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表題作闇夜を歩く(1)

菅波清澄 弁護士 ≒32才、松沼昭夫 社長 50代
竹添李空 占い師 ≒24才

あらすじ

与党の大物代議士・猪飼の秘書を務める永島は、総裁選の根回しに奔走していた。闇のフィクサーと呼ばれる宇津井のお墨付きをもらうためには、彼が心酔している政財界のVIP御用達の占い師に未来を見てもらい、猪飼が間違いなく総裁の器であることを証明するのが条件だった。その露払いとして永島は件の占い師・子春のもとを訪れるが、彼は永島を占うことはできないと言う。前代未聞の言葉に、宇津井は子春を抱くよう永島に命じるが―。依頼者に抱かれることで未来を読む特異能力を権力者のために使うことを強いられ、自らの意志が存在しない世界に生きる子春と、秘書としての政治的成功を志す永島。二人の運命と愛が絡み合い、流転する―。全編書き下ろし、シリーズ第一弾。

作品情報

作品名
闇夜を歩く(1)
著者
谷崎泉 
イラスト
有馬かつみ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
闇夜を歩く
発売日
ISBN
9784576051703
3.2

(9)

(3)

萌々

(0)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
4
得点
27
評価数
9
平均
3.2 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数4

運命の男が二人…

 書き下ろし小説3巻ものの1巻目で、BL要素は控え目でしたが、ストーリーがミステリアスで面白かった…!先が気になるドラマティックな展開で引き込まれました。
大河ロマンの開幕…のような1巻でした。
あまりあらすじ等を事前に入れずに読むのがオススメです。
全く情報ゼロの状態で読み始めたので、靄がかっていた森が少しずつ見えていく展開が印象的で余計にのめり込めました。

 妖艶で神秘的な占い師の子春の稀有な運勢に絡まってきた二人の運命の男、菅波と永島。
二人とも脛に相当な傷を持つ存在で…。 
二人が子春にとって運命の男だという証がまた洒落てますw この証が物語の深層にも大きく関わってきそうで楽しみです。話のスケールも大きい話ですし、まだまだ謎のヴェールに包まれた状態なので、これからの展開がますます気になります。

永島はホワイトナイト(救い主)なのか、、。永島と菅波どちらと子春が結ばれるのか、目を離せません。1巻は終わり方もメロドラマのようで、先が気になって仕方がないです。

2

挿絵がイメージとピッタリ

生い立ちや出自の秘密が絡む、ミステリー系BL。
官能シーン少な目。心情描写重点。
凄く面白かったけれど、あっけない結末が物足りない。
2018年以降の新作が無い、絵師の有馬かつみさんの挿絵が李空のイメージピッタリで、綺麗。

李空:
政財界のVIP御用達の占い師。子春の名で未来をみる美貌の占い師。
男性客限定なのは、訳がある。
・・依頼者に抱かれることで未来を読む特異能力を、権力者のために使うことを強制され、言いなりの人形のように生きている。

菅波:
本業は、弁護士。李空の従弟。自分の野心の為に騙して、李空を利用。出自に秘密あり。

永島:
与党の大物代議士・猪飼の有能な第一秘書。出自に秘密がある美男子。
政界のフィクサー宇津井の指示で、猪飼の総裁選の為に李空と会い、李空との同衾を強制される。

沢登:
永島をつけ狙う政治記者。ある種のストーカー。

登場人物について書いたら、筋書きがなんとなくわかってしまう。

1巻目は、序盤。
2巻目が一番盛り上がって、面白かった。
3巻の完結編は、伏線未回収のままの〆。

0

まだ恋愛じゃないけど期待大

面白かったです。
『闇夜を歩く』というカッコイイ作品名が気になっていました。

主人公は『永島潤弥』32才の若さで次期首相候補「猪飼」の第1秘書を務める。
猪飼に何の恩もないが、自分の手で首相にしたいと思っている。
実力者「宇津井」から首相指名を得る為に、宇津井が勧める胡散臭い占い師なんぞにも会う。
だが、占いがどう出ようが、宇津井を納得させる答えを得なければならない。
永島は先ず自分を占わせ、それから対策を講じようと考える。
そうして、若く美しい占い師『子春(竹添李空)』と後見役の弁護士「菅波」と出会う。

永島の心の内では、子春にも宇津井にも「占いだと?くだらない」と思っているのが分かるのに、谷崎先生はあくまで冷静な議員秘書の永島で書いています。
子春の人柄や境遇を知ると同情し、こんな仕事をさせている菅波を嫌悪しているのだけど、永島ははみ出ない。
子春が、永島との出会いから、今までの日常を変えるべく動きだし、それで酷い目に遭っても、永島に知る由も無く日常のまま。
だから1巻はBL小説じゃないですね。
永島と子春、永島と菅波、永島と宇津井、永島と雇った私立探偵…それぞれのやりとりで、永島の鉄仮面振りや、何か過去あり?と読む巻だと思います。
子春と菅波との間には感情の高ぶりがあるけど、これだけだから、恋愛を求める読者からすれば「詰まらない」かも知れないです。

でも、「起承転結」の“起”で走ることなく“承”も低温で書かれているのは、谷崎先生らしいくて、何か安心して読んでいる自分がおりました。
恋愛に安易に進まないのも谷崎先生のキャラらしいなと。
この先、痛んだ子春が、壊れ掛けた菅波がどうなるのか、主要キャラ達の繋がりがどう明かされるのが気になるし、そして、この冷静な永島がいつ我を忘れるのか?どれほどの爆発力か?と、すごく楽しみなのです^^

5

橘盾

ココナッツさん
 
自分も同じく“レビュー待ち”でした(笑)
だって「しゅみじゃない」もあるし、書き下ろしで続き物3巻だしで;
ホントになかなか付かないから、だったら読んでしまおうかと。

やっぱり谷崎先生で、盛りやキャピ感はみじんも無いですw
これからの展開はまだ分りませんが、【最テロ】のスピード感や世界の広がりよりは、政界の話なので、ゆっくり徒歩感覚で密室っぽいかな。
谷崎先生の硬質作品がお好みのココナッツさんなら、宜しかろうと思いますよ!

コメント、有難うございました~これからもよろしく (_ _)ゝ゛ヘ ヘ

ココナッツ

谷崎さんの淡々とした文章に惹かれ色々手を出しておりましたが、とにかくレビューがつかない作品でしたので手を出せないでおりました。
橘盾さんが書いてくださって、とても参考になりました!
ありがとうございます!

萌えとは違うけど

谷崎さんの全三巻物。
やはり谷崎さんは複数巻向けの作家さんなのだなあと思いつつ、シャレード文庫さんにはこれからも出来れば単発でない谷崎さんの作品を出して頂きたい!と思います。

**********************
メインの登場人物は三人。
未来を見ることが出来、纏う空気さえも清浄に感じさせる占い師の子春(李空)。
大物政治家・猪飼の第一秘書で、猪飼を首相にすべく動く野心家の永島、32歳。
子春と客との間を取り次ぎ、子春へ並々ならぬ執着を持つ弁護士の菅波。
**********************

子春は相手へ触れることで未来を垣間見る能力があり、幼い頃から今のような生活を強いられています。
相手の未来は徐々に子春の中に澱としてたまり、それで埋め尽くされた時はきっと彼が死ぬ時なのだろうと察せられ切ないことこの上ない。

谷崎さんのシリーズ作品で多いのがスタート無理矢理系なのですが、今回はある意味異色。
モブ姦が実際の表記はないものの子春の能力ゆえに存在していることが仄めかされ、しかも今後本命攻めとなると思われる永島よりも、菅波の方が攻め位置におります。
その菅波が犯した行為のきっかけとなったのは永島の存在で、その菅波の行為が結果的に子春が行動する原動力となったのだから皮肉なものです。

この巻にラブはありません。
ただ、今まで死んだようにそれこそ闇夜を歩いてきた子春が、そこから一度出るところまでなのでこれは仕方ないとも言えます。
自分自身の現状も未来もなかった子春に、『恋愛』なんて心は普通すぐには生まれませんから。
その辺りは御都合主義でない谷崎さん、素晴らしいです。
個人的には、この子春の言葉遣いがひじょうに良いと思います。
子供のようにも大人のようにも感じられる、絶妙さがあります。
こういう細かいところや、行動心理のリアルなところが本当好きな作家さんです。

4

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