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腰乃先生のご推薦作品ということで、エロか日常系かのどちらかだろうと思い購入。内容としては後者でした。
ですが、ただの日常系で終わらないのがこの作品。コミック一冊分の密度が非常に高かったです。
前半に収録されている表題作はがっつり日常系の職場恋愛モノ。近づきつつもなかなかくっつかない距離感がたまりません。攻めの押せ押せもかわいい。
後半に収録されている作品はこれまたスゴイ。萌える、という表現は適さないと感じる作品ではありますが、物語として非常に素敵な作品です。よくありそうな物語、という感想もあるかもしれませんが、その物語の見せ方が秀逸。コメディー系かな?という表紙からの予想をいい意味で裏切られました。
幸せな気持ちで寝たい夜にまた手に取りたくなる一冊です。
むちゃむちゃ良かったです!!!
たまたま読む機会があって、
ふわ〜っとさらーっと読めちゃう短編集?
みたいな気分で読み始めたんですけど、
なんなんでしょう。
ふわ〜っとさらーっと読めちゃうんですけど、
むちゃむちゃむちゃむちゃ良かったです!!
最後泣きました。本当に涙がつーっと…泣きました。
まったく押し付けがないお話。
こんなにはまると思わなかったです。
2つのお話が入ってます。
1つ目は入社1年目の先輩「滝川」と後輩「草野」のお話。
滝川先輩はゲイなんですけど、
深く恋愛するタイプではなく、はっきり言って遊び人。
とっかえひっかえ、約束は守らないし、嫌な奴。
いるよなー、そういう奴。
仕事出来るんだかなんなんだか知らないけどさー、
別にいいけどさー、
あんた人の気持ちって考えた事あんの?みたいな。
そんな感じに書かれてます。
よく書かれちゃう
「仕事が出来て、カッコ良くて、眼鏡キリーッ!」とか、
「普段こうだけど、ふとした瞬間むっちゃ色気が…」みたいな
こういうキャラです☆って感じじゃないんです。
いるよねーそういう奴、別にいいけどさー位なんです。
なので、すーっと読めるし、そこまで気にも留まんない。
(主役なんですけど)
正直なんでもなくでとどまってるんです。
その具合が丁度良くて…
2話目のお話があって、書き下ろしが最後あるんですけど、
その時になんかいい具合に滝川先輩の事が出てきて、
「誰にも流されない生き方をしている人」っていうのが、
妙にストンとこっちに落ちました。
「そこだけ」カッコよく見えました(笑)
その感じが妙に好き、ハマりました。
2話目は、性同一障害を持つ男の話です。
性同一障害を題材にしたお話って
映画でも小説でも漫画でも見た事あるし、読んだ事ありますが、
もっと深く入り込んでるし、現実は大変な事がたくさんあると思う。
この作品を読んで「甘い!」っていう感想もあるかも。
大感動のシーンがある訳でもない。
ただ、私はそういうのを読んだ時、
逆にそういう事が目立ち過ぎて、
「心揺さぶられました!泣きました!!!」となるのですが、
(そういうの嫌いじゃないし、むしろ号泣する派ですが)
今回の作品みたいに、特に大きな事件がある訳でもなく、
「私、女の子になれるかな…なる…なれる」と
自分に言い聞かせながら、一生懸命頑張ってる姿に、
なんか泣けてきてしまいました。
最後、お父さんに「幸せだよ」と言う所、
本当良かったと思います。
お父さんに会いに行って良かった。
こういうふわ〜っとさらーっとみたいなお話って、
正直、読む時の体調だったり、気分だったりによる事多いと思います。
私も違う時に読んだら、全然違う感想を持ったかも。
でも…いや…良かったです。
後からもじわじわきます。
人によっての評価の時は「中立」評価かもしれませんが、
正直好みは分かれるかもなーとは思いますが、
私は本当読めて良かったなーと思う作品だったので、
この評価にしました。
本当いい作品だと思います。
良かったら是非読んでみて下さい!
嬉しい誤算的な良作でした。表題作も素敵なのですが、なんと言っても同時収録のスピンオフが素敵。
まずは表題作。これはビッチでゲイのクール系上司とまっすぐな部下(ノンケ)の恋愛物語。一生懸命な部下くんに振り回されつつ惹かれていく上司の姿がいいです。「俺、ずっと軽いつきあいしかしてこなかったから…」と戸惑うところなんて「うんうん、あなたの気持ちよくわかるよ!」って感じでした。ちゃんとマジメな恋愛よりその場限りの関係の方が簡単だもんね。恋愛スキルは無駄に上がっていくような気がしつつ、真っ直ぐな相手に出会っちゃうと戸惑うよね。(ちょっと私情入りすぎた…)
次に同時収録作。これがねー、まさかこんなコミックスの中で読めるとは思わなかった意欲作でした。性同一性障害を持つ人のストーリーって、「BL」のジャンルではあまりないですよね。いま「BL」ジャンルは、ちょっとカテゴリづけとかなんだかんだ約束事がうるさすぎるきらいがあると思うのです。いろいろ囚われずに幅広い作品がもっと読みたい。そんな気持ちからも高評価。おすすめです。
好きになったらしょうがない。
たまにしか甘くないのが恋の味。
ノンケをからめた同性の恋愛、相手にされないシチュは描かれ方によっては重くなってしまうのですが、とにかくめげない草野クンのポジティブさが、こめりさんの力の抜けた描線でコミカルに描かれています。
猫がぬこぬこしてたりウサギがうさうさしてたり、草野クンがジタバタしています。
【俺と上司のささやかな日常】
新入社員:草野クン(ノンケ)が上司:滝川(ゲイ)の仕事っぷりに憧れ、男っぷりに惚れる日常がドタバタと積み重ねられている話です。
男っぷりといっても私生活は乱れまくりのビッチ系の滝川(笑)
初読時はとにかく上司:滝川が草野クンの求愛をスルーする具合にモヤっとイラっとしてしまい眉間にシワを寄せながら読んでいました。
でも再読すると『ん?』と思うことが随所にあり【滝川さんのほだされ探し】みたいな読み方になっていました。
流れで寝てしまったものの、なかった事にしたい滝川vs怒涛のloveアタック草野クンの攻防戦が笑えます。
滝川が押されて、つきあうことになってからも重荷感が透けて見えるのが、いかにも大人のビッチさん。
仕事上の飴と鞭の使いわけはいいんですが(草野クンのしくじりをサラッとフォローしてくれるし)、寝坊してデートすっぽかすは家に押しかければ布団をポンポンして誘ってくるタチの悪さ…肩透かしと誘惑の積み重ねの毎日。
いきつけのゲイバーに連れてこられた草野クンがいつになくガンガン滝川に文句を言えるようになっているのが頼もしく思えました。
そもそもいきつけのゲイバーに連れていく時点で滝川も少しずつ開襟してるんだな~という感じがリアルでとても面白かったです。
草野クンも叫んでましたが滝川は32才。
それなりに過去もあるでしょうから素直になれないテレ隠しなのはわかります、わかりますが、わかりづれぇよ…ツンデレww
【彼とわたしの日常のはじまり】
同時収録は性同一障害のタカコが主人公。
彼は気持ちが女性なため、BLとしてはどうなんだろう?と思ったんですが表題作より断然、こちらの方が好みでした。
BLって、ありのまま『男』として『男』を愛し、『男』として愛されることを望むものとして捉えているのですが、彼は『女』として愛されたいんですよね。
表題作の滝川の行きつけのバーの常連:タカコはアパレルで働く男性ですが、バーには女装して来ています。
住みづらい田舎を出て都会に出てきたけれど日々は劇的に変わることもなく好きになった同僚とは、うまくいくかにみえたものの『男は好きでもオカマは勘弁』と言われてひどく落ち込みます。
偽らない自分を肯定したくて実家を捨てたのに、場所を変えても否定されてしまうタカコ。
タカコを傷つけた男は性根こそクソですが普段、私が読むBLはこの男のように『女はダメ』な人は当たり前のように出てきます。
失恋でふっきれたのか、タカコは心だけでなく体も『女』に近づけるべく性同一障害の診療をうけます。
あれだけ熱望していたことだから、もっと簡単に決心するかと思ったんですがタカコは悩みます。
10年がかりの治療…とこちらも鉛を飲んだような気分になりました。
そんなある日、父親が倒れ帰省したタカコは最後に和解します。
とつとつと会話する親子に涙がとまらなかった。
綺麗、というのは姿かたちだけの話ではなく内面も含めてのことであって、もがきながら自分をさらし始めたタカコには何よりの誉め言葉だったと思います。
いちばん素を認めて欲しかった父親に自分を肯定してもらえて良かったなぁ、と。
人は懸命に生きるために自分を偽ることがあります。
その偽りを真実にするためのタカコの前向きな決断は心にズドンと残ります。
父親に会いに行くのを躊躇うタカコに会いに行くよう手助けした滝川の元彼(笑)マコトが、ところどころ友だちとして、いい距離感でタカコを支えています。
今後は彼氏として支えるんでしょうね~。
そして滝川が本編よりめっちゃイイ男です。
タカコの息苦しさを見ていると滝川もいろいろあったんだな~という側面があります。
タカコの父親の件でタカコの里帰りを促す場面はなんだよ~イイやつじゃないか、カッケーじゃないか!!
【誰も知らない彼のこと】
草野クンの新居に招かれたタカコとマコトが見たものは…!!
草野クン恐るべし(笑)
カバー下でもですが、滝川さんは愛されて草野クンにすっかり懐柔されています。
一生懸命+ポジティブ=おバカさんな草野クンのloveパワー侮れない。
猫はなつかないが滝川はなついていました…。
あ~も~滝川ァァァァ!!可愛いんじゃない、アナタ!!という気分になります。
とぼけた線の手や足の描き方が可愛くて好きです。
水中メガネプレイも楽しそうで何よりです。
娑婆の日常にもひょいと潜んでいそうな
組み合わせで展開された表題作の一連を
愛がどうこうで押し切られたら多分評者は
黙って本を閉じてそのままにしていたでしょう。
愛がどうこうの先のあれこれがあるからこそ、
ささやかな日常は区切りを刻みつつ続いて行く
訳でして。
書題と表題作のタイトルの差異は気になる所ですが、
併録作の世界観も引っ括めての総タイトルと
解釈しておきます。
併録作は果たしてBLの括りで良いのかどうか
暫し考えましたが、現時点ではこの範疇で語る
物語かと一応納得しました。
いつかまた、別の流れの中で再評価されて欲しいと
願いつつ。