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この手の話は、パターンが決まっているので、
最後まで飽きずに読ませるというのは、なかなか難しいと思いますが、
そういう意味では、先の方も書かれているように、
破綻なく、ツッコミ入れずに最後まで読ませてしまうのは、
さすがだと思いました。
キャラクターもそれぞれ面白いし、
主人公二人もいい感じ。
色っぽいシーンも適度に散りばめられて、
海里がラドに惹かれて行く心情もわかります。
私的には安易にモブに抑え込まれたりしなくても充分萌えられました。
でも、やっぱり寝坊はいかんよ!ラド!
最後の畳み込み感は否めませんが、
面白かった!と本を閉じられたので、「萌×2」!
陽と藤吾のスピンオフ希望!v
BL作品に他のジャンルの要素を取り込むと
言うのは容易い様でいて実は難易度が
高かったりします。
ですので忌憚なく言ってしまえば…破綻無く
途中でツッコミを入れる事無く読み通せるだけでも
かなりの儲けものだろうな、と。
この一冊はそう言う意味では端正なのだろうと
評者は受け止めています。
その中でロマンスを変な方向にぶれる事無く
展開した筆の力を愛でたいですね。
視点を転じて作家さんのファンアイテムとして
捉え直すならかなり贅沢な内容かも知れません。
身寄りのない苦学生・海里(受け)は、大学の薦めで夏休み限定のモニターバイトに参加する。
連れて来られたのは、高い塀に囲まれ監視システムで管理された収容施設のような建物。
施設に集められた若い男たちは、農作業の傍ら定期的に「検診」を義務付けられており…
というサスペンス仕立ての作品。
なまじ海外ドラマや映画でよく見る設定なだけに、既視感は否めません。
5人部屋のルームメイトたちはそれなりにキャラが立っていますが、彼らのキャラ描写に注力したせいか、肝心のサスペンス部分が疎かになっている感も。
ルームメイト以外のキャラが殆ど出てこないため、閉鎖空間に閉じ込められた若者たちの不安感、衝突といったサスペンスに不可欠な要素が感じられません。
また、主人公の海里がおっとりぼんやりした性格でルームメイト4人も妙に達観しているので、施設の不気味さがあまり伝わってこないのがサスペンスとしては致命的かと。
海里に両親がいないことや、小中高一貫教育制度の設定も、何かの伏線かと思いきや何の意味もなかったようで、設定倒れの要素が目立ちました。
薬、検診、農作業…というキーワードである程度オチが見えてしまうのは仕方ないとして、もう少し海里をピンチに陥らせれば(施設の男に襲われる等)、パニック系サスペンスとしての面白さは出たんではないかなと。
ルームメイトの一人・ラド(攻め)は、ぶっきらぼうだけど実は優しく頭も良いというカッコいいキャラクターですが、作戦決行前夜に海里とイチャついた挙げ句寝坊するのはちょっといただけませんでした。
淡路水さんは新刊のたび様々なテーマに挑戦されていて、引き出しの多い作家さんだと思いますが、今回のようなスケールの大きな話より「法悦ホリデイ」のような日常ほのぼの系の方が向いてる気がします。
今回も、巻末後日談のラブラブ同棲編の方が、それまでのサスペンス展開より遥かに筆が乗っていたような…w
好きな作家さんなので、次回作に期待したいです。