ページ数はわかりませんが、小冊子と合わせても通常のコミックより薄くて、最初はその薄さに驚きました。
本編は高野政宗の場合、小野寺律の場合、雪名皇の場合の雑誌掲載分で、書き下ろしが木佐翔太の場合4Pでした。
…そう。書き下ろしが雪木佐だったのですよ。
決して雪木佐が嫌いなわけではないですが、雑誌でも追いかけているからコミックは書き下ろしを一番楽しみにしていて、記念の20巻だし、ファンが待ちに待った0日回だし、と勝手に期待が爆上がりしていたので、書き下ろしを見て、ちょっと泣いてしまいました。
内容についても、「うーん」と思ってしまったところはありました。高校の頃に少しだけ付き合った二人が再会し、この一年、一から初恋をやり直してきたわけです。(現実世界では連載開始から15年以上経過していますが、お話の中ではまだ一年w)
許婚者が出てきたり、留学先の友人が出てきたり、大学時代に関係を持ったことのある親友が邪魔してきたり、転校先の香川に行ったりと、離れていた時間を埋めるように、相手について色々知ってきたわけです。その上で、お互いに、高校時代ではなく今の相手を好きになって、既に体の関係にもなったので、あとは律ちゃんが告白するかどうか、という段階に来ていたのですが…。
高野さんは既に覚悟を決めていて、律ちゃんが付き合うことをためらう理由は、「ハッピーエンドのその先に確証が持てないから」だと思っていました。
そして今巻では、来栖さんという高野さんのことを好きな小説編集部の女子が出てきます。このままだと手遅れになってしまうと思った律ちゃんが高野さんに「たかのさんを世界で一番好きなのはおれです」と告白し、ようやく二人は両思いになれました。
横澤さんのときと違ってちゃんと告白できたことは、この一年の付き合いがあったからだし、高野さんが律ちゃんが準備するのを待てるようになっているのにも成長を感じましたが(これまでを思い出してちょっと笑ったけどw)、小野寺家の跡取りの問題は解決していないので、律ちゃんが不安視していたハッピーエンドのその先についてはまだ納得の得られる答えを見いだせていないのではないかと思います。
好きだからとりあえず付き合ってみる、ができないから、これまでぐるぐる悩んでいたわけで、そんな律ちゃんに共感していたので、当て馬に煽られて焦って告白したことに、それができるんなら、横澤さんや灰谷さんの時点で告白してもよかったんじゃ、と思ってしまい、感動でスタンディングオベーションとはなりませんでした。
でも、女子から告白されているのを見て、焦って告白する、というありがちなシーンでも、これほどエモーショナルに描けるのは、さすが春菊先生だと思います。
ハッピーエンドのその先については、これから二人で一緒に解決していくことを信じて、これからも追いかけ続けます。