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表題作英雄はアンブロシアを喰む 下

ニキアス・クロノキア
序列第十二位のクロノキアの神子
真宮 藍
25歳,俳優,英雄に無限の力を与える「神の果実」

あらすじ

2023年話題作『英雄はアンブロシアを喰む』待望の完結!

俳優の真宮藍は半神ニキアスによって神と人間が生きる世界に導かれ、己の正体が英雄候補に無限の力を与える「神の果実(アンブロシア)」であることを知る。当初は異世界に連れてきたニキアスを許せずにいた藍だったが、ニキアスが父神なき後、荒廃した祖国を救うため身を削って戦う様を目の当たりにし、ニキアスに惹かれていく。アンブロシアを取り戻すという神々との誓いを果たしたニキアスは、ついに無実の罪で裁かれた父神を解放するため、神子たちとの戦いの場に臨む。だが、その最中、かつてのニキアスの親友であった神子カイロスが藍に接近し‥!?

作品情報

作品名
英雄はアンブロシアを喰む 下
著者
小綱実波 
イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
Ruby collection
シリーズ
背中を預けるには
発売日
電子発売日
ISBN
9784041152393
4.6

(73)

(59)

萌々

(9)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
12
得点
340
評価数
73
平均
4.6 / 5
神率
80.8%

レビュー投稿数12

神と人の世界について思う…

上巻の不穏な終わり方からの下巻。

下巻の見どころは神々の代理戦争、ヘロスマキアです。
具体的にどのような戦いになるのかということがわかり、
代理戦争がどのようなものであるのか、その背景は何なにか、
それぞれの神子の思惑などが明確になりました。
ニキアスがしようとしていたことは何なのか…ということがわかりました。

ヘロスマキアの概要は、神の世界(多分ギリシャ神話の世界観)にも
人間のような苦悶があり、それを受ける神子の中にも綻びが出てきて
それをアンブロシアを手に入れることも含め、ニキアスがかたをつけると
いうものです。ここだけ取るとヒーローショーのような内容ですが
そこに至るまでの積み上げが、実に興味深かったです。
それぞれの神の特徴や、背景については小綱先生ならでのエッセンス!
祈りの言葉はギリシャ語ですし、乙女たちが歌う歌詞なども、
本当に知識がないと書けない部分です。圧巻でした。

それぞれの人物像については
藍の運命はいかに…というところが見どころでしたが
彼がなかなかに頑固でそして行動的になっていくので、
ニキアスでなくともハラハラ要素が多く、
人物的な魅力&やきもきするポイントになるかと思います。

そして、悠斗の存在。
このキャラクターが今回のお話の鍵になっていたか!と
あとから思い至るのですが(詳しくは先生のあとがきを読むとわかります)
本人の立ち位置でもある、脇役であっても主役になる
「アイドル」であると気付かされます。

ニキアスは…今回もとても素敵でしたね。
好みの攻め様はひとそれぞれだと思いますが、執着が強い、正義感が強い
やや不器用なところがある、口下手、愛し方が強烈…など
結構な要素てんこ盛りなので、藍でなくても戦いを応援したくなるし、
心から勝って!と願いが溢れて出て来る気持ちで見守りました。

そしてカイロス(好き)、嫌な人じゃなかったですよ…よかった。
この人の背景にもグッとくるものがあります。
とっても理性的でした。詳細は是非読んでいただきたい!

ニキアスと藍、二人の愛の物語にも大注目でしたが
紛う方なきハピエンでした。良かった!!!

私は神と人の世界について、深く深く考えさせられました。
宗教観を持たない人にはその世界の一端を知ることができるような…
宗教がある人には自分の信じる神への理解につながるような…
そんな気持ちにさせられる、深淵な世界観がありました。

ファンタジーというものは、いかにその設定を読者に伝えつつ、
物語として違和感なく進められるかというところが大きいのですが、
小綱実波先生はそのあたりが非常に巧みです。
今回も背景として地の文に盛り込まれたり、登場人物に語らせたりと、
違和感なく読み進められ、物語の世界に引き込まれていきました。
バトルシーン多いとのことでしたが、そこはあまり気にせずとも
良いと思います。私は苦手な方ですが問題なく読めました。

まだ読み終え直後で、感想が上手くまとまらないのですが
本当に多くの方に読んでいただきたいお話でした。
エロ要素多めを求める人には物足りないのかもしれませんが
物語としての良さを求める小説の民には心からお勧めできます。

12

決戦のとき。この世界が辿り着く歴史の証人となりましょう

上巻発売から8か月。
ええ、ええ。この時を……下巻発売を今か今かと心待ちにしておりました。

いざ決戦のとき。ついに突入です、神々の代理戦争。
眠気も吹き飛ばす神々の威信をかけたバトルロワイヤルに大興奮です!(=´∀`)人(´∀`=)

敵味方に分かれた神子たちによる世界を変える戦いが始まりました。正義と私怨が入り混じる戦いの行方、世界の行方がどうなっていくのか……良いも悪いも手に汗握るストーリーから目が離せません。
決戦は、神子vs神子の団体戦または個人戦での戦い。それに加え、他の神子たちの動きにも注意を払わなくちゃならんので、まー大変です。水面下での心理戦にも注意を向けながら、誰が敵なのか、誰が味方なのかを見極める必要もあります。
神子たちのニキアスに対する様々な感情がこの戦いを盛り上げるといっても過言ではなく、ニキアスや藍を取り巻く状況全てが見どころっていう特濃展開を最後の1ページ、1文字まで堪能しました。


下巻の主なストーリーはヘロスマキア決戦で、その戦いに勝利することがニキアス側の至上命題となります。ニキアスと藍の目的は、

ニキアスの父の冤罪を晴らす
悠斗を元の世界へ戻す
英雄となってアンブロシアを手に入れる

これを成し遂げるために、皆がそれぞれの持ち場で動いていきます。
英雄になると神の果実であるアンブロシア……つまり藍を手に入れる権利がもらえるため何としても勝たなきゃならんワケです。
藍はアンブロシアとしては神子みんなのものだけど、ニキアスのつがいの立場でもあるので、藍を取られないためには勝利がマスト。何度もピンチが訪れますが、ピンチがあってこその面白さもあるので、困難も勝利へのスパイス的に楽しむといいでしょう^ ^


今巻は戦いがメインの物語展開ではありますが、藍や悠斗の成長っていうのかな?そんなところにも注目して欲しいと思います。
藍からのニキアスへの愛が深くなってるというか、自分も一緒に戦う!みたいな気持ちが強くなったなって印象でした。その分、ニキアスを助ける・守るの気持ちが高くなってるんで、結構無茶します。他の神子に狙われないように大人しくしとけって言っても、あちこち行こうとする護衛泣かせのコマッタチャンの一面もあります(笑)
それだけニキアスを愛してるって証拠なのかなと。つがい意識が高くなった変化に嬉しくなりました。

そして悠斗。彼はもう素敵キャラナンバーワンです!
良い感じでムードメーカーだし、行動力やコミュ力もすごいし、頭の回転が早いからすごく頼りになります。何より藍の心の拠り所になれる包容力もある。同じ世界から来た同志であり親友…みたいな。
彼の順応力や適応力が抜群なところに皆がたくさん助けられましたし、好きな人の背中を押す優しい一面に、私はすっかり悠斗推しになりました^ ^


メインは決戦。肉弾戦のガチンコバトルの臨場感はすごかった…。だけど、それ以外の取り巻く要素も同じだけの面白さがありました。
クロノキアに起きた真実、神による暴走の真相……などなど、全部の事象の点と点が線となって繋がっていくと、創造神からの暗黒面なこの世界の歪みが露わになっていきます。
クロノキアの不幸から紐解かれる事の顛末が宇宙レベルすぎてビビりますが、それだけに読み応えはエグい。壮大すぎる神々の世界観に沼りました。

読み切ったぞ!という読後感。いやぁ〜満たされました。
何百年の時を経て結ばれた運命の2人の濃厚な愛にうっとり…。ギリシャ神話のようにロマンティックな物語にただただ酔いしれました。

11

変化を恐れないことの大切さ

言葉にならないくらいの大きな感動が私の全身を駆け回っています……!!
BLを好むすべての人に読んでほしい!そんな作品でした。

上巻で苦境に立たされた主人公の受け達は、自分の周囲の変化に向き合って、自分自身が変わることに前向きになります。彼らの強さと成長をたっぷり読ませていただきました。

どの世界でも強者と弱者がいます。命を支配する者とされる者、感情のままに他者を傷つける者と自分の殻に籠る者。そんな事実から目を逸らす人。
このお話を読んで、世界や社会の理不尽さを思い出しました。
ですが、それでも自分たちの置かれた世界に抗おうとする彼らの勇気と、お互いを思ういろいろな形の愛に励まされました。
平和に向かう新しい世界で、彼らはもう理不尽さに諦めることはないのだと思います。

最後に、私の推しアイドル悠斗くんが幸せに暮らしていることを祈ってます!
十二神よ、悠斗くんのその後を読ませてください!お願いします!
※追記※ コミコミさんの特典で読めました!

8

壮大な使命を、共にやり切ったような気分!

上巻は、藍と悠斗と共にウラヌンティウムに飛ばされたような感覚で、とにかく世界観に馴染むのに必死で読みました。
ニキアスと藍が通じ合ったことも、少し唐突な印象を受けましたが。

下巻に入り、上巻で少し引っかかっていた部分が全回収されました。

転生または転移ものって、比較的早く異世界に行くパターンが多いですが、こちらはNYが割と長かった。ウラヌンティウムに飛ばされてからも、ニキアスとすぐ合流しない。
藍とニキアスだけでなく、藍と悠斗という関係も物語の重要な軸であり、またアンブロシアとしての"性"を描くためにも重要だったのだなぁ、と。
そして、ただの人間として過ごした藍の25年と、イーサンとして生きた30年、NYで出会い2人で共有した僅かな時間が、藍とニキアスにとって重要な人生の一部で、使命や役割から離れた、確かに価値ある時間だったんだな、と思った。

神の世界は、馴染みのあるギリシャ神話や古事記のように嫉妬あり、裏切りありでドロドロサスペンスな感じで最高に面白い。
個人的には戦闘シーンがもっとあっても良かったですが。

登場人物も上巻より増えて訳がわからなくなりそうだけど、全然大丈夫だった。

ニキアスとカイロス、オケアノスと悠斗、悠斗とセルジオン、悠斗とユーニス、エロクアとタナトス(←最推し)、藍とクロノス、藍とシメオン…

それぞれの関係、全部が尊い。
クリソテミスと藍も良いわね。おばあちゃんと孫、みたいな。

遅読な私は下巻読むのに3日かかったせいで、脳みそが完全にジャックされ、読後容量オーバーで、少々の頭痛。
長い旅が終わって、若干の燃え尽き症候群。
素晴らしかった。
神力でワームホール開いちゃう厨二感が、また良かったわ〜

8

ただただ、息をのむ神話×異世界ファンタジーの結末

長い長い物語、息つく間もなく貪り読みました。読後すぐの今、満足感と「終わってしまった…」という寂しさ、二つの感情が渦巻いています。
物語の圧倒的なスケール、世界観に圧倒され、飲み込まれました。

あらすじなしで、感想のみを。

藍がカイロスに見つかり、その腕に捕らわれたところで終わっていた上巻。
これ、藍を求めるニキアスvsカイロスという恋情のもつれ、三角関係だと思っていたら、もっとずっと重く、深い感情だった…

カイロスの思いは、藍へのただの恋慕ではなかったんだ…と、読みながらもうただただ、感嘆。
小綱先生の頭の中はどうなっているのー!?と、頭の中は興奮しきりでした。

神話×異世界の壮大なファンタジーの中に、それぞれのキャラの「新たな自己の発見」と「成長」とが見られた物語。

特に、上巻を読んだ時は正直悠斗→藍への恋心は不要なんじゃないか、と思っていたのですが、下巻を読んで捉え方が変わりました。
先生のあとがきにある、「全てが思いどおりになる主役から、支える者」としての成長を遂げた悠斗ですが、ああ、その成長と変化のためには藍へのどうしようもない恋心は必然だったんだなあ、と…

作中、戦いに参加することができずただただ逃げ、守られる自分を”(ニキアスに)釣り合ってない”と卑下していた藍。
そんな藍の考え方・自己認識の変化も目覚ましく、読んでいて心沸き立つというか、興奮するポイントでもありました。

物語の中で起こった全ての始まりは藍からであり、ニキアスに戦う力を与えるのも、物理的にも心理的にも藍であるー

体の大きさや戦う力が劣っていたとしても、”与える者”としての自信を得た藍の姿に、読みながら自分も何か勇気をもらった気がします。

小綱先生が書かれる壮絶な戦闘シーンも、本当に鳥肌もの。まるで映画の一場面を見ているかのように、文章を追っている間ずっと、脳内に戦闘シーンが鮮やかに見えていました。最っ高に興奮した…!

一度読み終わったけれど、細かい部分をもう一度じっくり味わいながら、何度でも読み返したい物語。出会えたことに感謝です…感涙( ; ; )

8

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