暮田マキネ先生インタビュー

BLニュースは標準ブラウザ非対応となりました。Google Chromeなど別のブラウザからご覧ください。

暮田マキネ先生インタビュー 名家の息子×庭師の息子… 高校生幼なじみのこじらせ恋愛物語! コミックス『木陰の欲望』

2015/12/30 17:00

親友… 互いを大切に想うからこそ、屈折してしまった愛
高校生の鼎(かなえ)と瑞季は幼なじみ。瑞季が住む田舎町に、鼎が病気療養にやってきたのが出会いのきっかけです。裕福ながら、情の薄い家庭に育った鼎と、庭師の息子で誰からも好かれる性格の瑞季。親友となった二人ですが、ある事故を機に、関係に変化が……。12月25日発売、暮田マキネ先生の新刊コミックス『木陰の欲望』。高校生になった鼎を支配するのは、瑞季への執着と独占欲! こじれた想いが生む恋の行方は!? それでは「801 AUTHORS 108」第811回、暮田マキネ先生どうぞ!

Q. 作品紹介をお願いします!
裕福な家に生まれながらも、病弱であるがゆえに田舎の別荘に厄介払いされてしまった少年・鼎。慣れない田舎暮らしの心細さを慰めてくれたのは、同い年で明るく面倒見のよい庭師の息子・瑞季でした。二人は緑豊かな庭でゆっくりと友情を育んでいきましたが、ある事故をきっかけにその関係性が少しずつ歪んでいきます。歳を追うごとに瑞季への執着と独占欲を強くする鼎と、そんな鼎を危ぶんで一定の距離を保とうとする瑞季。高校生になった彼らの、双方にこじらせた想いがどう結実するのか…という仄暗い初恋譚です。
Q. メインカップルはどんな攻×受ですか?
攻め:宇喜田 鼎(16)…東京の名家の子供で、生まれつき身体が弱く喘息持ち。病気療養のため教育係の木島を付き添いに瑞季の住む町へ転居してきました。情の薄い家庭で育ったため、他人の心の機微に疎く自己中心的なところがありますが、外面が良く立ち回りも上手いので親しい人間以外には「大人びた優しい王子様」といった印象を持たれています。とにかく、瑞季第一。それ以外は本当どうでも良いという子。
受け:遠山 瑞季(16)…曾祖父の代から続く庭師の家の三男坊で、幼い頃から父の仕事を手伝っています。面倒見の良い親分肌なので小さい頃から男女問わず人気があります。勉強嫌いですが地頭は良く、好きなことや興味を持ったことには一生懸命。もともと情の深い子ですが、もし鼎と出会わなければもっと単純で健やかに生きていけたんじゃないかと思います。
Q. 当て馬や重要な脇役は?
信二ですかね。個人的には本作のオアシス的な存在でした(笑)
彼はちょっと軽薄で雑な振る舞いしてますが、基本誰よりも常識人でバランス感覚の良い子なので、鼎や瑞季の言動に共感はほぼないんですよね。でもだからと言って二人を「おかしい」とか「異常だ」と切って捨てるようなことはしない。「お前ら好き同士なの? つきあっちゃえよ」みたいな野暮な口ははさまないけど「ああ、その形だと二人とも幸せになれんの? じゃあ、そうしろよ」みたいなスタンスで、正直二人が付き合うとか付き合わないとかはどうでもいいんですけど、二人が困ってる時はぶつぶつ言いながら手をさしのべる…作中人物で誰かと付き合うなら迷うことなく信二が良いですね。鼎は絶対嫌だし瑞季には鼎がついてきちゃいますし(笑)
「親友」という関係性、私の中で、鼎と瑞季がそうであったのは出会って間もないほんの一時だけだったと思っています。二人に尋ねても、お互いをそうだとは言わないんじゃないかなと。もし「親友はだれ?」って聞かれ方をしたら、瑞季は「信二…かなあ」って照れくさそうに言うし、鼎は何も言わないけど頭の中で一瞬信二の顔がよぎって仏頂面になる、みたいな感じだと思います。恋愛感情のない一生ものの腐れ縁というのも、いいですよね。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう?
こだわり…というか、結果的にそうなってしまったという感じなんですけど、現在と過去をどう交差させるか、ですね。展開にはあまり悩まなかったけど、交差のさせ方とかタイミングとかはすごく悩んだ覚えがあります。あと、子供時代をこんなにたくさん描くと思ってなかったです。描くの楽しかったですけどね(笑)
あとは、個人的に本作最大の仕込みというか…。最終回のラスト頁を読むまでわからない事実があるんですけど、最後まで読んで「あ…」ってなってもう一度読み返して頂けたら、成功かなって思います。これに関しては元々本編に入れる予定のエピソードだったんですけど、頁の都合もあって入れられなかったんですよね。当時は色々葛藤もしたけど、今となってはこれで良かったなあって思っています。

Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください!
4話がきつかったです…。当時の担当さんにも「暮田さん、(メンタル的に)しんどいでしょ?」って言われたんですけど、正直こんなしんどくなるって思ってなくてびっくりしました。それまで私は自分の創作スタンスをどちらかと言えば「俯瞰的」だと思っていたんですけど、3話あたりから「あれ…?」ってなって、4話のネーム時なんてものすごい情緒不安定になってしまって、そこではじめて「ああ、私ちっとも俯瞰的じゃない、ものすごいのめりこんでる…」って、気づいて感動すら覚えました。
このあたりの私のふさぎ込み方を見て、担当さんが「シリアスが続くとしんどいでしょう? 次は明るい話にしましょうね」って言ってくれて『助教授の初恋ケーススタディ』を描くに至ったんですけど、結局そっちも別のしんどさがあるお話で…(笑)
作品自体のテイストや展開にもよるだろうけど、結局、人間の感情を描こうと思ったら、楽なことなんてないんだって思い知りました。でも苦労したなって思う作品ほど、思い入れが強くなるんですよね。漫画って楽しいな。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか?
鼎の実家について本編では全然触れられなかったんですけど色々考えてはあって…鼎はいわゆる妾腹の子で、男子だったので宇喜田の家に引き取られました。大学受験の時期あたりには実家とすったもんだあるんじゃないかなーとか、その時瑞季とはどうなるかなーとか色々妄想をして楽しんでいます(笑) あと、鼎の教育係の木島の初恋の人は、鼎のお祖父ちゃんです(初期設定に書いてあった…!)

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います!
描いていたのが、もう二年以上前になるので、具体的な日常エピソードみたいなのは思い出せないんですけど…
青年誌での連載が終わってこれからどうしようと悩んでいるところに、『僕の可愛い酔っぱらい(大都社)』(お勤め時代に電子で不定期連載。2013年に書籍化して頂きました)でお世話になっていた編集部の担当さんにRenta!さんでの電子連載のお話を頂いて、描いた最初の作品がこちらの『木陰の欲望』でした。
青年誌時代はカラー以外アナログ作画で、背景はアシスタントさん任せだったんですけど、木陰はがっつりデジタル作画な上に完全一人作業ということでまずそこが怖かったですね…本当に完走できるのか? みたいな(笑) 今は自分がどういう状態になるかわかっているので滅多に確認しないですけど、この当時は不安で不安で反応が知りたくて、レビューとか狂ったように見に行って、励まされたり落ち込んだりを繰り返してました。ちょっと病んでたなあって思います(笑)
暗中模索の初連載でしたが、最終的には私や担当さんがびっくりするくらいたくさんの方に読んで頂けて、色んな編集部さんにお声かけ頂くきっかけにもなりました。そういう意味でも思い出深い作品です。

Q. 今、何かハマっていることは?
少し前までファミリーマートの具なしカレーにはまってそればかり食べていたんですけど、ここ最近ハムサンドにシフトしてそればかり食べています。来年は自炊にはまりたいです…。
Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう?
電子メインに描かせて頂いてますが、やはりというかだからというか、書籍化というのは憧れであり一つの到達点でもあるので、こうして送り出すことができて本当に嬉しいです。書籍化が決まった時、電子配信時から応援して下さってる読者さん達がすごく喜んでくれて、もったいないお祝いの言葉をたくさん頂きました。ありがたくて嬉しくて「こちらこそありがとうです」と涙が出ました。できあがったものにそうした思いのひとかけらでも反映されていればいいなあと思います。緊張と悪夢で不眠気味になるのはいつものことですね(笑)

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
10月に発売したばかりの『助教授の初恋ケーススタディ』とは毛色も世代も違いますが、「不器用」という意味では共通してるかも、な高校生幼なじみのこじらせ恋愛物語です。聖なる夜にちょっと暗めのお話で、季節は夏で…と場違い感もありますが、少しでも木陰の世界を楽しんで頂ければ幸いです。今回は書店様での特典ペーパーを、最終話直後くらいの二人の4コマ漫画にしてみましたので、よかったらそちらもゲットしてみて下さいね。かわいそうな鼎がたくさん見れます(笑)
シュークリーム moment編集部 担当編集より
電子配信時から人気がありました『木陰の欲望』が遂に待望の単行本化です!
電子書籍で読んでいた方も、初めて知る方にも、お手にとっていただけたら大変うれしいです。

主人公の鼎も、幼なじみで親友の瑞季も、お互いにお互いのことを大切に想っているからこそ、思春期真っ只中の不器用さゆえに、ほろ苦く屈折してしまった愛の描写が、とても丁寧に切なく描かれております。
もはや共依存にも近い、“親友”の一線を越えたふたりの危うい関係を存分にお楽しみください!

描き下ろしとして、その後のふたりのお話も収録されております。こちらもとても萌える可愛らしいお話となっておりますので、是非チェックしてみてください。

ふたりの愛の物語を、是非お楽しみくださいませ。
何卒よろしくお願いいたします!

特典情報
特約店限定:描き下ろしマンガペーパー
アニメイト限定:描き下ろしマンガペーパー
とらのあな限定:イラストカード
中央書店コミコミスタジオ限定:描き下ろしマンガペーパー
電子版<Renta!限定>:描き下ろしマンガペーパー
電子版<その他書店>:描き下ろしマンガペーパー
詳しくはコチラ

(c)暮田マキネ/竹書房・シュークリーム 2015

関連作家・声優

PAGE TOP