とても面白かった。
近未来SF。
AIの発達により、人間の過去のアーカイブを入れてその人本人と見紛う程の高性能アンドロイドを作れるようになった世界。当然のように死者をアンドロイドとして蘇らせる商売が横行。主人公達はどちらかが死んでもニセモノは作らないでと約束し合うんだけど、受けは喪失に耐えられず攻めのアンドロイドを作ってしまう。結局本人ではない攻めに耐えられず病んでしまうんだけど、自分勝手に作ってしまったアンドロイドの攻めを一人残すこともできず彼のために受けのアンドロイドを用意して姿を消す展開がちょっと世にも奇妙な物語的でSFぽさも強くて好き。最後のアンドロイド同士の会話も切なくて好き。
そして物語は更に未来へと続く。人間が作ったAIが更に高性能なAI(ニューオーダー)を作り世界を管理し始める。人間はオリジンと呼ばれ絶滅危惧種のようにAIに管理保護され安寧の暮らし。世界観がめちゃくちゃ面白い。旧AIと新AIの目的というか構造の違いのようなものの対比が面白かった。ニューオーダーには感情がないので悪意もなく、本当に人間を幸せにするために活動しているんだけど、人間とは違う埋まらない溝があるのが怖い。人間の感情、人間らしさに寄り添おうとはしているけどちょっと的外れなところとか。そして反AIのレジスタンスの青年が、この世界でAIと共存し生きる目的を見つける展開もめちゃ良かった。ただニューオーダーに感情を持たせるのってめちゃ怖いね…とも思ってしまう。今の状況ってニューオーダーが悪意を持ったら終わりなので。
とても面白かった。
サイコパス兄弟の長男アティカスが受け。
彼は一人目の子供として養父の期待に答えよう、弟達に兄としての威厳を見せなければと気負っていたところがある。それが攻めとの出会いで柔軟に余裕を持てるようになったのが良い変化。当たり前だが人の発達特性はグラデーションでありサイコパスもスペクトラムなのである。兄弟の中でも情緒的で繊細(他者への共感には至らずとも)な受けはこの兄弟達の中で結構大変だったろうな…とうっかりドジっ子長男の苦労が見えて来る。
人肌や愛に飢えていた受けが攻めに甘えたになっていく様子や二人のイチャつきも良い。サイコパスだと自己申告する男が見せる、無自覚の愛情行動に一人感動し感じ入る攻めの気持ちがよくわかる。人を愛さない人間はそんなことしないんだよ。恥ずかしがり屋で素っ気ない態度を取りがちな受けだけど、シャワー後に攻めを意識してコロンを付けたり、攻めのためにテレビセットを買ったり家で二人で過ごすことを楽しみにしている受けが可愛い。
受けの好きな手料理が幼い頃の母親の思い出の料理だったのにホロリと涙。やっぱり他の兄弟達とだいぶと毛色が違う。確かに共感力と察し力は低いんだけどね。ノアとルーカス以外の兄弟達が誰もトーマスとエイデンの関係性にピンと来てなくて???状態なシーンは笑った。
攻めはまさかの野良の殺人集団のボス!で使命に燃える子供達と攻め、一方で受けは殺人への積極的な意欲はなくこの二者の対比も印象的。本当にサイコパスだから殺人に最適なのか、トーマスの診断は正しいのか、養父トーマスの試みの是非を問うような内容が多く、恐らく続くであろうトーマス視点の物語に期待。
とても面白かった。
白米大好きなグルメライターの受けが米にコクゾウムシが湧いているのを見てしまいトラウマ化。暗示をかけるのが得意な隣人攻めにトラウマ克服を手伝ってもらうお話。
思い込みが強いというか頑固なタイプの受けが暗示が解けるドツボに嵌って抜け出せなくなるループが可哀想だけどコミカルで面白い。
そもそも友人が少ない二人が手探りで友人関係を構築していく様子も楽しい。友達と遊びに行く定番スポットが分からず、無自覚水族館デートになってしまう二人笑。
そしてこれは友情ではないかも?となった受けが自分と対話して自分の気持ちを言語化しようと思考するのも言葉を扱う仕事柄が出てて好き。そして恋に気付き「楽しい!」と片思いを謳歌している姿も可愛かった。楽しげな受けを見て攻めも「か、可愛い…」となっている。
表情豊かで愛嬌のある受けのキャラクターが好き。
とても良かった。
小学生の頃からお世話になっている家政夫の受けと小説家の父親はデキてるらしい!が、なんか拗れているというお話。
父親攻めが言葉足らずで若い受けに大人の余裕を見せたいみたいなカッコつけのせいで、受けは自分は愛人的なやつなんだ…とすれ違う。落ち着いて淡々と爆弾発言をするタイプの攻めが面白かった。受けにガチ惚れしているのに真顔すぎる笑。「いい歳して好きとか付き合おうとか言うのきしょいかと思って」に息子くんの「アッッ、アホーッ!」ってツッコミが最高だった。
そして高校生の息子くんの甘酸っぱい青春も微笑ましい。いい子やでホンマに。家に彼女を呼んだ時に攻めが偶然を装って部屋から出てきたり、受けも攻めもソワソワしていたのが可愛かった。
あと受けのムチムチ豊満ボディが凄い。お尻と太ももがバインバインでセクシーすぎる。
とても良かった。
オメガだから人より注意しなきゃいけないことが多い現実と、だからって危険を全て避けて日常生活を諦めたくない受けの気持ちが胸に刺さった。初めはこれは流石に怖くないか…?ちょっと警戒心ないよとハラハラしてたんだけど、それを理解した上での受けのポリシーというか頑固さみたいなものを知ってハッとした。
一方アルファ側の困難と身体的症状についてもフューチャーされていて、その描写も良かった。庇護欲や独占欲を堪えながら、我慢しきれるのかと恐れる攻め。受けの気持ちが追いつくのを待って、何度もあった運命的な瞬間をやり過ごして普通に親しくなろうと努力してくれた攻めの忍耐が素敵。鬼連絡したいのを我慢したり家とか職場を知らなくて良かった(押しかけてしまうので)と安堵する攻めが好き。
相性のいいオメガとアルファとして出会って番になる近道はいっぱいあったけど、遠まわりした二人のその過程があったからこその結果がある。
とても面白かった。
魔族と人間の戦争から500年。勇者に封印された魔王の刑期が終わって、勇者の末裔の攻めが魔王の社会復帰をサポートすることになる。
スマホや車などの現代のテクノロジーと魔法が合わさった世界観が面白かった。電気の代わりに魔力が使われている感じ。洋ドラだとか翻訳小説のようなジョークや皮肉の混じった会話も愉快で楽しかった。
中世ファンタジー世界から一気に現代にタイムスリップした状態の魔王受けは看護師を下男と呼んだりスマホを分解しちゃうし、御伽噺のような古風な言い回しがチャーミング。魔王様が一般人として生きるために現代に適応していく様子が楽しい。
そんな姿を見て、子供の頃に絵本で読んだままの恐ろしくて強大な魔王だったら『悪』として憎んでいられたのに…と情が湧いてしまう攻め。魔王と人間側の板挟みになっている攻めが、それでも魔王には嘘をつかずに受けの味方だと言った言葉を守り通したのも良かった。
攻めの勇者のスキルがとても御伽噺的でロマンティックだったのも好き。
攻めの姪っ子のエピソードも好きだった。真面目な両親とは違って面白くてちょっとワルな叔父さん枠って憧れる。
そして500年経ってもなお残る人間と魔族の溝、人種差別と社会問題というテーマも現代的でファンタジー世界との組み合わせが面白かった。
とても良かった。
とあるカップルに訪れた人生の大事件とそれから。小説家の晴人(下半身不随)と会社員のあきらは大学時代からの恋人で、晴人の事故をきっかけに一緒に暮らし始めて二年。二人が一緒に暮らす上でお互いが自分で出来ることは自分でやる、困った時は頼る(ちょっとしたことでもあきらからも晴人を頼るのがとても大事だと思った)そうやって気遣いながら暮らす二人の様子が良い。
しかし晴人は大学時代とは様変わりしてしまった攻めの人生への罪悪感を消し去ることが出来なくてというお話。大学時代の変哲もない若者カップルな二人のエピソードを読むとやるせなさがある。攻めは自由奔放で旅好きで、 そのせいで留年したりしているタイプの若者だったのに、今は定時で直帰してくる会社員で週末に街に出かけるのも一苦労な自分に付き合ってくれている。そう思うと罪悪感を感じずにはいられないよね。
あきらが久しぶりに一人で旅行した時に、ここは車椅子が通れるか、あの段差はいけるか無意識に考えちゃって、結局旅先で見た綺麗なものを晴人と一緒に見たいと思っちゃうシーンが好きだった。
その他晴人の暮らし、日常の描写もとても印象的だった。排泄の手間暇、後遺症の神経痛、外出時の手間暇など丁寧に描写されていた。
映画が好きな晴人にとっての映画館。昔は特別感が好きだったカーペットの床も今は車椅子が動かしにくくて一苦労。車椅子席だってシアターによって位置が違うし、最前列の場合が多くて見にくい。そういう事を考慮しながら映画を選ばなくてはならないし、外食するにも事前の問い合わせや目的地までの動線の確認とやることは多い。下半身が動かないことに付随して日常に膨大なタスクが増える。だただ歩けないだけではない、他者からは見えにくい不便さにハッとさせられる。
パートナーであるあきら側についてもフォローされていたのも良かった。付き添い人ではなくパートナーとして一緒に生きていくことについての言葉が印象的だった。
あきらがくれたド派手な蛍光カラフルカラーなマジックハンドを「スゲー色だな…」と思いつつ使い続て愛着が湧いているのも可愛かった。
最後も良かった。
とても良かった。
高校の野球部に転校生が入部してくる。背が高くてシュッとしたイケメンだけどちょっと天然な攻めが受けや野球部のメンバーと仲良くなっていく様子が青春で良い。そして恋人になった二人の様子もとても微笑ましい。
受けが大好きで愛が重めで天然な攻めが可愛かった。
今まで特別に思っていなかった受けの誕生日が、攻めがめっちゃ祝うと約束してくれたのに果たされなかったことでしこりになっている描写も切ない。あとバイト先の人間関係の描写が生々しくて面白かった。二人の恋が過去の切ない思い出にならなくて良かった。
受けが送った数年ぶりのLINEが「祝えよ!」なのも可愛かった。そこからの怒涛の展開も最高。攻めが未練タラタラで重くて良い。受けを祝う食べかけのホールケーキも好き。
とても面白かった。
大陸統一を目指す強大な軍事国家の魔術師受け。受けは野心も出世欲もなく伯爵家の太い実家と恵まれた容姿をフル活用して図書館でショボイ魔術師としてのんびり働いている。なのに何故か敵国の捕虜の世話を言い渡されて受けの平凡ライフは終わりを迎える。
攻めが置かれた状況があまりにも辛くて悲しかった。攻めを蕃族と呼び人として扱わず、言葉も通じない中で異国の言葉で「帰りたい」と呟く姿に涙。急に攻めてきて親兄弟国民を殺したことを棚に上げて、攻めが抵抗して殺した人達を思って憎しみを向ける兵士達が恐ろしかった。
そんな状態の攻めを放っておけず世話係の範疇を超えて攻めに寄り添い看護する受け。手負いの獣状態だった攻めが受けに心を開いて懐いていく様子が良かった。口数は少ないが、命を救ってくれた受けに魂も運命も委ねて尽くすという覚悟が見える。攻めは慣れない異国語を話すことになってシンプルな言葉を使い口数が減っただけで、本当は冗談も言う朗らかな感じの人らしいとあとがきで知り、そんな攻めと受けの会話をもっと見てみたいなと思いました。
その後も戦争の悲惨さや愚かしさに悲しくなる。受けを攻めの世話係に任命した第二王子が狡猾で恐ろしくて二人が生きて平和に暮らすことはできるのかとハラハラした。第二王子が登場する度に緊張感が走るけれど、とても魅力的なサブキャラクターだった。王子は賢く統治者の才能もあり、受けと同じくこのままでは国の栄華は長くは続かないと知りつつも父や兄の望みの通りに国を動かしてきた。受けの隠された魔術の才能を知った時に、受けを帝国の英雄にしようと決めて迷うことなく侵略に加担してきた第二王子の執念と清さが印象的だった。