表紙絵を見た時、おっ、と思いました…ヨセフとディルクが窓を挟んで違う側にいたからです(゜゜)
周囲からの教育と援助、それに自身の戒めもあって洗練され磨かれたかのように美しくなったヨセフ。
戦争での勝利、そこから齎された過酷な現実のせいで新たな業を背負い、冬の嵐を心の奥に抱えることになったディルク。
お互いに求め合っているのに、抱えるものの方向の違いから最初はすれ違っているのかと思いました。王族の守護という重い任務ですが、そこは甘く明るい光の庭で。一方は疲弊した人々の暮らしを何とかして底上げしなくてはならない酷く暗い荒地で。
あまりの業の深さに、ディルクが身を引くのではと危惧したくらいです(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
マルツェルの導きがあって、少し足元がしっかりしたような気がします。あと機微を悟るくせに、前向きで猪突気味のヨセフのおかげもありますよねww
やっと甘い雰囲気となって来たこの二人の、恋の成就の形を早く読みたいです。
それとは別に、政に関する記述も見られたのは、次の物語への布石と思いました。楽しみです✨
月夜先生が、是非読んで欲しいと仰っていた電子特典の書き下ろし『天啓』
こちらがどうしても読みたくて、紙は勿論電子でも本をお迎えいたしました。
“満月”という言葉に特別な意味を持たせた作品です。先の二冊では、エルンストとガンチェの満月を淡々と、でも情感豊かに描かれました。今回の一冊はティスとタージェスの満月が描かれました。環境も寿命さえ違う二人の思いの積み重ねと、相手を思う姿の可愛らしさに心を打たれました。そのタージェスの満月を補完、いえ完璧に描くために書き下ろされたのが『天啓』のお話です。
月夜先生の描く“満月”は、死だけではない、人生全てをどう生きたかを描いたものだと思うのです。
だからこそ、感動して涙が止まらなくなる、そんな物語なのです。
そこにミナハが連なる、『天啓』は大切な、素晴らしいお話でした。