手足が長い人が、身長よりもだいぶ低めの設定になっているキッチンを使いにくそうに使っている姿が好きです。
腰の位置よりも下で料理をする麻水が良かった。好きです。
6巻目にしてようやくといいますか。
恋人同士になった2人といえば…の、わりと序盤にありそうな相互嫉妬がここでくるのは珍しいのではないでしょうか。
といっても、2人のもやもやも嫉妬心も側から見ればかわいらしいものなので安心して読めるかなと。
個人的には、麻水のわかりにくい表情から感情の変化を読み取った由岐に花丸をあげたいです。
付き合いが長くなってきた恋人だからわかるんですよねえ。
そして、誰にでも真っ直ぐで心の声がすぐに漏れ出てしまう由岐とは真逆で、なんとなく自分でも自分の感情がはっきりとはわかっていなさそうな雰囲気があった麻水。
そんな、羽山麻水という人の人間くさい部分が見えた巻でもありました。
渡英時の環境や、常にニュートラルな態度で麻水と接する辻に刺激を受け、じっくりと自分のことを考える時間ができたからなのか、今巻でより人間味が増したように思います。
嫉妬をしたり、独占欲が芽生えたり、恋人がかわいすぎて大丈夫なのかと考えたり、なかなかにおもしろい男でした。
…と、甘みも適度にありつつ、またひとつ成長してお互いへの気持ちを大きく育てられた2人については良かったのですが。
うーん…既刊と比べるとなんだかドンとくるものがなくサラッと読めてしまったなと思うところもあり、今回は3.5寄りのこちらの評価になりました。
もちろん長く追いかけたい2人ではあるのだけれど、それと同時にややマンネリ化を感じたのも正直な気持ちでした。
すごく好きなシリーズなんですけどね。
じわじわとゆるやかに関係を深めていくこの温度感は好みなのですが、はたしてこれ以上彼らの間になにか大きな物事は起こるのかな。
周囲にCPが増えてきているのも今後どうするのだろう。
私はずっと、コウと日高が恋人同士にならなくても、恋愛関係にならなくてもいいと思いながらこのシリーズを追いかけていました。
もちろん日高には幸せになってほしいけれど、たとえどんな形に転がってもいいからままならない2人を最後まで見届けたい。そう思っていました。
そしてついに迎えた最終巻。
とても彼ららしく、納得のいくラストだったなと思います。
料理の注文がなかなか決まらない優柔不断さや、少しはねた後頭部の寝癖を見つけたり。
あの大失恋を経て、かつての盲目的に想っていた頃よりもやや俯瞰でコウのことを見られるようになった日高。
たとえコウが誰と付き合ったとしても、コウの中の自分の位置は揺るがないのではないかと凪いだ心で考えています。
いったい何を言っているんだと思いました。
そんなの、誰がどう見たってまだ好きじゃないかと。
2巻の吉田さん家族のエピソードを読んだ際にも感じたのですが、日高という人はずっと「普通」に負い目のようなものを抱いていたのではないかなと思うのです。
世間の言う当たり前に自分は当てはまらないとどこかで感じていたからこそ、女性と付き合うことができるコウには「普通のいい相手」と付き合うことをすすめたのかもしれません。
けれど、コウは普通だとかそうじゃないとか、そんなものどうでもいい人なんですよね。
このひと言がコウから出てきた瞬間、日高のことを好きだって言っているその人は「普通」なんてどうでもいいってさ!なんて思ってしまって、なんだかすごくスカッとしました。
あの頃好きだったものや、相手にどんな癖があるのかを、出逢って十数年経った今でもすぐに思い出せて、誰と付き合っても離れてもなんだかんだと戻ってくる。
それはなぜかって、好きだからに他ならないでしょう。
とびきりシンプルで、もうずっと当たり前にそこにあったものにやっと気付けた2人に静かに感情を揺さぶられました。
そうなのだろうと思いつつも、はっきりと彼らが恋人になったとは描かれていないんです。
そこもまた彼ららしくて良かった。
だから私は秀吉子先生の作品が好きなんだ。
初恋の輪郭をなぞりはじめたばかりの超恋愛初心者なコウが日高への気持ちを自覚してあたふたするたびに、いいぞもっと心乱されてくれ中山コウと思わずにはいられませんでした。
ですが、信仰とまで例えられている日高の想いの大きさにコウの想いがそうそう早く追いつけるはずはないと思います。
でも、きっとゆっくりでいいのです。
だって、コウのことをいつくしみ、愛し、一生好きでいてくれる人が隣にいるのですから。
好きな気持ちの形が違っても、普通じゃなくても、遠回りだっていいじゃないか。
それから…それから君とどこに行って、次はなにをしよう?
最高の初恋が読めてうれしいです。
一途な気持ちとリアルな感情が本当に素敵な作品でした。
オムニバス作品や短編集って、作品全体の雰囲気や設定にその作家さんならではの色がより濃く出ていておもしろいなと思います。
しとしとと静かに雨が降る薄明るい世界に、ほんのりと小さな光が灯って、ぱっと消えそうになって、また灯る。
そんな、しっとりとしたやさしさと深い愛情を感じる1冊でした。
すーーごく良かったなあ。
どの作品も良かったのだけれど、やはり表題作の愛を積む楽園が飛び抜けて良かったです。
読み終えた今、とても素敵な余韻に包まれています。
45歳という年齢設定も、記憶喪失ものの定番では終わらない結末も非常に魅力的でした。
もし、ある日突然記憶の一部分だけが消えてしまったら?
思い出が多く残る長年連れ添ったカップルに起こった出来事だからこそ、日常の中で静かに襲いくる切なさややるせなさにも重みがあります。
けれど、それと同時にあたたかさと愛情深さもひとしおでした。
記憶喪失ものといえば、記憶が戻るパターンの方が多いのではないかなと思うのですが、こちらの作品は…わからないのです。
今後彼らはどうなっていくのか?はたして記憶は戻るのか?
そのどちらもわからないままだというのに、きっと2人の未来は光あるあたたかなものに違いないと想像をしたくなります。
少しずつ大切に積み重ねていった愛を忘れてしまうことがあったとしても、どちらかが覚えていればいいのでしょう。
そして、また新しい愛を2人で積み重ねていけばいい。
きっとそこはいつだって楽園のはずです。
人生が丁寧に描かれた素敵な作品に出会えてうれしいです。
同時収録作品も、ほの暗いものから明るいものまで振り幅が広く読み応えがあります。
それぞれトーンは多少違えど、どの作品もやさしくて愛のあるお話ばかりでした。
山瀬慧…クールな顔をしてなんて愉快な男なんだ…
受けのことが大好きすぎて、毎回脳内がたいへんなことになっているムッツリ攻めって本当にいとおしいですよね。
ちょっと距離が近くなっただけでも平常心ではいられず、ふと笑顔を向けられれば「俺は明日死ぬのか?」ときました。
これは、これは間違いなくおもしろい攻めです。
とある会社の営業職に就く2人のお話。
大学時代にひょんなことで知り合って以来、田上に一目惚れをしてしまった山瀬。
学生時代〜現在にいたるまで、田上から一方的にライバル視されているわけなのですが…
負けん気が強い田上にキャンキャン噛みつかれても、そのどれもが山瀬にとってはご褒美でしかないのです。
職場で顔を合わせれば「かわいい♡好き♡」が止まらず、愛してやまない田上が存在しているだけで幸せ。
スンとした顔で何事もそつなくこなしながらも、頭の中が田上への愛と少しのスケベ心と煩悩でいっぱいな山瀬が本当におもしれー男でした。
そんな日々の中、田上から「次の営業で俺に勝てたらなんでもいうことを聞いてやる」と言われ…
願ったり叶ったりというべきか、山瀬にしてみればボーナストラックのような展開でしょう。
下心を燃料にしてあっという間に成績トップになり、どうにか願いが叶ってお付き合いが始まります。
全体的に明るいラブコメディ作でした。
コミカル9:シリアス1の割合で読みやすかったです。
ノンケで負けず嫌いの田上がどんぶらこと綺麗に流されてくれるほだされ受けなので、田上が気持ちよくされてしまいながら次第にほだされていく姿と、山瀬の妄想の上をいく無自覚な田上に翻弄される山瀬。
そして、時に鼻血を垂らし田上を溺愛する山瀬の様子のおかしさを全力で楽しむのが正解かなと思います。
山瀬視点で見る田上がすごくかわいいんですよね。
全編煩悩だらけな攻め視点なのも効いていておもしろかったです。
田上はどうして山瀬のことが好きになったのかな〜…と思わなくもないのですが、あんなにどろどろにされながら直球で好きだと体にぶつけられてしまったらほだされてしまうのかも。
山瀬への想いの自覚がはっきり描かれていればもっと良かったなと今回はこちらの評価になりました。
巻末まで読んで別作品のスピンオフ作らしいと気付いたものの、知らずに単品で読んでも問題なく楽しめました。
ラブコメ・全編攻め視点・様子がおかしな敬語攻め・ほだされ受けあたりのワードにピンとくるものがある方はぜひ!
体がでっかい関西弁の良い男が見られると聞いて手に取りました。
見てください、このカバーイラスト。
このあふれんばかりの色気。大優勝です。
ギーチのキャラクターがとにかくツボでツボで仕方がありませんでした。
雄みの強い男前をいろんな角度から見られて最高にHAPPYです。
ユイと出逢ってから少しずつ初めての感情に気付くわけなのですが、それがどういうものなのかがよくわかっていないがゆえに、どストレートに思ったことを口にするんですよね。
おそらく本編で彼は一度もユイに好きだとは言っていないはずなのですけれど、どこからどう聞いてもそれは大好きってことじゃん……?と、こちらが頭を抱えてしまう素直な言葉ばかりが出てくるじゃないですか。
でっかい攻めが受けからかわいいと言われて、もっと言ってほしいと返したり、この外見と中身でこんな甘えたな一面と無自覚初恋っぷりを見せつけてくるギーチがおそろしいです。
男前っぷりとのギャップにおそろしく萌えました。たまりません。
そして、肝心のストーリーに関して。
どこか居場所がなく、愛を求めていた2人が出逢うお話の結びの部分はタイトル回収も出来ていてとても良かったです。
ただ、スムーズに読めたか?と考えると、一瞬手が止まってページを戻すこともあり…やや微妙なところかなと。
全体的にエピソードがぎゅうぎゅうに詰め込まれ、少々中途半端に感じましたし、2人が恋愛感情を持ったきっかけもわかりにくいです。
ユイがなぜデリヘルに固執していたのもわからなかった。
ギーチの過去やユイの過去、坊ちゃんに関しても掘り下げがもっとあればより面白くなったのではないかなと惜しく思います。
絵柄は非常に美しく、女性キャラクターから渋めのおじさままで、人物の描き分けもとても魅力的でした。
キャラクター設定が本当に素敵だったので、もう少しお話がすっきりまとまっているとうれしかったです。
実は育ちが良いギーチがヴァイオリンを弾いている姿や、ユイを溺愛する姿ももっと読んでみたかったなと、今回は星3.5寄りのこちらの評価になりました。
受けと読み手だけが見られる表情がかわいい誠実攻めがお好きなみなさんに朗報です。
一見クールそうに見える彼が、恋人の前では常にやさしく、ふにゃっと目がなくなりそうな顔で嬉しそうに笑う、こんなに甘えたになる人だった…なんてかわいいがすぎる様子が見られます。
眉毛をほんの少しだけ下げて笑う顔が本当にかわいくて、あなた好きな子の前だとそんな顔して笑うのね賞があるのなら受賞間違いなし。かわいいなあ。
仲間数人で暮らし賑やかだったシェアハウスから1人2人と抜け、残った者同士で引き続きルームシェアをすることになった2人のお話。
攻めの諒が何気なく放った一言から次第に関係が変化していき…と、一軒家の中で恋が育っていく様子が両視点でもだもだたっぷりに描かれています。
受けの奏太は仲の良い友人からの突然の告白と関係性の変化に戸惑い、一方の諒は好きな気持ちをどこまでどう出して良いものかと悩みますが…
ぽんぽんとリズム良くは進まず、仲が良い友人だからこそ一歩進みかけて下がりそうになったりと、スマートさとは真逆の手探りの恋に好感が持てました。
じっくりとそれぞれの心情を追いかけられる作品だと思います。
奏太の戸惑いや気恥ずかしさも理解ができるものの、それはちょっとないかな…と思うところも。
やはり諒視点を読んでしまうと、彼の一途さと健気さと誠実さにグッと心を掴まれましたね。
もうどこを読んでも表情に好意が全部出ているというか、奏太のことが好きで好きで仕方がないのがあちこちから漏れ出ていて、早く彼の想いが奏太へ届けばいいのになと、焦ったくもだつく恋路をひたすらに見守りました。
繊細でやさしい諒の内面がとても好ましかったです。
もう少し先も読みたくなる、かわいらしい雰囲気の2人だったなあ。
日常の中のほんのり甘いもだつき+切なさもちょっぴりほしいよなんて方はぜひ。
甘えたな攻めの図がもっと読みたい方はホーリンさんの有償特典付きをおすすめします。
いつ誰が死んでもおかしくはない、内戦が激化する地で繰り広げられる不思議な物語。
初読ではなにがなんだかわかりませんでした。
でも妙に気になる。そんなお話です。
ふとした瞬間に絡まる視線や、静かに熱を帯びる男性同士の会話が本当に魅力的。
こちらの作品がとても面白いということはわかるのです。
しかしながら、私は彼らのすべてを理解出来ていませんし、どの解釈が正解なのかもわからないままです。
親切丁寧になにもかもを説明をしてくれる作品ではありません。
謎めいたシーンや設定も多く、強い言葉を使うのなら、読み手にとって親切か不親切かといえば不親切といえるでしょう。
だというのに、読後感が良いのはなぜなのか。
1度読んだだけではうまく飲み込めず、はたしてこれはこういうことなんだろうか?と、彼らのことをもっと知りたくなってじっくり読み込みたくなるんですよね。
何度読んでも複雑な味がする、スルメのような素敵な1冊でした。
どんなお話なのか、一言では説明しにくいです。
ただ、私の中では間違いなくロマンティックなお話でした。
これは…これはものすごく恋だなあ…
じわじわ、そしてぐいぐいと萌えさせてくれます。
いっそこれを萌えの宝庫と呼びたい。
年上小説家×大ファンの大学生の恋の行方があまりにもかわいらしくて、終始まるで10代の手探りの恋愛を見ているようなムズムズ感がたっぷりと味わえました。大好き。
最高に不思議な出逢いが最高の日常になっていく様にわくわくし、最高の引きで終わった1巻から2巻へ。
素性を詳しく知らないまま恋人関係へと一気にステップアップをした2人のその後ですから、いったいどうお話を広げていくのかな?と思っていたのですが…
前作のテンポの良さとコミカルさはそのままに、しっかりと小説家と学生という設定が生かされたお話にまとまっていて面白かったです!
藤野も文倉も、ものすごく初心でかわいい人たちなんです。
2人揃って素直というか、ちょっぴり照れながらもストレートに好意や気持ちを伝える姿には変な汗が出ました。あまりにもかわいくて。
年上×年下をいい意味で感じさせない雰囲気があったのも良かったなあ。
やや子供っぽさがあって、まろやかで優しげな藤野のキャラクターがそうさせていたのかもしれませんね。
文倉に褒めてもらって嬉しそうなのも、文倉に好きだよ〜と伝える藤野も、なんだか非常に良いかわいい攻めでした。
そして、泣いたり照れたり笑ったり、感情表現が豊かな文倉も本当にかわいいんですよ。
どっちもかわいいなんておいしくてなんぼ噛んでも味がするやつです。
続編らしいすれ違いもあるのですけれど、そのすれ違う理由というのがこれまたかわいらしいものでですね…
どこをどう読んでも、相手のことが好きで大切で仕方がないがゆえに誤解と思い込みをしてすれ違っているんです。
嫉妬もすれ違いも、読めば読むほど相手のことが好きだ〜!と言っているようで思わずニコニコしちゃいました。
当て馬かと思った布田先生も愉快で気持ちの良い性格をした楽しい人で好印象でしたし、素敵な結びも、タイトル回収もストンと綺麗に収まっていてスッキリ。
最後まで楽しく読ませていただきました。
摩訶不思議な出逢いは、きっと運命の出逢いだったに違いありませんね。
しおからにがい先生のかんがえたBL、最高でした!
コミカルかつテンポ良く進み、合間にふふっと笑えるシーンがさり気なく散りばめられていて読みやすかったです。
上田先生の作品って、なんだか読んでいて気持ちを明るくさせてくれる魔法がかかっているなあと思います。
両視点で描かれる、幼馴染同士の恋の行方を追った今作。
どのキャラクターも立っていてすごく面白かったのですが…
なかでも、攻めである真人の一途さと不器用さと一生懸命さ。
そして、受けのことが好きで仕方ない様子が微笑ましくて、終始がんばれー!と応援したくなってしまいました。
長年瑶への気持ちを自分の中にしまい込みながら健気に生きてきたものですから、いざチャンスがきたとなるとどうすればいいのかがわからないんですよね。
受け視点では少女漫画のヒーローのようにサラッとなんでもこなせるように見えた攻めが、内心では毎回毎回どうしようとぐるぐる悩みながら必死だなんて、こんなのかわいいったらないです。
瑶の一挙手一投足に、脳内でかわい〜!があふれてやまない図がたまらなくかわいらしかった。
これは読み手だけが見られる特権だなあ。
瑶に関しては、ちょっと鈍感なところもありますが、愛嬌があって憎めない人たらしでしたね。
恋人モードになった真人にキュンとときめく姿がとってもかわいかったです。
でもやっぱり、今回は受けよりも攻めの一途さが勝っていたように思います。
うーん…真人から本心を告げられたあとの流れが個人的にはあまりすっきりとはせず…
真人が諦めてしまっていたら終わりでしたよね。
瑶の戸惑いもわかるのだけれど、思考回路がわかりづらく、もう少し自分でなんとかならなかったのかなあとこちらの評価に。
自ら浪速の当て馬に立候補をする成瀬さんが素敵なキャラクターで、すっかり彼のことが好きになってしまいました。
BLの当て馬願望がある男、おもしれー男すぎます。
はー、面白かった!読み応えがありました。
変化球系といいますか、意表を突かれたといいますか。
オメガバースという設定をこんな風に味付けして読ませてくれるのかと、海野先生の引き出しの多さに脱帽です。
オメガバース自体は現実世界にはない設定なのだけれど、描かれている内容がものすごくリアルだったんですよ。
今まで当たり前だと勝手に思い込んで見えていなかった物事が、視点を変えただけで少しずつ違う形に見えてくると言うのかな。
ベータとして育ってきた主人公・新太の密かな推し活がどうなっていくのかを見守るのかと思いきや、そうだよなあと思いがけず考えさせられるところもあり…
キャラクターたちはもちろん、読み手の固定観念も少しずつ覆されていくような展開が見事でした。
ある日突然オメガになってしまった、元ベータの新太。
彼のまっすぐなキャラクターが本当に良かった。
時折あぶなっかしさを見せることもありますが、天性のカラッとした明るさと前向きさを持ちながら、誰に対しても素直で誠実な気持ちを向けられるいい子なのです。
国嵜のことが好きでたまらない彼の健気な恋心と、なにも変わらないと思っていたはずの世界の変化に戸惑いつつも、ひとつひとつ学ぼうとする真摯な姿を追いかけては、大きな声でがんばれ…!と応援したくなりました。
なんというか、人間味にあふれていてすごくかわいい主人公だったなあ。
そして、何事にもまっすぐで嘘のない彼から浴びせかけられる、怒涛の純粋な好意の嵐に照れる攻めの図が好きでした。
「アルファとはこうあるべき」が凝り固まっていた国嵜の心のしこりが、ただの国嵜が好きだと言う新太によってほろほろと取り除かれていく様も良くて。
受けの何気ない素直な言葉に救われる年上攻めっていいですね。
うーん…新太と比べると国嵜のキャラクターが少々弱く感じられたところもあったのだけれど、絶対新太のことを好きになっちゃってるでしょとはっきりとわかる瞬間がありまして。
そこからはもう、早く追いかけろ〜!と、逆転した立場と後半の展開ににやりでした。
国嵜から独占欲強めの甘い過保護攻めの香りがプンプンしたので、彼らの恋愛面はできることならもっと読みたかったかも。
対恋人となるとかなり面白いことになる男だと思うんですよねえ。
その後の生活も覗き見てみたいです。