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表題作ロマンスの旋律

駆け引き上手な設計技師
実は寂しがりやな作曲家

あらすじ

古い一軒家に住む霧原朋樹は邦楽の作曲家で箏の奏者でもある。
家を改築して以来、設計技師の矢幡英司が定期的に訪れ家のメンテナンスをしていく。
何事も低体温気味に過ごす朋樹だが、矢幡のきわめて男らしい容貌と強気さにはじめは意味もなく反発。
でも、高校からの友人と他人には言えない関係にある朋樹は孤独ゆえか、矢幡と寝てしまう。
そして停滞していた時間と関係が動き出して―。

作品情報

作品名
ロマンスの旋律
著者
佐々木禎子 
イラスト
山田ユギ 
媒体
小説
出版社
茜新社
レーベル
オヴィスノベルズ
発売日
ISBN
9784871827331
3.6

(3)

(1)

萌々

(0)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
11
評価数
3
平均
3.6 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数2

しっとりアダルティ

あらあらあら・・・。とても好みの話だわ。
全編に渡って色気が漂っているような気がします。
とても読んでるあいだ、ドキドキしていました。
あれ?でもなににドキドキしていたんだろう??

確かに主人公の朋樹はけだるそうな雰囲気で色気が漂っているようなキャラです。
ユギさんのイラストも素敵でした。
お相手の八幡もかっこよかったです。かっこよすぎるくらい!
こちらはユギさんの漫画「最後の~」の本田に似てますね~。
二重人格というか牙を隠して普段は温和なキャラが好みなので素敵でしたよ。

あ、そうか、2人の関係性にドキドキしていたのかも。
陥落させようとする八幡。八幡のアプローチに戸惑う朋樹。
その関係がとても緊迫していたのですよ。
その緊張感にドキドキしたし、色気を感じたのです。
落ちそうで落ちない、触れそうで触れない。
押しと引き、じらしの上手な八幡のせいもあったのでしょうか。

その緊迫した関係性のドキドキ感も楽しめたのですが
朋樹の大人だけど子どものような寂しい心も切なく映りました。
ひとりのほうが気楽さと斜に構えているけど
ふとした時に押し寄せる孤独感に共感してしまいました。
それを斜に構えていると見破られた時の恥ずかしさと
孤独を感じていると自覚した時のなんともいえない気持ち。
もう、佐々木さんったら切なくなっちゃうじゃないですか!

投影できるキャラクターを生み出せる力って凄いですね~。
今まで佐々木さんの本は何冊も読んだことはありました。
でもこの本ほどは、ずきゅーんときたのはなかったですよ。
「ロマンス~」に出会うまでの佐々木マイベストは
「恋とペットと時限爆弾」でしたからねぇ~。軽いノリだったなぁ。

本を読んで「あ~面白かった♪」だけで終わることが多い中で
いろいろ感じて考えてみた物語でした。読んでよかったです。

2

ヤバい、アダルティでめっちゃオモロイ

乾いてるのに湿ってる、不思議なドロドロ感のあるストーリーでした。
主軸となる男三人のそのときそのときの感情と、お互いに持つバラバラな誤解、すれ違い、そして、感情が変化していくさまを、佐々木禎子さんはきっちり計算して描いていました。
ゾクゾクしました。
上手い◎
アダルトな作品でした。

愛人なのか恋人なのかセフレなのかよくわからないまま長く続いてた関係だった受けとその友人。諦めによって表面はすっかり乾いてるのに、内部はじくじくと膿み爛れている。
この二人の前にも後ろにも進めない関係を変化させたのは、攻め。
受けは、はからずも二股をかけることになります。
二股に至る流れがすごく自然でしたね。
二股かけてるのは受けなんだけど、彼は最大の被害者でもあるのだ。

指輪の疑心暗鬼ネタだけがいただけなかったな。あれは見え見えすぎる。
攻めが「受けとその友人の関係を誤解してたこと」にはものすごく説得力があるんだけど、
それと比較すると、
受けが「攻めと指輪の相手の関係を誤解したこと」は、取ってつけた感が拭えなかった。前者に比べると弱い。
見えない(ていうか、いない)幻の四人目を絡めず、最後まで三人の関係のなかでの心理を追いたかったなと。
といってもこの不満は、「好きなお話だったから」こその不満です。

小さな心の揺れまで「エピソードを重ねること」で表現した、読み応え抜群の大人のラブストーリーでした。
ユギさんの挿絵も良かった!

1

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