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凪良先生の初期の頃の作品(2012年頃)のようですが、既に頭角が現れていますね…。
後から読み返した時の冒頭の2ページの印象が違いすぎて。
想像していた「待ち人」来らずの「待ち人」の正体が全く当たらずで、「待つ」の意味があまりにも哀しすぎました。意外すぎた。
内容は非常に重いです。
同様に重い業を持つ遠召と高知。歪な関係。やるせない想い。
遠召の「待つ」には特別な重みがある。
過去の前例の裏付けがある。
これほど心強く信頼できるものはあろうか…。
人の心はうつろいやすいけれど。
全体的に心理描写も風景描写も丁寧で、終わり方も良かったです。
ストーリーも上手く纏まっているし、正反対の性格をした遠召と高知
のどちらも魅力的だったし、吊り橋の上、それともペーパークラフトの上?で為される陽炎の様に虚な恋愛も堪能出来ました。
物語とBLがちょうど良い塩梅でした。
個人的には遠召の事情の方に打ちのめされたかな。
過去の「待ち人」の弱さが哀しくて。
遠召も憎みつつも、憎みきれなかったんだろうな。
「関係性」という意味では、遠召と高知、遠召と充が強かったように思った。
高知と久は弱目に感じた。
終始重ための内容でしたが、高久先生のイラストがほのぼのと温かくて救われました。
以前活動の場の重きを文芸界に移された凪良先生が「BLは必ずハッピーエンドでないといけないところで表現が狭まってしまう」というような発言をされていたインタビュー記事を読みました。色々なエンドがあっても良いなーと思いました。
この作品でも色々葛藤された中で生み出されたエンディングだったのだろうな。
キャラ文庫から凪良先生の初期の頃の作品の新装版が出ているようなので、順番に読んでいこうと思います。
BL実写化が格段に増えましたが、BL界は小説も宝庫なのに…と思ってしまいます。
ビジネス的には漫画原作が強いんでしょうが、ジャンルも多岐に渡り、ストーリーや世界観がしっかりしている小説原作の方もスポットライトを浴びて欲しいです。
セックスがエロい〜〜!ただ凪良ゆうのポエマーな文章が鬱陶しくてきつい。こんな俺に菓子をくれるのか…みたいなシーンもきつい。受けの不憫がてんこ盛り(安定の義父からの性被害笑)だいぶ嫌いな要素いっぱいだけど、ストーリーは好き
豆腐屋の気まぐれで高知を居酒屋に案内することになった遠召。酔いつぶれた高知をそのまま家に居候させることになる。
2人の同居生活を通してわかるのは名前、年齢、人となりだけ。そして2人にはそれぞれに何やら不穏な過去がありそうだということ。
どちらかの過去だけが謎に包まれている…というのではなく、2人ともに過去が謎というところがミステリーみのある展開のお話でした。
ここからはネタバレになってしまいますが、高知は愛する姉を死に追いやった義兄を刺したことで警察に追われていて、遠召は生い立ちから家族の愛に恵まれず、異母兄に心身ともに支配される生活を送っており、身体的な支配を逃れた現在においても心理的には支配下にあるというとても不憫な2人でした。
2人がお互いの過去を打ち明け、相互救済していく…とざっくり言うとそんな一文に纏まってしまうのですが、生きていく業というか、逃れられない苦しみ、自分や他人への怒り…みたいな、自分一人ではとても抱えきれそうにない重い荷物を2人で分け合うというような甘いものでは無いのだけど、お互いに支え合ってやっと立っていられる、というような不安定さをずっと感じていました。
なので途中まで「もしやこれはメリバなのでは?」という疑いを払いきれないままラストに突入するという、凪良先生作品では初めての体験をしました。
そしてタイトルが相変わらず良いですね。「天涯生き」。天涯の意味を調べてしまいました。だからこそ、2人のその後が読みたいなと欲に駆られてしまいます。2人が何に追われることも、何に縛られることも無く、心から笑いあっている未来を読みたいです。
天涯=空のはて。また、故郷を遠く離れた土地。 //
遠い土地にきた高知は、何かから逃げている人。
軒を貸す遠召は、戻らない恋人を待つ人。
遠召の勧めに従い、自主する高知。マットウに贖う事を選ぶ。
凪良先生の小説に登場する弁護士は能力低くて、被疑者を擁護しきれないパターンが殆ど。
この作品でも、高知に厳しい判決が出ている。切ないなー。
入所したとき、「待たなくていい」と断っていたけど、
出所した日が決まると、高知は緊張して眠れなかった。
豆腐を食べる途中で、寝てしまった高知の傍に座る遠召。
自分を待つ優しい人が出来て良かったね、高知。
架空の登場人物なのに、
読了後真剣に、二人の新しい毎日が幸せであるように祈ってしまった。
再読しました。
今読むと、「流浪の月」と重なるところ、通じるものを思わされます。
プロトタイプと言いますか。
家族のことで心にしこりを持つ二人が出会って、共同生活をするうちに、傷ついた魂が寄り添い、無くてはならないかけがえのない関係になっていく。二人のそれぞれの視点から描かれていて、とても好い本でした。
二人が隔絶されたような優しい街でのんびり過ごす場面とか、それぞれの傷に立ち向かうこととか、逃避行のような旅とか、とにかく心情描写も情景描写も丁寧です。
美しく儚くやさしい、そして強い作品と思います。