• 紙書籍【PR】

表題作黒いサカナ

今隅竜巳
新進イラストレーター「黒川水生」
竹垣佐保
美貌も金も仕事も順風で退屈している会社員

その他の収録作品

  • 泳ぎだすサカナ

あらすじ

何か刺激が欲しい──全てに恵まれ、退屈していた竹垣は、謎めいた雰囲気のイラストレーター・今隅に求められ、モデルとなった。しかし、ふいに触れては離れていく彼の意味深な態度に、プライドの高い竹垣は戸惑い、翻弄される。そして、今隅に触れられる快感に気づいた時、欲望という名の恋心が溢れ出し……。「俺を、感じたでしょう?」獰猛な笑みと甘い囁きに搦め捕われ、深い悦楽に溺れる。美しく高潔な男が陥った、スリリングなラブアフェア。

作品情報

作品名
黒いサカナ
著者
火崎勇 
イラスト
海老原由里 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829622544
3.2

(4)

(0)

萌々

(2)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
12
評価数
4
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

艶のある作品

表題作と続編の中編2本が収録されています。竹垣の目線で進みます。

「黒いサカナ」
日常に退屈している竹垣は、ある日、隣の風呂が沸かしっぱなしになっているのに気がついて、隣人・今隅の部屋に入ります。それからイラストレーターだという彼にモデルになって欲しいと頼まれ…。

今隅が罠をかけて、竹垣をモノにする話です。
火事になったら困るので無視できないという心理を利用した風呂の音、ギャップで興味を引く変身ぶり、男を抱く姿を見せて己への思いを自覚させる…計画的に仕組まれた罠に抗うことができず、モラリストな竹垣が、心の底では欲していた今隅のインモラルに落ちていく様子が、自然に書かれています。なんだか艶っぽい指先や情景が目に浮かぶようでエロいです。黒いサカナの黒いタトゥーが良い味を出してます。


「泳ぎだすサカナ」
恋人同士になったけれど、竹垣がプライドを崩さないことが不満な今隅。そんな中、竹垣は、二人の関係を知った部下・松澤に脅されます。それを聞いた今隅は、松澤を部屋に呼んで欲しいと言い出して…。

今隅、恐るべし。
松澤の悪事を暴いてお仕置きをすると同時に、嫉妬する心を伝えて竹垣が自分を求めるように仕向けます。
結果的には今隅の思うがままになったという話ですが、今隅はワルい男ですが、酷い男ではないので、不快感はありません。

どんな場面でも、底辺にエロい流れを感じました。普通の人達が過ごす日常生活の近くにあるのに一線を画している流れ。その流れの中を、もつれあって泳いでいく主人公たち二匹の黒い魚。そんな印象でした。

日常的なサラリーマンの恋愛からは離れていますが、倒錯的なSMの世界まではいかない、そんな不思議な作品だと思いました。

2

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP