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この作者さんの作品は凡そネコミミと
同じ種類のファンタジーに分類される
様ですが、若干違います。
この作者さんにとってネコミミやケモノ
ミミと言うのは物語の一部であって
大道具ではないのです。
耳のある理由がきちんとあるからこそ、
切なくて優しい物語が織り成されるの
です。
この本には一篇、人間同士の恋物語
「お医者さんといっしょ」も収録。
ケモミミと和風ファンタジーが詰まった1冊です。
『遊べや雀』
鈴雀の弟と妹が可愛いです。お兄ちゃんをかばって、喧嘩になった二人がラブリーでした。鈴雀がビックリして雀に戻るところも、キュートでした。お互いのために頑張る鈴雀と周防にキュンとなりました。
『月に狼』
たくさんの狼の小さな弟たちが、文句なく可愛いです。月代と狼焔のキスを見て、自分もしたいと言った弟に笑いました。
『黒い鱗と黒い角』
一目見て、お互いを気に入った蓮と天羽。あまりにも蓮に会いたくて、竜の姿で会いに来た天羽が圧巻でした。下界の空気は苦手だと言っていた天羽に、結局二人はどこで暮らしてるんだろうと疑問に思いました。
『恋する兎』
人参の妖精のにんにんが可愛いです。大きくなったら、イトコのお兄ちゃんのお婿さんになると宣言していた季。お兄ちゃんが出て行くのを阻止しようと、取った行動に驚きました。
『お医者さんと一緒』
飼い猫ラブな獣医さんの行動がおかしかったです。
『うさみみよーちえん』
兎なのに、人参が嫌いという設定が面白かったです。ちゅうしてほしいとモジモジするろっぷくんがラブリーでした。
全体を通して、ストーリーを楽しむよりも可愛い印象が強かったです。
表紙からも分かるように、収録されているほとんどの作品は獣ミミ(1作品のみ角ものです)が登場します。
人外が登場するファンタジーな設定が殆どなんですが、唯一人間社会が舞台の「お医者さんといっしょ♡」にもミミ物が登場します。徹底してますね(笑)。
小さな子供の登場率も高いです。
なので、全体的には可愛いお話が多かった印象。
ただ、各作品のページ数が少ないためか、展開の早いお話ばかりで、もうちょっと余韻を感じられたらなぁと思った作品が多かったのが少し残念。
「和風ボーイズラブ」ということで、着物シーンを期待して買ってみましたが、正直失敗でした。
「遊べや雀」
遊郭に、もうじき結婚が決まっている周防が遊びに来て、下級遊雀の鈴雀(すずめ)と関係を持つ話。最後に、周防は婚約を白紙にしてまで鈴雀と一緒になることを選びますが…。
もう最初から鈴雀狙い、婚約を白紙に戻すことが前提だったような展開で、正直このストーリーは楽しめなかったです。それに、周防は大人で、鈴雀は子どもというところも、強引に関係を結んでしまっているようで、いただけませんでした。
「遊べや雀 その後」
周防と鈴雀が一緒に暮らしている様子を描いています。周防は大地主の跡取り息子なのですが、実家からも出てしまったようで、お坊ちゃまが肉体労働している様子。加えて、鈴雀も幼い姉、弟を育てながら、家事、行商などを行っているのですが、子どもが子どもを育てているところに、何だかほっこりするよりも、痛々しさしか残りませんでした。
周防もっとしっかりしなよ!とずっと叫びっぱなし(笑)
「月に狼」
狩りの途中で、狼の狼焰(ろうえん)に月代(周防の異母兄弟)が助けられる話。月白は狼焰のもとで一緒に暮らし、下の子どもたちのお守りをしながら、狼焰と恋仲になっていきます。いつの間にか、二人が恋仲になってしまったので、もの足りませんでした!
もうちょっと、恋仲になるまでの課程を描いてくれてもよかったかな。
「黒い鱗と黒い角」
竜の血を引く蓮が国の混乱を収めるために、竜の天羽(あまう)に会いに行くのですが、国の混乱を納めるためには、天羽が精気を吸わなくてはならないということで、蓮と交わります。国は持ちこたえることができたのですが、天羽は竜となって蓮の城まで会いに来ます。展開が早くて、あっという間の結末で残念でした。
「恋する兎」
季(とき)はにんじんを育てる農家なのですが、その季(とき)をめぐり、祖父といとこの芹兎(せと)が取り合いのバトルを繰り広げます。ある夜、祖父と芹兎が言い合っているのを聞いてしまった季は、芹兎を出て行かせないために、畑のにんじんを全て抜いてしまいます。その騒動から、誤解を解き、もう次にはから芹兎は季に手を出してしまうのですが、正直間髪入れない、間がないためか、流れるように進んでしまったような印象が残ります。
「お医者さんといっしょ」
昔、手厳しいことを言われ、動物病院杉浦先生のことが苦手になってしまった塚田。やむなく迷い猫のジャックを杉浦先生のところに届けるのですが、ここでもやはり耳コスチュームが…。
「うさみみようちえん」
にんじんが嫌いなロップ君。そこでみみ先生は「お願い事を一つ聞いてくれる」というのですが、結局はびっと先生とちゅーすることに。何だかこれもかわいそう。
私は獣、耳ものを読んだ経験がさほどないので、自分の好みなのかどうかも分からずに買ってしまったのですが、獣、耳ものというよりも、根本的にどうしても好きになれませんでした。子どもが子どもを育てていたり、年端も行かない子どもと関係を結んでしまったり、痛々しくて見ていられない場面が多かったです。年下、ショタというジャンルもBLにあるんだなーという勉強になりました。