那智子さんのマイページ

レビューした作品

女性那智子さん

レビュー数0

ポイント数0

今年度--位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

優しくて強くて綺麗な人

やっと一仕事終わったので、ずっと買いそびれていた二巻を購入しました。
ネタバレは極力しません。もし買うか悩んでいる人がいたら、少しでも参考にしてほしいからです。

前巻から少し間が空いてしまっていたので、すんなり入り込めるかと不安でしたがそれは全くの杞憂で終わりました。
開いてすぐお馴染みの二人が登場。しかもカラーページです。
私の思うヨネダ先生の描く人物は、がっしりしていていかにも男!という感じ。
それがカラーになると質感から色使いまでもう美しいとしか言いようがありません。
よくいる男か女か分からないようなぺらっぺらな男は出てきません。
登場人物の男らしさ、そこもまた魅力の一つだと思います。

何より舞台がヤクザの世界なので、極道に全く免疫がなく、強いて言えば夏目先生のタイトロープを読んだことがあるくらいの私は、始め何が起きてるのかよく分からないまま読み進めていきました。
しかし、読み終えた後激しく後悔しました。
この本はBLだとか萌えだとか、そういうのを抜かしても面白い作品です。
だからこそ、丁寧に読むべきでした。
(その後は狂ったように何度も読み返しました。)

まず、主人公の二人。
マゾヒストで受け(仮)の矢代。とにかく美しいです。
例えそれが人を殴ってる最中でも、ナニを突っ込まれて喘いでる最中でも、とにかく美しい。

そしてそんな矢代の付き人兼用心棒として仕えることになった攻め(仮)の百目鬼。
とにかく背景に色々なものを抱え込んでいます。
百目鬼に関しては何を書いてもネタバレになってしまうのでここは控えさせていただきます。
ただ、一巻のあらすじに書いてある通り、百目鬼は矢代にどうしようもなく惹かれています。
立場やヤクザという裏の世界、そして矢代の淫乱っぷりも全部ひっくるめて、どうしても傍にいたいと請います。
一巻でもその様子はよく見られましたが、二巻ではさらにヒートアップしています。
必死になっているときの百目鬼が個人的に大好きなので、二巻は特に息を荒くしながら読み進めました(笑)

愛とか恋とか、そういう次元で生きていない二人に今後も目が離せません。

男の子と恋 コミック

雲之助 

誰も傷つかないで欲しい人向け

先生の本はこれで二作目です。

とにかく一言。やはり雲之助先生の描く作品は甘かった。

「男同士」に「普通じゃない」と言える主人公には好感を持ちました。
すぐにはその常識を変えられない、けれど周りは普通のことのように話す。
僕がおかしいのか、普通じゃないのか。一体どうすればいいんだ。
その葛藤を描いてくれる先生はあまりいないので、とてもよかったです。

ですが、設定が設定なんでしょうが、とにかく二人とも女々しい。
雲之助先生は(個人的に)泣き顔のプロだと思っていますが、
泣きすぎではないか?と思うほどにこいつら泣いてます。
前に読んだ「ラブリートーク」でも二人とも泣いていたのでデジャヴ感は否めません。

甘々なところが雲之助先生の味(本人は無自覚らしいです)なんだと思いますが、
少し贅沢を言わせてもらうと、リアル感が欲しかった。
雄々しさまではいかないにしても、攻めがもう少し男らしければ…。
なので雄々しさがない分、二人の描写はとてもふわふわしています。
お花が飛んでいるんじゃないかと思うくらい、癒されます。

脇キャラもみんないい人すぎたので、そこも先生の作風故なのでしょうが
スパイス程度に棘々しさがあってもよかったのでは、と思ってしまいました。

タイトルが「男の子と恋」というには、男の子がいない気がする作品でした。

読後の痛みも味わえる人向け

幸せである定義とは、何だろう。
二人がくっつけば、思いが通じれば、相手のことを思いやることが出来たなら。
みんなそれぞれ自分の中のハッピーエンドがあると思います。
私の中でのハッピーエンドは、想いあってずっと傍にいることでした。
しかし、朝丘先生はそんな甘っちょろい価値観をそれをいともたやすく打ち砕いたのです。

正直に言えば、くっついて欲しかった。
二人でなんてことない日常をまったりとすごして、じゃれたり時には喧嘩もしたりして。
ずっと二人で生きていってほしかったんです。
誰かが傷つかなければならないけれど、それでも二人には幸せになってほしかった。

けれど、読み進めていくうちにこれは甘い考えなんだと気付きました。
結果二人は幸せになった。けれど何かが違う。
先輩は幸一のことが本当に大好きで、だから傷つけることだけは絶対にしたくなくて。
幸一はいつだって曖昧で、一歩踏み出したかと思えばまた戻る。
誰も傷つけたくないということは、意思のないことなのかもしれません。
結局幸一が本当の意味で自ら行動したのは最初と最後だけ。
一つは先輩を拾ったこと。もう一つは、先輩を置いていったこと。

もし、先輩がすがりついていたなら。
何度も考えます。馬鹿な事だって分かってます。
先輩がそうしなかったのは、幸一のことを愛しているから。分かっています。
でも、考えずにいられないんです。違うハッピーエンドがあったんじゃないかって。
結局は私も自己中だということなんです。
朝丘先生が紡いだ言葉の中に、少しでも縋ろうとしている。見つけようとしている。
私が痛い思いをしなくて済む、ハッピーエンドを。

何だかんだでくっつくんだろ、と思って読んでいるとダメージがでかいです。
みんなが大好き。みんなに幸せになってもらいたい。
痛いくらいに、それを叶えてくれたのは朝丘先生です。
私は本を閉じ、「参った」と言いたくなるような気持ちになりました。

私の価値観は一冊の本によって、いとも容易く変えられてしまったのです。

最後に。
読後三日は引きずってる私から言わせてもらえることは、甘々ハッピーエンドが大好きな方は少し落ち着いてから読んだ方がいい、ということだけです。