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ああ、どうしよう。心を揺さぶられてしまった。前作の『アホエロ』も大変面白く、いつかレビューしようと思っていた作品なのですが、コミカル色の強いあちらにも、シリアスでシュールな色が濃いこちらにも、作家様の個性が溢れていて独特の空気感があり、それがとても好きで何度も読み返す作品になりました。
スズキくんの綺麗な膝に貼られた絆創膏。転ぶ前に、怪我をする前に、先に貼っておくという絆創膏。謎めいたスズキくんのことを少しでも知りたくて、須崎は何度も何度もスズキくんを抱くのです。Hの最中にはグズグズにトロけてしまうスズキくんですが、事が終わると「キッモ」と須崎を追い出します。彼らが働くコンビニとスズキくんの部屋でのエッチが長い物語の大半を占めているのですが、エッチの最中のスズキくんも須崎もとてもコミカルでエロいのに、なんだか胸が締め付けられて、スズキくんが抱かれるたびに、悲しみと切なさと安堵が混ざったような複雑な気持ちになり、読んでいる間じわじわと涙が止まりませんでした。
誰にも期待せず、誰も好きにならないと言うスズキくんが、もう一人のバイト仲間の堺に見せた恋心は、もしかしたら母の元恋人のカナダ人に似ていたからなのかな?と思いました。大柄でがっしりした体つきやちょっと長めの髪や穏やかな性格。そしてスズキくんへ向ける優しさと、スズキくんが感じたあたたかさに、どこか共通するものを感じました。
コンビニオーナーと店長の壮絶な関係も描かれているのですが、これは是非スピンオフで読みたいなと思います。寺の息子で菩薩のように真っ白で真っすぐな店長が流す、どす黒い血。その血に染まってなお、店長を抱え続けるオーナーの贖罪は愛なのか?その愛は店長にとってどんな意味を持つのだろうか?もっと深く覗いてみたいと思う。
須崎にずっと追いかけられて、最後まで逃げ切ったスズキくんは幸せだったと思う。変わらず自分に向けられる愛情は、スズキくんが一番欲しかったものだから。そして生涯変わらずスズキくんだけを見つめて、スズキくんを愛し、追い続けることが出来た須崎も、とても幸せだったと思う。大好きなスズキくんが一番欲しかったものを、惜しみなく与えることが出来て、誰かをずっと愛し続けられるなんて奇跡のような出来事だから…。
良い子にしていたのに捨てられてしまったスズキくん。
大人になっても大きな心の傷。
身体は素直なのに心と態度は素直になれなくて。
膝に貼ったばんそうこうが切ないのです。
好きだ好きだ愛してる。
どれだけ言われても疑心暗鬼。
信じて、許して、飽きられて捨てられる。
この妄想を捨てられないまま。
後半、足いっぱいに絆創膏張ってしまうすがた思わず( ;∀;)あぅ
表現も細かい部分がすごく面白かった。
なんだろうね、あのサトリ世代漫画をほうふつさせるといいますか。
独特の視点が面白い。
終始エロ場面なのですが、ちょっとした伏線が張られているので要注意
エロばっかりじゃん!て読み流してしまうと見逃しますw
ラストは、寂しんぼのスズキくんが幸せそうで良かった。
遊び人でヤリちんだった攻が一途でかいがいしい男に成長するのも良。
エロな読み物としてももちろんオイシイですが、
意外と読んでみるとストーリー的にも悪くない。
前作、評価は高いけどイマヒトツと思っていたワタクシでありますが
これは読み返してみなければと思うのです。
ぜひエロを飛ばさず読んでいただきたい
この先生の作品
「アホエロ」で面白い!作家買いだと次作の
「ロマンスとジェラシー」でわっかんないな、独特だな、これ、わかんない私があほなのか?そして
「大きい小竹とちいさい武田くん」でこの先生にしてはおとなしめとというか、こんなにあらすじ通りと捉えていいのか何か見落としているんじゃないか?でも下巻は買う気にならないや、
で!本作!
かけで買ってみるかと勢いつけたら!
面白くて切なかったぁー。
と言ってもオーナーと店長と堺くんのお話は本当にここに入れた方がいい?
スピンオフにした方がいいの?
いや、なくてもいいんじゃないか?
でも先生はココに入れる意味があると思ってるんだよなー、その意味をまた汲み取れない私がアホなのか?と少し混乱しました。
が、それにしても本当、良かったなぁ〜。
あ、あとみんなの期待のエロですが、前評判どおり普段の生活と心情を描いてるのが2割、あとの8割が素っ裸でいたしております。
あら、前評判どおりね、私もう大人よ、こんなに素っ裸の連続見せられたってピクリともエロセンサーと読み進めていたんです。
そしたら本作のエロの意味、自分なりに気づきました!
須崎くんのエロと裸は最初から変わらない、そのままの心を取っ払って見せ、スズキくんにぶつけてる事を表現している。
スズキくんのエロと裸は体という外側は全部見せているくせに心の中は見せない。
でも須崎くんの愛ある攻めと言葉で最後には体も心の内も見せてしまってる。
でも素気無い態度と絆創膏で隠してますよねー。
須崎くんは心を優しい鬼にして追いかけっこ。そして2人は末永く仲良く暮らしました、ですかね。
っとに、今回、自分のエロ中を反省しました。
大人になったなんてほざきやがって!ダンカンばかやろー(そういえばオフ◯ス北野大変ですね)、オマエ、局部をガン見してただろ!です。
自己中判断ですが今回は先生の意図を捉えました。
一体スズキくんは誰が好きだったのだろうか…。
読み終えた後に分厚い本を閉じその重みをひしひしと感じました。
一途に想ってくれる須崎に心揺れる(シャツの匂いを嗅いだり、バイトを休んでる時など)描写があるにも関わらず結局は堺さんに想いはいっていたのか…。何度も読み返しましたがスズキくんの気持ちは分からないまま。
オーナーと店長は最初酷い関係だな〜と少し敬遠してしまったが、二人には確かな繋がりがあり誰も手出しできない関係だと分かりました。そう思うとオーナーの台詞も嫌悪感なく読めました。
心は堺さんに
家族はお母さんの元彼に
では須崎には何を求めるのか。
考えさせられる話でした。
いろんな要素が詰まった作品。
アホエロ同様、笑えるところが多々ありますが、スズキくんの抱えているものは複雑で笑えなかったりします。須崎、よく頑張った!と言いたいです。
エロは盛りだくさんですが、重い話メインなのでサラっとは読めないと思います。
ページ数もかなり多く読み応えがあり、スズキくんと須崎の終着まで描かれています。
作画がちょっと不安定な感じで、キャラクターもぼんやりしている印象がありますが、それも魅力的。
今後の作品が楽しみです。