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ボリュームたっぷりの力作。

映像を書き起こしたかのような情景描写と、細やかな心理描写で終始描かれた作品でした。小説というよりも手記のようなスピード感で、自分はいったい何を読んでいるんだろうと途中で我に返ってしまいました。
萌えも特になく、明らかに「しゅみじゃなかった」のですが、評価確定済みだったので「萌」の評価になっています。(多分昔は柴岡に深い人間性を感じたのだと思う)

気になった点を書き留めておきます。

1. 河瀬という都合の良い人物
この作品の主役は受けの柴岡です。攻めの河瀬は、柴岡の説明役です。柴岡は理解不能な人物である、しかしそれには理由がある、ということを説明するために用意された人物が河瀬なのです。
そのため仕方がないのですが、簡単に柴岡に翻弄される河瀬に「おバカすぎない?」となってしまいました。柴岡の挑発にすぐにイラついて、嘘を簡単に信じて、うまくいかない状況に思い悩む河瀬。もう少し学習能力がほしいなと思いました。
それに加えて、もう見限ってもいいだろう場面で思い直すスイッチが入る(サイレンの音で怒りが収まる場面とか)ので、「いやいや都合が良すぎるって」となりました。
また河瀬が柴岡に好意を抱く変化も強引に映ってしまいました。自分の体を再び差し出したあと、柴岡に対してすぐに好感を持っており、素直な性格に変わっています。彼女には尽くすタイプという説明がここでなされていますが、そんな人物にはとても見えなかったので、もろもろお粗末だなと感じました。

2. ラッキーな柴岡
柴岡は本当に面倒くさい人物です。申し訳ないですが、私には臆病で性悪の死にたがりなメンヘラにみえました。「もうそのまま一人で閉じ籠もっていればいいじゃん」と思ってしまいましたが、河瀬は本当に良い人でした。
柴岡のような訳アリの人にとって、河瀬はとても有り難い存在だったと思います。厄介な自分を諦めないでいてくれて、いつまでも気にかけてくれる。重い人生を背負おうとしてくれる。
柴岡のために用意された人物ですが、それでも柴岡は救われただろうなと思うと、良かったなと素直に思えました。
作家さんは過酷な人生を柴岡に歩かせていますが、救いも用意している。そのギャップで希望を描きたいのだろうと解釈しました。

3. 柴岡の強靭なメンタル
柴岡は15歳で母親と関係を持ってしまいました。「普通」でなくなった柴岡は、そこから約30年もの間、「普通」に憧れてきました。大抵どこかで吹っ切れるでしょうに、こだわり続けたそのメンタルは強靭だと思いました。ある意味、子どもの頃から何も成長してこなかったのかもしれません。
また、「普通」に見せようと真面目に取り繕ってきた律儀な柴岡。その点も素晴らしいと思いました。柴岡はもっと自分を認めてあげてもいいと思います。

4. 子どもと親の会話
同棲中の柴岡と河瀬の会話。
自分の世話を焼く河瀬に対して、柴岡は「面倒を見てくれと頼んだことはない」「君が勝手にしていることだ」と言います。
ここのやり取りは、まるで「あんたが勝手に産んだんじゃん!」という反抗期の子どものようでした笑
そう簡単に見限れるわけがないのに挑発してくる。河瀬は柴岡の親でもないのに、親が子の命を背負っているのと同じくらい、柴岡の命を背負ってしまっていて、自業自得なんですけど可哀想でした笑
柴岡はそんな無鉄砲な人に出会えて本当に良かったですね。河瀬とどうなるかわからなくても、もう十分救われたような気がします。まだ48歳ですし経歴も十分ですから、未来は明るいです。

5. ラストシーンが秀逸
二人が初めてむき出しでぶつかり合い、心を通わす場面には心を揺さぶられました。この場面における柴岡のか弱さと、河瀬のまっすぐさが好きでした。早く話し合えば良かったんだよ。。ここまで長かったな。。

うーん…若干不快…

W不倫かつ受けの妻が妊娠中という泥沼展開確定な設定に惹かれて購入したものの、こざっぱりとした軽いタッチの話だったので残念でした。
家庭よりも快楽が第一な攻め受けの関係性は萌えといえば萌えですが、どちらのキャラも欲望に忠実だが罪悪感に欠けた無機質な人間性だったので面白味がなく、まったく好みではありませんでした。
また、受け視点で書かれる心理描写が細切れで、取って付けたように苦悩したり開き直ったりするので今はそういうターンか、と冷静に読んでしまいました。

攻め受けともに性格が悪いので身体の関係が先行する間柄のほうが違和感がないのですが、お互い愛を語るのでチグハグな印象を受けました。双方、誰かに愛情を持つ人物には思えません。

受けの性格の悪さとはちょくちょく自分のことを棚に上げて正義感を振りかざすところで、自分は攻めへの恋心で内心浮かれ気分でいながら職場で攻めに色目を使う女性を非難したり、妊娠中の妻がいながら攻めと逢瀬を重ねる自分は置いといて、受けや他の女性と親しくする攻めの倫理観や常識のなさを非難したりするところです。
また不倫をしている罪滅ぼしのために妻を抱こうすると同時に、自分の罪悪感をも癒そうとする受けにはまったく萌えませんでした。
そして一児の親になった後、親としての正義感から攻めと別れることを固く決意しながらも、攻めに屁理屈を言われただけで押し切られる展開は非常に呆気なかったです。

一方、攻めは自分本位な言動をする性格の悪さで、妻を含めた女性へはもちろん、受けに対してさえもモノのように扱っていると感じました。
終始女性蔑視な発言をしながら受けの女性的な外見を褒めるのには違和感を覚えましたし、妻も仕事もすべて捨てていいと言うほどに受けに夢中なわりに、攻めが語る受けの魅力は外見だとか唇だとか体臭だとか魔性だからだとかで説得力に欠けているのに「好きだ」「好きだ」と言うので薄っぺらい人物に映りました。
受け以外の相手には身体が反応しなくなった攻めなので、受け以外いらないと決意できた理由に身体の相性が抜群に良い相手を手放せないからだという割り切った結論を持ってきたのなら納得もいったのですが。
また攻めは何かに執着心を抱くほど思慮深くも暗い過去があるようにも思えなかったので、何もかも失った代償として手に入れた受けだとしても、飽きたらあっさり捨てそうなので攻めのほうも萌えませんでした。

W不倫や妻子持ちといった設定は物語なので個人的にまったく問題はなかったのですが、そういう重い設定でなくてもこの攻め受けの関係性は書けたんじゃないのかなぁと思うと、なんか不誠実だなと思いました。

こうして感想を書いてみると、『人でなしの恋』というタイトル通りの話だと気付きましたが、だからといって萌える話に変わるわけではないので評価は「しゅみじゃない」です。