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電子書籍ってあまり買わないのですが、執筆陣を拝見して思わず購入。すみません、ネタバレ含んでいます。
中村明日美子さん『ふたりぐらし』
冥花すゐさん『Blue Blood Vampire』
日野雄飛さん『マグネット兄弟』
アヤノミツカさん『バカでなんにもできないけれど、セックスだけは上手なサクちゃん』
トウテムポールさん『東京心中-番外編-』
の、全部で5つのストーリーが収録されています。
中村明日美子さん『ふたりぐらし』
「同級生」シリーズの草壁くん×佐条くんのお話。雑誌『OPERA』で「blanc(ブラン)」の連載が開始されましたが、そちらの話とは時系列が異なるお話のようです。
二人で暮らし始めた草壁くんと佐条くん。
草壁くんが目を覚ますと、横で寝ている佐条くんの寝顔が横にあって…。
という可愛らしいお話。
めっちゃ短いです。ページ数にして4P。
でもオールカラー。
「blanc」ではやや不穏な空気が流れていますが、こちらでは可愛い二人に再会できました。
淡い色遣いで、優しい空気に満ち溢れています。
冥花すゐさん『Blue Blood Vampire』
『web opera vol.01』の表紙を飾っているのがこの作品。
主人公はヴァンパイアハンターの秋夜。ハンターとしては有能な彼ですが、「始祖の血族」(ブルーブラッドヴァンパイア)には勝てず…。
冥花さんらしい、と言っていいのか、めっちゃダークなお話です。流血あり、レイプあり。マンガなので基本モノトーンなのですが、赤と青の色が効果的につかわれているのがなんともミステリアス。
ストーリーとしてはほんの序章に過ぎず、今後の展開が楽しみです。
日野雄飛さん『マグネット兄弟』
兄弟ものです。
兄の龍太はセックス依存症。誰でもいい。自分とセックスしてくれる男なら。
そんな龍太を心配して、門限(夜の10時)までに帰ってこないと龍太を見つけ出して彼のもとへとはせ参じるのが弟の寅次。
寅次は、龍太がどこにいようと、感覚的に見つけることができるのだ。
ある日ネットで出会った男と行為を始める龍太だけれど、この男が加虐指向を持っていて…。
よく知りもしない男とセックスすることの危険性は知っているものの、セックス依存症の龍太はセックスを「しない」という選択肢はない。そんな龍太を見かねた寅次は自分とすることを提案して―。
兄弟もの。
セックス依存症。
性的な暴力。
若干読み手を選びそうな作品ではあるのですが、個人的にはめっちゃツボでした。展開としてはシリアスに分類されると思うのですが日野さんの描かれるちょっとほのぼのした絵柄がいい感じにシリアスさを中和させている。そして、内容のシリアスさとのギャップがこれまたよし。
セックス依存症ということで濡れ場はかなりあります。エロエロです。
でも、単純にエロいというだけではなくって、弟くんの、兄への恋心が透けて見えていて、彼らの行く末が気になります。
アヤノミツさん『バカでなんにもできないけれど、セックスだけは上手なサクちゃん』
親の再婚により兄弟になった八尋(弟)と朔(兄)のお話。
ビジュアルは最高。が、頭の中身は空っぽ。
なのが、兄の朔。
男女問わず誰とでも、どこででもセックスしてしまう。
そんな朔のことが子どものころから好きだったのが、弟の八尋。
ある日、会社の飲み会で訪れたレストランのトイレで、複数の男たちに抱かれている朔を見かけた八尋だが…。
朔という青年の魅力がいまいちわかりづらい。
顔がいいだけ、という青年に思える。
けれど、そんな朔を好きになってしまった八尋の葛藤に萌えました。こういう男に惚れちゃったら、大変だろうな。
ビッチな受けと、そんな受けを一途に思う攻め。非常においしいストーリーでした。
絵柄がいまいち好きではなくって(ごめんなさい…)読み始めたときちょい微妙な気持ちになりましたが、なかなかツボに入る作品でした。
トウテムポールさん『東京心中-番外編-』
宮坂くんの持っているゲーム機で、映画をレンタルしてみたい、という矢野さん。
矢野さんが選んだ映画は任侠もの。宮坂くんは、矢野さんのチョイスが「渋いなあ」と思いつつ一緒に映画を見始める二人だが…。
任侠ものだと思ってレンタルした作品が、実はピンク映画だった、というお話。
エッチな気分になった、と言いつつも、
やらねーぞ 映画見てる最中なんだ
といつもの塩田対応をする矢野さんに爆笑しました…。
5話しか収録されていませんし、ページ数もさほど多くない。
多くないけれど、一つ一つの作品に萌えが詰まってました。
どの作品も続きを読みたくなる。
次巻も買おう、と思える、ナイスなアンソロでした。
現在Vol.02まで出ているOPERAレーベルの電子雑誌。
創刊号は中村明日美子さんと冥花すゐさんがフルカラーで、特に冥花すゐさんのページがデジタルならではの美しさです。
ページ数は以下の通り。
・中村明日美子「ふたりぐらし」フルカラー4ページ(連載?)
・冥花すゐ「Blue Blood Vampire」フルカラー8ページ(連載?)
・日野雄飛「マグネット兄弟」36ページ(連載)
・アヤノミツカ「バカでなんにもできないけれど、セックスだけは上手なサクちゃん」40ページ(連載)
・トウテムポール「東京心中-番外編-」8ページ(番外編)
OPERAレーベルってことでかなり期待したデジタル雑誌だったんですが、んーこれはぶっちゃけ微妙なクオリティ。
ネームバリューのある作家さんを名寄せパンダ的に使いつつ、実質的には日野雄飛さんとアヤノミツカさんのお二方で成り立っているような雑誌です。
そしてどちらも如何にも電子系っぽいエロ=内容なマンガで、乱立している他の電子雑誌と大差がなく、次も買おう!と思わせてくれるほどの引きがあまりない。
個人的には日野雄飛さんは好きな作家様ですが、それでもコミックになってから買えばいいやって思っちゃいました。
最近はどこのレーベルも電子に力を入れていてクオリティの高い雑誌やアンソロが増えてきているので、その中ではちょっとビハインドスタートかなぁというのが冷静な感想です。
もう少し紙雑誌の方のようなOPERAらしさを出せないもんかなぁ?