再読。
プライベートでも仕事でも死ぬほど忙しく精神的に余裕のないこの頃。
ふと夜中に目覚めてしまい、眠いのに寝付けず、こんなことをしている場合じゃないのにと焦りながらも現実逃避でこの本を手に取りました。
さらに追い討ち。
この追い込まれた気持ちを記録として残さなくては、、、と変な使命感に掻き立てられてレビューします。
嫌な奴
このタイトルの意味。
終始、受けの和也の視点で物語は進みます。
自分に執着する、攻めの三浦から必死で逃れる和也。
執拗に追いかける三浦。
逃げたかったのは、何からか?
途中から、和也の三浦に対する認知にズレがあることが明らかになります。
和也の中では、転校初日の印象のままの三浦のままです。
彼の内面に触れることを頑なに拒絶し、認知の修正を拒否します。
客観的に見ると、三浦は人たらしと言えるほど魅力的。
けれども、和也の中では、乱暴で自分勝手で鈍感な奴のまま。
諦念から三浦を受け入れはじめた和也。
ようやく認知のズレも受け入れはじめます。
小学生のような幼い情緒から、成長をはじめます。
これは、和也の成長物語と受け取りました。
電子書籍を購入。
挿絵、あとがき無し。
『恋』、『朱い熱』も含めて、3冊読んでの評価です。
「神」評価。
是非とも、『朱い熱』まで読んで欲しい。
そして、最初に戻って再読して欲しい。
初見ではわからなかったことが、見えてきます。
あ、ここで、そこに繋がるのか、、、、と。
この物語、捉え方は人それぞれとは思いますが、やはり最後の『朱い熱』に繋るための、前2冊があると私は捉えました。
本作では、櫻丘寮の悪魔で、意地悪な姉その一だった松嶋の行動が、『恋』では人間的な部分がクローズアップされ、『朱い熱』では彼の懊悩や激情がガッツリと露に描かれます。
前2冊があるから、『朱い熱』の内容が胸に響きます。
是非、3冊とも手に取って欲しい。
そして読み返して欲しい。
電子書籍版を購入。
神評価です。さすがです。
本作の一部については、合同誌で読了していました。
それは、実力派3人の作家様がフタナリというテーマで描いたもので、読み応えのあるものだったのですが、この作品だけ中途半端感が半端なく、イマイチとレビューさせて頂きました。
いつもの木原節がなく、単に企画だけで触りを描いただけにとどまっており、まったくパンチがきいておらず、ガッカリしたのですが、それもそのはず、ほんの一部、まだ未完だったからですね。
こうやって、1冊にまとまると、やはり神評価です。
全部読むと、痛い。
容赦ない、剥き出しの部分をさらけ出す、キリキリと胃が捻れるような痛さ。
オブラートに包んだりはしません。
でも、単に痛いだけではありません。
いつの間にか絆されてしまってる、希望の持てる展開。
完成させて頂きありがとうございます。
合同誌のままで終わらず、最後まで見届けることができて、感謝です。