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可愛い二人でした。
地方の小さい会社に勤務する園田は、本社から出向で来た年下の上司である藤木のサポートを任される。というところから始まるお話で、上司(といっても25歳)とそのサポートという立ち位置から親しくなって、恋愛に発展します。
このお話のキーは、主人公の園田が子供の時、親が転勤族で引っ越しばかりだったために友達ができてもすぐにお別れだったことや両親が離婚したことが、その後の性格形成に大きな影響を及ぼしていた、ということです。
どんなことも受け入れて、その場を和やかにする。「いつもにこにこ、ふんわりやさしく」という藤木の弁がよく表しています。「にこにこ攻撃で相手を無害化する」とも。(羨ましい)
一方で執着を持たない習い性から、告白されて付き合っても相手の方から離れて行くばかりだったり、家に遊びに来る三毛猫をかまって餌をあげたりしても、名前も付けないしそれ以上は近付かなかったり。
そこへ藤木が「それでもいいから」と粘り強くアタックしてデートして恋人関係になって、徐々に園田の気持ちが変化していくのがすごく丁寧に描かれていました。
一番顕著だったのが嵐の夜のエピソードで、ここの場面は本当に大好きで繰り返し読みました。
この時に園田は自分の気持ちの変化に気が付くのですが、それを受け入れたくなくて、いつか東京に帰ることが分かっている藤木と別れるのがつらくて、シャッターをおろすように態度が硬化します。この辺りは本当につらかったですが、前述のように園田の生い立ちや性格等理解できるので、反発は感じず見守るように読んでいきました。
「嫌いな男」「隣の男」に続いて、安西先生の本を読むのは3冊目になるのですが、いずれも本の3分の2が表題作(本編)で、残りの3分の1が主人公を本編と入れ替えての後日談、という構成になってます。たまたま? 毎回?
本書は「彼のいる場所」というお話がそれに当たりますが、あとがきの後ろに「新しい部屋」というSSが付いてました。
後日談の後日談ですが、このSSが良かったです。
この二人はとても可愛くて、永遠に見ていられるなと思いました。
普段あまり小説は読まないのですが活字読みたい欲に駆られ、ランキング上位にあって気になっていたので手にとった作品でした。
本社から出向してきた年下上司・藤木と、流され上手な園田の恋。
関係の始まりから勢いのままに突っ走る藤木と、それを受け止めながらもどこか他人事な園田の温度差に妙に胸がざわついて、ずっとハラハラしたまま読み進めていました。
期限付きで付き合うことを決めたときは恋愛感情など抱いていなかった園田ですが、一緒に過ごしていくうち本当に藤木に惹かれていくので、彼の中にある「距離と気持ちの法則」にも変化があるのだろうなと思いきや。
藤木が東京に帰ったらこの関係はおしまいという考えを頑なに変えようとせずすれ違ってしまうことに。
藤木のことをもっと信じてもいいんじゃない…?と思ってしまうくらい、最悪な結末しか考えていないことが悲しくて、胸がギュッと苦しくなりましたが。
ツラい別れとその先に待つ虚しくなるようなやり取りを幼い頃から幾度となく経験した園田にとっては、大切に想っているからこそ失うのがこわくて踏み出せない部分があるのも理解できました。
そんな自分のことを冷静に分析できているというのも切なかったです。
でも最後には自分自身で殻を破って藤木のもとへと向かい、しっかりと心を明かすことができて。
色々なことを諦めてばかりだった彼がはじめて諦めたくないと思ったその恋が、ふたりにとって幸せだと思えるところに着地してくれて本当に良かったです。
静かに流れていた日常を変えた緩やかな恋なので大きな波や激しいドラマみたいなものはありませんが、だからこそそれぞれの心情が際立って強く心を掴まれた作品だったなと思いました。
期間限定で出向してきた上司と有能な補佐役
東京の親会社から出向してきた藤木(攻め)の補佐に入ることになった園田(受け)は、少しづつ打ち解けてきた頃、
出張で泊まるはずの部屋がツインでなくダブルだったというBLあるあるをきっかけに告白されます。今まで告白されては付き合うというのを繰り返してきた園田は「どうせ年末には東京に帰る」と付き合うことにするのですが‥
大きな事件がある訳ではありませんが、淡々とした毎日の中で、年下らしくぐいぐい来る藤木に絆されていく園田がどういう理由で執着を持たないのか、どう着地するのか、哀しくなったり、応援したくなったりしながらしみじみと読みました。
藤木は25才の男性ですが、一目惚れした好みど真ん中の園田をぐいぐい押して手に入れるさまはかわいいです。
一度懐に入れたら深く付き合う藤木と浅く広く付き合う園田。園田のは本来の気質でなくて、子供の時のトラウマから執着するたちだからこそ執着しないことに執着した結果だと思うと切ない。
幼少期からの転勤生活の連続で友人関係が保てず、両親も離婚し、すっかり拗ねてしまった結果、来るもの拒まず去るもの追わず、
いつもにこにこふんわりやさしく、
ゆるっと流れに任せて生きてきた園田が自分から動いて、藤木の元彼にも流すのではなく言い返して、藤木に甘える姿を見た時には、ちゃんと自分を出せるようになってよかったと思いました。
無理のない遠距離(2時間はそれほど遠くないと思うけど)恋愛をしてほしいですね。
耐えられなくなったら転職して東京行けばいいしね。
雑誌掲載時よりとても好きで、文庫になるのを楽しみにしてました。
最近、hontoさん限定特典が付くので、hontoさんで購入するつもりでいたら、ちょうどディアプラスさんバレンタインフェアもあった時なので、ラッキー"(ノ*>∀<)ノ
受け様は、流され体質の園田。
園田の会社に東京から出向してきたのが、年下攻め様である藤木。
園田視点ですけど、藤木の園田への”好き”が速攻で伝わってきて、非常ににまにまでした。
出張でダブルの部屋に泊まることになった時の、藤木の動揺っぷりは、たまらないわ~
自分が藤木にとって性的対象だと園田が自覚する場面では、私までドキドキときめいちゃいました♡
園田の事が大好きで、それを嬉しげに全開で出してくれる藤木が、とても可愛くてよかった(*^^*)
そして、園田が自分から動くことができてよかった。
書き下ろしは、楽しみにしてた藤木視点。
やはりここでも年下攻め様の可愛さににまにま。
園田の嫉妬や甘えも可愛いです。
ただ、元カレの御浜の行動を、自分の為だとわかってるから、なんて、藤木がわかったように思ってるのも、ヤレヤレみたいに受け止めてるものも、コラコラでしたけどね٩(・̆ᗝ・̆)
恋人の目の前でのその言動は、怒って欲しかったところ。
たとえ園田が流したとしても、内心心穏やかな訳ないんだから、そんな気持ちにさせちゃダメじゃん。
と、ムッとしましたけど、なんだよ、結局園田のかわいいと藤木の愛しいが溢れただけじゃん(*´艸`)
安西先生の現代BL(だけじゃないけど)、大好きです。
藤木は園田一直線、想いが決壊してからは感情表現が真っ直ぐで大型わんこの様で可愛かったです。
園田は達観した大人という印象でした。でも、内に孤独を抱えていた事を知り切なくなりました。藤木を好きになってるのが伝わるのに、それを抑えようとしてるのがまた哀しくて。印象的だったのが付き合い始めてから初めての一人の休日。園田の語りに淋しさが滲み出ていて涙がでました。
もうダメかと思ったけど、園田が殻を破ってくれて安堵しました。園田を丸ごと愛していて、全てをうけとめられる藤木だからですね。
甘えも見せられるようになった園田が可愛くて、2人が共にいれる事が心底嬉しかったです。
藤木目線も掌編も園田の魅力があふれていて、藤木が翻弄されている様は最高でした。