御堂なな子先生インタビュー

写真しか信じない真面目堅物に、キスで霊力が宿り…!?


プロカメラマンを目指す航介の信条は「写真は嘘をつかない」。ところが、取材先で出会った美貌の男・紅大路にキスをされてから、航介が信じる現実が揺らぎます！ 紅大路は、千年以上日本を守ってきた陰陽師一族の総領。その霊力が航介にも宿って、写真が全部心霊写真になったり、愛犬の霊が見えたり……。御堂なな子先生の新刊小説『キスから始まる除霊と恋 ～幽霊屋敷の男爵閣下～』が1月19日に発売！ 紅大路のことをもっと知りたくなった航介は、体を繋げば「あちら側」を見ることができるという誘惑に、身を任せてしまい!? それでは、「801 AUTHOURS 108」第1515回、御堂なな子先生どうぞ！　

立場も霊力の有無も正反対の二人が惹かれ合う王道ラブ♥

Q. 作品紹介をお願いします！
今回の新刊は、私としては初めての幽霊モノです。人知れず現代に生きる陰陽師の活躍をベースに、主人公が昔飼っていた愛犬の霊、怨霊、メイドや執事の霊、刀の精霊、式神、付喪神などなど、人外のキャラがたくさん登場する、とても賑やかで楽しい一作になっています。


Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
受の航介は、フリーのカメラマンです。社会派の報道カメラマンを目指しているんですが、まだ駆け出しで、ゴシップ系週刊誌と契約をして芸能人や著名人のスキャンダルを追っています。とても真面目で、世の中の真実を追究したいという信念を持っています。ちょっと頭が固くて、恋愛に関しては疎い方かもしれません。カメラに写るものしか信じないので、目に見えない幽霊の存在やオカルト現象には興味がなかったようです。
そんな霊感も霊力もゼロの航介と、平安時代から続く名家の総領、紅大路が出会うことで、二人の恋が展開していきます。攻の紅大路は、表向きは歓楽街に多くのビルや店舗を持つ紅大路グループの代表として、そして裏では稀代の陰陽師の総領として、権力者からも一目置かれる存在です。長い重い歴史を背負い、霊なる者と対峙して生きているため、心のどこかに孤独な部分があるのですが、航介と出会ったことで生身の人間の温もりに癒されていきます。
立場も考え方も霊力の有無も両極端な二人が、だんだんと惹かれ合ってお互いにかけがえのないものに変化していく、王道のカップルです。


Q. 当て馬や重要な脇役は？
何せ登場キャラがたくさんいるので……。ストーリーのアウトラインを担う、強かな敵キャラとの二人の戦いは見ものです。私のお気に入りのキャラは、刀の精霊の霧緒です。沈着冷静で霊力が高い、紅大路家の護り刀にして秘書的な役目を担っています。そして航介の愛犬のコロ！ この子に関しては私が語るより、ぜひぜひ本編を読んでください！ とってもいい子ですから！(登場シーンを大幅に削る必要があったくらい、大活躍のキャラです)

現実的ファンタジー!? 陰陽師のリアルな描写が見どころ

Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
陰陽師という特殊職業を、なるべくリアリティを持たせて書こうと努力しました。ファンタジーとしてふり切れているのも楽しいんですが、「霊力ゼロの航介の目から見た陰陽師」という物差しを常に意識して、なるべく地に足の着いたストーリー展開を心がけました。紅大路みたいな人がどこかにいそうだな、と思っていただけたら嬉しいです。


Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
楽し過ぎて、陰陽師の資料ばっかり読み耽っていました。もともと好きなジャンルなので。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
上の回答とかぶりますが、資料ばっかり読んでいて、執筆の時間が思うように取れなくて焦りました。ちょうど身辺が慌ただしい時期と原稿期間が重なっていたので、自分にスケジュール運がないことを痛感しました。

ハッピーエンドな幽霊モノ！ “意外”なテーマの恋模様をお楽しみに♪

Q. 今、何かハマっていることは？
「何で今？」と友人にツッコミを受けるくらい、今更な某有名マンガにハマりました……。後からハマった者の特典として、コミックスを全巻一気読みできるのは嬉しいですね。

Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
自分の本が発売される時は、いつも緊張したりドキドキしたりするんですが、今回は本当に楽しみで仕方ないです。高世ナオキ先生の素晴らしいイラストを一足先に拝見させていただいて、喜びもひとしおです。読者の皆さんもぜひご期待ください。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
こんにちは、またははじめまして、御堂なな子です。今作は私の三十冊目の本で、区切りの一冊となります。大切なこの作品を、少しでも多くの方にお手に取っていただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。


リブレ ビーボーイノベル編集部より
とにかく、日常の中にファンタジーなことが起きるお話を書いていただきたくご提案したところ、御堂先生に意外なツボがあったことが発覚…そしてこんな設定になりました。実は担当としてイメージしていた「幽霊屋敷」は、「美女と野獣」の野獣のお城。従者たちに愛される孤独な王者が、好奇心旺盛でまっすぐな気持ちを持った青年に愛されて、そして彼を愛することで幸せになるハッピーエンドな「幽霊もの」なんです。御堂先生の王道路線、新アレンジをぜひお楽しみください。

小説『キスから始まる除霊と恋 ～幽霊屋敷の男爵閣下～』


(C)御堂なな子・高世ナオキ/リブレ