドアを破壊して侵入しようとしか見えないという場面が想像するだけで笑えます。

一世一代のプロポーズも上手く言えなくて何度も言い直して、はじめは傲慢なプロポーズが最後にはちゃんと千歳を愛してるから結婚してくれと言えて偉かったねと褒めてあげたいです。

事件の後があまり描かれていなかったので、親とは和解できたのかとかレスターの家族との顔合わせとかいろいろ気になるところはありますが、概ね楽しくや読めました。