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表題作手品師は口上で愛を囁く

小鳥遊エイスケ,50歳,元手品師
橘優作,25歳,フリーター

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

橘優作、25歳。
人生に絶望し自ら命を絶とうとした夜、無職・借金・不能・きみより僕のほうが不幸だと言う、
貧乏くさいのに不思議な魅力ある男と出逢い、その人の家に居候することに?
最初は浮世離れしたへんてこなおっさんだと思ってた。
だけど次第に、優しくてあたたかいあのとろける笑顔を見ると、綺麗な指先に触れられることを想像すると、
優作の心はそわそわする。
ある雨の降る夜、その人は見たことのない表情で優作にキスしてきて──!?

作品情報

作品名
手品師は口上で愛を囁く
著者
万里なお 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHY文庫
発売日
ISBN
9784813041436
3.4

(16)

(5)

萌々

(5)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
5
得点
50
評価数
16
平均
3.4 / 5
神率
31.3%

レビュー投稿数5

枯れ専ほいほい。

小椋ムクさんのイラストに惹かれて購入。あらすじも微妙だったのであんまり期待はしていなかったけど、面白かった!難しい文章が嫌いで苦手だけど、これは久しぶりにすらすら読めたかも。
最後の手品師センセイの口上シーンに感動したので、おまけの神評価。
ただ、枯れ専じゃない人は注意!攻めが結構がっつり老いてます(笑)

4

伝説の手品師と自殺志願のゲイの話

手品師50歳×自殺者25歳。

「結婚するから」と男に振られ、絶望して公園で首を吊ろうとしていた受けは、偶然通りがかった中年の男に助けられる。仕事をクビになり、借金に追われ、EDなので君より不幸だ、という男の家に連れ帰られ、貧乏な居候生活を送る中、男が元天才手品師であったことを知り…。

まず攻めが50歳だという設定に驚きました。受けが25歳なので半分です。40歳ちょいまでのオヤジ攻めオヤジ受けはちょくちょく見かけますが、50代は珍しい気がします。そしてガリガリで、借金持ちでED。普通のBLとはかけ離れています。
そして受けが自殺志願者。公園で木に縄をくくりつけ、今まさに首を吊ろうとしているところ。ヘビーです。
そんな出会いだったせいか、まったく素直になれずにツンツンしている受けを、とろけるような微笑みで包み込む攻め。(でもED) 貧乏ながらも居心地の良い、穏やかな日々は、借金取りや、攻めの元同業者、攻めの家族だという青年などの登場で終わりを告げます。

読んでいて心を動かされた、という点では神評価をつけてもいいくらいだったのですが、受けが何かっちゃあ攻めの家を飛び出して、他の男と関係を持つのが生理的に嫌でした。ちょっとのあいだも男なしではいられないような、男を途切らせないビッチのイメージ…。
いや、いろいろ悩んでるんだろうけど、やってることやってたら一緒ですよね。ちょっとくらい禁欲できないのかなと思いました。

4

私、この作家さんが好きかも……

以前から気になっていた作品なのですが、何故か読むのが後回しになっていた一冊。
やっとのこと読んで思ったのは「あら、好きなタイプのお話」。
万里さん「この後の作品は?」と思い検索してみたら『ファーザー・アロング』を書いた方だったのですね。もっと早くに読むべきだった……

何が好きかと言いますと『負けて来た人たちの話』であったことです。
おまけにこの話の主人公は2人は「もう、負けたままでいいや」と思っている節があります。でも、彼らは互いを大切に思っちゃったことをきっかけに『もう一度闘おうと奮起する話』でもあるんです。
こういうのに弱いんだな、私。
おまけに片方はおっさんだし。その描写は『おっさん』というより『ジジイ』に近い……フケ専としては萌えちゃうじゃないですか。

ハイスペックな恋人から「結婚する」と言われ、優作は深夜の公園で自殺を試みます。ところが通りかかった冴えないおっさんに止められる。彼は首つり用のロープを七色の紙吹雪と飛び去る鳩に変え、優作の自殺を防いでしまうのです。
彼の家で目を覚ました優作は、ひと悶着の後、居候として彼の家で暮らすことになります。彼の正体は過去に一世を風靡した手品師の小鳥遊エイスケ。しかし、今は無職で借金があり、おまけに不能。恋の対象になるはずのない人のはずなのに、一緒に暮らしていく中で、その優しさと、時折見せてくれる魔法の様なマジックに優作は心を癒され、エイスケに惹かれて行きます。
同時に、エイスケの家を訪れる人たちが起こす事件に巻き込まれるうちに、彼が手品師を止めてしまった過去が明らかになって行きます。その重さに太刀打ち出来ないと考えた優作は、エイスケの元を去る決心をするのですが……

所々に「もう少し落ち着いた書き方でも良いのにな」と思う部分がいくつかありました。例えば主人公の優作がガックリ来た時に発する「ズゴー」というオノマトペとか。ポップと言うよりは人情噺の色合いが強いので、ちょっと滑った感じになっちゃっている様な気が……この辺は損をしているんじゃないかなぁ。

エイスケ氏は章毎に違った手品を見せてくれるんですが、これがかなり面白かったんですよ。
まさに魔法。
そしてこの魔法が、お話の展開にも粋な感じ関わって来る。バッと上を向かせてくれる様な『仕掛け』になっていてこれ、かなり気分が良かったです。

でも片方ではこの2人、ふたりとも狡くてねぇ。
自分の気持ちに、そして人生にきっちり向き合おうとしないのね。
そのくせひとりは寂しいものだから、エイスケは捨て犬猫を拾ってくるわ、優作はすぐに彼氏を作ろうとするわで。
でも、この辺の狡さもなんかわかるのよ。
「一番欲しかったものが手に入らない人生を送って来ると、こんな風になっちゃうよね」と思っちゃう。

この部分がね、効いているんです。
ここがあってこそ、ラストのカタルシスが活きて来る。
王道ですよ、これ。

万里なおさん、好きだと自覚しました。
また新作を書いて下さらないかなぁ……

2

受けを好きになれず・・・

ゲイのフリーター・優作(受け・25歳)の一人称「俺」で進行する物語。
人生に絶望し自殺しようとしたところを、冴えないおじさん・小鳥遊(攻め・50歳)に止められる優作。
元手品師だという小鳥遊(「先生」)の家になりゆきで居候することになります。

まず、優作のキャラクターがどうにも好きになれませんでした(すみません)。
男に捨てられ被害者ぶっていますが、雇い主と職場で致してたところを奥さんに見られてクビになったのは自業自得のような……
先生に出会って成長していくのかと思いきや、そうでもなく。
物語後半でも、結婚した元カレと性懲りもなく不倫しており、主人公として成長がなさすぎるのが、読んでいて張り合いがなかったです。

ノンケだった先生が、この優作のどこに惹かれ、手品師としてもう一度頑張ろうとまで思えたのか、正直よく分かりませんでした。
復帰した先生が優作に告白するシーンは物語のクライマックスでとても感動的な場面のはずなのに、上記の理由で今ひとつ気持ちが入らず……

先生側のエピソード(元同僚や息子、手紙など)も、一つ一つは悪くないのですが、ちょっと詰め込みすぎな印象。
他者による評価だけでなく、今の先生自身の言葉や行動から彼の魅力が分かるエピソードがもうちょっとあればなと思いました。

商店街の雰囲気や、オネエな脇キャラ、手品に絡めた先生の告白など、良いところも沢山あったのですが、全体としては纏まりに欠けるのが惜しいと感じました。

8

何か違和感

年の差があり過ぎたし、攻めがいい人なのはわかるけど、お互い恋に落ちるかなー。受けは単に惚れやすいだけなのでは?凄い手品師なんだろうけど、攻めの描写が冴えなさ過ぎてちょっと気持ち悪くさえ思ってしまった。最初の頃、受けがジジイ呼ばわりしてたせいかも。これBLじゃなければもっとあり得ない話のような気がする。

4

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