月夜の珈琲館さんのレビュー一覧

情熱の行方 小説

月夜の珈琲館 

バランスの一冊

心を絡ませ合う人物はいずれもほぼ間違いなく
スーツ姿と言う一冊です。
心情の駆け引きで進む表題作と心情以外でも
駆け引きをする併録作。実は両方読まないと
作品に内包された熱さが判らない様になっています。

この作者さん方唯一の商業連載作であり、また
漫画部分を交えぬ構成であり、又唯一の新書と
言うONLY尽くしのこの一冊。
技術者達の不器用な恋愛と技術への情熱を
織り交ぜた一冊…

1

逃げ水 小説

月夜の珈琲館 

独立作品、と言うには

表題作は『電脳の森のアダム』に収録されている
作家シリーズの一編です。
だからと言って『電脳の森のアダム』を読まなければ
理解出来ない訳ではありません。
ただ、登場人物の位置関係を理解する為に一瞬
空白が生じる程度です。

併録作も『電脳の森のアダム』に収録された作品の
続き物と言う位置付けですね。
こちらも細部で戸惑いは生じるかと。

こういう位置付けの一冊が出来るのも、シ…

0

関係の法則 小説

月夜の珈琲館 

歯応えがあり過ぎる

表題作を読み解く為には併録作『セントジョンズ
ワートの庭』をじっくり読み、その後過去作品を
お浚いした上で対峙する必要があるでしょう。
話の構成がややこしい訳ではありません。
話の骨格が骨太過ぎるのです。
でもこれもまたBLと言う文脈の結晶の一つ。

0

一夜の出来事 小説

月夜の珈琲館 

多分、賛否両論

一足先に申し上げますと収録作全編に渡り
キャラクター崩壊と言うべき現象が発生して
おります。
ただこれは作者の御乱心と言う訳ではなく、
物語世界の円熟に伴う登場人物の寛ぎの
結果と認識する事が出来ましょう。
この巻からシリーズを遡ってみるのもまた
面白い読み方かも知れません。

後書きではこの後もシリーズの商業出版が
継続する見込みだったとの様子が伺えますが、
現時点ではこれ…

4

電脳の森のアダム 小説

月夜の珈琲館 

世紀末電脳模様

表題作が元々書かれたのは後書きから
逆算すると1999年頃の事である様です。
そう言う部分を含めて読むとこの作品は
又新しい表情を見せる事でしょう。
そして表題作の後日譚とも言うべき
「泳げない魚」によって更に物語の世界は
転回します。
お約束の様でお約束ではない、そう言う方向に。

その中で収録されたN大シリーズは
医学生の心象風景を描いたもの。
さらりとした痛みのある一編…

0

空音 小説

月夜の珈琲館 

拓かれるもの

月夜の珈琲館と言うユニットはさりげなく
多くの抽斗を持っている、と感じる巻です。
そして、男性同士の恋愛を描くには必然性が
あるとさりげなく提示もして居ます。

併録作の後者はCD化作品発売に合わせての
再構成リミックス版。
ドラマCDと構成は等しいとの事です。
以下参考の為キャストを後書より転記します。
(敬称略)
*********
菊地尊臣(内科医):三木眞一郎
青木…

3
非BL作品

青木克巳の夜と朝の間に 小説

月夜の珈琲館 

何処へ…

表題作を読んだ後、暫く放心してしまった評者を
責めて下さいますな。

表題作はシリーズ前巻収録の『青木克己の夜の
診察室』の続編に当たるのですが…良くも悪くも
BLである必然性から遠ざかっている話です。
表紙通りの展開は決して期待なさらぬ様お願い
致します。別の視点から視れば稀少な教材に
なり得るのですが。

併録作の前者は注記の通り前巻収録作品の続編。
後者は精神的要素濃厚…

1

青木克巳の夜の診察室 小説

月夜の珈琲館 

予見、だったのかも知れない

表題作はメインカップリングの攻がとても可哀想に
なる話です。キャラ崩壊と言うよりもキャラ解体と
言うべき話かも知れません。
そして恐ろしい事に表題作はまだ受難の前半だったり
致します。この後半は…読まれるおつもりがあるならば
次巻『青木克己の夜と朝の間に』でお楽しみ下さい。

併録作の前者はメインカップリングの出来上がる前の話。
そして後者は外科医元同級生の波乱含みの一挿話です。

1

しあわせ予備軍 小説

月夜の珈琲館 

実は…

実は表題作にはN大付属病院シリーズに繋がる
伏線が一本張られております。
何処がそれに当たるのか探りながら読むのも
一つの楽しみ方であろうか、と。
そしてもう一つ。表題作中ではあるキーワードが
自乗に作用している、と評者は読み取りました。
そこを踏まえて読むと又違った表情の展開に
視えるのでは、と愚考します。

併録作はN大付属病院シリーズに張られていた
伏線一本の種明かしです…

2

黄金の日々 小説

月夜の珈琲館 

淡々と降り積もる

表題作に濡れ場がない為敢えて受攻区分無しと
致しました。

単純に色恋沙汰を読みたいならば併録作の方を
お奨めします。それでも相応に重みはありますが、
表題作の重みに比べると恐らく幾分はましかと。
表題作は読み込めば読み込む程重みを感じて
しまうでしょうし。

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