彼は、おっかないけど王子さまなのだ

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表題作カフェで恋へと堕ちまして

百鬼目皇、強面の喫茶店オーナー
日月結生、高校生、16

その他の収録作品

  • 甘くて苦くて目が回る
  • あとがき

あらすじ

思い詰めた結生を助けたのは強面の喫茶店オーナー百鬼目。
あたたかな空間と王道喫茶メニューにお腹も心も満たされ、心は彼に傾いていくが…。

母の家出にショックを受けデパートの屋上で思い詰めていたところを、強面の喫茶店オーナー百鬼目に保護された結生。
ナポリタン、フルーツサンド、カフェオレ…懐かしい味わいのメニューの数々に、あたたかな空間。
百鬼目の一存で喫茶「まだらめ」のバイトに入ることになった結生は、マスターの少女趣味につき合いながらも元気を取り戻していく。
しかし、自身は会社員だという百鬼目には常に美人部下が控え、その光景が結生には切なくて…。

作品情報

作品名
カフェで恋へと堕ちまして
著者
弓月あや 
イラスト
みろくことこ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576191157
3.1

(7)

(0)

萌々

(2)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
21
評価数
7
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

すごく幸せ気分を味わえました

崩壊寸前の家庭の中、生きる気力を無くしかけていた主人公。
そんな彼が、攻めやその周囲のあたたかい人達と出会い、元気を取り戻して前を向けるようになるー。
と言う、優しくてあたたかい気持ちになれる素敵な作品でした。

弓月先生ですが、こういう不憫だけど頑張り屋で、思わず応援したくなる受けを書くのがお上手なのです。
これがたまにやり過ぎちゃって鼻につくタイプになっちゃってる事もあるんですけど、今回はとてもいい塩梅。
また、周囲の人達がとても優しくてあたたかいんですよねぇ。
読んでいて、すごく幸せな気分を味わえました。

内容ですが、強面の喫茶店オーナー・百鬼目×生きる気力を無くしかけていた高校生・結生による、家族の再生なんかも盛り込まれた優しくてあたたかい片想いものです。

高圧的な父親に母親の家出と、崩壊寸前の家庭で自分の存在意義が分からなくなってしまった高校生の結生。
デパートの屋上で「自分はいらない」と思い詰めていた所、強面の純喫茶オーナー・百鬼目に保護されます。
百鬼目の店「まだらめ」の、どこか懐かしくてあたたかい空間に、はりつめていた心が和らぐ結生。
不登校で引きこもっていると言う結生の事情を聞くと、強引にここでのバイトを決められてー・・・と言うものです。

で、ロマンスグレーの素敵なマスターや個性的ながらあたたかい常連客達、そしてオーナーである百鬼目と過ごす毎日により、明るく前向きになって行く主人公。
ここに、百鬼目への片想いと言うラブなんかも絡めて、主人公が再生して行く・・・と言う流れになります。

こちら、まぁそんな感じで、とにかく優しいお話なんですよね。
実は結生ですが、学校にも馴染めず、常に自信が無くてとても引っ込み思案です。
が、純喫茶「まだらめ」では、そんな彼でも皆優しくて受け入れてくれる・・・。
そんな周囲の気持ちに応えようと、別人のように生き生きしだす結生。
こう、失敗しつつも、「頑張ろう。少しでも役に立てるように」と、懸命に働く姿に、なんだか応援したくなるんですよ。
また、フルーツサンドだったりナポリタンだったりと、昔懐かしいメニューがめっちゃ美味しそうでして。
いや、この優しい雰囲気に一役買ってるよなぁと。
ついでに、百鬼目ですが、強面に言葉も固くと一見取っつきにくいんですよ。
それが、実はめちゃくちゃ面倒見がよくて。
最初は逃げ腰だった結生をですね、ご丁寧に自宅まで迎えに行って、「まだらめ」まで送り届ける。
で、朝食を食べさせ、話を聞いて真面目に答える。
自分の事を弱くてダメな人間だと思っている結生にですね、「本当に苦しいから、何も出来なくなったんだ。家族が家を出ていったら、誰でも悲しいし辛い」と、優しく寄り添ってあげるんですよね。
おいおい、いい男じゃないかよ!と。

と、そんな毎日を過ごすうち、百鬼目に惹かれてゆく結生。
しかし、百鬼目を訪ねてきた恋人らしき美女を見て、ショックを受けるんですね。
更に、不登校状態で「まだらめ」で働いている事が、父親にバレてしまい・・・と続きます。

こちらですね、実は父親のキャラがちょっとブレてる気がするんですよね。
いや、要は不器用な人だったってトコに話を持っていきたかったんだろうとは思うんですけど。
あと、百鬼目の行動が唐突で違和感を覚えたりする部分もある。
また、家出をしてしまった母親も、個人的にはナシなんですよね。
この状態で結生は置き去りにして、下の子だけ連れてくって、ちょっとなぁ。
ありえないですよ。

まぁただ、そんな引っ掛かる部分を含めても、全体的にはとてもツボなお話でした。
崩壊しかけていた家族の再生なんかも、とても素敵で。

あとこれは完全に個人的な好みの問題ですけど、結生のフリフリエプロンや女装は特に必要じゃ無かったです。
いや、可愛いし、ちゃんと理由があるからいいんですけど。

6

おっかない王子さま?!

帯に「彼は、おっかないけど王子さまなのだ」とありますが、百鬼目(攻)はキラキラ輝く王子様ではありません。もっと堅実で優しくあったかい大人です。

そんな喫茶店のオーナーである百鬼目と、マスターの橘さんが、自殺まで考えてしまう結生(受)をあたたかく育てて、成長をさせてくれるのが読んでいてほっこりしました。こんな大人ばかりだと良い社会なのにって憧れました。人見知りだった結生が、営業トークができるまで逞しくなったのは面白かったです。

ただ、みろくことこ先生のイラストがもともと可愛らしい絵柄だからか、百鬼目の強面度はイラストではあまり感じませんでした。誰かにすごむという場面もありませんでしたし。結生と百鬼目のダンスシーンが一番お気に入りの場面です。

百鬼目の強面度も王子様度も、橘の所望による結生の黒耳とフリルエプロン姿も、物語のスパイスとして楽しかったです。すんなり読める1冊でした。

3

悩める高校生

可愛く明るそうな表紙だから購入。どひゃーと冷たい感じは冒頭ちょびっとだけで、何とか立ち直る高校生ちゃんなのですが、攻め受けとも萌えポイントが少なかったので中立にさせていただきました。先生すいません・・女装さんがお好きな方には良いかも?な本編190P弱+後日談32P+あとがき。

小さなデパートの屋上で金網越しに下をのぞき込む結生(ゆう)。しばらく前に母親は幼い弟を連れて家出してしまい、厳格な父親と二人で暮らしているのですが、学校に馴染めず父とも会話が無く、飛んじゃおうかなと思っていたところ、「君に頼みたいことがある」と男に声をかけられて近所の店に連れ込まれ・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
喫茶店マスタ―(渋おじ!)、喫茶店のお客様少々、受け両親+弟、攻め秘書(♀)かな。

**攻め受けについて

最初デパート屋上で・・・と読み始めた時は、「へあ!?やばい、黒弓月先生だったか??!!」とビビったのですが、無事そこは通過し、渋おじマスターで癒され、「おお良い感じ!」と安堵したものの。

攻めは強面ながらスパダリなんだろうなと予想されるものの、スーパー感が今一つ弱く。色々気づかってはくれるんだけどな。
受けさんは高校生らしく、ゆれる思春期という感じは分かるが頑張る!と切り替えるのが、思いのほか早い。
受けが恋心を認識するのはいいけど、いや一応同性相手に好きになるってところ、もうちょっと戸惑ってもよくないか?と思ったり・・・

ということで今一つシンクロしきれなかった二人でした。
受けのお父さんもシンクロできないクソおやじだったし。
マスターや、店客のお祖母ちゃんたちのお話は良かったんですけど・・・とちょっと残念でした。

2

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