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 本日のゲスト:山藍紫姫子先生

2013/02/19 15:28

小説『ラ・ヴィアン・ローズ』(復刊ドットコム)2月23日発売
BL草創期からご活躍の山藍紫姫子先生。このたび、1995年にリリースされた小説『ラ・ヴィアン・ローズ』が復刊されます。表題作のほか、『ワンダフルナイト』、『神よ、この悩める子らのために』と、山藍先生の美麗サラリーマン小説のすべてを網羅! そのほか、ドラマCD化の際に小冊子に収録された、本仁戻先生の爆笑マンガエッセイ『山藍紫姫子先生の謎』も収録しています。描き下ろし表紙絵で、麗しさ倍増の豪華本です。それでは「801 AUTHORS 108」54回目のゲスト、山藍紫姫子先生どうぞ!

Q1. 新刊の紹介をお願いします!
一言で表すならば、“ハレム”小説とでも、申し上げましょうか…。
子供の頃から母に捨てられ、親戚をたらい回しにされて育った美青年が、磁力のように男を引きつけてしまう魔性を発揮して、望まないのに、周囲の男にまとわりつかれ、最終的に家族や財産を手に入れ、呆然となりながらも、もしかして、これって他人から見たら薔薇色の人生? と、今度は悩みはじめるという話です。同時収録の『ワンダフルナイト』は、サラリーマン物で、好きな彼がいるのに気持ちが定まらない、まだカミングアウトできない男の話です。『山藍紫姫子の世界2』という本があるのですが、そこで七瀬かい先生が漫画化してくださっています。どこかでお目に留まりましたら、読んでいただければ嬉しいです。私は、ゆるぎない信念(というか、愛とか欲望とか)で突き進む男ばかり書いてきた気がするのですが、普通の若い男(女性も)は、社会通念や周囲の目を意識して、もっと保身や身勝手な行動をとるんじゃないかな…と、おのれをも顧みて書きました。同系列の話に、『神よ、この悩める子らのために』があります。

Q2. 主要キャラは、どんな子たちですか?
主役は、横田一眞くんです。ノーブルな美青年で、子供時代の孤独ゆえに、ちょっとだけ心に空っぽなところがあるので、そこに付け入られやすいというか、そして流されちゃうところがあります。他に、一眞と父親違いの弟に浩一、真澄というタイプの違う二人がいて、彼らの父親の右月征治と大鳥登の二人も一眞に絡んできます。大鳥登氏は医者で、糖尿病で、雰囲気としてはムー○ンパパタイプなのですが、ドラマCDになったとき、あの美声の故塩沢兼人さんが演じてくださることになり、慌てました。


Q3. 今作のこだわりポイントは?
実はもう大昔に書いた物なので、こだわりはどこにあったかよく想い出せないのですが、たぶん、当時の、私の萌えポイントがぜんぶ入っていると思います。最近、復刻していただく機会があり過去の小説を読み返しますと、いまもあまり変化していないので、お恥ずかしい限りですが…。

Q4. 近況、今作にまつわる先生の日常エピソードなど教えてください!
薔薇色とは、とても美しいピンク色という認識です。ピンク色の人生って、幸せという意味だろうという思い込みでタイトルにしました…が、後にエディット・ピアフの『ラ・ヴィ・アン・ローズ』を聴いて、とても感激したので、ぜひ、一眞たちのバックにあの曲が流れているという設定で(笑)お楽しみいただければ幸いです。…が、実はこの『ラ・ヴィアン・ローズ』の復刻に取りかかっているとき、同時に別の小説の直しもぽつぽつとやっておりまして、その小説に拘わろうとすると頭の裡で『小さなバイキングビッケ』の歌が自動再生されてしまうので、集中する力がへろへろになってしまいました。

Q5. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう?
本仁戻先生の描かれた美麗な函入りで、ふたたび彼らに逢えて、嬉しいです。

Q6. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
はじめまして!
このたび、インタビューのご依頼をいただきまして、ありがとうございました。
現実から飛び立てるような、官能的な物語を書きたいと思い続けて、ん十年。
こんな私ですが、今後とも、どうぞよろしくお願いします。

担当編集より
このお仕事をさせてもらって、一番印象的だったのが、本仁戻先生の、山藍紫姫子世界への深い造詣と愛です。
実は、表紙絵(函の中)を見ていただくとわかるんですが、表紙にあるまじき。目を瞑っているんですね。
ラフの段階で、陰鬱ではないかなどと侃々諤々となりまして、その際に本仁先生が、「山藍先生の世界は美しくて、華麗。普通の人はそこまでの理解。だけど本当の魅力は、グロテスクさや暗さにもある」なんて仰ったんですね。ハッとしました。長年、山藍先生の担当をして参りましたが、このわたしこそ通り一辺倒な理解であったと、愕然としたんです。
確かにこの『ラ・ヴィアン・ローズ』も、光と影のある作品です。
美しすぎる係長が、男たちを次々に虜にするという、BLならではのユーモアをふんだんに含みつつも、主人公の母親への屈折、強烈な劣等感、自分の運の悪さを呪う気持など心の裏に潜む闇も赤裸々に吐露されているのです。その後ろ向きな顔こそが美に通じるのであり、人心を惑わせる、山藍紫姫子という人の作家性なのかもしれません。
やおいの神様が降りてきて、憑かれるように書いたというこの傑作。『アレキサンドライト』と並び称せられる、紛うかたなき、山藍先生の代表作です。BLではほとんどない函入り装幀で、豪華ですし……(その分、少々お値段もはりますが)。
ぜひこの機会にお見逃しなく、ご賞味くださいませ。

(c)山藍紫姫子/本仁戻/復刊ドットコム

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