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女性桜の夜さん

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可愛いのに切ない、切ないのに可愛い。

上巻で二人の心が繋がっていくのを優しく可愛く丁寧に描いてくれたのが、すごくすごく好きだったので……正直こんな風に酔った勢いで襲っちゃうなんて残念と、最初は思ったんですが。
でも何か、許せてしまった。だって、青柳の残念な恋愛観から始まって、王子への欲や期待が芽生えては打ち消して葛藤してきたことも、それでも心から王子のことを想って尽くしてきたことも、ずっと見てきたんだから。
浅ましくても卑しくても、ズルくても弱くても、仕方ないじゃん……人間だもの。
それに、王子の方からも返して来てるんだから。ほっぺにちゅーからの「可愛いね」が、あまりにも王子らしくて破壊力が強かった……! ほんとに可愛かったしね、青柳くん。

相手の心を深く考える二人の優しさが、一歩踏み外したら悪い方へ悪い方へ転がって、すれ違うのが切ない。すれ違いまくってるのに、どこまでも優しい。優しいのに、そこに青柳の恋愛への卑屈さが掛け合わされると、王子の心を切り刻んでしまうのが痛々しかった。らしくなく言葉を荒らげる王子、もっと怒ってもいいぐらいなのに、半端に呑み込んでしまうのがまた青柳を追い込んでしまう。優しさがここまでお互いを傷つけることがあるなんて。
辛い展開が続くなかで、ちょっと笑わせてくれるのも好きでした。二人して木の影から覗いてるとか何なんだ、吹いちゃったよ。可愛いがすぎる。

眠れる巣箱の王子様がやっと自ら目を醒ましたんだから、兄の登場は無くてもよかったんでは?という気もしないではないけど、兄が面白かったからまあよし。いろんなことが一気に解決したし。
大切な人を守るため闘おうと(傘で殺ろうと…)するの、さすが王子様。

気持ちを通わせることができてからは、元々が素直な二人だから、これでもかというぐらい好き好き可愛い言ってましたが。
これからも、突拍子もないすれ違い漫才を繰り広げていくんだろうな。それで誤解がとけたらイチャイチャして。いつまでも幸せに。
私は「王子」呼びが結構気に入ってるんだけど、恋人になったらどうなるのかな?と気になってたから、最後にちょっと触れてくれて、自分的にすごく腑に落ちて良かったです。

王子の部屋に、アヒルちゃん?みたいなものが増殖してたのが気になった……嬉しそうにル○バに乗っけてる王子が目に浮かぶなあ。

いい人×いい人、その背景は。

二人の笑顔を眺めているだけで、幸せになっちゃうような作品でした!
攻め受け双方ここまで優しくて素直って、あまり見たことないです。二人の性格だけならピュアピュアDKものでも良さそうなぐらいだけど、そこは37歳と29歳。それぞれ背景があるわけですね。
背景といえば、表紙デザインが上手い!
パッと見、淡いピンク&ブルー系で可愛らしいのに、よく見るとバックが……? 上巻はお札が舞ってるし、ラブリーな雰囲気の部屋……ベッド? 捲ってカバー袖を見たら、あっ…えっ…そういう??? 下巻は言わずもがなのアレだし。
二人のことを見事に表現してるんですね~

王子も青柳も1話目で早々に残念な部分が露呈しつつ、読み進むほど人のよさと可愛さが見えてきて、ずーっと微笑みながら見守ってしまいます。何週間もかけて共同作業することで、お互いの人柄を知って、信頼を深めて、相手への気持ちが変化していくのを自然に見せてくれるのもすごくいい。
二人とも、相手が表には出さない心の内まで深く慮ってるところも好き。なんて優しい人たちなんだ。でも、王子は天然だわ、青柳は暴走体質だわで、ちょいちょいすれ違い漫才みたいになっちゃうのがまた、可愛くて可笑しくて。

水族館といえばBL界のデートの聖地だけど、こんなに全力で水族館を満喫してるの初めて見ました。端から見ているだけで、心が浄化されてしまうような圧倒的幸福感。
そして、穏やかに語らう時間。白詰草いいなあ……。
「何かを諦めた人生が不幸だとは限りません」って、これはこれで、私はすごく好きな言葉でした。何かを諦めたっていいし、でも別の何かを諦めないで頑張ってもいいんだよね。
王子は青柳を心配して、青柳は王子を応援したくて、お互いに相手を想って言葉を交わすうちに、王子の心に青柳の存在がじわじわ沁みていくのが目に見えるようでした。

王子が抱えていた過去の傷は、結構重かったです。いつもの笑顔で語る王子が切ない。
そして、もう吹っ切っているとはいえ結婚まで考えた元カノがいたって、センシティブな話なんだけど……「彼女との過去も今の僕の一部」と言えるのが、この二人ならでは。「残っていてよかった」と笑顔で請け合ってくれる青柳に、涙が出そうになりました。

急展開の上巻ラストについては、下巻のレビューにて……

お互いに歩み寄ることって、大事。

「純愛」というタイトルだけど、8割ぐらい「家族愛」という感じ。でも2割はしっかり「夫夫愛」! いろんな形の愛に溢れた1冊でした。

愛情の象徴、という感じで美味しそうな食べものがたくさん出てきたけど、単に「手作りこそスバラシイ!」だけじゃないのがいい。
料理が苦手な礼央母や尊母にもちゃんと愛があるし。売店で買った普通のチョコ一粒だって、愛が伝わる。
かといって、華麗なお料理を披露するマダムたちを悪し様に描くのでもなく。彼女たちも基礎的な料理を本当に美味しく作れる(そしてそこに尊がちゃんと気づく!)のが、これまた素敵でした。

大活躍してくれた芳子ちゃん。登場前の1・2巻では礼央に冷たい感じで印象悪かったけど、この巻では好感度爆上がりでした(考えたら、いきなり夫の隠し子が出てきたら最初はまともな対応なんてできないのが当たり前だしね……)。
すっかり礼央に肩入れしちゃって愛情深いところを見ると、誠志郎も子どもの頃はなんだかんだ芳子ママに守られて来たんだろうなって気がする。指輪を28回返したって言うのも、大部分それじゃないかな。

今回の誠志郎と尊の夫夫喧嘩も、まさに父親vs母親!って感じでした。
ただ私は誠志郎党員なもので、最初は尊の言い方が酷すぎて……
真面目で優しい誠志郎が板挟みで辛いことぐらい気づけよ!
誠志郎が礼央を大事にしてることも、重すぎる責任や使命感をその肩に負ってることも、側で見てたらわかるだろ!
不器用な受けの心に寄り添えないとは、攻めの風上にも置けんヤツ!
……と思っちゃったけど。
でもこれ、そういう話じゃなかった。お互いに足りないところがあって、すれ違って、ぶつかり合って、それでも相手を想いあって、歩み寄りあって、また連れ添って行く……そういう話なんだった。ふうふって、そういうのが大事。

朝倉さん、尊に気づきのヒントをくれたり、今回は芳子ちゃんと並ぶ大活躍だったけど……結局この人は何がしたいんだろう? 政治家としてのややこしい損得勘定(京極大臣の内情を把握するとか恩を売るとか…)もあるんだろうけど。
いちばん根っ子の部分では、やっぱり誠志郎をほんとに心配してくれてるのかな。オレの可愛い誠志郎が、また父上に無理難題やらされてるのか?! 胡散臭い男にたぶらかされてるのか?! ……なんて。
個人的希望としては、恋愛感情じゃなくてブラコンであってほしい。尊とおとな気なくマウント取り合うのが好き。朝倉さんに「嬉しいです…!」みたいな顔しちゃう誠志郎も好き。

礼央母はどうしようもなく愚かで浅はかだったけど、最後はきっぱり礼央を選んだのはまだ救いがありました。尊と誠志郎が言ってたように、礼央を見ていたらちゃんと親に愛されて育った子だとわかるっていうのもあるし。健気に頑張ってきた礼央がママの元に戻れる目処が立って良かった。
でもこれで、3人の親子生活はカウントダウンが始まってしまったのか……寂しい。