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セックスがエロい〜〜!ただ凪良ゆうのポエマーな文章が鬱陶しくてきつい。こんな俺に菓子をくれるのか…みたいなシーンもきつい。受けの不憫がてんこ盛り(安定の義父からの性被害笑)だいぶ嫌いな要素いっぱいだけど、ストーリーは好き
豆腐屋の気まぐれで高知を居酒屋に案内することになった遠召。酔いつぶれた高知をそのまま家に居候させることになる。
2人の同居生活を通してわかるのは名前、年齢、人となりだけ。そして2人にはそれぞれに何やら不穏な過去がありそうだということ。
どちらかの過去だけが謎に包まれている…というのではなく、2人ともに過去が謎というところがミステリーみのある展開のお話でした。
ここからはネタバレになってしまいますが、高知は愛する姉を死に追いやった義兄を刺したことで警察に追われていて、遠召は生い立ちから家族の愛に恵まれず、異母兄に心身ともに支配される生活を送っており、身体的な支配を逃れた現在においても心理的には支配下にあるというとても不憫な2人でした。
2人がお互いの過去を打ち明け、相互救済していく…とざっくり言うとそんな一文に纏まってしまうのですが、生きていく業というか、逃れられない苦しみ、自分や他人への怒り…みたいな、自分一人ではとても抱えきれそうにない重い荷物を2人で分け合うというような甘いものでは無いのだけど、お互いに支え合ってやっと立っていられる、というような不安定さをずっと感じていました。
なので途中まで「もしやこれはメリバなのでは?」という疑いを払いきれないままラストに突入するという、凪良先生作品では初めての体験をしました。
そしてタイトルが相変わらず良いですね。「天涯生き」。天涯の意味を調べてしまいました。だからこそ、2人のその後が読みたいなと欲に駆られてしまいます。2人が何に追われることも、何に縛られることも無く、心から笑いあっている未来を読みたいです。
天涯=空のはて。また、故郷を遠く離れた土地。 //
遠い土地にきた高知は、何かから逃げている人。
軒を貸す遠召は、戻らない恋人を待つ人。
遠召の勧めに従い、自主する高知。マットウに贖う事を選ぶ。
凪良先生の小説に登場する弁護士は能力低くて、被疑者を擁護しきれないパターンが殆ど。
この作品でも、高知に厳しい判決が出ている。切ないなー。
入所したとき、「待たなくていい」と断っていたけど、
出所した日が決まると、高知は緊張して眠れなかった。
豆腐を食べる途中で、寝てしまった高知の傍に座る遠召。
自分を待つ優しい人が出来て良かったね、高知。
架空の登場人物なのに、
読了後真剣に、二人の新しい毎日が幸せであるように祈ってしまった。
再読しました。
今読むと、「流浪の月」と重なるところ、通じるものを思わされます。
プロトタイプと言いますか。
家族のことで心にしこりを持つ二人が出会って、共同生活をするうちに、傷ついた魂が寄り添い、無くてはならないかけがえのない関係になっていく。二人のそれぞれの視点から描かれていて、とても好い本でした。
二人が隔絶されたような優しい街でのんびり過ごす場面とか、それぞれの傷に立ち向かうこととか、逃避行のような旅とか、とにかく心情描写も情景描写も丁寧です。
美しく儚くやさしい、そして強い作品と思います。
重くシリアスなのだけど、どこかに「抜け」のある作品でした。
メインの二人はそれぞれに重いものを抱えた設定で、暗い闇を背負った者同士が出会い、どうしようもなく惹かれあっていく……という展開は往年の(?)june系の小説にでもありそうなものです。
しかしその行き着く先と淡々とした描写が現代的なんですよね。
ハッピーエンドの入り口に立ったような所まで描かれていて、一筋の光が見える結末です。(この先も決して楽なことだけではないでしょうけど)
丁寧で叙情的な心理描写が多い凪良先生ですが、今作では抑えめの表現になっているのも良かった。抱えているものが重いだけに、あまりウェットになると辛すぎるお話になっていたと思います。
大きなカタルシスがあるわけではないのですが、不思議に気持ち良い読後感の一冊でした。