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表題作ささやかな愛しい翼 

東紘一郎 商社マン
早川慶理 大学生&デザイナー

あらすじ

高校三年になった慶理は、大学進学か、卒業後デザイナーの仕事に専念するかで悩んでいた。兄の稔に東との関係も認めてもらった慶理の選んだ道は…? さわやかボーイズラブ、クライマックス!

作品情報

作品名
ささやかな愛しい翼 
著者
麻生玲子 
イラスト
せのおあき 
媒体
小説
出版社
集英社
レーベル
コバルト文庫【非BL】
発売日
ISBN
9784086002769
4

(2)

(1)

萌々

(0)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
8
評価数
2
平均
4 / 5
神率
50%

レビュー投稿数1

成長しようとする姿が愛おしい!

シリーズ完結編!

前作に続き慶理の成長期&もう少し先の慶理の発展に期待を込められた最終章でした。

高校3年になった慶理は、卒業後の進路で悩みます。
デザイナーの仕事に専念したいと思っていたのに、兄や周囲からは大学に進学しろと言われて…
自分にとって何が1番の選択なのか悩みます。
そして、大学進学は決めたものの、覆面デザイナーの自分のアンチ記事を読んでしまい、再び悩む慶理。
そして悩んだ末出した答えは、やっぱり男だなあと思います。
兄の稔にとったら、かなり痛い…可愛い弟の旅立ちになってしまったけれど、一人で悩んだ末決めた慶理の強い思いをみていると、絶対に「早川慶理」という一人のデザイナーとして、帰ってきてくれるって思えました!
残念なことに、そこまでは書かれていないので、楽しみは想像でしかないんですけどね…。

恋愛面は、周囲も当てられてしまうくらい、凄く甘い雰囲気の2人。
慶理の兄にも関係が公になり、年上として大人としての行動を…と東を責めはするものの一応認めてもらえる関係になります。
バレると言えば、東の同僚女性•坂下にも、東は躊躇なく恋人と紹介しちゃってるし(笑)
彼女は東を好きなんだろうなあと思っていたから、若干気の毒でしたけど、そんな事で良き同僚&友人関係までは崩れないといった感じでした。
初旅行でもそうですけど、慶理は、同性同士ということはもちろん、若い分、戸惑いや恥じらいがあるんですけど、東は、大人としてこの先の事も見通して、もう腹は決まっている分堂々としてます。
その年の差のギャップが、読んでいて楽しくて微笑ましかったです。

初旅行の2人の寄り添うシーンは萌♡
2人を見ていると、愛しい気持ちは、哀しい気持ちに近いんだなあ〜と感慨深かったです。
何か特別な出来事があったわけでもないのに、偶然の出会いと、ささやかな接触と、優しさと…ただそれだで結ばれていった2人。
それなのに、泣きたくなってしまうくらい…相手を愛おしく思う気持ちや、どこから溢れてくるのか不思議なくらいの、好きだという気持ちが読み手にもなだれ込んできます。
そんな「普通」さが印象的で、自分も経験ある、懐かしい気持ちも重なって、胸がギュウッと締め付けられました。
こういった文章の操り方は上手だなあと、改めて麻生先生の好き度が上がります。

デザイナーであることを告白するシーンや、学業や仕事で忙しい中でも、お互いを尊重し、理解し合い、自然と寄り添える関係…いい感じの距離感にほんわか癒されました。
男性と女性との恋愛では味わえない、男同士だからこその恋愛場面を、リアルに表現された印象を受けました。

あとがきに、エンドマークの付け方を迷いに迷ったとら書いてありました。
確かに、素っ気なさや中途半端な終わり方にもとれてしまうんですけど、私的にはありかと思います。
これについては、コバルトというレーベルの作品っていう所が大きなポイントかも!
私は「夢」を見せてくれるレーベルだと思っているのでありなんです。
といっても、この作品は評価は別れるだろうなあと思います。
麻生先生もご自分で何度も言ってますけど、全体的に「普通」過ぎるお話だと!
その割りには、主役の慶理は才能もあって、恋も勉強も仕事もとんとん拍子で都合よく事が運び過ぎているようにも思えてしまう…矛盾。
慶理に重点をおいてお話が進められていくことで、なんでも一人で決めて、独りよがりな印象にも見えてしまい、自己中で我儘だけで突っ走しる印象が強くなってしまったから、結局、キャラのイメージを落としてしまったのではないかと…心配する本音が書かれていました。

でも、私はコバルトの読者って…多分慶理と年代が近い人達が多いと思うんですよね。
だからこそ、「普通」さって、自分と近い目線で読める点では大事な部分だと思うし、「夢」も感じたいお年頃…それに繋がるのであれば、多少の矛盾はいいと思うんです。
エンドマークの付け方も、確かに成功した綺麗な終わり方を読者としたら求めてしまうんですけど、
自分もコバルトをよく読んでいた若い頃って、「夢」の部分も大事なんですけど、そこに現実味があって、共感できるお話を好んでいたよなあと…分岐点でもある世代だからこそ、リアルかつ将来を暗示させた終わり方の作品も、何かを得る意味では必要だと感じます。

でも、現実問題上、慶理位の年頃の男の子ってこんな感じなんじゃ!と、私は思いながら読んでいたから違和感なかったんですよね!
この年頃の男子は難しい時期だから、まだ、慶理なんかは好きな事も見つけていて、将来の事をしっかり考えている分真面目だなあ…と逆に感心したくらいです(笑)

大人になってしまうと、逆にドラマチックでファンタジー要素を求めがちになってしまうな〜と、若干悲しくもなります(笑)

ピュアな青春ラブでした。
リアルな心情描写が、より優しい恋愛模様を描いていて、とても心地よいお話でした。

せの先生のイラストが、優しい雰囲気にとてもあっていてよかったです。
もう少し読んでいたい作品でした。
青春、爽やかボーイズラブが読みたい方にはオススメです。

あと気になるのは、慶理の従兄弟君が登場するんですけど、どうも同人誌の方で従兄弟カプのお話がシリーズ化されているようです。
インパクトある2人だったので機会があれば読んでみたいです!

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